有価証券報告書-第83期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による全国的な社会経済活動の制限により急速に悪化し、極めて厳しい状況で推移しました。先行きについては持ち直しの動きが見られるものの、足下では再び感染が拡大するなど収束の目途は立っておらず、依然として予断を許さない状況が続いております。
当社グループでは社員および家族の健康と安全に配慮しつつ、顧客への製品やサービスの提供に影響を及ぼすことがないよう、新型コロナウイルス感染予防と事業継続に取り組んでまいりました。
当社グループが主力としております国内の印刷業界につきましては、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、原材料価格の高騰も重なり、大変厳しい状況が続いております。
このような状況に加えまして、当連結会計年度においては新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。顧客工場における生産調整により、当社から供給する製品パッケージなどの産業用資材の減産や出荷減少、顧客における社内広報活動および販売促進活動の中止・延期による社内報、カタログ、チラシなどの商業印刷物の減少、特に安定的な受注が見込める定期刊行物の減少が業績に大きく影響しました。また、当社グループにおける営業活動は対面による訪問活動を基本としておりますが、顧客におけるテレワーク勤務の浸透により訪問機会(接触機会)の減少を余儀なくされました。
顧客における社内広報活動および販売促進活動は徐々に回復傾向にありますが、一方では景気減速による予算削減や媒体のデジタル化(紙離れ)が一層進むなど、大変厳しい状況で推移しております。
このような状況でありますが業績を向上させるべく、当社グループでは顧客第一の基本方針のもと健全な危機
感を持ち、売上の確保、コスト・経費の削減はもちろんのこと、顧客にとっての価値(顧客価値)を創出する、または増大させる課題解決(ソリューション)提案、すなわち安易な価格競争に巻き込まれないビジネスモデル
への転換に取り組んでおります。営業活動においても訪問営業を基本としつつ、リモートでの活動も強化してお
ります。
こうした取り組みの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度の資産の部は、機械装置及び運搬具、建設仮勘定、投資有価証券などが増加いたしましたが、現金及び預金、受取手形及び売掛金、その他の流動資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ13億50百万円減少し、296億5百万円となりました。
負債の部は、短期借入金や1年内返済予定の長期借入金などが増加いたしましたが、支払手形及び買掛金、電子記録債務、リース債務、退職給付に係る負債の減少などにより、前連結会計年度末に比べ1億72百万円減少し、155億57百万円となりました。
純資産の部は、利益剰余金の減少などにより前連結会計年度末に比べ11億78百万円減の140億48百万円となり、自己資本比率は47.0%となりました。
b. 経営成績
当社グループの当連結会計年度における売上高は311億8百万円(前期比12.7%減)となりました。利益面では、当社における役員報酬の減額やマネジメント手当(役職手当)の減額、生産設備の統廃合、交際費や旅費交通費などの経費削減に取り組みました結果、営業利益3億60百万円(前期比28.1%減)、経常利益4億78百万円(前期比18.8%減)となりました。
なお、特別損失に当社関西地区などにおける固定資産除売却損1億41百万円、同じく当社が関西地区で保有す
る固定資産(土地、建物等)における減損損失2億72百万円、特別退職金として希望退職者の募集に伴う特別退
職金及び再就職支援費用5億94百万円などを計上するとともに、繰延税金資産の取り崩しなどにより法人税等調
整額7億22百万円を計上したため、親会社株主に帰属する当期純損失は13億42百万円(前期は親会社株主に帰属
する当期純利益3億81百万円)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
<印刷セグメント 印刷事業>印刷事業では、紙媒体が縮小し価格の低迷が続く大変厳しい状況の下、生産性向上やコスト削減に加え、顧客価値を増大させるソリューションを提供するビジネスモデルへの転換のための活動、具体的にはシステム構築、データ収集・分析、ロジスティクスサービス、事務局運営、各種BPO、販促イベント支援などのサービスレベルをさらに向上させるとともに、それらを複合的に組み合わせたワンストップソリューションの提供に注力しました。
しかしながら、前述の通り厳しい市場環境により、売上・利益の両面で苦戦を強いられました。また、新型コロナウイルス感染症による影響により、顧客における販売促進支援などを目的とするイベントプロモーション受託が低迷するなど、紙媒体以外の領域においても影響を受けました。
その対策として、オンラインイベント受託や動画制作などの非接触型プロモーションの提案のほか、デジタルマーケティングを活用した販売活動を強化しました。顧客における業務効率化とコスト削減を実現する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」は当社ホームページのほか、各種検索サイトやWEB展示会などを通じた販売促進活動を積極的に行い、遠隔地からもオンラインで商談から成約までを行いました。社内体制においては、顧客情報の共有などを効率的に行うデジタルトランスフォーメーションを推進しました。
同時にデジタル化の進展に伴う受注内容の変化に対応するため、全体最適による生産設備の見直しを含め、固定費削減による低コスト生産体制の整備を進めております。関東地区では鳩ケ谷物流センターの稼働を停止し、同拠点における業務を小牧物流センターへの集約及び外部への業務委託を行いました。関西地区では輪転印刷機を廃止し、他地域の生産拠点や外部への業務委託を行うとともに、医薬部外品及び化粧品の製造販売認可を活用したパッケージング受託など、成長分野であるロジスティクス事業への事業転換を行っております。
<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>半導体関連マスク事業では、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的でありました。第1四半期連結会計期間においては、自動車メーカー各社での減産方針にて車載向け製品の出荷減少がありましたが、第2四半期連結会計期間以降は徐々に回復し、下半期は堅調に推移しました。また、年間を通じまして、第5世代移動通信システム(5G)の需要や企業でのテレワークの浸透によるパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器への需要を取り込んだため、増収増益となりました。
同事業におきましては海外事業を強化しております。本年度からPROCESS LAB.MICRON VIETNAM CO.,LTD.が新たに連結範囲に加わっております。また、2020年1月に設立されたTOKYO PROCESS SERVICE(Thailand)CO.,LTD.は、生産設備の設置を完了し、操業を開始いたしました。今後も東南アジア諸国における新型コロナウイルス感染症の感染状況や影響を注視しつつ、速やかな事業拡大をめざしてまいります。
