有価証券報告書-第105期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
(1)経営の基本方針
日本触媒グループ 企業理念「TechnoAmenity~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」のもと、当社は、「人間性の尊重を基本とします」、「社会との共生、環境との調和を目指します」、「未来を拓く技術に挑戦します」、「世界を舞台に活動します」を経営理念として、グローバルな変化に対応できる企業体質及び競争力の強化に取り組んでおります。また、社是「安全が生産に優先する」を企業理念・経営理念と並ぶ最上位に位置づけております。
(2)対処すべき課題、長期的な経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、企業理念・経営理念及び社是のもと、2014年4月から、長期経営計画「新生日本触媒2020」と、その当初3年間の前半中期経営計画に取り組んでまいりましたが、このたび、2017年度から2020年度の後半中期経営計画「新生日本触媒2020 NEXT」を策定いたしました。
( 長期経営計画「新生日本触媒2020」の概要 )
長期経営計画「新生日本触媒2020」は、長期ビジョン・目標である『2025年のありたい姿』を定めた上で、そこに至るための具体的なマイルストーンとして設定した『2020年のあるべき姿』の実現を目指して策定した経営戦略です。本計画では、安全・安定な生産活動の徹底のもと、売上よりも収益性を重視し、既存事業・コア事業の一層の強化と新規事業の早期立ち上げ、新規製品の速やかな上市を目指しております。
( 前半中期経営計画の振り返り及び外部環境分析 )
前半中期経営計画に係る3年間の連結業績につきましては、計画1年目の2014年度及び2年目の2015年度は順調に推移し、2015年度は原料価格の下落等により売上高は未達となりましたが、利益面では過去最高益を更新し、計画の目標利益を1年前倒しで達成いたしました。しかしながら、3年目の2016年度は状況が一変し、原料価格の更なる下落に加え、主力であるアクリル酸・高吸水性樹脂の事業環境が悪化したことも影響し、売上・利益ともに目標未達となりました。また、新規事業につきましても、育成が不十分でした。
事業の状況につきましては、上述のとおり、アクリル事業・吸水性樹脂事業の競争激化により収益性が低下していることから、収益改善・競争力強化に向けた取り組みが急務となっています。一方、新規事業の早期立ち上げ、新規製品の速やかな上市を推進するためには、研究開発部門だけではなく、顧客ニーズを拾い上げる営業部門(マーケティング力)、製品化スピードアップやコスト低減を担う製造(生産技術力)・管理部門の連携により、全社的な総合力を発揮することが不可欠となっております。
また、当社を取り巻く外部環境についても、英国のEU離脱、米国トランプ政権発足、韓台中メーカーの台頭による競争激化、原料価格・為替の大幅変動など様々な環境変化が起きており、年々厳しさを増しています。そして、世界では人口増加による資源・エネルギー・環境等の社会問題などの様々な社会変化とともに、市場ニーズも絶えず変化していることから、環境変化を予測・察知して、成長が見込まれる市場・分野をいち早く捉えることが必要となっています。
( 後半中期経営計画「新生日本触媒2020 NEXT」 )
後半中期経営計画「新生日本触媒2020 NEXT」は、前半中期経営計画の振り返り及び外部環境分析を実施した上で、『2025年のありたい姿』の実現に向けた『2020年のあるべき姿』を達成するための具体的な行動計画です。
「新生日本触媒2020 NEXT」では、『2020年のあるべき姿』の実現に向けて、「売上規模よりも収益性を重視」、「安全・安定な生産活動」を基本指針として、重要課題である「吸水性樹脂事業の死守」、「成長事業・分野へのシフト」を果たしていきます。そのために、全社のベクトルを基本姿勢である『世の中で求められる製品やサービスを創造し、タイムリーに提供する』に集中させ、企業理念「TechnoAmenity~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」を実践していきます。
また、計画実行にあたっては、社員全員が危機意識と当事者意識を持って考動(“自ら考え、行動する”)し、目標を達成していくことにより、「皆が誇れる会社※」を実現していきます。そして、本後半中期経営計画の最終の2020年度には、その先10年の当社グループの確実な成長が見通せるような状態にすることを目指してまいります。
