有価証券報告書-第162期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/19 13:50
【資料】
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【項目】
209項目
(1)経営理念および中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、社会全体の大きな変革の中で、直面する事業環境にあわせて、当社の経営理念としての存在意義を「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」と定義しました。持続可能な社会に貢献するために環境と調和して事業を継続させ、顧客と共に未来を創造することのできるトクヤマでありたいとの思いを込めています。
そして、存在意義に基づいた経営方針として、以下のありたい姿を策定しています。
①マーケティングと研究開発から始める価値創造型企業
②独自の強みを磨き、活かし、新領域に挑み続ける企業
③社員と家族が健康で自分の仕事と会社に誇りを持てる企業
④世界中の地域・社会の人々との繋がりを大切にする企業
なお中期経営計画2030(2026年5月29日公表)にて、①は「顧客起点のマーケティングから始める価値創造型企業」に改めております。
(2)対処すべき課題とその対応
当社は、中長期的な当社の経営戦略として2021年2月25日に中期経営計画2025を策定し、3項目の重点課題を設定しました。当連結会計年度における課題の対応及び進捗等は以下のとおりです。
1.事業ポートフォリオの転換
成長事業を「電子」「健康」「環境」と位置付け、当連結会計年度においても重点的に投資を行うとともに、中国における不採算事業の撤退(微多孔質フィルムの製造販売事業)と既存事業の見直し(セメント事業)を進めました。
「電子」分野では、マレーシアにおいて韓国OCIグループと半導体用多結晶シリコンの半製品の製造販売を行うことを目的にOCI Tokuyama Semiconductor Materials Sdn. Bhd.を設立しました。ベトナムに建設中の製造販売拠点と連携することで、半導体用多結晶シリコンの生産・供給体制の構築を進めてまいります。
「健康」分野では、体外診断用医薬品事業および体外診断用医薬品材料事業を取得しました。この事業取得により体外診断分野、さらには生化学分野への展開に向けた足がかりを築くことができました。また、株式会社トクヤマデンタルが開発した歯科充填用コンポジットレジン「オムニクロマ®」は、「構造色を活用した歯科用修復材料」としての功績が認められ、全国発明表彰において「特許庁長官賞」を受賞するなど、技術力に強みを有しています。これらの優位性を生かし、健康分野のさらなる強化・事業領域の拡大に努めてまいります。
「環境」分野では、太陽光パネルリサイクルの取り組みとして、「使用済太陽光パネル資源循環推進・北海道コンソーシアム」に参画し、低温熱分解リサイクル技術の事業化を進めています。これらの技術は、一般社団法人太陽光発電協会の「リサイクル事業特別賞」をはじめ、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募において採択されるなど外部機関より高い評価を得ています。急速に普及した太陽光パネルは、今後、廃棄やリサイクルが大きな課題になると予想されており、当社はこれらの課題解決に向けた取り組みを引き続き強化してまいります。
水素関連の事業化に向けては、「札幌市水素・再生可能エネルギー推進協議会」に加入するとともに、水素化マグネシウムの用途開拓をめざす「株式会社H2ほっかいどう」に資本参加しました。当社は、水素の利活用を積極的に推進し、環境負荷の低減に貢献してまいります。
海外展開を加速させるため、当連結会計年度にインド現地法人Tokuyama India Private Limitedを設立しました。同社の設立により、経済成長が期待されるインド市場で「電子」「健康」「環境」領域に関するマーケティングや製品販売を積極的に進め、企業価値のさらなる向上を目指します。
一方、中国における微多孔質フィルムの製造販売事業においては、2026年2月に撤退を完了しました。さらに、事業ポートフォリオの最適化を図るため、セメント・固化材の国内販売事業および一部連結子会社株式の譲渡に伴う完全子会社の設立と会社分割(簡易吸収分割)を実施し、当該完全子会社株式を太平洋セメント株式会社へ2026年10月1日付(予定)で譲渡することを決定しました。また、セメント・固化材の製造事業については2028年度を目途に停止する検討に着手しました。これらの事業再編等により、構造改革と体質転換を一段と加速させ、競争力の強化と成長事業への資源配分を進めてまいります。
2.地球温暖化防止への貢献
当社グループは「2050年度カーボンニュートラル達成」を長期目標として掲げ、原燃料の脱炭素化、環境配慮型製品の開発・実装、水素・アンモニアなど次世代エネルギーに関する技術開発および事業化の検討を継続的に進めております。また、徳山製造所を中心とした生産プロセスの改善や、国内外でのバイオマス燃料の開発・利活用を通じて、温室効果ガス(GHG)排出量削減の取り組みを強化しております。
当社は2030年度にGHG排出量(Scope1、2)を2019年度比で30%削減する目標を掲げており、サプライチェーン全体においても、Scope3のうち主要な排出源であるカテゴリー1、3、4を対象に、2030年度までに10%削減(2022年度比)を目指しております。また、中期経営計画2030(2026年5月29日公表)にて新たに2035年度排出量削減目標として、2019年度比60%の削減を設定しました。
当連結会計年度においては、燃料アンモニアの事業性検討を実施したほか、バイオマス混焼のための設備を改造し、運転を開始しました。また、カレット製造における燃料転換については2027年度に完了、運転を開始する予定です。
なお、今後のGHG排出量削減目標および具体的な施策については、セメント・固化材の国内販売事業および一部連結子会社株式の譲渡、さらに2028年度のセメント・固化材の製造停止を視野に入れ、事業ポートフォリオの変化を踏まえた精査と見直しを行っております。引き続き、環境負荷低減と持続的な企業価値向上の両立を目指し、取り組みを着実に進展させてまいります。
3.CSR経営の推進
当社グループは、社会に必要とされる企業であり続けるために企業価値を追求し、サステナブルな社会の実現に向けて活動しています。その実現に向けて、CSR(サステナビリティ)経営に関わる社会的な課題を抽出しマテリアリティ(CSRの重要課題)として、以下の10項目を特定し各課題の解決に取り組んでいます。
①地球温暖化防止への貢献 ②環境保全 ③無事故・無災害 ④社会課題解決型製品・技術の開発
⑤化学品管理・製品安全の強化 ⑥地域社会との共存、連携、貢献 ⑦CSR調達の推進
⑧人材育成 ⑨多様性(ダイバーシティ)と働きがいの重視 ⑩心と体の健康推進
当連結会計年度において、当社は経済産業省が選定する「健康経営優良法人(大規模法人部門)ホワイト500」に5年連続で認定されました。従業員とその家族の心と体の健康づくりと働きやすい職場づくりを実現するために、経営トップである社長が健康経営統括責任者を務めています。今後も適切な職場環境を築くことで、生産性の向上などの組織の活性化を図り、事業を通じた持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
なお、マテリアリティは中期経営計画2030(2026年5月29日公表)にあわせて、以下の6項目に刷新しました。トクヤマの存在意義に定めるありたい姿の実現を推進してまいります。
①事業ポートフォリオの変革 ②顧客との創発による事業・製品創出
③オペレーショナル・エクセレンスの追求 ④地球環境問題への責任と挑戦
⑤ガバナンス&レジリエンスの強化 ⑥人的資本の活用
また、当社グループはESG投資指数「FTSE Blossom Japan Index」および「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」に引き続き選定されたことに加え、環境情報開示システムを運営する非営利団体のCDPが実施した2024年度の「サプライヤーエンゲージメント評価」において、最高評価にあたる「サプライヤーエンゲージメントリーダー」に初選定されました。これらの選定は、当社グループのESGへの着実な施策が評価されているものと捉え、引き続き社会から求められるESGへの取り組みを進めてまいります。