上記の結果、印刷セグメントの売上高は200億14百万円(前期比13.4%減)、営業利益は2億50百万円(前期比13.1%増)となりました。
<物販セグメント 物販事業>物販事業では、印刷事業と同様に厳しい市場環境にありますが、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、日本全国に展開する拠点を活用し、高付加価値化や品質・環境性能を向上させた商品の提案、自社ブランド機械の販売強化、新規顧客獲得活動などを精力的に行っております。
当連結会計年度では、顧客である印刷会社からの受注減少に加えまして、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。第4四半期連結会計期間においては、ものづくり補助金制度を活用した設備投資需要の取り込みのほか、販売促進イベントを開催して挽回に努めましたが、通期においては資材販売と機械販売の両面において減収となりました。
利益面では減収による影響のほか、利益率の高い自社ブランド製品の販売が低調に推移したため、交際費や旅費交通費などの経費削減を徹底的に行いましたが、利益の確保にも苦戦を強いられました。
上記の結果、物販セグメントの売上高は117億35百万円(前期比11.1%減)、営業利益は99百万円(前期比
62.5%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3億87百万円減少し、45億75百万円となりました。当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失5億6百万円、退職給付に係る負債の減少3億33百万円、仕入債務の減少6億52百万円などに対し、売上債権の減少6億72百万円や減価償却費8億64百万円などがあったため、68百万円の収入(前期は7億27百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出11億81百万円などがあったため、12億47百万円の支出(前期は8億56百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出4億28百万円、配当金の支払額97百万円
があったものの、短期借入金の増加(純増額)9億円や長期借入金の増加(純増額)3億2百万円などがあった
ため、6億72百万円の収入(前期は2億44百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.生産実績は、販売価額により表示しております。
2.金額は、消費税等抜きの金額で表示しております。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は、消費税等抜きの金額で表示しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.販売実績は、販売価額により表示しております。
2.金額は、消費税等抜きの金額で表示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べ45億43百万円減少し、311億8百万円(前期比12.7%減)となりました。売上原価は、前期に比べ39億12百万円減少し252億10百万円(前期比13.4%減)となり、売上原価率は、前期の81.7%から81.0%へ改善しました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ4億89百万円減少し55億38百万円(前期比8.1%減)となりました。この結果、営業利益は前期と比べ1億41百万円減少し3億60百万円(前期比28.1%減)となりました。
営業外収益は、前期と比べ75百万円増加し2億22百万円(前期比51.0%増)となり、営業外費用は、前期と比べ44百万円増加し1億5百万円(前期比73.5%増)となりました。この結果、経常利益は前期と比べ1億10百万円減少し4億78百万円(前期比18.8%減)となりました。
特別利益は、前期と比べ14百万円減少し41百万円(前期比26.5%減)となり、特別損失は、前期と比べ9億70百万円増加し10億26百万円(前期は55百万円)となりました。
法人税、事業税及び住民税は前期と比べ90百万円減少し1億9百万円(前期比45.3%減)となりました。さらに法人税等調整額は、前期と比べ7億20百万円増加し7億22百万円(前期は1百万円)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、13億42百万円(前期は3億81百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。その具体的な内容につきましては、前出の(1)経営成績等の状況の概要に記載のとおりであります。
当連結会計年度では、厳しい経営環境に対応するため、当社において苦渋の決断にて希望退職者の募集を実施するとともに、生産設備の見直しなどによる固定費削減を推進し、売上減少に耐えうる組織体制への整備を行いました。
今後につきましては、上記組織体制を踏まえまして、当社がめざすビジネスモデルである「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を実現するビジネスパートナー」の実現に向けて、コア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げ、事業構造改革を進めます。
新事業開発の強化につきましては、当社において代表取締役直轄の成長戦略本部を新設し、不動産事業開発やM&Aなどの成長戦略について、スピード感をもって進め、新たなビジネスモデルの早期構築をめざします。
事業活動を支える経営基盤の強化については、財務基盤やコーポレート・ガバナンスの強化のほか、人事制度の充実や働き方改革の推進、SDGsへの取り組みなど、全事業の根幹となる企業力の育成をめざします。
b. 経営成績等に重要な影響を与えた要因
当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与えた要因としては、印刷事業および物販事業では、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることおよび原材料価格の高騰に加えまして、新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受けました。その具体的な影響は、前出の(1)経営成績等の状況の概要に記載のとおりであります。
印刷事業および物販事業における、新型コロナウイルス感染症による業績への影響額(売上および利益)につきましては、イベントプロモーション受託や顧客における販売促進活動および社内広報活動の中止・延期による商業印刷物の減少などの直接的影響のみならず、従来から継続しておりますデジタル化の進展による印刷市場の縮小(紙離れ)を同感染症が一層加速させるといった間接的影響がありますので合理的な算定ができません。しかしながら、前期比での減収額45億43百万円において、この直接的もしくは間接的な影響が主要因であると認識しております。
