有価証券報告書-第57期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/19 13:43
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【項目】
115項目

事業等のリスク

当社グループの事業等のリスクとして、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクの存在を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、かつ、万一発生した場合でも適切に対処するよう努める所存であります。なお、文中には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 国内外の経済情勢及び社会情勢の影響
① 景気変動について
当社グループは、日本を始め北米、欧州、アジアなどの各地域で事業を展開しており、それぞれの市場における景気動向や需要変動の影響を、直接あるいはカーメーカー関連各社などを通じて間接的に受けています。
従いまして、これらの主要市場において、景気の後退、需要構造の変化、価格競争の激化などが当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 海外市場の障壁について
当社グループは、カーナビゲーション・GIS・データ配信分野において、成熟市場である北米・欧州に加え、経済成長及び市場規模の拡大が見込まれるアジア地域で事業活動を展開しております。海外市場への進出においては、以下のようなリスクの検討も十分に行っておりますが、それぞれの地域における様々な政治的、経済的もしくは法的な障害により、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、各地域における取引先の事業戦略やスケジュールの変更などにより、計画通りの操業が実現できず、収益性を確保できない可能性もあります。
1) 不利な政治的又は経済的な要因6) 宗教及び文化の相違
2) 法律又は規制の変更7) 国際通貨の変動
3) 資金調達及び本国送金に対する制約8) 社会インフラ政策、消費動向の変動
4) 優秀な人材の採用と定着率の維持9) 提携先との良好な取引関係の維持
5) テロ、戦争、伝染病、自然災害等

③ アジア地域における制作作業について
当社グループは、製造コスト削減のために中国を始めとしたアジア地域において、地図データベース制作工程である情報入力処理、ソフトウエア及びコンテンツの開発・製造を行っております。しかし、これらの国において政治の変化又は法律や規制の変更、ストライキなど予想外の事態が発生した場合、業務遂行に支障が生じる可能性があります。
また、大規模な地震や洪水等の自然災害のほか、火災、停電等により操業停止を余儀なくされる可能性があります。これらの重大な障害が発生した場合には業務の遅延が発生し、当社グループが拡大を目指す地図データベース関連事業の展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 会社がとっている特異な経営方針に係るもの
① 人材の確保と育成について
当社グループの主力事業である地図データベース関連事業は、顧客仕様のデータベースのみならず、位置情報の拡充、防災・減災に対する意識の高まり、安全運転支援など、多様化する用途に対して高い技能を必要とするため、製品化にはレベルの高い技術開発要員や開発業務管理者などの人材が必要であります。
また、当社グループの地図データベースは国内全域での現地調査により情報を収集していますが、地図データベースに期待される更新頻度の短期間化や地図情報の正確性を確保するためには、全国各地で活動する多数の調査員を効率的に管理するとともに、生産部門に集約される変化情報を的確に把握し、製造工程で正しく反映させるための人材も必要であります。
従いまして、こうした人材を確保又は育成できなかった場合には、当社グループの将来の成長並びに経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報の管理について
当社グループは、顧客情報や従業員情報の他、住宅地図等の製品に掲載・収録される居住者名、住所等の個人情報を収集・管理しており、個人情報の適正な取り扱いをすることは、当社の事業活動の基本であり、社会的責務であると認識しております。
当社グループにおきましては、個人情報の取得・利用・保管・廃棄に関する規程・手順等の社内ルールの整備、従業員教育、入退室管理等の物理的対策及びコンピュータシステムへのアクセス管理等の情報セキュリティ対策を講じております。
しかし、万一、これらの個人情報が当社グループ又は業務委託先から漏洩した場合には、以後の事業活動が制限されたり、法令遵守に必要なコストが増加する可能性があります。さらに、損害賠償請求がなされたり、個人情報の管理が不十分であるとの非難を受けて社会的信用の低下をもたらし、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 財政状態及び経営成績の異常な変動
① 経営成績の季節的変動について
当社グループの主力事業である地図データベース関連事業は、季節による需要の変動が大きく、下半期に売上高が偏る傾向にあります。なお、直近3ヵ年の平均実績としましては、年間売上高に対する上半期と下半期の売上高の比率はそれぞれ43.7%と56.3%となっております。
② 退職給付債務の変動について
