訂正有価証券報告書-第94期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2018/06/04 10:09
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業績等の概要


(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、米国が堅調な企業業績と個人消費に支えられ緩やかな景気拡大を続け、英国のEU離脱選択の悪影響が懸念された欧州でも総じて景気は回復基調で推移しました。アジアでは、一部地域で景気持ち直しの動きが見られたものの、過剰生産設備の削減が進む中国で成長率が鈍化するなど、景気の足踏み状態が続きました。日本経済は、雇用環境の好転や企業収益の改善を背景に概ね堅調に推移しましたが、英国のEU離脱や米国新政権の政策動向などに反応して為替相場や株式市場が乱高下するなど懸念される動きも見られました。
当社グループの主力事業を取り巻く市場環境は、酸化チタンでは、国内需要は主力用途である塗料向けがやや弱く前年並みに止まりましたが、海外需要は、中国の需給改善などの影響を受け市況が緩やかに上昇を続ける中、期を通じて堅調に推移しました。農薬では、長引く農産物価格の低迷や最大の消費国ブラジルの流通在庫高に加えて、世界各地で発生した異常気象などが需要を抑制し、世界の農薬出荷額は昨年に引き続き前年割れとなりました。
このような状況の下、当社グループは第6次中期経営計画の基本方針に基づき、海外販売の強化や高付加価値製品の拡販など既存事業の強化と将来の成長基盤の構築に向けた研究開発などを着実に取り進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,016億円(前年同期比13億円減)、営業利益は84億円(前年同期比1億円増)、経常利益は59億円(前年同期比10億円減)、特別利益では前年同期に計上した固定資産売却益がなくなったことなどで親会社株主に帰属する当期純利益は38億円(前年同期比53億円減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(無機化学事業)
酸化チタンの販売数量は、国内がほぼ前連結会計年度並みとなる一方、海外が需給改善を背景に前連結会計年度を上回りました。金額面では、海外の需給改善を受けて輸出価格の改定に努めましたが、前連結会計年度の下落分を取り戻すまでには至らず、また期半ば過ぎまで続いた円高の影響を受けたことなどから、売上高は370億円(前年同期比11億円減)となりました。
機能材料は、導電性材料や電子部品向けの販売が堅調に推移しましたが、初期需要の一巡により販売の無かった製品があったことなどから、売上高は104億円(前年同期比12億円減)となりました。
損益面では、酸化チタンの輸出価格低下が減益要因となったものの、原材料価格の低下や海外販売数量回復に伴う操業度の改善などにより増益となりました。
この結果、無機化学事業の売上高は475億円(前年同期比24億円減)、営業利益は50億円(前年同期比24億円増)となりました。
(有機化学事業)
農薬の国内販売は、新規の園芸殺菌剤や天敵農薬の投入などもあり、売上は前連結会計年度を上回りました。海外販売は、円高に加え、ブラジルでの害虫抵抗性を持った遺伝子組み換え作物普及による殺虫剤の減少やアジアでの天候不順による除草剤の減少などが減収要因となりましたが、欧州で天候要因により殺虫剤が伸びた他、新規の菌核・灰色かび病殺菌剤の登録国を北米で追加し、また既存主力剤においても適用拡大や販売地域の拡大など新たな需要開拓に向けた営業活動に注力した結果、海外売上は前連結会計年度を上回りました。
医薬は、受託製造している医薬原末の売上は前連結会計年度並みとなりました。
この結果、有機化学事業の売上高は510億円(前年同期比15億円増)、営業利益は支出時期の見直しなどで研究開発費が前連結会計年度を下回ったものの、円高の影響などを受け、49億円(前年同期比23億円減)となりました。
(その他の事業)
その他の事業の売上高は30億円(前年同期比4億円減)、営業利益は5億円(前年同期比1億円増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10億円減少し、281億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、146億円の収入(前年同期比43億円収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益44億円、たな卸資産の減少52億円、減価償却費及びその他の償却費46億円などの資金増加要因があった一方、法人税等の支払10億円などの資金減少要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、59億円の支出(前年同期比156億円支出増)となりました。これは、固定資産の売却による収入が5億円(前年同期は133億円)であったのに対し、固定資産の取得53億円、投資有価証券の取得10億円などの支出があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、96億円の支出(前年同期比22億円支出減)となりました。これは、社債・長短借入金の純減とリース債務の返済などによるものであります。