※「皆が誇れる会社」: 1. 安全で安心して働ける会社、2. 汗を流した人が報われる会社、3. 胸を張って働いているといえる会社
[ 企業理念・経営理念、社是 ]
日本触媒グループ企業理念・経営理念、社是は堅持します。
| 日本触媒グループ 企業理念 TechnoAmenity 私たちはテクノロジーをもって 人と社会に豊かさと快適さを提供します | 社 是 「安全が生産に優先する」 |
| 経営理念 人間性の尊重を基本とします 社会との共生、環境との調和を目指します 未来を拓く技術に挑戦します 世界を舞台に活動します |
[ 2025年のありたい姿 ]
長期経営計画「新生日本触媒2020」で定めた『2025年のありたい姿』を一部再定義しました。
| 『人の暮らしに新たな価値を提供する革進※的な化学会社』 ・技術と創造力で、新しいことに挑戦し続けます ・No.1の製品や技術を増やし、グローバルに事業を行います ・最高水準の安全性と生産性を追求し続けます ・地球環境に貢献し続けます ・世界中の職場を多様性のある活気あふれる場にします ※革進:旧習・旧態を改めて、進歩を図ること(出所:大辞林) |
| セグメント: | 既存事業の強化を図りつつ、機能性化学品、新エネルギー、健康・医療、新規事業※が収益に貢献し、成長事業・分野へのシフトが進んでいる。 ※新規事業:当社未参入市場、次世代市場における新たな事業 |
| エ リ ア: | 日本国内にとどまらず、世界をマーケットとして事業展開をより一層加速している。 |
| 強 み: | 研究開発力、生産技術力、マーケティング力を掛け合わせた総合力を強みとし、経営のリーダーシップによって、その総合力を最大に引き出している。 |
[ 経営戦略 ]
後半中期経営計画「新生日本触媒2020 NEXT」では、以下の基本指針、重要課題、基本姿勢をもとに計画達成に向けて取り組んでいきます。
| 基本指針 | ・売上規模よりも収益性を重視 ・安全・安定な生産活動 |
| 重要課題 | ・吸水性樹脂事業を死守する ・成長事業・分野へのシフトを進める |
| 基本姿勢 | ・世の中で求められる製品やサービスを創造し、タイムリーに提供する |
[ 2020年のあるべき姿 ]
『2025年のありたい姿』に向けた2020年の具体的な到達点として、『2020年のあるべき姿』を長期経営計画策定時の前提条件が大きく変動したことを踏まえ、次のように再設定しました。
経営指標と数値目標
| 売上高 | 経常利益 | ROA※1 | 既存事業での 新規製品売上高※2 | 新規事業売上高 | |
| 2020年度目標 | 4,000億円 | 400億円 | 7.5% | 390億円 | 380億円 |
| ※1 ROA | : | 当社では総資産経常利益率のことを指します。当社は装置産業であること等から、従前から収益性と資産効率を重視し、売上高経常利益率と総資産回転率からなるROAをKPI(Key Performance Indicator)として、その向上に取り組んでおります。 |
| ※2 既存事業での新規製品売上高 | : | 高吸水性樹脂を除く、上市から5年以内の製品の売上高合計 |
[ 事業基本戦略 ]
『2020年のあるべき姿』に至るために各事業の基本戦略を次のとおり定めました。
| 基礎化学品 | 酸化エチレン事業 | 自社酸化エチレンプラント再編及び競合との提携等により事業基盤を強化していきます。 |
| アクリル事業 | 積極的拡販により世界トップを走るグローバルサプライヤーを目指します。 | |
| 機能性化学品 | 吸水性樹脂事業 | 戦略的パートナー顧客へ価格優位性のある差別化された製品を供給していきます。 |
| 機能性化学品事業 | 独自の高機能製品を拡販していきます。 | |
| 環境・触媒 | 新エネルギー・ 触媒事業 | 各種電池材料を競争力のある量産設備から供給・拡販していきます。 |
| 新規事業 | 健康・医療事業 | 一定分野での一貫した創薬支援サービスを提供していきます。 |
| 新規事業 | 成長市場・分野を意識し、素材売りに留まらない当社の強みを活かしたビジネスモデルの新規事業を創出していきます。 |
[ 経営資源の投入 ]
既存事業の強化、成長事業・分野へのシフトを実現するために、以下の経営資源を投入いたします。
| 設備投資 | 戦略投資 | 研究開発費 | 2020年度末人員 | |
| 2017~2020年度計画(4年累計) | 900億円 | 600億円 | 570億円 | 4,600名 |
[ 重要課題に対する施策 ]
『2020年のあるべき姿』に至るために、各事業の基本戦略を確実に遂行するとともに、重要課題に対する施策として「吸水性樹脂事業の競争力強化」「新規事業・新規製品の創出加速」に注力し、優先的に経営資源を投入していきます。
