有価証券報告書-第92期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 9:06
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)におけるわが国経済は、年度前半の足踏み状態から、下期に入り、海外経済で持ち直しの兆しが見られるとともに、米国の大統領選挙後、円安、株高に転じたことから、輸出を取り巻く環境にも改善の兆しが見られ、鉱工業生産も緩やかな回復傾向となりましたが、依然として自律的回復力は乏しい状態が継続し、米国新政権発足後の政策運営の不確実性や各国における保護主義の台頭、急激な為替変動のリスク、また、国内における人手不足の顕在化など、景気の先行きは不透明な状況となっております。
このような状況のもと、当社グループは、薬品・建材事業ともに新製品や新規用途開発品を中心とした販売・生産数量の確保・拡大、新規ユーザーの開拓、価格競争力を増すための低コスト体質強化に取り組むとともに、海外(タイ)子会社においては主力ユーザーの事業撤退に直面したネクサス・エレケミック社の解散、清算に向けての対応、サイアム・エヌケーエス社における車載用関連製品等の安定生産、増産体制の確立、国内においては福島第一工場における二次電池用正極材受託加工の安定供給、月産600トンへの増産体制構築に向けての準備等、具体的課題への対応に尽力してまいりました。
その結果、当連結会計年度の当社グループ全体の売上高は、前期比1,323百万円 7.1%増の19,844百万円、営業利益が前期比914百万円 55.7%増の2,556百万円、経常利益が前期比906百万円 50.2%増の2,712百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比133百万円 7.9%増の1,819百万円となりました。
以上のように、営業利益、経常利益は前期比大幅増となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は微増となっております。これは前期の特別利益に東京電力からの逸失利益等の補償金およびふくしま産業復興企業立地補助金799百万円を計上しましたが当連結会計年度はその補助金等に該当する対象がなかったことによります。
なお、ネクサス・エレケミック社は、既に平成28年12月を持ちまして操業を停止し、清算に向けて法的な手続きを開始しておりますが、その清算による連結業績への影響は、既に固定資産の減損、要員の削減等、前期、前々期にマイナス要素を処理していることから軽微なものと考えております。
セグメントの業績を示すと以下のとおりであります。
① 薬品事業
主力の薬品事業は、国内においては、納入先の複数購買化、生産拠点の海外シフトおよび中国経済減速の影響等により販売数量は伸び悩みましたが、年度の後半において主要原料である非鉄金属の市場価格の急速な上昇に伴った売価アップおよび本格稼働となった二次電池用正極材受託加工の売上増加、海外においては、サイアム・エヌケーエス社における新製品の車載用関連製品2品目が実績化されたことから、売上高は前期比1,171百万円 7.6%増の16,553百万円となりました。
利益面では、国内における二次電池用正極材受託加工の利益増加等に加え、下期における非鉄金属相場上昇による売価アップが原料消費価格上昇に先行したメリット等があり、また海外においても、サイアム・エヌケーエス社の車載用関連製品2品目が実績化され、ネクサス・エレケミック社の営業損失が前期に行った減損処理およびリストラ対応等で縮小したことにより、海外子会社全体で営業利益がプラスに転じたこともあり、薬品事業全体の営業利益は前期比873百万円 69.4%増の2,130百万円と大幅に増加しました。
② 建材事業
消費税増税前の駆け込み需要の反動減の影響等により低調に推移していた新設住宅着工戸数は、幾分持ち直しの兆しが見えたものの、本格的な回復までには至らず、住宅建材関係において主力製品である防火通気見切り縁が伸び悩みましたが、かねてより準備を進めてきた新製品が実績化されたことにより、売上高は前期比152百万円 4.8%増の3,291百万円となり、営業利益も前期比96百万円 11.6%増の932百万円となりました。

(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローで2,658百万円増加、投資活動によるキャッシュ・フローで861百万円減少、財務活動によるキャッシュ・フローで536百万円減少し、この結果、換算差額による影響なども含めると、当連結会計年度末は、前連結会計年度末に比べ1,255百万円増加し、14,106百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、2,658百万円の増加(前連結会計年度は3,597百万円の資金の増加)となりました。この主な要因は、法人税等の支払額883百万円、売上債権の増加額415百万円等による減少があったものの、税金等調整前当期純利益が2,582百万円、減価償却費738百万円、仕入債務の増加額465百万円等により資金が増加したことであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、861百万円の減少(前連結会計年度は634百万円の資金の減少)となりました。この主な要因は、投資有価証券の償還による収入100百万円、有形固定資産の取得による支出798百万円等があったことであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、536百万円の減少(前連結会計年度は507百万円の資金の減少)となりました。この主な要因は配当金の支払額393百万円等があったことであります。