有価証券報告書-第167期(2025/04/01-2026/03/31)
(経営方針、経営環境及び対処すべき課題)
当社グループは、企業価値の持続的な向上の実現に向け、2023年度より経営計画「Mission 2030」を推進してまいりましたが、計画策定時からの急激な事業環境の変化により、収益力が低下したことに加え、米国のクロロプレンゴム事業が当社グループの収益を大きく圧迫していることから、足元の業績立て直しが急務となっておりました。2025年度は、当社が直面している、米国クロロプレンゴム事業の不振、電子・先端プロダクツ部門における先行投資の回収遅れ、ポリマーソリューション部門の業績停滞、全社的なコスト負担増、という4つの収益課題を克服し成長軌道へ回帰するため、投資の厳選を徹底し財務規律の統制を図りながら、「ポートフォリオ変革の加速」と「稼ぐ力の回復」を最優先に取り組みました。
ポートフォリオ変革の最優先事項である米国クロロプレンゴム事業の抜本的対策については、2025年5月に米国製造子会社デンカパフォーマンスエラストマー社(以下DPE)が、クロロプレンゴム製造設備を、期限を定めず暫定停止いたしました。DPEでは、製造設備の安全な状態での休止を目的として、原材料や中間品などの物質の抜き出しおよび処分作業を進めており、これらは最終段階を迎えつつあります。同社の操業休止に伴い、今後も連結上一定の特別損失の発生が見込まれており、資産売却等による補填を検討するとともに、これら負担を最小化すべく、関係当局も含めたステークホルダーとの協議等を着実に進めてまいります。不採算事業の整理としては、2025年6月にセメントの生産を停止し、2026年3月には大船工場を閉鎖しカラリヤンフィルム・テープ事業から撤退するとともに、合繊かつら用原糸はシンガポール子会社への事業集約を実施いたしました。事業構造改革としては、2026年2月に、スチレン関連事業について、2027年4月を目途に分社化の検討を開始することを決定しました。分社化により事業の独立性や採算性を高め、構造改革の推進力強化につなげるとともに、外部パートナーとの協業や資本提携など多様な戦略的選択肢を取りうる体制等を整えることといたしました。また、2026年3月には、臨床検査薬メーカーであるカイノス社を日本政策投資銀行との共同出資により子会社化いたしました。同社とは既に一部で協業関係にあり、特に臨床試薬の分野では高い補完関係となっており、海外展開も含めシナジーの最大化を図ってまいります。
また、「コストベンチマーク」や「最適なコストダウン手法」など従来とは違った社外の知見を全面的に活用し、全社で取り組んできたコストダウンプロジェクトは、スタートした2024年度の効果額は9億円にとどまっていたものが、2年目の2025年度は、収益寄与の本格化と取り組みの深化により、37億円を実績化しました。
2025年度の業績は、以上のとおりポートフォリオ変革やコストダウン等の施策を強力に推し進めたことに加え、電子・先端プロダクツ部門での先行投資の刈り取りに注力し、拡大するAI関連や電力インフラ向けの需要を取り込み実績化したことで、営業利益は必達目標としていた250億円を上回り、262億円となりました。
当社グループは、外部環境の急激な変化等を踏まえ、今般、経営計画「Mission 2030」の見直しをおこないました。不採算事業の整理や事業構造改革と合わせ、成長分野での先行投資を実施した2023年度から2025年度までをフェーズ1とし、2026年度から2028年度までの3カ年をフェーズ2として、さらなる成長に向けた「稼ぐ力の再構築」と「新たな成長ステージへの基盤固め」に注力する期間と位置づけ、この期間中に営業利益の過去最高益更新とROE8%を目指します。
このフェーズ2での取り組みは、成長戦略・構造改革・財務規律のバランスが取れたものとすることを基本とし、メガトレンド(成長性)とスペシャリティ(収益性)の観点から、事業領域ごとに「成長ドライバー」、「安定成長」、「キャッシュカウ」の方向性を明確にいたしました。そのうえで、それぞれの事業領域において、「戦略的拡大」、「先行投資の刈り取り」、「資本効率改善・事業モデル転換」の3つに区分し、次の領域別事業戦略に基づき、メリハリをつけて実行いたします。
