有価証券報告書-第156期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 10:09
【資料】
PDFをみる
【項目】
191項目
③戦略
1) 自然資本(生物多様性)関連のリスク・機会の識別
当社は2023年4月に自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:TNFD)フォーラムへ参画、2024年にTNFD Adopterに登録しました。
TNFDでは、自然資本関連の評価のための統合的な分析手法としてLEAPアプローチが提言されており、当社では本アプローチを採用しています。LEAPアプローチは、Locate(自然との接点の発見)、Evaluate(自然への依存と影響の評価)、Assess(自然に関するリスクと機会の評価)、Prepare(対応と報告の準備)の4つのプロセスから構成されます。
●分析対象範囲および分析対象期間
分析対象範囲:農業化学品事業における農薬(リスク・機会の一部では他の事業も対象)
分析対象期間:当社では短期を単年、中期を2030年まで、長期を2050年までと定義し、分析対象期間を2030年および2050年とした。
●Locate:優先地域の特定
当社と自然との接点を発見し、当社として優先すべき地域を特定するため、WWF Biodiversity Risk Filter等を使用して、自社と関連する拠点での分析、評価を行いました。
農薬は、石油、天然ガス、各種鉱物を原材料としており、これらの採取・加工、中間製品の製造を経て、当社にて最終製品の製造を行っています。バリューチェーン上流(石油、天然ガス、各種鉱物の採取・加工)は、日本の貿易状況や世界での埋蔵量から、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オーストラリア、中国、カナダ、ペルー等の海外でほぼ行われていると推定しました。油田・ガス田・鉱山や加工場の場所の特定は困難ですが、場所によっては優先地域に該当すると考えています。
当社での製造においては、小野田工場、埼玉工場、NCアグロ函館、Nissan Bharat Rasayan PVT. LTD.(インド)で農業化学品の製造を行っており、これらの拠点は、事業活動による依存・影響を考慮したうえで、TNFDが示す以下の「影響を受けやすい場所」の要件について重要度が高いことから、優先地域に特定しています。

●Evaluate:自然関連への依存・影響の特定・評価
農業化学品のバリューチェーンとして、原材料の採取・加工、中間製品の製造、自社での最終製品の製造、農業における製品の使用の各工程について、ENCORE*1を用いて自然関連への依存・影響の特定・評価を行い、ヒートマップを作成しました。
*1 ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risk and Exposure)
金融機関のネットワーク「自然資本金融同盟」と国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)が共同で開発したツール。セクター、サブインダストリー、プロセス(GICS:世界産業分類基準)ごとに、自然にどのように依存し、自然に影響を与えるかを調べることができる。

使用ツール:ENCORE
※2 換気:良好な室内空気環境にとって不可欠である自然または植栽による換気
※3 ろ過:動植物や藻類による汚染物質のろ過、隔離、貯蔵、蓄積
※4 気候調節:土壌や海洋などにおける二酸化炭素の長期貯蔵や、植生による気温・湿度・風速などの調整

使用ツール:ENCORE
自然関連への依存・影響の特定・評価の結果
⦅影響⦆- バリューチェーン全体で、水利用、GHG排出、大気・水・土壌汚染等の影響が大きい。
- バリューチェーン上流の水利用、陸上・淡水・海洋生態系の利用(改変、環境変化)の影響が極めて大きい。
⦅依存⦆- バリューチェーン上流(特に原材料採取)の地下水、地表水、水循環、水質、気候調節、洪水や暴風雨からの保護への依存が比較的大きい。
- 自社での製造における生態系サービスへの依存は小さい。

●Assess:リスク・機会の特定・評価
Locateで特定した優先地域、Evaluateで特定・評価した依存・影響を踏まえ、自社への影響が想定される自然関連リスク・機会の特定・評価を行いました。
<シナリオ分析>分析に際しては、TNFDのガイダンスを参照し、下図のとおり、「生態系サービス(環境)の劣化(気候変動の1.5℃シナリオと4℃シナリオ(物理リスク・機会))」と「環境保全に向けた規制強化や市場ニーズの高まり(移行リスク・機会)」の2軸を設定し、①~④のシナリオを自然関連のシナリオとして設定しました。

●参照したシナリオ
1.5℃シナリオ*1にて参照したシナリオ4℃シナリオ*2にて参照したシナリオ
・IEA-WEO*3 ETP*4 ネットゼロシナリオ(NZE)
・IPCC SSP*5 1-1.9, 1-2.6
・IEA-WEO 公表政策シナリオ(STEPS)
・IPCC SSP 5-8.5

*1 産業革命以前と比較して、気温上昇を1.5℃以下に抑えるために必要な対策が講じられた場合のシナリオ
*2 産業革命以前と比較して、21世紀末に世界の平均気温が4℃上昇するシナリオ
*3 国際エネルギー機関「World Energy Outlook」(2022)
*4 国際エネルギー機関「Energy Technology Perspectives」(2023)
*5 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「Shared Socio-economic Pathway」

シナリオ①:人と自然の豊かさが両立する持続可能な社会
当社が目指すべき社会であり、環境を保全しながら事業存続ができるよう、サステナビリティ経営を追求していきます。当社では、長期経営計画「Atelier2050」に基づき、農業化学品事業においては「食料の安定供給」「持続可能な農業」への貢献を掲げます。
シナリオ②:深刻な環境変化への対応に追われる社会
将来的な自然資本の変化は不確実であり、生態系サービスの劣化に歯止めがきかず、急激な規制強化や政策変更にさらされる社会となる可能性があります。
シナリオ③:環境破壊が進むが環境配慮が優先されない社会
生態系サービスの劣化が進行しつつも、規制強化は進まず、市場の変化もなく、生態系サービスの劣化が深刻化していく社会となる可能性があります。この結果、経済活動にも大きな損害が出てくることとなります。
シナリオ④:環境リスクは顕在化せずこれまでどおりの社会
自然資本の変化の不確実性から、2030年までは想定ほど生態系サービスの劣化は進まず、社会情勢の変化が生じない社会となる可能性があります。しかし、生物多様性の損失や、気候変動等の環境変化は確実に進んでおり、長期的(2050年)には、環境リスクが顕在化してくると想定しています。その場合は、シナリオ②または③の社会への転換の可能性があり、このような将来像に対しては、シナリオ②と③の対応策を講じていきます。
<影響度の高いリスク・機会と対応策>自然資本(生物多様性)テーマにおいて選定した当社グループの将来の見通しに影響を与えると合理的に見込み得るリスク及び機会は以下のとおりです。
  • 有価証券報告書-第156期(2025/04/01-2026/03/31)

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。