有価証券報告書-第61期(2024/04/01-2025/03/31)
■戦略
日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言をはじめ、世界的に気候変動対策の重要性が高まる中、企業にとって環境対応は経営と切り離せない課題となっています。気候変動への対応を怠ることは、ブランドの毀損や人材確保の難航といったレピュテーションリスクを招く可能性がある一方、積極的に取り組むことは新たなビジネス機会の創出につながると認識しています。こうした外部環境の変化を踏まえ、当社は気候変動への対応を経営の重要課題として位置づけています。
広済堂グループでは、TCFD提言に基づき、気候関連リスクと機会の把握を目的にシナリオ分析を実施しています。国際エネルギー機関(IEA)などの科学的根拠に基づき、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオを設定し、2030年時点における移行リスクと、2050年時点における物理リスクについて、事業への影響の重要性を評価しました。また、サステナビリティ委員会のもとに設置されたサステナビリティ推進チームが、葬祭事業、情報事業、人材事業といった事業領域ごとにリスクと機会を分析し、将来のビジネスシナリオにおける経済価値と社会価値へのインパクトを評価しました。
今後は、こうした分析結果を踏まえ、社内での議論をさらに深めるとともに、外部環境の変化を継続的にモニタリングしながらシナリオの精度向上を図って参ります。そして、得られた知見を経営戦略に統合し、不確実性の高い将来においても柔軟かつ持続的に対応できるレジリエンスの強化を進めていきます。さらに、適時適切な情報開示を通じて、ステークホルダーとの信頼関係の構築にも努めて参ります。
「シナリオの定義」
*1 IEA NZE(Net Zero Emissions by 2050 Scenario):IEAが示した世界のエネルギー部門が2050年までにCO2排出量をネットゼロにする道筋を示す規範的なシナリオ
*2 IEA STEPS(Stated Policies Scenario):IEAが示した各国政府が公表している政策を反映した保守的なシナリオ
*3 IPCC AR6 SSP1-1.9:IPCCの第6次評価報告書にて示した気温上昇を約1.5℃以下に抑える気候政策を導入することで、21世紀半ばにCO2排出が正味ゼロとなり、世界の平均気温が産業革命前に比べて1.0~1.8℃(平均1.4℃)に抑えるシナリオ
*4 IPCC AR6 RCP8.5:IPCCが第5次評価報告書にて示した21世紀末(2081~2100年)に世界の平均気温が産業革命前に比べて3.2~5.4℃(平均4.3℃)上昇するシナリオ
「シナリオの定義」
当社は、気候変動に関連するリスクと機会を適切に把握し、事業戦略に反映するため、グループ全体を対象に、気候変動に関する移行リスク、物理リスク及び気候変動に関する機会の精査を行いました。各リスク・機会が当社の事業に与える影響度については、売上高へのインパクトをもとに定性的評価を実施し、「大」「中」「小」の3段階で分類し、「中」「大」の評価となった項目について開示しています。
「影響度の定義」
• 大 :当社への影響が非常に大きい(売上高の12%以上)
• 中 :当社への影響はあるが限定的(売上高の6%~12%未満)
• 小 :当社への影響はほとんどない(売上高の6%未満)
リスクと機会は、気候変動の影響の性質に応じて分類しています。
• 気候関連リスク
① 移行リスク:低炭素社会への移行に伴う政策・法規制、技術革新、市場変化、エネルギー転換など
② 物理リスク:気候変動に起因する自然災害等(急性リスク)や慢性的な気温・降水パターンの変化(慢性リスク)など
• 気候関連機会
環境対応型製品・サービスの開発、省エネ技術への移行、ブランド価値の向上、コスト削減など
これらのリスクと機会の評価にあたっては、TCFDの推奨に従い、シナリオ分析を実施しました。採用したシナリオは以下の2つです。
1. 1.5℃シナリオ(SSP1-1.9/IPCC「1.5℃特別報告書」などを参照):
産業革命前と比べて気温上昇を1.5℃以内に抑えるための移行リスク及び機会を想定
2. 4.0℃シナリオ(RCP8.5/SSP5などを参照):
追加的な温暖化対策が講じられなかった場合の物理リスクを想定
広済堂グループでは、本シナリオ分析及び今後の見直しを通じて、リスクの把握にとどまらず、将来的なビジネスチャンスの創出も見据えたレジリエントな事業戦略の策定に取り組んで参ります。
