有価証券報告書-第93期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/30 15:49
【資料】
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【項目】
130項目

業績等の概要


(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、米国では雇用の改善や個人消費の拡大を背景に比較的堅調に推移しましたが、欧州圏では緩やかな回復に止まりました。一方、中国では経済成長の減速による不安定な状況が続き、また東南アジアやインド、ブラジルなど新興諸国でも資源価格の下落やドル高などの影響により、景況感が悪化しました。日本経済は、企業業績や雇用環境に改善が見られたものの、個人消費は依然弱含みで推移し、景気回復には力強さの欠ける展開となりました。
このような状況の下、当社グループは第6次中期経営計画をスタートしましたが、これまで市場成長を牽引してきた新興諸国経済の勢いが弱まり、酸化チタンや農薬など主力製品の世界需要が減少に転じる厳しい市場環境に直面しました。酸化チタンでは、国内需要は前年実績並みとなりましたが、海外では中国国内需要の減少に端を発した世界的な需給環境悪化により市況は一段と下落しました。農薬では、農産物価格の低迷が続く中、ドル高の影響などで経済状況を悪化させたブラジルでの需要が大幅に落ち込むなど、世界の農薬出荷額は前年実績を大きく下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,029億円(前年同期比4億円減)、営業利益は83億円(前年同期比27億円減)、営業外では前連結会計年度の為替差益が為替差損に転じるなどで経常利益は73億円(前年同期比44億円減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は事業活動停止により不要となった海外連結子会社の事業用土地借地権の譲渡益などを特別利益に計上したことなどから94億円(前年同期比24億円増)となりました。
なお、2005年より取り組んできたフェロシルト問題につきましては、2015年12月に、当社四日市工場に仮保管していたフェロシルトの搬出をすべて終え、全量の最終処分が完了しました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(無機化学事業)
酸化チタンは、国内外の需要低迷と海外市況悪化の影響を受け、売上高は382億円(前年同期比11億円減)となりました。
機能材料は、電子部品向けに販売が伸びた他、各種製品の販売は総じて堅調に推移しましたが、前連結会計年度に販売を開始した新製品の初期需要が一巡して減少したため、売上高は117億円(前年同期比2億円減)となりました。
損益面では、原材料費の低下などプラス要因はあったものの、酸化チタン需要減少に伴い操業調整を実施したことによる固定費負担増や海外市況悪化による在庫評価損の影響などが大きく、減益となりました。
この結果、無機化学事業の売上高は499億円(前年同期比14億円減)、営業利益は25億円(前年同期比33億円減)と前連結会計年度に比べ大幅に悪化しました。
(有機化学事業)
農薬の国内販売は、夏の天候不順の影響を受けながらも、売上高は概ね前連結会計年度並みを確保しました。
海外販売は、ブラジル向けが農薬需要低迷の影響を受け大幅に減少しましたが、新たな混合剤の上市や既存剤の適用拡大などに積極的に取り組んだ結果、欧州、北米、アジアなどでの販売増がこれを補い、売上高は前連結会計年度を上回りました。
医薬は、受託製造している医薬原末の売上高は前連結会計年度の実績を下回りました。
この結果、有機化学事業の売上高は495億円(前年同期比4億円増)、営業利益は72億円(前年同期比5億円増)となりました。
(その他の事業)
その他の事業の売上高は34億円(前年同期比5億円増)、営業利益は3億円(前年同期比2億円増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ79億円増加し、292億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、102億円の収入(前年同期比39億円収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益123億円(固定資産処分益71億円を含む)、減価償却費及びその他の償却費53億円、売上債権の減少32億円などの資金増加要因があった一方、フェロシルト回収損失引当金の減少24億円などの資金減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、96億円の収入(前年同期比128億円収入増)となりました。これは、固定資産の売却による収入133億円があった一方、固定資産の取得による支出35億円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、119億円の支出(前年同期比126億円支出増)となりました。これは、社債や長短借入金の純減とリース債務の返済等によるものであります。