(3)中期経営計画2025 達成目標
最終年度における達成目標は以下のとおりです。
指標2025年度
(実績)
2025年度
(計画)
達成に向けたポイント
売上高3,494億円4,000億円半導体市場は先端分野を中心に拡大傾向も、計画に対して遅れ。化学品・セメントは国内需要が縮小
営業利益370億円450億円売上高の減少および人件費、研究開発費、ITコスト等の増加
成長事業の売上高成長率(CAGR)(注)9.6%10%以上事業ポートフォリオ転換を進めるもわずかに未達
ROE8.2%11%以上親会社株主に帰属する当期純利益の減少

(注)成長事業の売上高成長率(CAGR)は、中期経営計画2025期間中の事業再編を考慮の上、算出しています。
(4)トクヤマの価値創造プロセス
「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」という存在意義のもと、様々な社会課題の中から私たちの強みを活かせる領域を「電子」「健康」「環境」に特定し、これら3分野を新たな成長市場と位置づけています。100年超の歴史の中で培った特有技術や価値観を共有する人材、ステークホルダーとの関係といった経営資源を活かしつつ「ありたい姿」に向けた変革を行います。そしてこれらの成長市場に向け、他社にない価値を提供するソリューション型のビジネスを展開していくことで、持続可能な未来の実現に寄与します。この取り組みの流れを価値創造プロセスとして示します。
なお、詳細につきましては当社ウェブサイトに掲載の統合報告書をご参照ください。

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