半導体関連マスク事業におきましては、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微でありました。年間を通じまして、第5世代移動通信システム(5G)の需要や企業でのテレワークの浸透によるパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器への需要を取り込んだため好調に推移しました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
<印刷セグメント 印刷事業>顧客における社内広報活動および販売促進活動は徐々に回復傾向にありますが、一方では景気減速による予算削減や今回のコロナ禍を機に、広告宣伝媒体を紙媒体からデジタル媒体への変更がなされるなど、デジタル化の進展(紙離れ)が急速に進んだ状況も見受けられており、今後も厳しい状況が続くと予想しております。
現在、印刷事業では「顧客価値を増大させるワンストップソリューション」を提供するビジネスモデルへの転換を急いでおり、現在はその過渡期にあります。具体的な施策として、システム構築、データ収集・分析、ロジスティクスサービス、事務局運営、各種BPO、販促イベント支援などの各種取り組みを強化しております。
社内体制において、デジタル化の進展による紙媒体の縮小(紙離れ)による受注内容の変化に対応するため、多様化している当社の製品やサービスについて事業区分を再定義し、各々の収益性や成長性を見極め、更なる事業強化と成長分野への積極投資を行ってまいります。また、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の追求、ビジネスモデルにマッチした製造体制の再構築、子会社との連携などを進めております。
今後も紙媒体需要の取り込みを継続しますが、それだけでは厳しい状況であります。当社が持つ制作体制、情報セキュリティ体制、システム構築力を駆使し、企業のトップメッセージ配信などの広報活動や教育現場におけるリモート授業のご支援、WEB・システム構築などのデジタル媒体の制作を強化しております。
また、テレワークの浸透・定着により、今後さらに企業における働き方改革が進むことが予想され、顧客における業務効率の改善やコスト削減に貢献するロジスティクス事業や各種BPO受託をビジネスチャンスとして認識しており、積極的に挑戦を続けてまいります。その具体的な取り組み事例である、顧客における業務効率化とコスト削減を実現する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」は、これまでお取引のない遠隔地の顧客からも多くの引き合いをいただいており、オンラインにて商談から成約までを行いました。このようなデジタルマーケティングを活用した新製品・新サービスの開発に注力するとともに、社内におけるデジタルトランスフォーメーションを推進し、当社独自のリモート営業スタイルを確立してまいります。
イベントプロモーション受託は当面厳しい状況が続きますが、収束後には長期化した自粛への反動により、回復するものと予想しております。顧客との情報交換とともにサービスメニューの充実を図り、そのビジネスチャンスを逃さないよう準備を進めております。
<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>半導体関連マスク事業では、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微でありました。影響としては、第1四半期連結会計期間にて、自動車メーカー各社での減産方針により車載向け製品の出荷減少があったほか、2020年1月に設立しましたTOKYO PROCESS SERVICE(Thailand)CO.,LTD.におけるガラスマスク描画装置の搬入・組み立てが遅れ、操業開始が本年年明けにずれ込んだため、当連結会計年度における業績への貢献が出来ませんでした。
しかしながら、これらのマイナス影響を上回るほど、第5世代移動通信システム(5G)の需要や企業でのテレワークの浸透によるパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器への需要を取り込んだため、年間を通じて好調に推移しました。今後につきましても、米中貿易摩擦の行方、世界経済の回復、そして新型コロナウイルス感染症の収束という不確定要素はありますが、市場は穏やかに拡大するものと予想しております。
当社グループでは、グループ全体最適とシナジーの最大化をめざしております。当社、㈱プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス㈱の3社における人材交流や情報共有による課題解決を図るほか、共同研究開発プロジェクトによる新製品開発などを組織的に進めております。これらの活動を通じまして、さらなる売上拡大とコスト低減を実現し、特定の電子機器の需要・販売動向に左右されない、安定したビジネス基盤を構築してまいります。
海外事業展開も着実に進めております。ベトナムの顧客向けに電子部品表面実装用等のメタルマスクの製造を行うPROCESS LAB.MICRON VIETNAM CO.,LTD.に続きまして、当連結会計年度ではタイにおける精密工業写真製版、スクリーン製版及び製版用資機材の製造販売を行うTOKYO PROCESS SERVICE(Thailand)CO.,LTD.で操業を開始しました。
両社の事業を速やかに軌道に乗せるとともに、中国の顧客向けに同じくメタルマスクの製造を行っております富来宝米可龍(蘇州)精密科技有限公司の業績向上を図り、国内外における事業拡大を目指しております。
印刷事業ではマイナス要因となる「デジタル化の進展」が、本事業においては逆に追い風となる部分があり、リスク分散の意味合いにおきましても、当社グループにおける半導体関連マスク事業の充実を進めてまいります。
<物販セグメント 物販事業>物販セグメント(物販事業)は、印刷事業同様に厳しい環境下ではありますが、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア向上のほか、異業種を含めた新規顧客の開拓、利益率の高い自社ブランド製品の販売強化、それを支える人材育成などによる総合力で他社との差別化を図り、売上・利益の確保をめざしてまいります。
しかしながら、印刷事業同様に、今後も厳しい状況が続くものと予想しております。また、長年にわたる印刷関連市場の停滞により、取引先における経営環境の悪化が懸案となっておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響による関連倒産が世界的にも不安視されており、与信管理面でも慎重な取引が今後も求められます。
新型コロナウイルス感染症の収束後における顧客のビジネススタイルの変化に対応し、当社グループも変革してまいります。従来からの訪問による売り込み型の営業だけではなく、顧客の事業内容を熟知し、顧客ごとに最適な製品やサービスを提案できる、顧客にとってのナンバーワンのビジネスパートナーをめざしております。
今後も印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、生産性向上・付加価値創造・収益拡大を実現する製品の調達力、日本全国に展開する拠点を活かした販売力、そして人材育成による新規顧客開拓力などを強化し、新型コロナウイルス感染症の収束後において、業績を挽回する準備を整えてまいります。