当社グループの従業員退職給付債務及び退職給付費用の計算は、割引率、将来の報酬水準、退職率などの仮定に基づいて算出されます。これらの仮定と実際の結果との差額は、即時に債務に認識され、原則として将来の会計期間にわたって費用化されます。退職給付債務及び退職給付費用の計算に使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実際との差異又は仮定自体の変更、特に、一層の割引率の低下や運用利回りの悪化は、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用に影響を与えるため、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損について
当社グループは、有形固定資産、ソフトウエア及びのれんなどの固定資産を保有しております。
これらの資産について、経営環境の変化等で、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、帳簿価額を減額し、当該減少額を減損損失として計上することとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 特定の取引先への依存について
① 特定の販売先への依存について
当社グループの売上高は、特定のカーメーカー関連各社及び通信事業者並びにインターネットサービス事業者に対するものが多くを占めております。
これらの販売先とは、取引関係が長く、製品の仕様検討、技術開発、地図データベースの改良などにおいて相互協力関係にあり、引き続き販売先を通じて顧客ニーズを充足する努力を続けることで、良好な協力関係の維持と発展を目指してまいります。
しかしながら、これらの販売先の事業方針や業績動向などの影響を受け、価格引き下げ要求、取引内容変更、契約打ち切りなどが生じた場合は、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、市場環境の変化に伴う最終消費者の潜在的な減少リスクを内包しております。
② 特定の供給元への依存について
当社グループは北米・欧州・アジア地域等の地図データをカーナビゲーション・GIS・データ配信分野に提供し、海外事業として展開しております。国内においては、その基となる地図データベースを自社で制作しておりますが、海外向けの基となる地図データベースについては、海外の特定の地図事業者に依存しております。地図事業者からの供給が停止された場合は、既存販売先への継続的な地図データの提供に支障が生じ、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 特定の製品、技術等への依存について
① 地図データベース派生製品への依存について
当社グループの売上の大部分は地図データベースを基に制作される製品群の売上に依存しております。当社は、地図データベースの一部を利用した製品(以下、「地図データベース派生製品」という)、或いは地図データベースそのものの販売による売上が拡大を続けると考えており、将来の成長は主に地図データベース関連事業に係わる技術開発や新規コンテンツの充実に依存すると考えております。
これら地図データベース派生製品の制作には特有の技術が必要であり、新規コンテンツを企画するためには独創性が要求されます。また、多様化する顧客ニーズへの対応を含め、今後の事業展開においては高度で複雑な経営を必要としております。
従いまして、次のようなリスクを内包しております。
1) 新サービスや新コンテンツ開発のための先行投資が確実に顧客ニーズを捉え、大きな成果をもたらすという保証はありません。
2) インターネットの普及とともに顧客ニーズが多種多様となり、顧客が求める製品やサービスを的確かつ迅速に提供できなければ、当社グループの事業展開にとって不利な状況となる可能性があります。
3) 新製品及び新技術の開発に努めておりますが、新製品や新技術が当社独自の知的財産権として法律上保護され、その優位性が長期にわたり確保される保証はありません。
4) 技術革新と顧客ニーズが急激に変化するため、新たに構築した生産方式が急速に陳腐化する可能性があります。
5) 地図データベース派生製品の分野に異業種からの参入が増え、顧客の選択肢が増えることで、競争が激化する可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが地図データベース関連事業の多様性に十分に対応できず、地図データベースを利用した新製品開発に遅れをとった場合には、将来の成長並びに経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 地図データベースの精度・鮮度維持のための情報収集コストの回収可能性について
当社グループの地図データベース関連製品には、最新の地図情報を求めるニーズが高まっており、市場のニーズに的確に応えることが当社グループの発展につながると考えております。そのため、地図データベースの更新には、毎期継続して多額の情報収集コストを投入しておりますが、当該コストは売上高の増減にかかわらず固定的に製造原価の相当額を占め続けることとなります。
従いまして、顧客の支持を得られる製品を継続的に市場に投入出来なければ当該コストを回収しきれず、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 他社との業務提携について
当社グループは、地図データベース関連の製品開発や生産性向上のために、カーメーカー関連各社や異業種も含めた企業との業務提携によるパートナーシップ強化や取引深耕を図り、地図データベースの技術開発及び各種コンテンツの充実並びに新規業態への進出を目指しております。
しかしながら、事業戦略、取引条件、その他の理由により業務提携等が不成立或いは中断した場合、友好的な協力関係がもたらす成果を享受できず、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 企業への投資について
