有価証券報告書-第154期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/08/07 11:23
【資料】
PDFをみる
【項目】
157項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社経営の基本方針
世の中が変化しても変えてはいけない当社グループが大切にする思いを示すため、基本理念の表現を改めるとともに、サステナブル経営方針を定めました。
<基本理念>「価値共創によって人々を幸せにする会社 ~ Sustainable Value Together ~ 」
<サステナブル経営方針>・人々の豊かな生活を実現する新しい価値を創造し提供します
Sustainable Product
・全てのステークホルダーとともに地球環境と共生する循環型プロセスを構築します
Sustainable Process
・多様な社員が全員、存在感と達成感を味わいながら成長する「人間中心の経営」を
進めます
Sustainable People
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループが変わらず大切にする思いとともに、今後大胆に変えなければならないことを、2020年度を開始年度とする新長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』および新中期戦略『Accelerate 2025』で明確にいたしました。
①長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』の概要
めざすこと
・社会と人々の幸せに貢献する
・地球や人にやさしい方法で実現する
・働く人がやりがいを実感できる
四つのトリガーと注力する市場
・健康(ヘルスケア)
コスメ・健康食品・メディカル
・安全・安心(セイフティ)
モビリティ・インダストリー
・便利・快適(スマート)
ディスプレイ・IC/半導体・センシング
・環境
水処理・生分解性樹脂
成長&加速戦略
・Operation-Ⅰ 原ダイセル
現状の事業に加え注力するドメインを含めた領域
・Operation-Ⅱ 新ダイセル
既存事業の周辺領域で M&A や提携による領域拡大
・Operation-Ⅲ 新企業集団
垂直統合型のサプライチェーンに水平方向の統合を視野に入れたクロスバリューチェーン
②中期戦略『Accelerate 2025』の概要
本中期戦略は長期ビジョンで示す「原ダイセル」と「新ダイセル」の実行と「新企業集団」の実行準備を同時に進めるフェーズとして位置づけております。
1.全社戦略
クロスバリューチェーン実現に向けた取り組み
・サプライチェーンの垂直/水平方向との連携
・新企業集団を見据えた、組織変更に対して柔軟に組み替え可能なデジタルアーキテクチャの構築
事業ポートフォリオ
・「健康」・「安全・安心」・「便利・快適」・「環境」における価値提供型事業へシフト
・ビジネスユニット(BU)の特性に応じた KPI の設定とその進捗による資源配分
2.事業戦略
事業領域ごとのありたい姿と主要施策
・ヘルスケア SBU
ありたい姿
ヘルスケア分野において特徴ある素材・技術で微と健康に貢献し続ける
主要施策
コスメBU :化粧品市場でさらなら存在感のあるプレーヤーへ
健康食品BU :独自素材/エビデンスに強みを持つプレーヤーへ
・メディカル SBU
ありたい姿
キラルを中心とする低分子から、成長市場の中・高分子/バイオ製薬市場でソリューションを提供し続ける
主要施策
Analytical Tools BU :キラル事業を軸に分離・分析市場で新たな価値提供へ
Pharma Service BU :製薬市場での開発を加速させるサービスを提供する事業へ
Specialty chemical BU :医薬品開発用試薬・標品のグローバルサプライヤーへ
Biotech BU :診断市場を中心に製品・サービスを提供する事業へ
・スマート SBU
ありたい姿
快適なスマート社会に必要な技術・製品で、ソリューションを提供し続ける
主要施策
ディスプレイBU :多様化するディスプレイ市場に応えるプレイヤーへ
センシングBU :可視化技術の新たなパイオニアへ
・セイフティ SBU
ありたい姿
火工技術と自動車安全領域で培ったノウハウを土台に新たな安全安心を社会に提供し続ける
主要施策
モビリティBU :次世代モビリティの安全・安心を支える新たな価値提供へ
インダストリーBU :火工技術で創造する安全安心を更に広い領域へ
・マテリアル SBU
ありたい姿
ダイセルの原点である素材事業で培った技術で地球規模のニーズに多様なソリューションを提供し続ける
主要施策
アセチルBU :素材の力で世界中の人々のより豊かな生活を実現へ
ケミカルBU :社会変化に適応したモノづくりによるソリューションを世界へ
・エンジニアリングプラスチックセグメント
ありたい姿
持続可能な社会に向けてエンプラをはじめとする素材の力でソリューションを提供し続ける
主要施策
ポリプラスチックス :世界に認められるエンプラNo.1のSolution Providerへ
ダイセルミライズ :樹脂・化成品・ライフ分野で社会・顧客ニーズを解決へ
3.機能別戦略
事業創出力
・R(Research:ユーザー目線によるシーズの掘り起こし)と
D(Development:事業化力の強化)の自立
・Proactive IP(開発、事業化のアンテナ機能)、R、D の相互作用による事業創出
プロダクション
~現場の力を結集し、バーチャルカンパニーでパートナーに価値を提供する
・安全・品質のあくなき追及
・究極のアセットライト
・現場活躍の基盤強化
デジタルトランスフォーメーション
~あらゆる業務領域への AI、IoT の活用で働き方を改革
変える!変わる!人事
~多様な社員が存在感と達成感を味わいながら成長
4.経営目標/株主還元
2025年度ターゲット
・ROIC 10.0%
・EBITDA 1,000億円超
・営業利益 最高益更新
資本政策、株主還元
・資産効率の最大化と最適資本構成の実現
・資金調達力維持のための健全性確保
・安定的かつ連結業績を反映した配当ダイセルグループ基本理念
※上記のうち、将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において当社が合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は実際の結果とは異なる可能性があり、確実性を保証するものではありません。
(3) 経営環境及び会社の対処すべき課題
今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、サプライチェーンの分断による生産活動の低下、消費マインドの悪化による需要減少などに加え、金融・商品市場の大きな変動も予想され、さらには地政学リスクが懸念材料としてくすぶるなど、先行きは極めて不透明であり、当社グループを取り巻く環境も予断を許さないものと認識しております。今般の世界規模で拡大した新型コロナウイルス感染症が人々の生活様式や企業活動を大きく変化させましたが、そのような中にあっても、当社グループが、企業の存続基盤である安全・品質・コンプライアンスを最優先に、人にやさしいモノづくりの実現に取り組んでいくことに何ら変わりはありません。感染予防・感染拡大防止対策を徹底し、お客様への商品の安定供給と各種サービス活動を継続するとともに、このような予期せぬ環境変化にも迅速、柔軟に対応できる組織や仕組みに改革し、不透明な状況でも、業績回復と次の成長に向けた取り組みを強力に推進してまいります。