成長ドライバーとして会社の成長を牽引する「ICT &Energy」は、当社が得意なサーマルマネジメント分野でキーとなる材料を供給し、トップシェアを維持しながら、今後さらなる伸長が見込まれるAIや電力インフラの市場等、最先端分野でのデファクトスタンダード化を実現いたします。「Healthcare」は、既存の診断薬事業での安定成長を追求しつつ、業界におけるアライアンス形成のフロントランナーとして中心的な役割を担うことで、市場を創出・拡大させ、成長ドライバーへと昇華させます。「Sustainable Living」は、カーバイドチェーンとスチレンチェーンのキャッシュカウ化を実現いたします。
また、経営計画「Mission 2030」の達成に必要不可欠な新規事業創出については、2030年度を見据え、早期事業化を実現するため、当社の強みである有機、無機、バイオの技術知見を基盤に既存事業の周辺の潜在ニーズを掘り起こしていく「浸み出し戦略」に重点をおいた取り組みを展開いたします。具体例としては、今後プリント配線基板や次世代半導体での需要が見込まれる低誘電有機絶縁樹脂“スネクトン”について、多様な用途に対応すべくシリカやアルミナといった他の自社材料と掛け合わせ、ラインナップを拡充させることで、高度化する需要に対する迅速なソリューションの提供につなげます。
本年度からスタートした経営計画「Mission 2030」のフェーズ2では、これらの施策を確かな成果につなげる覚悟をもって実行することで、稼ぐ力を再構築し、新たな成長ステージへの基盤を固めてまいります。そしてフェーズ3以降は、「ICT & Energy」における市場拡大を捉えた勢いのある成長分野と、「Healthcare」における安定的で着実な成長分野という、異なる角度の成長トレンドを掛け合わせたベストミックスを通じて、また「Sustainable Living」は勝ち残る事業に厳選し、社会課題の解決につなげることで、デンカらしい持続的な成長を実現してまいります。
◇新たなビジョンと新経営計画「Mission 2030」~OUR "NEW" VISION & Mission 2030~
2023年4月、デンカグループは新たな挑戦をはじめました。これまで指針としてきた「The Denka Value」(企業理念)、Denkaの使命、Denkaの行動指針は、従業員の声をふまえ、より未来のデンカを見据えた新たな「ビジョン」へと進化。同時に、2023~2030年度の8ヵ年を対象とする新経営計画「Mission 2030」が始動しました。
デンカの新たなビジョン
新たなビジョンは、デンカのDNAであるコアバリューを土台とし、デンカを導く北極星となるパーパス、2030年に成し遂げたい務めとしてのミッションを重ねた構成とすることで、文字の域を超え、全従業員が自分ごと化できる新しいデンカの未来像を表しました。

コアバリュー
「コアバリュー」とは、デンカのDNA。さまざまな判断をする上での拠り所にもなります。「挑戦」「誠実」「共感」は、デンカが脈々と受け継いできた姿勢を改めて言語化したものです。これからも一層大切にしていくべき信条です。
パーパス
「パーパス」とは、デンカを導く北極星。デンカが存在する根本的理由です。デンカは世界でどのような存在でありたいのか、デンカだからこそできることは何かを突き詰めて考え、「化学の力」「世界をよりよくする」「スペシャリスト」といった言葉一つひとつを選び出しました。
ミッション
「ミッション」は、デンカの務め。大胆で説得力のある野心的目標です。「コアバリュー」や「パーパス」が普遍性を持つものであるのに対して「ミッション」は明確なゴールと期限があり、例えるならば“登るべき山”です。2030年に、その頂上にたどり着くことを目指し、具体的な戦略を経営計画「Mission 2030」に落とし込んでいます。
コーポレートメッセージ
このデンカのビジョンを社内外に分かりやすく伝達する言葉としてコーポレートメッセージ「世界に誇れる、化学を。」を創りました。世界に誇れる唯一無二の存在(=スペシャリスト)として、化学の力で世界をよりよくすることを目指すという想いを込めました。
(ご参考)
経営計画「Mission 2030」フェーズ2(2026~2028年度)