c. 中長期的な目標に照らした経営成績の分析・評価
「目標とする経営指標」で述べましたように、当社グループの目指すところは、顧客にとっての価値を創出あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築くとともに、営業利益率を高めて行くことです。当連結会計年度の営業利益率は1.2%となりました。
当連結会計年度を含む直近5期の営業利益率の推移は、2.1%→2.1%→1.6%→1.4%→1.2%という状況です。4期前までは3期連続で2%を維持しておりましたが、前々期から減少に転じ、当期は前期に比べさらに0.2ポイント減少しております。今後は、2%台への回復を早急に実現し、将来的には、安定的に5%レベルの営業利益を計上できる状況を目指してまいります。そのためには、前述いたしましたように、印刷事業における「顧客価値を増大させるワンストップソリューション」を提供するビジネスモデルへの転換が必須であり、そのスピードを速めることが重要であると考えております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは△11億79百万円となり、当年度末の現金及び現金同等物は45億75百万円となりました。この金額は、運転資金、設備投資に必要な資金、及び印刷事業・物販事業が身を置く印刷業界を取り巻く環境が厳しい中、M&Aを通じた、将来の柱となる事業の開発あるいは取得に必要な資金として適正な水準であると考えておりますが、必要に応じて躊躇なく借入などのアクションを取り、タイミングを逃すことなくM&A他の必要な投資に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
その施策の一つとして、今後の積極的な事業展開に必要な資金需要に対し、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保することで財政基盤の強化並びに安定性向上を図ることを目的として、2020年5月に株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行との間でコミットメントライン契約を締結いたしました。株式会社三菱UFJ銀行とは契約極度額15億円、株式会社三井住友銀行とは同10億円を個別相対方式、無担保・無保証にて各々締結しております。なお、当連結会計年度末における実行残高は9億円であります。
新型コロナウイルス感染症の影響による資金繰りへの影響は、現時点ではさほど大きなものではないと考えておりますが、万が一の場合には上記記載のコミットメントライン契約にて充分に対応可能と考えております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成に当たっては、決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の報告金額、並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会社方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に関連する重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定につきましては、財務諸表等の注記(重要な会計上の見積り)にて記載しております。
④ 当社グループにおける新型コロナウイルス感染症拡大への対策、経営方針および事業への影響と今後の取り組み
a.当社グループにおける感染予防対策
当社グループは、社員および家族の健康、人命を最優先させるとともに、顧客へのサービス停止の最小化を目指し、本社および各拠点が一体となって新型コロナウイルス感染予防に取り組んでおります。提出日現在において、当社グループの社員とその家族にて数名の感染者が確認されておりますが、当社グループにおける各拠点においては事業を継続しており、出荷遅延も発生しておりません。また、仕入先や協力会社とのサプライチェーンにも支障は出ておりません。
国内における新型コロナウイルス感染拡大が長期化するなか、BCP(事業継続計画)新型コロナウイルス編を策定し、拠点を構える関東、中部、関西における各地域の状況に即した対策を実行してまいりました。
その実施状況につきましては、毎月の取締役会にて適宜報告されております。当社グループにて行っております具体的な感染予防対策は、以下のとおりです。
<社員への対応>・在宅勤務、時差出勤、社用車通勤、自家用車通勤(費用は会社負担)の実施
・オフィスにおける飛散防止パネルの設置
・社内における常時マスクの着用、手洗いとうがいの徹底、消毒液の配置、定期的な室内換気
・毎朝の検温(37.5度以上の発熱時や体調不良時は出勤停止)と行動記録簿の作成
・出張(国内・海外)の禁止
・25人以上の会議の禁止およびリモート会議の奨励
・不要不急の外出、特に人が密集するセミナー・イベント・観光・飲食を伴う場所への外出の自粛 など
<顧客への対応>・来社自粛の要請
・来社時における検温のご協力
・リモート会議による商談・打合せの実施
・当社ネット販売サイトを通じた感染予防用備品の提供
b.経営方針および各事業への影響と今後の見通し
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、今後暫く世界的な景気減速は避けられないと判断しております。当社としましては2021年度(2022年3月期)においても、影響が継続するものと見込んでおり、今後の業績見通しにつきましては、厳しい状況が続くと考えております。また、このたびのコロナ禍に伴う印刷物の減少による売上減少につきましては、収束後においても旧来の水準に戻ることは困難であると分析しております。
当社グループにおける経営方針において目指すべき方向性自体に変更はありませんが、半導体関連マスク事業の強化や拡印刷事業の強化による「紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換」について、これまで以上にスピード感を高めて進める必要性に直面していると判断しております。
この状況下にて我々が今為すべきことは、自らの感染予防を継続しつつ、顧客における事業活動や社内広報活動および広告宣伝活動が再開した際に、真っ先にお声がけをいただける「ファーストコールカンパニー」であり続けることです。現在受注しております業務を全社員が懇切丁寧に行うこと、どんな状況においても顧客とのコミュニケーションを絶えず取り続けること、顧客の事業内容に対する理解を深めるとともに、ご提案できる製品やサービスの研究を続けることなどの準備を行いまして、来るべき時に備えております。同時に、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化や固定費の削減などにより、市場縮小による受注減少に柔軟に対応できる低コスト生産体制の整備を進めてまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による全国的な社会経済活動の制限により急速に悪化し、極めて厳しい状況で推移しました。先行きについては持ち直しの動きが見られるものの、足下では再び感染が拡大するなど収束の目途は立っておらず、依然として予断を許さない状況が続いております。
