訂正有価証券報告書-第91期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)
当社グループは、創立100周年の2020年に目指すべき企業グループ像の実現に向け、2012年度より第5次中期経営計画を3ヵ年計画で推進しております。「グローバルな“強いケミカルカンパニー“へ向けての基盤作り」として、中長期的な事業の成長基盤を新興国に求め、事業展開力とコスト競争力の強化による持続的な成長路線を志向しています。しかしながら、この2年間、無機化学事業は極めて厳しい外部環境に直面してきました。主原料であるチタン鉱石価格は歴史的な高値を付ける一方で、世界的な酸化チタン需要の低下とそれに伴う海外販売価格の急速な下落が進み、原料高騰に見合った販売価格の是正が困難となって採算が著しく悪化し、2年連続の営業赤字計上を余儀なくされました。このような状況の中、昨年8月、採算が悪化していたシンガポール子会社での生産を終了し、生産にかかわる経営資源を当社四日市工場に集約する構造改革を断行しました。有機化学事業は、新興国の拡大する農薬需要を取り込み、販売を伸ばすことで、持続的な成長を目指しましたが、2013年度の売上高は為替円安の影響もあり、前年度を上回り増収となったものの、営業利益は現在進めている一連の新規剤の開発費増加などの影響を受け、減益となりました。
最終年度となる2014年度は、無機化学事業では、営業黒字達成に向け、生産、販売、開発が一体となって全力で取り組むとともに、2015年度から始まる新しい中期経営計画に向けての基盤作りの年としてまいります。販売面では、販売が好調な超耐候性や遮熱などの酸化チタン製品に加え、化粧品、電子材料用途向けなどの機能材料製品といった付加価値の高い分野に軸足を置いた販売活動を推し進めてまいります。開発面では、高熱伝導性材料など素材を酸化チタンに限定しない新規材料の開発を加速する他、生産プロセスの効率化や製造廃液からレアアースを回収する技術にも注力して取り組んでまいります。生産面では、変動費、固定費を問わず経費全般にわたって原価の洗い直しを行い、引き続き徹底したコスト削減に取り組んでまいります。
有機化学事業では、一連の新規剤の農薬登録取得に向けた開発は順調に進んでおりますが、これら新規剤による収益貢献にはまだ時間を要する中、既存の自社剤の価値最大化を図ってまいります。売上に占める自社開発剤の比率が高い当社の特徴を活かし、これを活用した混合剤や新しい製剤品など製品ラインアップを増強する他、既存剤の適用対象作物を拡大するなど開発力強化に一層取り組んでまいります。販売面では、成長する海外需要を取り込むべく、地域毎のニーズを見極め、それぞれの市場特性に応じた販売戦略を策定し、販売体制を拡充することで、販売量の最大化を目指します。生産面では、引き続き自社及び委託先での製造コスト低減と品質向上に取り組み、生産供給体制を強化してまいります。これら自社剤の価値を最大化させる取り組みを通じて、収益力の強化と持続的な成長の確保に努めてまいります。
研究開発では、農薬以外に医療関連分野でも開発が進展しております。京都大学医学部と共同開発する人工関節用骨セメントは2014年度中の承認申請に向け取り組んでおります。また、長年当社グループが、研究試薬として製造販売してきたHVJ-Eは、大阪大学医学部附属病院が新規バイオ抗癌剤として前立腺癌及び悪性黒色腫(メラノーマ)を対象に臨床研究を進め、開発を目指してきていました。この内、前立腺癌治療薬の開発は、2014年2月に独立行政法人科学技術振興機構(JST)の産学共同実用化開発事業の課題に採択され、今後、HVJ-Eの原特許を保有する当社グループが、JSTより開発委託を受け、大阪大学と連携しながら実用化に向けた開発に取り組んでまいります。