デンカ株式会社は、Visionに掲げるMission「2030年までに、人財・経営価値を高め、スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素を備えた事業価値創造に集中する」の実現に向け、経営計画『Mission 2030』を推進しております。
2023~2025年度のフェーズ1では、不採算事業の整理や事業構造改革と合わせ、成長分野での先行投資の実施により、短期間での成長と長期的な成長基盤強化の両立を目指しましたが、電材需要の低迷やEV市場の変調に伴う先行投資の回収遅れなど、急激な事業環境の変化に十分な対応ができず、収益力が低下する結果となりました。
これを受け、2026~2028年度のフェーズ2は「稼ぐ力の再構築と新たな成長ステージへの基盤固め」に注力する期間と位置づけ、確度の高い計画として営業利益の過去最高益更新とROE8%を設定しました。また、フェーズ3以降では再構築した稼ぐ力を基盤に、「異なる成長トレンドを持つICT&EnergyとHealthcareのベストミックス」を確立させ、企業価値の持続的な向上を実現してまいります。
1.「Mission2030」の進捗状況
(1)財 務

<主な収益力低下の要因>・2021年度比で約150億円の固定費増 (先行投資に伴う償却負担増など)
・米国クロロプレンゴム事業(DPE)の低迷
・半導体、EV等電材需要の変調
・スチレン系樹脂の需要減
・新規事業・製品開発の遅延
(2)非財務
第一部 第2の2 サステナビリティに関する考え方及び取組をご参照ください。
2.フェーズ2(2026~2028年度)の取り組み
・蓋然性の高い事業計画を前提とし、成長戦略・構造改革・財務規律のバランスを図る。
・事業領域ごとに「成長ドライバー」「安定成長」「キャッシュカウ」の方向性を明確化し、「戦略的拡
大」「先行投資の刈り取り」「資本効率改善・事業モデル転換」の3つの戦略でメリハリをつけて実行。
・フェーズ3以降は、再構築した稼ぐ力を基盤に「異なる成長トレンドを持つICT&EnergyとHealthcareのベ
ストミックス」を確立させ、Sustainable Livingでは、勝ち残る事業に厳選し、新たな価値創造を図る。
(1)成長戦略
<事業領域別の戦略>

(2)構造改革
(3)財務目標
<数値>(億円)
*1:ROE(資本効率)に関しては、フェーズ2の26年度~28年度のいずれかでROE8.0%の達成を目指します。
<キャピタルアロケーション>・フェーズ2でも財務規律を統制しながら成長戦略を推進すると共に、株主還元方針「経営計画8年間累計の総還元性向50%を目安」を継続。

「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」ため、デンカグループ一丸となって『Mission 2030』フェーズ2達成に注力してまいります。
※文中の将来に関する事項は、計画発表時において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
当社グループは、企業価値の持続的な向上の実現に向け、2023年度より経営計画「Mission 2030」を推進してまいりましたが、計画策定時からの急激な事業環境の変化により、収益力が低下したことに加え、米国のクロロプレンゴム事業が当社グループの収益を大きく圧迫していることから、足元の業績立て直しが急務となっておりました。2025年度は、当社が直面している、米国クロロプレンゴム事業の不振、電子・先端プロダクツ部門における先行投資の回収遅れ、ポリマーソリューション部門の業績停滞、全社的なコスト負担増、という4つの収益課題を克服し成長軌道へ回帰するため、投資の厳選を徹底し財務規律の統制を図りながら、「ポートフォリオ変革の加速」と「稼ぐ力の回復」を最優先に取り組みました。