当社グループは、新規事業への進出、既存事業拡大、経営効率向上のため、M&Aによる投資を行っております。
しかしながら、市場環境の変化や競争力の低下などにより、投資先企業が当初想定したとおりの事業展開ができない場合、当該会社の業績・財政状態の悪化、のれんの減損損失を計上する可能性があります。
また、これらの投資においては、予め対象会社の法務・財務リスクなどを調査・評価しておりますが、投資時点では顕在化していない内部統制上の問題や、法令に抵触する可能性もあります。
これらの問題が発生した場合、経営成績や事業展開に悪影響を及ぼすだけでなく、当社グループへの信頼や企業イメージが低下する可能性があります。
(6) 法的規制等について
① 知的財産権の侵害について
当社グループでは、独自に開発した製造技術や新規開発製品に関するもので知的財産の保護の対象となる可能性のあるものについて、必要に応じて特許権や商標権の出願、登録を行っておりますが、必ずしもこれらの権利を取得できるとは限りません。当社グループの技術、ノウハウ又は製品名等が特許権や商標権として保護されずに他社に先んじられた場合には、当社グループの製品開発或いは販売に支障が生じる可能性があります。
また、当社グループでは第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な調査を行い、注意を払っておりますが、当社グループの調査範囲が十分でかつ完全であるとは保証できません。さらに、特許権等の知的財産権が当社グループの事業にどのように適用されるのか全てを正確に想定することは困難であり、万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求、使用差し止め等の訴えを起こされる可能性、並びに当該知的財産権に関する対価の支払いが発生する可能性があります。
従いまして、これらの場合には、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 独占禁止法違反について
当社グループは、独占禁止法の遵守を事業活動の基本方針としており、その実行のため、当社グループのCSR活動における主要項目として、従業員に対する独占禁止法遵守教育や内部監査などに努めております。
しかし、万一、独占禁止法違反が発生した場合には、法的制裁を受けるだけでなく、社会的信用の低下をもたらし、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) その他
① 市場シェア変動の可能性について
当社グループは、平成4年にカーナビゲーション用データ「ゼンリン・ナビソフト」の販売を開始し、国内におけるカーナビゲーション用データの分野ではトップシェアを獲得できるまでに事業を成長させてまいりました。また、データ配信分野においても、当社の地図データベースは国内の多くのインターネット地図サービスに採用されており、今後もより一層の事業拡大が期待されております。
しかしながら、カーナビゲーション及びインターネットサービスにおいては、コンピュータ、通信、コンテンツなどの関連企業が参入しており、その中でも地図データベースにおいては、他の地図データベース制作会社、インターネットサービス事業者、通信事業者などが新規参入或いは勢力を拡大してくる可能性があり、それら各社の中には当社グループよりも企業規模が大きく、経営資源が豊富な企業も存在します。
今後、技術革新を契機として、他社が新しい地図データベースを市場投入しシェアを獲得した場合、或いは競合会社間の業務提携等が成立した場合には、当社グループが将来においても現在のシェアを維持できるという保証はなく、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 商品及び製品の欠陥の発生とそれに伴う回収リスクについて
当社グループの製品は、独自の情報収集及び外部から取得した各種情報、製造ノウハウ等の集大成であり、製品化においては高度の技術と情報処理能力を必要といたします。
当社グループでは、それらの製造において細心の注意を払うとともに、仕入商品を含め、欠陥のある商品及び製品を出荷しないように作業工程の各段階で厳重な品質検査を行っておりますが、そのことが、欠陥のある商品及び製品が市場に流通しないことを絶対的に保証するものではありません。
万一、当社グループが提供した商品及び製品に欠陥が発生した場合には、当該商品及び製品の回収に係るコストが発生するとともに、ご購入されたお客様への賠償問題が発生するなど、経営成績や事業展開に悪影響を及ぼすだけでなく、当社グループへの信頼や企業イメージが低下する可能性があります。
③ 情報技術への依存
当社グループは、製品の開発、生産、販売など様々な事業活動の中で、情報技術及びネットワークシステムを利用しています。
これらの情報技術の利用にあたっては、安全な運用のため対策が施されていますが、インフラ障害、サイバー攻撃、コンピューターウイルスへの感染等などによって、各種業務活動の停止、データの喪失、当社のサービスの機能低下などが発生する可能性があります。この場合、復旧費用の発生、当社製品の信用力やブランドイメージの毀損などにより、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 自然災害等によるリスクについて
自然災害、火災、流行病の蔓延等により、当社グループの営業拠点及び生産拠点に被害が発生した場合、事業活動に支障が生じる可能性があります。
当社では大規模地震等の自然災害発生に対する防災マニュアルを作成するなど、災害の発生に備えておりますが、これらによっても自然災害等による被害を完全に回避できるわけではなく、被害が発生した場合には当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。