日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言をはじめ、世界的に気候変動対策の重要性が高まる中、企業にとって環境対応は経営と切り離せない課題となっています。気候変動への対応を怠ることは、ブランドの毀損や人材確保の難航といったレピュテーションリスクを招く可能性がある一方、積極的に取り組むことは新たなビジネス機会の創出につながると認識しています。こうした外部環境の変化を踏まえ、当社は気候変動への対応を経営の重要課題として位置づけています。
広済堂グループでは、TCFD提言に基づき、気候関連リスクと機会の把握を目的にシナリオ分析を実施しています。国際エネルギー機関(IEA)などの科学的根拠に基づき、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオを設定し、2030年時点における移行リスクと、2050年時点における物理リスクについて、事業への影響の重要性を評価しました。また、サステナビリティ委員会のもとに設置されたサステナビリティ推進チームが、葬祭事業、情報事業、人材事業といった事業領域ごとにリスクと機会を分析し、将来のビジネスシナリオにおける経済価値と社会価値へのインパクトを評価しました。
今後は、こうした分析結果を踏まえ、社内での議論をさらに深めるとともに、外部環境の変化を継続的にモニタリングしながらシナリオの精度向上を図って参ります。そして、得られた知見を経営戦略に統合し、不確実性の高い将来においても柔軟かつ持続的に対応できるレジリエンスの強化を進めていきます。さらに、適時適切な情報開示を通じて、ステークホルダーとの信頼関係の構築にも努めて参ります。
「シナリオの定義」
| 1.5℃シナリオ | 4℃シナリオ | |||
| シナリオ概要 | 日本政府により燃料の燃焼等からのGHG排出規制や炭素税導入が推進され、低炭素資材の調達や炭素税等によるコスト増加のリスクがある一方、環境負荷の低い棺や火葬炉を利用した葬儀ニーズの拡大により、収益増加が見込まれます。 | 異常気象による自然災害の増加や気温上昇の影響が顕在化し、事業所やシステム設備が被災するリスクや資材調達コスト上昇のリスクがある一方、自然災害の増加により自然災害の激甚化等有事の際の対応体制を強化することで、安定的な需要の確保が見込まれます。 | ||
| 対象年 | 移行リスク:2030年, 物理リスク:2050年 | |||
| 参照シナリオ | 移行面 | IEA NZE*1 | IEA STEPS*2 | |
| 物理面 | IPCC AR6 SSP1-1.9*3 | IPCC AR6 RCP8.5*4 | ||
*1 IEA NZE(Net Zero Emissions by 2050 Scenario):IEAが示した世界のエネルギー部門が2050年までにCO2排出量をネットゼロにする道筋を示す規範的なシナリオ
*2 IEA STEPS(Stated Policies Scenario):IEAが示した各国政府が公表している政策を反映した保守的なシナリオ
*3 IPCC AR6 SSP1-1.9:IPCCの第6次評価報告書にて示した気温上昇を約1.5℃以下に抑える気候政策を導入することで、21世紀半ばにCO2排出が正味ゼロとなり、世界の平均気温が産業革命前に比べて1.0~1.8℃(平均1.4℃)に抑えるシナリオ
*4 IPCC AR6 RCP8.5:IPCCが第5次評価報告書にて示した21世紀末(2081~2100年)に世界の平均気温が産業革命前に比べて3.2~5.4℃(平均4.3℃)上昇するシナリオ
「シナリオの定義」
当社は、気候変動に関連するリスクと機会を適切に把握し、事業戦略に反映するため、グループ全体を対象に、気候変動に関する移行リスク、物理リスク及び気候変動に関する機会の精査を行いました。各リスク・機会が当社の事業に与える影響度については、売上高へのインパクトをもとに定性的評価を実施し、「大」「中」「小」の3段階で分類し、「中」「大」の評価となった項目について開示しています。
「影響度の定義」
• 大 :当社への影響が非常に大きい(売上高の12%以上)
• 中 :当社への影響はあるが限定的(売上高の6%~12%未満)
• 小 :当社への影響はほとんどない(売上高の6%未満)
リスクと機会は、気候変動の影響の性質に応じて分類しています。
• 気候関連リスク
① 移行リスク:低炭素社会への移行に伴う政策・法規制、技術革新、市場変化、エネルギー転換など
② 物理リスク:気候変動に起因する自然災害等(急性リスク)や慢性的な気温・降水パターンの変化(慢性リスク)など
• 気候関連機会
環境対応型製品・サービスの開発、省エネ技術への移行、ブランド価値の向上、コスト削減など