当社グループでは社員および家族の健康と安全に配慮しつつ、顧客への製品やサービスの提供に影響を及ぼすことがないよう、新型コロナウイルス感染予防と事業継続に取り組んでまいりました。
当社グループが主力としております国内の印刷業界につきましては、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、原材料価格の高騰も重なり、大変厳しい状況が続いております。
このような状況に加えまして、当連結会計年度においては新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。顧客工場における生産調整により、当社から供給する製品パッケージなどの産業用資材の減産や出荷減少、顧客における社内広報活動および販売促進活動の中止・延期による社内報、カタログ、チラシなどの商業印刷物の減少、特に安定的な受注が見込める定期刊行物の減少が業績に大きく影響しました。また、当社グループにおける営業活動は対面による訪問活動を基本としておりますが、顧客におけるテレワーク勤務の浸透により訪問機会(接触機会)の減少を余儀なくされました。
顧客における社内広報活動および販売促進活動は徐々に回復傾向にありますが、一方では景気減速による予算削減や媒体のデジタル化(紙離れ)が一層進むなど、大変厳しい状況で推移しております。
このような状況でありますが業績を向上させるべく、当社グループでは顧客第一の基本方針のもと健全な危機
感を持ち、売上の確保、コスト・経費の削減はもちろんのこと、顧客にとっての価値(顧客価値)を創出する、または増大させる課題解決(ソリューション)提案、すなわち安易な価格競争に巻き込まれないビジネスモデル
への転換に取り組んでおります。営業活動においても訪問営業を基本としつつ、リモートでの活動も強化してお
ります。
こうした取り組みの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度の資産の部は、機械装置及び運搬具、建設仮勘定、投資有価証券などが増加いたしましたが、現金及び預金、受取手形及び売掛金、その他の流動資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ13億50百万円減少し、296億5百万円となりました。
負債の部は、短期借入金や1年内返済予定の長期借入金などが増加いたしましたが、支払手形及び買掛金、電子記録債務、リース債務、退職給付に係る負債の減少などにより、前連結会計年度末に比べ1億72百万円減少し、155億57百万円となりました。
純資産の部は、利益剰余金の減少などにより前連結会計年度末に比べ11億78百万円減の140億48百万円となり、自己資本比率は47.0%となりました。
b. 経営成績
当社グループの当連結会計年度における売上高は311億8百万円(前期比12.7%減)となりました。利益面では、当社における役員報酬の減額やマネジメント手当(役職手当)の減額、生産設備の統廃合、交際費や旅費交通費などの経費削減に取り組みました結果、営業利益3億60百万円(前期比28.1%減)、経常利益4億78百万円(前期比18.8%減)となりました。
なお、特別損失に当社関西地区などにおける固定資産除売却損1億41百万円、同じく当社が関西地区で保有す
る固定資産(土地、建物等)における減損損失2億72百万円、特別退職金として希望退職者の募集に伴う特別退
職金及び再就職支援費用5億94百万円などを計上するとともに、繰延税金資産の取り崩しなどにより法人税等調
整額7億22百万円を計上したため、親会社株主に帰属する当期純損失は13億42百万円(前期は親会社株主に帰属
する当期純利益3億81百万円)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
<印刷セグメント 印刷事業>印刷事業では、紙媒体が縮小し価格の低迷が続く大変厳しい状況の下、生産性向上やコスト削減に加え、顧客価値を増大させるソリューションを提供するビジネスモデルへの転換のための活動、具体的にはシステム構築、データ収集・分析、ロジスティクスサービス、事務局運営、各種BPO、販促イベント支援などのサービスレベルをさらに向上させるとともに、それらを複合的に組み合わせたワンストップソリューションの提供に注力しました。
しかしながら、前述の通り厳しい市場環境により、売上・利益の両面で苦戦を強いられました。また、新型コロナウイルス感染症による影響により、顧客における販売促進支援などを目的とするイベントプロモーション受託が低迷するなど、紙媒体以外の領域においても影響を受けました。
その対策として、オンラインイベント受託や動画制作などの非接触型プロモーションの提案のほか、デジタルマーケティングを活用した販売活動を強化しました。顧客における業務効率化とコスト削減を実現する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」は当社ホームページのほか、各種検索サイトやWEB展示会などを通じた販売促進活動を積極的に行い、遠隔地からもオンラインで商談から成約までを行いました。社内体制においては、顧客情報の共有などを効率的に行うデジタルトランスフォーメーションを推進しました。
同時にデジタル化の進展に伴う受注内容の変化に対応するため、全体最適による生産設備の見直しを含め、固定費削減による低コスト生産体制の整備を進めております。関東地区では鳩ケ谷物流センターの稼働を停止し、同拠点における業務を小牧物流センターへの集約及び外部への業務委託を行いました。関西地区では輪転印刷機を廃止し、他地域の生産拠点や外部への業務委託を行うとともに、医薬部外品及び化粧品の製造販売認可を活用したパッケージング受託など、成長分野であるロジスティクス事業への事業転換を行っております。
<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>半導体関連マスク事業では、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的でありました。第1四半期連結会計期間においては、自動車メーカー各社での減産方針にて車載向け製品の出荷減少がありましたが、第2四半期連結会計期間以降は徐々に回復し、下半期は堅調に推移しました。また、年間を通じまして、第5世代移動通信システム(5G)の需要や企業でのテレワークの浸透によるパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器への需要を取り込んだため、増収増益となりました。
同事業におきましては海外事業を強化しております。本年度からPROCESS LAB.MICRON VIETNAM CO.,LTD.が新たに連結範囲に加わっております。また、2020年1月に設立されたTOKYO PROCESS SERVICE(Thailand)CO.,LTD.は、生産設備の設置を完了し、操業を開始いたしました。今後も東南アジア諸国における新型コロナウイルス感染症の感染状況や影響を注視しつつ、速やかな事業拡大をめざしてまいります。
上記の結果、印刷セグメントの売上高は200億14百万円(前期比13.4%減)、営業利益は2億50百万円(前期比13.1%増)となりました。