① 吸水性樹脂事業の競争力強化
吸水性樹脂事業の存続には、抜本的な収益改善・競争力強化が不可欠であり、具体的施策として、サプライチェーン全体におけるコスト削減及び新規プロセスによる設備投資額削減により、大規模コスト削減・競争力強化に取り組む「SAP※サバイバルプロジェクト」、また、研究/技術/製造人員を集中投入することによる「開発力の強化」を全社員一丸となって進めていきます。
※SAP:高吸水性樹脂(Superabsorbent polymer)
② 新規事業・新規製品の創出加速
新規事業・新規製品の創出加速に向けて、市場ニーズをより一層意識し、成長事業・分野へのシフトを図るために、抜本的に戦略転換を行います。
具体的施策としては、これまで検討してきた新規事業候補分野から、企業理念及び当社の存在価値を基本とした上で、市場性・適社性・社会性を踏まえ、①情報ネットワーク事業分野、②ライフサイエンス事業分野、③エネルギー・資源事業分野の3事業分野をターゲットに選定し、新規事業の創出を図ります。また、事業開発に力点を置いた組織体制への変革を図ります。
[ 持続的成長に向けて ]
当社グループの持続的成長に向けた経営基盤の強化のために、前半中期経営計画の振り返りも踏まえて、以下の課題に全社一丸となって取り組んでまいります。
① 人と組織の活性化
人事戦略として『2025年のありたい姿』を実現するための長期的な人材育成・確保のために、当社の『人と組織のあるべき姿』を設定しました。そして、当社の成長を支える人的リソースを確保するため、業務量低減などを目的とした各種取組みを実施してまいります。また、活発な議論やチャレンジが推奨される組織風土への変革を継続して進めてまいります。
② 社会からのより一層の信頼獲得
「社会から信頼される化学会社への再生」に向けて、より一層、安全・安定操業といった製造現場力及びコンプライアンスの強化といった社内体制を強化するとともに、多様なステークホルダーと対話を重ね、企業価値を高める持続的なCSR(企業の社会的責任)活動を実践してまいります。
③ グループ経営の強化
事業・製品の選択と集中や企業理念の浸透を実施することで、グループ各社間の連携を深め、これまで各社が蓄積してきた様々な経営資源を、より有効に活用していきます。
(3) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
ⅰ)基本方針の内容の概要
当社グループは、日本触媒グループ 企業理念「TechnoAmenity~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」のもと、「人の暮らしに新たな価値を提供する革進的な化学会社」を目標に、具体的な経営戦略を立案・遂行し、企業の競争力や収益力を向上させることにより、企業価値ひいては株主共同の利益の向上を目指しております。
これらの企業理念、経営戦略が当社株式の大規模買付行為等によってゆがめられ、結果として、当社の企業価値及び株主共同の利益が損なわれることのないように、当社は、必要な措置(買収防衛策)を講じることといたします。(定款第33~35条)
即ち、第三者から当社株式の大規模買付行為等の提案(買収提案)がなされた場合、これを受け入れるか否かの最終的な判断は、その時点における株主の皆様に委ねられるべきものと考えており、株主の皆様が買収提案について必要な情報と相当な検討期間に基づき適切な判断を行えるよう、必要なルール及び手続きを定めることといたします。
ⅱ)当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
①「中長期経営計画」による取組み
当社グループは、2014年度から2020年度の長期経営計画「新生日本触媒2020」と、その当初3年間の実行計画
である前半中期経営計画に取り組んでまいりましたが、このたび、2017年度から2020年度までの後半中期経営計画「新生日本触媒2020 NEXT」を策定・公表し、現在、この実現に向け取り組んでおります。
②コーポレート・ガバナンス強化による取組み
当社は、「TechnoAmenity~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」という日本触媒グループ 企業理念のもと、「人の暮らしに新たな価値を提供する革進的な化学会社」「社会から信頼される化学会社」「様々なステークホルダーを含めた“皆が誇れる会社”」を目指し、企業価値を高め、持続的成長を図っていきたいと考えております。