ポートフォリオ変革の最優先事項である米国クロロプレンゴム事業の抜本的対策については、2025年5月に米国製造子会社デンカパフォーマンスエラストマー社(以下DPE)が、クロロプレンゴム製造設備を、期限を定めず暫定停止いたしました。DPEでは、製造設備の安全な状態での休止を目的として、原材料や中間品などの物質の抜き出しおよび処分作業を進めており、これらは最終段階を迎えつつあります。同社の操業休止に伴い、今後も連結上一定の特別損失の発生が見込まれており、資産売却等による補填を検討するとともに、これら負担を最小化すべく、関係当局も含めたステークホルダーとの協議等を着実に進めてまいります。不採算事業の整理としては、2025年6月にセメントの生産を停止し、2026年3月には大船工場を閉鎖しカラリヤンフィルム・テープ事業から撤退するとともに、合繊かつら用原糸はシンガポール子会社への事業集約を実施いたしました。事業構造改革としては、2026年2月に、スチレン関連事業について、2027年4月を目途に分社化の検討を開始することを決定しました。分社化により事業の独立性や採算性を高め、構造改革の推進力強化につなげるとともに、外部パートナーとの協業や資本提携など多様な戦略的選択肢を取りうる体制等を整えることといたしました。また、2026年3月には、臨床検査薬メーカーであるカイノス社を日本政策投資銀行との共同出資により子会社化いたしました。同社とは既に一部で協業関係にあり、特に臨床試薬の分野では高い補完関係となっており、海外展開も含めシナジーの最大化を図ってまいります。
また、「コストベンチマーク」や「最適なコストダウン手法」など従来とは違った社外の知見を全面的に活用し、全社で取り組んできたコストダウンプロジェクトは、スタートした2024年度の効果額は9億円にとどまっていたものが、2年目の2025年度は、収益寄与の本格化と取り組みの深化により、37億円を実績化しました。
2025年度の業績は、以上のとおりポートフォリオ変革やコストダウン等の施策を強力に推し進めたことに加え、電子・先端プロダクツ部門での先行投資の刈り取りに注力し、拡大するAI関連や電力インフラ向けの需要を取り込み実績化したことで、営業利益は必達目標としていた250億円を上回り、262億円となりました。
当社グループは、外部環境の急激な変化等を踏まえ、今般、経営計画「Mission 2030」の見直しをおこないました。不採算事業の整理や事業構造改革と合わせ、成長分野での先行投資を実施した2023年度から2025年度までをフェーズ1とし、2026年度から2028年度までの3カ年をフェーズ2として、さらなる成長に向けた「稼ぐ力の再構築」と「新たな成長ステージへの基盤固め」に注力する期間と位置づけ、この期間中に営業利益の過去最高益更新とROE8%を目指します。
このフェーズ2での取り組みは、成長戦略・構造改革・財務規律のバランスが取れたものとすることを基本とし、メガトレンド(成長性)とスペシャリティ(収益性)の観点から、事業領域ごとに「成長ドライバー」、「安定成長」、「キャッシュカウ」の方向性を明確にいたしました。そのうえで、それぞれの事業領域において、「戦略的拡大」、「先行投資の刈り取り」、「資本効率改善・事業モデル転換」の3つに区分し、次の領域別事業戦略に基づき、メリハリをつけて実行いたします。
成長ドライバーとして会社の成長を牽引する「ICT &Energy」は、当社が得意なサーマルマネジメント分野でキーとなる材料を供給し、トップシェアを維持しながら、今後さらなる伸長が見込まれるAIや電力インフラの市場等、最先端分野でのデファクトスタンダード化を実現いたします。「Healthcare」は、既存の診断薬事業での安定成長を追求しつつ、業界におけるアライアンス形成のフロントランナーとして中心的な役割を担うことで、市場を創出・拡大させ、成長ドライバーへと昇華させます。「Sustainable Living」は、カーバイドチェーンとスチレンチェーンのキャッシュカウ化を実現いたします。
また、経営計画「Mission 2030」の達成に必要不可欠な新規事業創出については、2030年度を見据え、早期事業化を実現するため、当社の強みである有機、無機、バイオの技術知見を基盤に既存事業の周辺の潜在ニーズを掘り起こしていく「浸み出し戦略」に重点をおいた取り組みを展開いたします。具体例としては、今後プリント配線基板や次世代半導体での需要が見込まれる低誘電有機絶縁樹脂“スネクトン”について、多様な用途に対応すべくシリカやアルミナといった他の自社材料と掛け合わせ、ラインナップを拡充させることで、高度化する需要に対する迅速なソリューションの提供につなげます。
