訂正有価証券報告書-第119期(2018/04/01-2019/03/31)

【提出】
2024/06/24 15:23
【資料】
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【項目】
149項目
(2)株式会社の支配に関する基本方針
1.当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えております。当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様の全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。
しかしながら、当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付の条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、当社の企業価値および株主共同の利益を毀損するものもありえます。
このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。
2.基本方針の実現に資する取り組み
<中長期的な会社の経営方針>アイカグループは、「挑戦と創造」を社是に掲げ、「共生の理念のもと、たえざる革新により新しい価値を創造し、社会に貢献してまいります」との経営理念のもと、以下の項目を経営方針と定め経営を進めています。
[経営方針]
①化学とデザイン
化学とデザインの力で独創性のある商品をつくり、豊かな社会の実現に貢献します。
②グループシナジー
技術・素材連携やチャネル活用を追求し、グループシナジーを創出します。
③No.1
事業分野や地域におけるNo.1商品を拡充します。
④グローバル
海外における生産・販売拠点と人材の充実を図り、グローバル市場で持続的な成長を目指します。
⑤人材と組織
人材を最も重要な経営資源と捉え、相互理解と成長を通じ、活力あふれる人材・組織を形成します。
⑥コンプライアンス経営
法令や社会秩序を守り、公正で透明性の高いコンプライアンス経営を実践します。
⑦安心・安全への約束
ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、「信頼される品質の確保」や「環境に配慮した事業活動」を推進します。
以上の経営方針のもと、2017年4月から新たに中期4ヵ年計画をスタートさせました。連結売上高2,000億円、連結経常利益220億円、ROE10%以上、海外売上比率35%以上という目標を達成するために、①AS商品(※1)群の拡充による国内基幹事業の成長持続、②次世代を担う注力分野の育成・投資、③ジャパンテクノロジーの海外展開、に注力いたします。また、C&C活動(※2)を通じた社員一人ひとりの成長、QEOマネジメント(※3)とIT基盤刷新によるCS・ES(※4)向上、コンプライアンス遵守、を重点方針に掲げ、成長を支える経営基盤を強化し、株主・顧客などのステークホルダーから絶大の信頼を得られるよう取り組んでまいります。
※1 AS商品
AICA Solution商品の略。様々な社会課題(インフラ老朽化・高齢化・環境・安全・人手不足など)を解決する商品
※2 C&C活動
挑戦と創造(Challenge & Creation)の精神のもと、製品・サービス・仕事などの質の管理・改善を行う小集団活動。1977年から行っている
※3 QEOマネジメント
品質(Quality)・環境(Environment)・労働安全衛生(Occupation health and safety)、三位一体のマネジメントシステム
※4 CS・ES
CSは顧客満足度、ESは従業員満足度を表す
<コーポレート・ガバナンス(企業統治)の推進>当社は「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化」を通じて、グループ会社とともに企業価値および株主共同の利益の確保・向上を実現させていきたいと考えています。
①基本規程として「行動規範」を策定し、企業理念の精神を具体化した役員および社員の「行動指針」として定めています。更に、全社横断組織として「企業倫理委員会」を設置するなど企業統治に関する組織、規程を充実させ、企業の透明性、効率性、健全性を向上すべく推進しています。
②経営の体制として、業務執行と監督機能区分を明確化するため、執行役員制度を導入しております。取締役会は、経営の透明性・客観性を確保するため社外取締役を含む取締役にて構成しております。監査役会は、監査役監査の透明性、公平性を確保するため社外監査役を含む監査役にて構成しております。また、任意の諮問委員会として、社外役員を主な構成員とする「ガバナンス委員会」を設置し、企業の持続的な成長と統治機能の更なる充実を目指しています。
当社では多数の投資家の皆様に長期的に当社に投資を継続していただくため、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、以上のような施策を実施しております。
3.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みとして、当社は「大規模買付ルール」を設定し、また当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうような大規模買付行為への対抗措置(買収防衛策)を導入いたしました。
当社が設定する大規模買付ルールとは、①事前に大規模買付者に取締役会に対する必要かつ十分な情報の提供を求め、②取締役会による一定の評価期間が経過した後にはじめて大規模買付行為が開始される、というものです。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、原則として、当該買付提案についての反対意見の表明あるいは代替案の提示により株主の皆様を説得するに留め、当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。大規模買付者の買付提案に応じるか否かは、株主の皆様において、当該買付提案および当社が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等をご考慮の上、ご判断いただくことになります。
