有価証券報告書-第166期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/19 11:00
【資料】
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【項目】
170項目
(4) リスク管理
サステナビリティ委員会は、経営計画「Mission 2030」のサステナビリティに係る活動指標と目標を、担当する担当部門から報告を受けて審議と提言を行い、取締役会への報告を行います。重要なテーマである気候変動問題と人権尊重の取り組みに関わるリスク管理および統合リスクマネジメントについては、以下の通り実施しており、さらにこれらの取り組みを推進いたします。
(a) 気候変動(TCFD)
中長期の気候変動問題への対応は、取締役会による監督の下、サステナビリティー推進担当役員が統括しています。目標や基本方針の策定、重要施策、指標の設定・評価などの非財務関連の重要事項は、サステナビリティ委員会(年5回開催)で議論され、取締役会が意思決定を行います。
また、環境対応方針の包括的な管理・運営のため、ワーキンググループを設置しています。毎月行われる会議では、担当役員がリーダーとなり、実務面を含めた議論を行い、対応の促進を図るとともに、重要事項については取締役会への報告を行います。
気候変動に伴うシナリオ分析に基づく、デンカとしてのリスクと機会の抽出
シナリオリスク/機会TCFD分類リスクと機会の事象インパクト算出の考え方インパクトデンカ当該事業部主たる関連事業所対策
中期(2030)長期(2050)
1.5℃リスク法・
規制
炭素税の上昇に伴うコスト増加2022年度のGHG排出量を基準として、IEA WEOの予測炭素価格をもとに炭素税額を算出脱炭素化施策を講じない場合のコスト負担額の算出430
億円
770
億円
全部門青海工場・クリーンエネルギーの拡充や省エネ対応、新技術の導入
脱炭素化施策を講じる場合のコスト負担額の算出(2013年度比で2030年までに60%、2050年までに100%のCO₂排出量(Scope1・2)を削減)210
億円
0円
テクノロジー製造プロセスの低炭素化に伴うコスト増加経営計画「Mission 2030」にて2030年までの環境投資額を設定850
億円
-全部門青海工場・大牟田工場・「低炭素アセチレンチェーン」への製造プロセス変更(Methane to Acetylene)により年間30万トン強のCO₂を削減
・複製される水素を利活用するための研究開発など、更なる利益の追求
機会製品・ サービス脱炭素に貢献する製品(窒化ケイ素・アセチレンブラック・球状アルミナ)の需要拡大2022年度の売上実績を基準として、市場成長率から売上増分を算出190
億円
-電子・先端プロダクツ部門大牟田工場・需要拡大に即した製造設備増強
食糧危機の解決に貢献する製品(バイオスティミュラント肥料)の需要拡大2022年度の売上実績を基準として、市場成長率から売上増分を算出1~10
億円
-エラストマー・インフラソリューション部門デンカアヅミン㈱・市場投入と拡販
・更なる高機能製品の研究開発
CO₂ を有効利用した製品(CO₂ 吸収・固定型コンクリート/LEAF)の需要拡大販売計画を元に売上増分を算出1~20
億円
-エラストマー・インフラソリューション部門青海工場・市場投入と拡販
・更なる高機能製品の研究開発
3

4
リスクマーケットナフサ価格の上昇に伴う原燃料コスト増加2022年度の燃料購入額を基準として、価格上昇率からコスト増加額を算出(IEA WEO)-40~60
億円
-50~
120
億円
ポリマーソリューション部門千葉工場・使用済みポリスチレンのケミカルリサイクルによる資源循環の推進や卵殻含有樹脂などのバイオ由来原料製品の開発販売
天然ガス価格の上昇に伴う原燃料コスト増加2022年度の燃料購入額を基準として、価格上昇率からコスト増加額を算出(IEA WEO)-60~10
億円
-80~10
億円
全部門青海工場・千葉工場・プロセスの電化による使用量低減
・生産フローの最適化による省エネ化
物理
リスク
自然災害の激甚化に伴う生産設備への被害増加や操業停止海・河川隣接事業所での年間雨量の増加率・浸水被害発生リスクから算出10
億円
以下
10
億円
以下
全部門大牟田工場・設備保全対策の見直しと強化
機会製品・
サービス
感染症の予防と診断に貢献する製品(検査試薬)の需要拡大2022年度の売上実績を基準として、市場成長率から算出170
億円
-ライフイノベーション部門五泉事業所・研究開発強化/新技術の導入
・需要拡大に即した製造設備増強