本年度からスタートした経営計画「Mission 2030」のフェーズ2では、これらの施策を確かな成果につなげる覚悟をもって実行することで、稼ぐ力を再構築し、新たな成長ステージへの基盤を固めてまいります。そしてフェーズ3以降は、「ICT & Energy」における市場拡大を捉えた勢いのある成長分野と、「Healthcare」における安定的で着実な成長分野という、異なる角度の成長トレンドを掛け合わせたベストミックスを通じて、また「Sustainable Living」は勝ち残る事業に厳選し、社会課題の解決につなげることで、デンカらしい持続的な成長を実現してまいります。
◇新たなビジョンと新経営計画「Mission 2030」~OUR "NEW" VISION & Mission 2030~
2023年4月、デンカグループは新たな挑戦をはじめました。これまで指針としてきた「The Denka Value」(企業理念)、Denkaの使命、Denkaの行動指針は、従業員の声をふまえ、より未来のデンカを見据えた新たな「ビジョン」へと進化。同時に、2023~2030年度の8ヵ年を対象とする新経営計画「Mission 2030」が始動しました。
デンカの新たなビジョン
新たなビジョンは、デンカのDNAであるコアバリューを土台とし、デンカを導く北極星となるパーパス、2030年に成し遂げたい務めとしてのミッションを重ねた構成とすることで、文字の域を超え、全従業員が自分ごと化できる新しいデンカの未来像を表しました。

コアバリュー
「コアバリュー」とは、デンカのDNA。さまざまな判断をする上での拠り所にもなります。「挑戦」「誠実」「共感」は、デンカが脈々と受け継いできた姿勢を改めて言語化したものです。これからも一層大切にしていくべき信条です。
パーパス
「パーパス」とは、デンカを導く北極星。デンカが存在する根本的理由です。デンカは世界でどのような存在でありたいのか、デンカだからこそできることは何かを突き詰めて考え、「化学の力」「世界をよりよくする」「スペシャリスト」といった言葉一つひとつを選び出しました。
ミッション
「ミッション」は、デンカの務め。大胆で説得力のある野心的目標です。「コアバリュー」や「パーパス」が普遍性を持つものであるのに対して「ミッション」は明確なゴールと期限があり、例えるならば“登るべき山”です。2030年に、その頂上にたどり着くことを目指し、具体的な戦略を経営計画「Mission 2030」に落とし込んでいます。
コーポレートメッセージ
このデンカのビジョンを社内外に分かりやすく伝達する言葉としてコーポレートメッセージ「世界に誇れる、化学を。」を創りました。世界に誇れる唯一無二の存在(=スペシャリスト)として、化学の力で世界をよりよくすることを目指すという想いを込めました。
(ご参考)
経営計画「Mission 2030」フェーズ2(2026~2028年度)
デンカ株式会社は、Visionに掲げるMission「2030年までに、人財・経営価値を高め、スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素を備えた事業価値創造に集中する」の実現に向け、経営計画『Mission 2030』を推進しております。
2023~2025年度のフェーズ1では、不採算事業の整理や事業構造改革と合わせ、成長分野での先行投資の実施により、短期間での成長と長期的な成長基盤強化の両立を目指しましたが、電材需要の低迷やEV市場の変調に伴う先行投資の回収遅れなど、急激な事業環境の変化に十分な対応ができず、収益力が低下する結果となりました。
これを受け、2026~2028年度のフェーズ2は「稼ぐ力の再構築と新たな成長ステージへの基盤固め」に注力する期間と位置づけ、確度の高い計画として営業利益の過去最高益更新とROE8%を設定しました。また、フェーズ3以降では再構築した稼ぐ力を基盤に、「異なる成長トレンドを持つICT&EnergyとHealthcareのベストミックス」を確立させ、企業価値の持続的な向上を実現してまいります。
1.「Mission2030」の進捗状況
(1)財 務

<主な収益力低下の要因>・2021年度比で約150億円の固定費増 (先行投資に伴う償却負担増など)