<物販セグメント 物販事業>物販事業では、印刷事業と同様に厳しい市場環境にありますが、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、日本全国に展開する拠点を活用し、高付加価値化や品質・環境性能を向上させた商品の提案、自社ブランド機械の販売強化、新規顧客獲得活動などを精力的に行っております。
当連結会計年度では、顧客である印刷会社からの受注減少に加えまして、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。第4四半期連結会計期間においては、ものづくり補助金制度を活用した設備投資需要の取り込みのほか、販売促進イベントを開催して挽回に努めましたが、通期においては資材販売と機械販売の両面において減収となりました。
利益面では減収による影響のほか、利益率の高い自社ブランド製品の販売が低調に推移したため、交際費や旅費交通費などの経費削減を徹底的に行いましたが、利益の確保にも苦戦を強いられました。
上記の結果、物販セグメントの売上高は117億35百万円(前期比11.1%減)、営業利益は99百万円(前期比
62.5%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3億87百万円減少し、45億75百万円となりました。当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失5億6百万円、退職給付に係る負債の減少3億33百万円、仕入債務の減少6億52百万円などに対し、売上債権の減少6億72百万円や減価償却費8億64百万円などがあったため、68百万円の収入(前期は7億27百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出11億81百万円などがあったため、12億47百万円の支出(前期は8億56百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出4億28百万円、配当金の支払額97百万円
があったものの、短期借入金の増加(純増額)9億円や長期借入金の増加(純増額)3億2百万円などがあった
ため、6億72百万円の収入(前期は2億44百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 印刷 | 20,787 | △12.4 |
| 物販 | - | - |
| 合計 | 20,787 | △12.4 |
(注)1.生産実績は、販売価額により表示しております。
2.金額は、消費税等抜きの金額で表示しております。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比 (%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比 (%) |
| 印刷 | 20,341 | △12.7 | 2,744 | 13.5 |
| 物販 | 11,477 | △14.2 | 70 | △78.5 |
| 合計 | 31,819 | △13.2 | 2,815 | 2.5 |
(注) 金額は、消費税等抜きの金額で表示しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 印刷 | 20,014 | △13.4 |
| 物販 | 11,735 | △11.1 |
| 消去 | △641 | △1.4 |
| 合計 | 31,108 | △12.7 |
(注)1.販売実績は、販売価額により表示しております。
2.金額は、消費税等抜きの金額で表示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べ45億43百万円減少し、311億8百万円(前期比12.7%減)となりました。売上原価は、前期に比べ39億12百万円減少し252億10百万円(前期比13.4%減)となり、売上原価率は、前期の81.7%から81.0%へ改善しました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ4億89百万円減少し55億38百万円(前期比8.1%減)となりました。この結果、営業利益は前期と比べ1億41百万円減少し3億60百万円(前期比28.1%減)となりました。
営業外収益は、前期と比べ75百万円増加し2億22百万円(前期比51.0%増)となり、営業外費用は、前期と比べ44百万円増加し1億5百万円(前期比73.5%増)となりました。この結果、経常利益は前期と比べ1億10百万円減少し4億78百万円(前期比18.8%減)となりました。
特別利益は、前期と比べ14百万円減少し41百万円(前期比26.5%減)となり、特別損失は、前期と比べ9億70百万円増加し10億26百万円(前期は55百万円)となりました。
法人税、事業税及び住民税は前期と比べ90百万円減少し1億9百万円(前期比45.3%減)となりました。さらに法人税等調整額は、前期と比べ7億20百万円増加し7億22百万円(前期は1百万円)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、13億42百万円(前期は3億81百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。その具体的な内容につきましては、前出の(1)経営成績等の状況の概要に記載のとおりであります。
当連結会計年度では、厳しい経営環境に対応するため、当社において苦渋の決断にて希望退職者の募集を実施するとともに、生産設備の見直しなどによる固定費削減を推進し、売上減少に耐えうる組織体制への整備を行いました。
今後につきましては、上記組織体制を踏まえまして、当社がめざすビジネスモデルである「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を実現するビジネスパートナー」の実現に向けて、コア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げ、事業構造改革を進めます。
新事業開発の強化につきましては、当社において代表取締役直轄の成長戦略本部を新設し、不動産事業開発やM&Aなどの成長戦略について、スピード感をもって進め、新たなビジネスモデルの早期構築をめざします。
事業活動を支える経営基盤の強化については、財務基盤やコーポレート・ガバナンスの強化のほか、人事制度の充実や働き方改革の推進、SDGsへの取り組みなど、全事業の根幹となる企業力の育成をめざします。
b. 経営成績等に重要な影響を与えた要因
当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与えた要因としては、印刷事業および物販事業では、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることおよび原材料価格の高騰に加えまして、新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受けました。その具体的な影響は、前出の(1)経営成績等の状況の概要に記載のとおりであります。