そのためには、実効性の高いコーポレート・ガバナンスの実現が重要であると捉え、株主の権利・平等性の確保と対話、様々なステークホルダーとの適切な協働、適切な情報開示と透明性の確保、取締役会・経営陣の役割・責務の適切な遂行、執行に対する適切な監督、内部統制システムの充実・強化等、コーポレート・ガバナンスの強化・充実の取り組みを行っております。
当社は、3名の社外取締役を招聘し、当社経営への有効な助言と独立した立場からの監督を行っていただくことにより、コーポレート・ガバナンス体制の強化を図っております。また、執行役員制度を導入し、経営の意思決定機能・監督機能と執行機能を分離することにより、コーポレート・ガバナンス体制の強化並びに経営意思決定及び業務遂行の迅速化を図っております。
ⅲ)基本方針に照らして不適切な者によって、当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要
当社は、平成19年6月20日開催の第95期定時株主総会において、当社の企業価値を安定的かつ継続的に維持・向上させることにより株主共同の利益を図ることを目的として、特定株主グループによる当社の議決権割合が20%以上となる当社株券等の大規模買付行為(以下、単に「大規模買付行為」といいます)に関する対応策(買収防衛策)の導入を株主の皆様にご承認いただき、平成22年6月22日開催の第98期定時株主総会及び平成25年6月20日開催の第101期定時株主総会において、この一部改定及び継続について、株主の皆様にご承認いただきました。また、平成28年6月21日開催の第104期定時株主総会において、同総会から3年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会まで同一の内容で継続することを諮り、原案どおり承認可決されました(以下、継続された当社株式の大規模買付行為に関する対応策を「本ルール」といいます)。
本ルールは、当社取締役会が、買収行為を行おうとする者(大規模買付者)に、事前に、遵守すべき手続きを提示し、必要かつ十分な時間を確保することにより、買収提案内容の検証・評価・検討後、買付情報及び当社代替案を株主の皆様に開示した上で、どちらの提案が当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に結びつくかを株主総会で、株主の皆様に直接意思表示していただくものです。ただし、例外的に、①大規模買付者が本ルールを遵守しない場合または②大規模買付行為が当社株主全体の利益を著しく損なうことが明らかであると認められる場合には、株主総会の決議によらず、当社取締役会の決議により対抗措置が発動されることとなっております。②を理由とする対抗措置の発動に関して、当社取締役会の恣意的判断を排除するために、当社の業務執行を行う経営陣から独立している独立社外取締役及び独立社外監査役(それらの補欠者を含みます)の中の3名以上から構成される外部委員会に諮問いたします。外部委員会は、当社取締役会の諮問を受けて、特定の大規模買付行為が当社株主全体の利益を著しく損なうことが明らかであるか否かの検討及び判断を行い、対抗措置の発動または不発動を当社取締役会に勧告いたします。当社取締役会は、外部委員会の勧告を最大限に尊重して、対抗措置の発動または不発動を決定いたします。
本ルールの詳細については、平成28年5月10日付ニュースリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」を、当社ウェブサイト(http://www.shokubai.co.jp/ja/)に掲載しております。
ⅳ)上記取組みについての取締役会の判断及びその判断理由
本ルールは、買収提案がなされた場合に、対抗措置(新株予約権の発行)を発動するか否かを、株主の皆様に、必要な情報と相当な検討期間に基づき判断していただくためのルール及び手続きを定めたものです。本ルールは、買収提案を受け入れるか否かの最終的な判断を当社株主の皆様に委ねることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上を図るものであり、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的にするものでもありません。以上から、本ルールが、上記「当社の財務及び事業の方針を支配するものの在り方に関する基本方針」に沿うものであると判断しております。
また、本ルールは、1回の当社株主総会における通常決議の取締役の選解任を通じて、取締役会により廃止することが可能です。また、当社の取締役の任期は1年であり、かつ、取締役の選任に関して期差任期制を採用しておりません。