これらのリスクと機会の評価にあたっては、TCFDの推奨に従い、シナリオ分析を実施しました。採用したシナリオは以下の2つです。
1. 1.5℃シナリオ(SSP1-1.9/IPCC「1.5℃特別報告書」などを参照):
産業革命前と比べて気温上昇を1.5℃以内に抑えるための移行リスク及び機会を想定
2. 4.0℃シナリオ(RCP8.5/SSP5などを参照):
追加的な温暖化対策が講じられなかった場合の物理リスクを想定
広済堂グループでは、本シナリオ分析及び今後の見直しを通じて、リスクの把握にとどまらず、将来的なビジネスチャンスの創出も見据えたレジリエントな事業戦略の策定に取り組んで参ります。
| リスクと機会の種類 | 事業に及ぼす影響 | 時間軸 | 影響度* | ||||
| 1.5℃ | 4℃ | ||||||
| リスク | 移行 | 法規制 | 炭素税導入で原材料が高騰することによる、操業コストの増加 | 中期 | 中 | - | |
| 新たな規制遵守や排出量開示をすることに伴うコスト増加 | 中期 | 中 | - | ||||
| 炭素税導入で廃棄にかかわる処理費用が増加するリスク | 中期 | 中 | - | ||||
| 温室効果ガス排出量の規制により、再エネへの転換等の対応コストが増加する | 長期 | 大 | - | ||||
| 排出量に上限が設けられた場合、排出権枠購入によるコスト増加 | 長期 | 大 | - | ||||
| 炭素税導入で電力価格が高騰することによる、操業コストの増加 | 中期 | 大 | - | ||||
| 炭素税導入により、CO2排出量削減のための省エネ化が求められ、設備導入などの対応費が増加する | 中期 | 大 | - | ||||
| 技術 | GHG排出量低減が可能な環境配慮型火葬炉の導入コスト増 | 長期 | 大 | - | |||
| 市場 | 脱炭素化の影響でペーパーレスが進展した結果、印刷関連サービスの需要が低下し、売上が減少するリスク | 長期 | 中 | - | |||
| 電力会社の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率が上がることで、電力価格が上昇し、操業コスト増加 | 中期 | 中 | - | ||||
| 評判 | 顧客の環境意識向上に伴う行動の変容により、受注数が減少し、売上が減少するリスク | 中期 | 中 | - | |||
| 環境対策や十分な情報開示を行わないことによる株主や投資家からの評判低下、株価下落リスク | 中期 | 中 | - | ||||
| 火葬業界全体として環境問題への取り組みが不足しているとみなされることによる、売り上げ減少リスク | 中期 | 中 | - | ||||
| 物理 | 物理(急性) | 大雨、洪水、台風などの異常気象の深刻化・増加に伴うサプライチェーン(原料調達・配送など)の寸断、配送遅延 | 短期 | - | 中 | ||
| 大雨、洪水、台風などの異常気象により、拠点や事業所の損傷頻度や修復費用の増加 | 短期 | - | 大 | ||||
| 物理(慢性) | 平均気温上昇により、原材料の収量が減少し、調達コストが増加するリスク | 長期 | - | 中 | |||
| リスクと機会の種類 | 事業に及ぼす影響 | 時間軸 | 影響度* | ||
| 1.5℃ | 4℃ | ||||
| 機会 | エネルギー源 | 再エネの価格低下により自社の再エネ調達費用が削減でき、導入が容易に | 長期 | 中 | - |
| 製品・サービス | 顧客の気候関連問題への意識の高まりに応じ、環境配慮型火葬炉利用による葬儀のニーズ拡大 | 長期 | 中 | - | |
| 顧客の気候関連問題への意識の高まりに応じ、環境負荷の低い棺や参列者用返礼品等を利用した葬儀のニーズ拡大 | 長期 | 中 | - | ||
| 顧客の気候関連問題への意識の高まりに応じ、環境に配慮したエコ用紙の売上機会の増加 | 長期 | 中 | - | ||
| 気温上昇や異常気象により、対面での葬儀やそれに関する相談が難しい場合、オンライン葬儀・相談の需要が高まり、利用者増加 | 中期 | - | 中 | ||
| 市場 | 気候変動による自然災害の激甚化に伴い死亡者数が増加する中、当社は有事対応体制を強化することで安定的なサービス需要の確保につながる | 長期 | - | 大 | |
| 気候変動対応への取り組みが評価された場合、株価や売り上げ増加 | 短期 | 中 | - | ||
| 大幅に炭素排出量の抑制を実現すれば、排出権取引などの仕組みが導入された場合に排出権を売却することが可能となる | 中期 | 中 | - | ||