印刷事業および物販事業における、新型コロナウイルス感染症による業績への影響額(売上および利益)につきましては、イベントプロモーション受託や顧客における販売促進活動および社内広報活動の中止・延期による商業印刷物の減少などの直接的影響のみならず、従来から継続しておりますデジタル化の進展による印刷市場の縮小(紙離れ)を同感染症が一層加速させるといった間接的影響がありますので合理的な算定ができません。しかしながら、前期比での減収額45億43百万円において、この直接的もしくは間接的な影響が主要因であると認識しております。
半導体関連マスク事業におきましては、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微でありました。年間を通じまして、第5世代移動通信システム(5G)の需要や企業でのテレワークの浸透によるパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器への需要を取り込んだため好調に推移しました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
<印刷セグメント 印刷事業>顧客における社内広報活動および販売促進活動は徐々に回復傾向にありますが、一方では景気減速による予算削減や今回のコロナ禍を機に、広告宣伝媒体を紙媒体からデジタル媒体への変更がなされるなど、デジタル化の進展(紙離れ)が急速に進んだ状況も見受けられており、今後も厳しい状況が続くと予想しております。
現在、印刷事業では「顧客価値を増大させるワンストップソリューション」を提供するビジネスモデルへの転換を急いでおり、現在はその過渡期にあります。具体的な施策として、システム構築、データ収集・分析、ロジスティクスサービス、事務局運営、各種BPO、販促イベント支援などの各種取り組みを強化しております。
社内体制において、デジタル化の進展による紙媒体の縮小(紙離れ)による受注内容の変化に対応するため、多様化している当社の製品やサービスについて事業区分を再定義し、各々の収益性や成長性を見極め、更なる事業強化と成長分野への積極投資を行ってまいります。また、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の追求、ビジネスモデルにマッチした製造体制の再構築、子会社との連携などを進めております。
今後も紙媒体需要の取り込みを継続しますが、それだけでは厳しい状況であります。当社が持つ制作体制、情報セキュリティ体制、システム構築力を駆使し、企業のトップメッセージ配信などの広報活動や教育現場におけるリモート授業のご支援、WEB・システム構築などのデジタル媒体の制作を強化しております。
また、テレワークの浸透・定着により、今後さらに企業における働き方改革が進むことが予想され、顧客における業務効率の改善やコスト削減に貢献するロジスティクス事業や各種BPO受託をビジネスチャンスとして認識しており、積極的に挑戦を続けてまいります。その具体的な取り組み事例である、顧客における業務効率化とコスト削減を実現する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」は、これまでお取引のない遠隔地の顧客からも多くの引き合いをいただいており、オンラインにて商談から成約までを行いました。このようなデジタルマーケティングを活用した新製品・新サービスの開発に注力するとともに、社内におけるデジタルトランスフォーメーションを推進し、当社独自のリモート営業スタイルを確立してまいります。
イベントプロモーション受託は当面厳しい状況が続きますが、収束後には長期化した自粛への反動により、回復するものと予想しております。顧客との情報交換とともにサービスメニューの充実を図り、そのビジネスチャンスを逃さないよう準備を進めております。
<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>半導体関連マスク事業では、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微でありました。影響としては、第1四半期連結会計期間にて、自動車メーカー各社での減産方針により車載向け製品の出荷減少があったほか、2020年1月に設立しましたTOKYO PROCESS SERVICE(Thailand)CO.,LTD.におけるガラスマスク描画装置の搬入・組み立てが遅れ、操業開始が本年年明けにずれ込んだため、当連結会計年度における業績への貢献が出来ませんでした。
しかしながら、これらのマイナス影響を上回るほど、第5世代移動通信システム(5G)の需要や企業でのテレワークの浸透によるパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器への需要を取り込んだため、年間を通じて好調に推移しました。今後につきましても、米中貿易摩擦の行方、世界経済の回復、そして新型コロナウイルス感染症の収束という不確定要素はありますが、市場は穏やかに拡大するものと予想しております。
当社グループでは、グループ全体最適とシナジーの最大化をめざしております。当社、㈱プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス㈱の3社における人材交流や情報共有による課題解決を図るほか、共同研究開発プロジェクトによる新製品開発などを組織的に進めております。これらの活動を通じまして、さらなる売上拡大とコスト低減を実現し、特定の電子機器の需要・販売動向に左右されない、安定したビジネス基盤を構築してまいります。
海外事業展開も着実に進めております。ベトナムの顧客向けに電子部品表面実装用等のメタルマスクの製造を行うPROCESS LAB.MICRON VIETNAM CO.,LTD.に続きまして、当連結会計年度ではタイにおける精密工業写真製版、スクリーン製版及び製版用資機材の製造販売を行うTOKYO PROCESS SERVICE(Thailand)CO.,LTD.で操業を開始しました。
両社の事業を速やかに軌道に乗せるとともに、中国の顧客向けに同じくメタルマスクの製造を行っております富来宝米可龍(蘇州)精密科技有限公司の業績向上を図り、国内外における事業拡大を目指しております。
印刷事業ではマイナス要因となる「デジタル化の進展」が、本事業においては逆に追い風となる部分があり、リスク分散の意味合いにおきましても、当社グループにおける半導体関連マスク事業の充実を進めてまいります。
<物販セグメント 物販事業>物販セグメント(物販事業)は、印刷事業同様に厳しい環境下ではありますが、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア向上のほか、異業種を含めた新規顧客の開拓、利益率の高い自社ブランド製品の販売強化、それを支える人材育成などによる総合力で他社との差別化を図り、売上・利益の確保をめざしてまいります。
しかしながら、印刷事業同様に、今後も厳しい状況が続くものと予想しております。また、長年にわたる印刷関連市場の停滞により、取引先における経営環境の悪化が懸案となっておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響による関連倒産が世界的にも不安視されており、与信管理面でも慎重な取引が今後も求められます。
新型コロナウイルス感染症の収束後における顧客のビジネススタイルの変化に対応し、当社グループも変革してまいります。従来からの訪問による売り込み型の営業だけではなく、顧客の事業内容を熟知し、顧客ごとに最適な製品やサービスを提案できる、顧客にとってのナンバーワンのビジネスパートナーをめざしております。