・米国クロロプレンゴム事業(DPE)の低迷
・半導体、EV等電材需要の変調
・スチレン系樹脂の需要減
・新規事業・製品開発の遅延
(2)非財務
第一部 第2の2 サステナビリティに関する考え方及び取組をご参照ください。
2.フェーズ2(2026~2028年度)の取り組み
・蓋然性の高い事業計画を前提とし、成長戦略・構造改革・財務規律のバランスを図る。
・事業領域ごとに「成長ドライバー」「安定成長」「キャッシュカウ」の方向性を明確化し、「戦略的拡
大」「先行投資の刈り取り」「資本効率改善・事業モデル転換」の3つの戦略でメリハリをつけて実行。
・フェーズ3以降は、再構築した稼ぐ力を基盤に「異なる成長トレンドを持つICT&EnergyとHealthcareのベ
ストミックス」を確立させ、Sustainable Livingでは、勝ち残る事業に厳選し、新たな価値創造を図る。
(1)成長戦略
<事業領域別の戦略>
| ICT&Energy | サーマルマネジメントにおけるキーマテリアルを供給し、メガトレンド(AI、高速通信、xEV、再生可能エネルギー、半導体)における最先端分野でのデファクトスタンダード化を実現 |
| Healthcare | 診断薬事業での安定成長を基盤に、業界におけるアライアンス形成(M&Aを含む)のフロントランナーを目指す |
| Sustainable Living | 事業チェーン最適化・再構築によるキャッシュカウ化を実現した上で、勝ち残る事業のみへのポートフォリオ変革を断行 |

(2)構造改革
| ・ライフイノベーションに おけるアライアンス | :カイノス社の完全子会社化では、シナジーの早期実現を目指す(TOB 3月 完了) |
| ・スチレンチェーン再構築 | :スチレン系事業の分離により、意思決定のスピードを速め、競争力強化に 向けた協業や資本提携を含む選択肢の拡大を目指す |
| ・ カーバイドチェーン最適化 | :青海工場1拠点体制でのクロロプレンゴム最適生産および収益の最大化 |
(3)財務目標
<数値>(億円)
| 当初計画 | フェーズ1 | フェーズ2 | |||||||
| 26年度 | 30年度 | 23年度 実績 | 24年度 実績 | 25年度 実績 | 26年度 | 27年度 | 28年度 | ||
| 営業利益 | 600 | 1,000 | 134 | 144 | 262 | 350 | 400 | 450 | |
| 当期利益 | - | - | 119 | △123 | 157 | 180 | 220 | 260 | |
| ROE (資本効率)*1 | 11% | 15%以上 | 4.0% | △4.1% | 5.2% | 6.0% | 7.0% | 8.0% | |
| ROIC(資本効率) | 7%以上 | 10%以上 | 2.5% | 2.5% | 4.2% | 5.0% | 5.5% | 6.0% | |
| D/Eレシオ(財務健全性) | 0.6~0.8倍 (信用格付A格維持) | 0.57 | 0.73 | 0.71 | 0.75 | 0.70 | 0.7 以下 | ||
| 投資額 | 8年間5,700億円 | 440 | 700 | 608 | 430 | 340 | 330 | ||
| 総還元性向 | 8年累計50%水準 | 72% | - | 55% | 株主還元方針を維持 | ||||
| 年間配当額(円/株) | 100 | 100 | 100 | ||||||
*1:ROE(資本効率)に関しては、フェーズ2の26年度~28年度のいずれかでROE8.0%の達成を目指します。
<キャピタルアロケーション>・フェーズ2でも財務規律を統制しながら成長戦略を推進すると共に、株主還元方針「経営計画8年間累計の総還元性向50%を目安」を継続。

「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」ため、デンカグループ一丸となって『Mission 2030』フェーズ2達成に注力してまいります。
※文中の将来に関する事項は、計画発表時において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。