(1)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合
大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が以下①~⑤のいずれかに該当し、その結果として当該大規模買付行為が会社に回復し難い損害をもたらすなど当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうと当社取締役会が判断する場合には、第三者委員会の勧告を十分に尊重したうえで、例外的に当該大規模買付行為に対する対抗措置をとることがあります。
①真に当社の経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的の大規模買付行為(いわゆるグリーンメーラーである場合)
②当社の経営を一時的に支配して当社の事業経営上必要な知的財産権・ノウハウ・企業秘密情報・主要取引先や顧客等を当該大規模買付者やそのグループ会社等に移譲させるなど、いわゆる焦土化経営を行う目的の大規模買付行為
③当社の経営を支配した後に、当社の資産を当該大規模買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定の大規模買付行為
④当社の経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない不動産、有価証券など高額資産等を売却処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的な高配当による株価の急上昇の機会を狙って株式の高値売り抜けをする目的の大規模買付行為
⑤大規模買付者の提案する当社株式の買付方法が、いわゆる強圧的二段階買収(最初の買付条件よりも二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは二段階目の買付条件を明確にしないで、公開買付等の株式の買付を行うことをいいます)等の、株主の判断の機会または自由を制約し、事実上、株主に当社の株式の売却を強要するおそれがある大規模買付行為
(2)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合
大規模買付者が意向表明書を提出しない場合、大規模買付者が取締役会評価期間の経過前に大規模買付行為を開始する場合、大規模買付者が大規模買付ルールに従った十分な情報提供を行わない場合、またはその他大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益を守ることを目的として、第三者委員会の勧告を十分に尊重した上で、当該大規模買付行為に対する対抗措置をとる場合があります。
4.上記2および3の取り組みが会社支配に関する基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではないこと、会社役員の地位の維持を目的とするものでないことおよびその理由
当社株式に対する大規模買付行為がなされた場合に、当該大規模買付に応じるか否かを株主の皆様がご判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保し、株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上を目的として、買収防衛策を導入するものであり、上記1に述べた会社支配に関する基本方針に沿うものです。
また、取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止し、その判断の客観性および公正性を担保するための仕組みとして、第三者委員会を設置しています。
第三者委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役、社外監査役および社外有識者の中から選任される委員3名以上により構成されます。
また、第三者委員会の判断の概要については、適時適切に株主および投資家の皆様に情報開示を行うこととし、当社の企業価値および株主共同の利益に適うように透明な運営が行われる仕組みが確保されています。

(注)当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の非継続(廃止)について
当社は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の観点から、「当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下「基本方針」といいます)を定めるとともに、基本方針に照らして不適切な者による支配を防止するための取り組みとして、本プランを導入してまいりました。
また、本プランの導入以降においても、「アイカ10年ビジョン」と中期経営計画「C&C2000」の策定やその着実な実行による企業価値の向上、増配などの株主還元の充実、コーポレートガバナンスの強化に積極的に取り組んでまいりました。
さらに、経営環境の変化、買収防衛策をめぐる最近の動向、株主の皆様のご意見等を踏まえ、ガバナンス委員会や取締役会で本プランの継続の必要性を慎重に検討してまいりました。
その結果、本プランを継続する必要性が相対的に低下してきているものと判断し、2018年12月4日開催の取締役会において、本プランを継続せず、有効期間が満了する2019年6月開催の第119回定時株主総会終結の時をもって廃止することを決議いたしました。
なお、当社は、本プラン廃止後も引き続き、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に取り組むとともに、当社株式の大規模買付を行おうとする者に対しては、株主の皆様が大規模買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間の確保に努め、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。