今後も印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、生産性向上・付加価値創造・収益拡大を実現する製品の調達力、日本全国に展開する拠点を活かした販売力、そして人材育成による新規顧客開拓力などを強化し、新型コロナウイルス感染症の収束後において、業績を挽回する準備を整えてまいります。
c. 中長期的な目標に照らした経営成績の分析・評価
「目標とする経営指標」で述べましたように、当社グループの目指すところは、顧客にとっての価値を創出あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築くとともに、営業利益率を高めて行くことです。当連結会計年度の営業利益率は1.2%となりました。
当連結会計年度を含む直近5期の営業利益率の推移は、2.1%→2.1%→1.6%→1.4%→1.2%という状況です。4期前までは3期連続で2%を維持しておりましたが、前々期から減少に転じ、当期は前期に比べさらに0.2ポイント減少しております。今後は、2%台への回復を早急に実現し、将来的には、安定的に5%レベルの営業利益を計上できる状況を目指してまいります。そのためには、前述いたしましたように、印刷事業における「顧客価値を増大させるワンストップソリューション」を提供するビジネスモデルへの転換が必須であり、そのスピードを速めることが重要であると考えております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは△11億79百万円となり、当年度末の現金及び現金同等物は45億75百万円となりました。この金額は、運転資金、設備投資に必要な資金、及び印刷事業・物販事業が身を置く印刷業界を取り巻く環境が厳しい中、M&Aを通じた、将来の柱となる事業の開発あるいは取得に必要な資金として適正な水準であると考えておりますが、必要に応じて躊躇なく借入などのアクションを取り、タイミングを逃すことなくM&A他の必要な投資に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
その施策の一つとして、今後の積極的な事業展開に必要な資金需要に対し、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保することで財政基盤の強化並びに安定性向上を図ることを目的として、2020年5月に株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行との間でコミットメントライン契約を締結いたしました。株式会社三菱UFJ銀行とは契約極度額15億円、株式会社三井住友銀行とは同10億円を個別相対方式、無担保・無保証にて各々締結しております。なお、当連結会計年度末における実行残高は9億円であります。
新型コロナウイルス感染症の影響による資金繰りへの影響は、現時点ではさほど大きなものではないと考えておりますが、万が一の場合には上記記載のコミットメントライン契約にて充分に対応可能と考えております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成に当たっては、決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の報告金額、並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会社方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に関連する重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定につきましては、財務諸表等の注記(重要な会計上の見積り)にて記載しております。
④ 当社グループにおける新型コロナウイルス感染症拡大への対策、経営方針および事業への影響と今後の取り組み
a.当社グループにおける感染予防対策
当社グループは、社員および家族の健康、人命を最優先させるとともに、顧客へのサービス停止の最小化を目指し、本社および各拠点が一体となって新型コロナウイルス感染予防に取り組んでおります。提出日現在において、当社グループの社員とその家族にて数名の感染者が確認されておりますが、当社グループにおける各拠点においては事業を継続しており、出荷遅延も発生しておりません。また、仕入先や協力会社とのサプライチェーンにも支障は出ておりません。
国内における新型コロナウイルス感染拡大が長期化するなか、BCP(事業継続計画)新型コロナウイルス編を策定し、拠点を構える関東、中部、関西における各地域の状況に即した対策を実行してまいりました。
その実施状況につきましては、毎月の取締役会にて適宜報告されております。当社グループにて行っております具体的な感染予防対策は、以下のとおりです。
<社員への対応>・在宅勤務、時差出勤、社用車通勤、自家用車通勤(費用は会社負担)の実施
・オフィスにおける飛散防止パネルの設置
・社内における常時マスクの着用、手洗いとうがいの徹底、消毒液の配置、定期的な室内換気
・毎朝の検温(37.5度以上の発熱時や体調不良時は出勤停止)と行動記録簿の作成
・出張(国内・海外)の禁止
・25人以上の会議の禁止およびリモート会議の奨励
・不要不急の外出、特に人が密集するセミナー・イベント・観光・飲食を伴う場所への外出の自粛 など
<顧客への対応>・来社自粛の要請
・来社時における検温のご協力
・リモート会議による商談・打合せの実施
・当社ネット販売サイトを通じた感染予防用備品の提供
b.経営方針および各事業への影響と今後の見通し
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、今後暫く世界的な景気減速は避けられないと判断しております。当社としましては2021年度(2022年3月期)においても、影響が継続するものと見込んでおり、今後の業績見通しにつきましては、厳しい状況が続くと考えております。また、このたびのコロナ禍に伴う印刷物の減少による売上減少につきましては、収束後においても旧来の水準に戻ることは困難であると分析しております。
当社グループにおける経営方針において目指すべき方向性自体に変更はありませんが、半導体関連マスク事業の強化や拡印刷事業の強化による「紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換」について、これまで以上にスピード感を高めて進める必要性に直面していると判断しております。
この状況下にて我々が今為すべきことは、自らの感染予防を継続しつつ、顧客における事業活動や社内広報活動および広告宣伝活動が再開した際に、真っ先にお声がけをいただける「ファーストコールカンパニー」であり続けることです。現在受注しております業務を全社員が懇切丁寧に行うこと、どんな状況においても顧客とのコミュニケーションを絶えず取り続けること、顧客の事業内容に対する理解を深めるとともに、ご提案できる製品やサービスの研究を続けることなどの準備を行いまして、来るべき時に備えております。同時に、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化や固定費の削減などにより、市場縮小による受注減少に柔軟に対応できる低コスト生産体制の整備を進めてまいります。