(b) 人権尊重の取り組み
デンカグループは、人権に関する国際規範の遵守を重視し、国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた行動に努めています。2023年9月に取締役会で承認・制定された「デンカグループ人権方針」は、すべての企業活動において人権侵害を排除するための施策を具現化するためのものです。
経営計画「Mission 2030」においては、2030年目標に「グループ・サプライチェーンの人権リスク特定と対応プロセスの確立」を定め、人権尊重の取り組みを進めています。「デンカグループ人権方針」を全グループ社員に周知・浸透させるとともに、人権デュー・ディリジェンスと人権救済メカニズムについて、知見を有する第三者とともに計画的に取り組みます。

<2024年度迄の取り組み>① 人権に関する社内説明会の実施
デンカグループ全社員を対象とした説明会を実施し、「デンカグループ人権方針」と「今後の人権の取り組み」を取り上げました(2023年11月30日、2023年12月6日)。
② 人権への影響評価(人権リスクアセスメント)
2023年度下期に、重要人権リスク特定のためのヒアリング(対象:本社事業部門・管理部門、労働組合)を実施し、優先的に取り組むべきリスク項目(10個)を特定しました。2024年度以降も対象範囲を広げてヒアリングを実施し、防止・軽減のための対応策を進め、人権デュー・ディリジェンスプロセスの確立を目指します。
<デンカグループ重要人権リスク>
カテゴリーリスク項目
労働安全衛生労働環境(安全・衛生)の人権
パワハラ従業員間のパワハラ発生のリスク
サプライヤー(協力会社を含む)従業員に対するパワハラ発生のリスク
顧客から自社従業員へのパワハラ発生のリスク
長時間労働長時間労働・過重労働のリスク
居住移転の自由転勤・異動の強制等による居住移転の自由の侵害リスク
先住民・地域住民の権利製品の製造、廃棄等に伴う周辺住民の生活への悪影響発生のリスク
消費者の安全と知る権利製品に関する情報の誤りによる販売先や消費者の「知る権利」侵害発生のリスク
労働安全衛生サプライヤー内の労働環境における安全・衛生の人権リスク
強制労働・児童労働原料等の生産現場および、販売先(および工場)内における深刻な形態の強制労働、児童労働発生のリスク


(c)統合リスクマネジメント
当社は、気候変動(TCFD)に関連した社会のレジリエンスの要請の高度化、人権尊重の高度化を含む急速な社会変化、めまぐるしい事業環境の変化や本格化する事業ポートフォリオ変革など、事業をめぐる不確実性が増大する中でも、これらの不確実性を自社の成長の機会と捉え、サステナビリティへの取り組みと事業活動とを統合していきます。
これらの取り組みに際し、デンカグループを取り巻くさまざまなリスクを適切にコントロールし、資本コストを最小化していくため、当社は、社長を委員長とするデンカグループ・リスクマネジメント委員会を組織しております。同委員会は、統合リスクマネジメント(ERM)の仕組みと年間を通じた諸活動を通じて、デンカグループのリスク管理体制の強化を図っています。
デンカグループ・統合リスクマネジメント体制図

デンカグループ・リスクマネジメント委員会は、具体的な、リスクの識別・評価、リスクの管理、サステナビリティ推進活動への統合を、以下の手順で実施しています。
① リスクの識別・評価: 化学業界にある当社にとって脅威と考えられる56の主要なリスク項目を抽出し、それぞれのリスクを、❶発生頻度 ❷影響度 ❸対策度合い の評価軸を用いて5段階で評点化し、更にリスクオーナーとのディスカッションを経て最終的にデンカグループにとっての重大リスクを選定します。2023年度に、下表の10大重要リスクを抽出しています。
② リスクの管理: 重大リスクに対しては、課題の把握とリスク対策の進捗を継続的にモニタリングすることにより、リスク顕在時における業績への影響低減に努めています。2024年度は、特定された優先リスクへの対応として、サイバー攻撃への初動対応強化、事業継続計画の見直しおよび事業所・工場の物理的セキュリティの調査を実施いたしました。
③ 全体への統合: また、デンカグループ・リスクマネジメント委員会は、リスク低減への取り組み状況を、気候変動(TCFD)や人権尊重への取り組みと併せて、定期的に取締役会へ報告しており、それぞれがサステナビリティ推進における機軸として認識されています。同委員会は、年間を通じてこれらのリスク低減活動を実施し、その結果を分析して翌年度のERM実施計画に反映しております。これらの一連の活動により、デンカグループのリスク管理が統合される仕組み・プロセスとなっています。


統合リスクマネジメント(ERM)の全体図

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