有価証券報告書-第23期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」ことを企業グループ理念として掲げ、経済軸、環境軸、社会軸が結びついた社会課題解決への取り組みにより、事業活動を通じた社会貢献を目指しております。また、目指すべき企業グループ像として、「絶えず革新による成長を追求し、グローバルに存在感のある化学企業グループ」を掲げております。
2025年度を見据えた長期経営計画では、「環境と調和した共生社会」、「健康・安心な長寿社会」及び「地域と調和した産業基盤」の実現を当社グループが貢献すべき社会課題と捉え、「モビリティ」、「ヘルスケア」、「フード&パッケージング」、「次世代事業/新事業開発」及び「基盤素材」の5つの事業領域において、より良い未来社会の実現に向けて取り組みます。
顧客起点イノベーションの追求、グループ・グローバル経営の強化及び既存事業の競争力強化といった基本戦略を推進するとともに、成長投資及び研究開発費を積極的に拡大することによって、2025年度には次の経営目標(連結)の実現を目指してまいります。
また、中期ベースの経営計画に関しては、毎年の予算策定時に向こう3ヵ年の事業計画の見直しを行うというローリング方式を採用しています。社会環境の変化が急速かつ大きくなる中で、長期的な視野を持ちつつ、経営の環境適応性を高め、戦略推進を加速してまいります。
このような経営ビジョン及び経営計画のもと、2020年度において、当社は、次のように経営環境を認識し、重点課題に取り組んでまいります。
<経営環境>2020年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、経済活動は大きく縮小すると見られ、一部の国・地域によってはリーマンショックを大きく下回る成長率となる可能性があると見込まれます。
日本経済においても、新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済と同様に経済活動は大きく縮小し、極めて厳しい状況が続くと見込まれます。
化学工業界においては、世界的に極めて厳しい経済環境による需要の縮小、ナフサや化学製品の市況の変動に留意すべき状況が継続することが見込まれます。
<重点課題>(経済軸)
・成長3領域の拡大・成長
・拡大・成長、グループ・グローバル経営の基盤強化に向けた資源投入の優先順位付けによる選択と集中
・次世代の新事業の育成・新製品創出の加速
・基盤素材事業の更なる競争力強化
(社会・環境軸)
・事故・トラブルの根絶、全社を挙げた安全確保の徹底
・グループ全体でのコンプライアンスの取り組み強化
・ESG要素の経営・戦略への取り込み強化
<新型コロナウイルス感染症の影響への対応>当社は、かかる経営環境の悪化を受けて、需要動向の見極めや、原料調達・製品出荷などのサプライチェーンの確保を行いつつ、在庫や売掛債権・買掛債務管理の徹底、不要・不急な支出の抑制、借入枠の増大や手元資金の確保など、キャッシュ・フローに注視した対応に、当面は注力してまいります。
また、当社は、社員及び関係者の感染リスク低減のための必要な措置(テレワーク勤務や時差出勤等)を講じ、会社の機能維持及び工場の安全・安定運転の確保に努めております。
さらに、当社は、医療従事者支援のため、入手が困難な状況となっている医療用ガウン(アイソレーションガウン)の原料である不織布について、100%子会社であるサンレックス工業株式会社の製造ラインを活用し、月産1,000万枚分以上の生産体制を確立し、供給を開始しました。
引き続き、事業継続及び社会貢献の両面から、新型コロナウイルス感染症への対応を継続してまいります。
このような情勢のもと、2020年度の当社グループの業績は、下表のとおりとなることを予想しております。
以下の予想は、新型コロナウイルス感染症の影響が上期中にピークを迎え、その後徐々に回復が見込まれる
こと及び原油価格の大幅な下落を前提として作成しております。
※当社は2020年度より国際財務報告基準(IFRS)を適用する予定です。そのため2020年度の業績予想はIFRSに基づき作成しており、カッコ内の名称はIFRSに基づく名称を記載しております。コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因(事業撤退や縮小から生じる損失等)により発生した損益を除いて算出しております。
足下では、新型コロナウイルス感染症による影響を受けて事業環境は厳しく、2020年度の業績は非常に厳しいものになると予測しています。一方で、感染拡大防止に向けて化学産業が果たすべき貢献、そして、その役割の重要性は益々広く認識されています。
今後はポスト・コロナ社会における「新しい生活様式」の定着、需要構造、サプライチェーンの変化など、世の中のあり方が大きく変わっていくことが考えられますが、このような変化の時にこそ、化学の総合力、既成概念に捉われない前向きな思考と実行力で、当社グループの新たなステージを築き上げてまいります。
(2) 事業領域ごとの環境分析及び戦略
① モビリティ
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大に伴い、自動車メーカーの生産活動は世界各地において減産や停止の対応を余儀なくされている他、世界経済の低迷によって自動車需要の低下も懸念されるなど足下の市場環境は不透明感が増しています。一方で環境保護意識の高まりに伴う燃費向上ニーズや電動化へのシフトは年々進行し、電装化・快適性の向上といった多様化した新たなニーズを生み出しています。当社では、自動車を中心としたあらゆる種類の人・モノの移動手段を「モビリティ」と定義しています。そのモビリティ領域において新型コロナウイルス感染症による当社事業への影響を最小限に抑制すべく適切かつスピーディーに対応しつつ、多様化するニーズに対応したソリューションの提供と個々の事業の競争力強化を通じて持続的な成長を実現していきます。
(主要製品)
エラストマー、機能性コンパウンド、機能性ポリマー(ICT関連用途中心)、ポリプロピレン・コンパウンド、ソリューション事業等において、モビリティにおける軽量化、燃費向上、電動化、自動化等のためのソリューションを提供しています。
自動車のバンパーに用いられるポリプロピレン・コンパウンドは、世界シェア2位、アジアシェア1位を誇っています。独自の配合レシピや原料に遡り樹脂そのものを設計する技術を強みとして保有しており、顧客の高い評価を得ています。
(強み)
・幅広い材料ラインアップ
・高い技術力と品質
・顧客基盤
・技術サービス
・バリューチェーンを通じたトータルソリューション提案力
(基本戦略)
・軽量化・電池材料トレンドを事業機会拡大につなげる
・自動車とICTの融合を事業機会につなげる
・自動車の開発初期段階からニーズを先取りすることで提案力を高める
(当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の影響及び来期の見通し)
・当連結会計年度:10億円程度の減益
・来期の見通し:グローバル自動車生産減速(△20%)を見込む
当社ICT用途への影響は軽微
②ヘルスケア
先進国の少子・高齢化や新興国の経済成長に加え、足下の新型コロナウイルス感染症拡大への対策など、「健康」への関心が増大しています。顧客価値も多様化し、個々人の志向やニーズが高まり、また、ライフスタイルに応じたケアが求められるようになってきています。当社は、生活の質(QOL)向上に資する製品・サービスをケミカルイノベーションにより創出・提供し、当社グループの新たな成長基盤を確立していきます。
(主要製品)
ビジョンケア材料、不織布、歯科材料、パーソナルケア材料を事業展開しています。
低屈折率から高屈折率まで、幅広く展開しているメガネレンズ材料は、当社グループにて、世界シェア45%を占めています。また、当社グループの技術を駆使して開発した柔らかく伸縮性に優れた不織布は、「快適性・フィット性」といった高機能化が求められるプレミアム紙おむつのニーズを捉え高い評価を得ています。
(強み)
ビジョンケア材料
・幅広い製品ラインアップ
不織布
・原料樹脂から加工まで一貫した技術力
歯科材料
・グローバルでのブランド力
・素材から歯科材料までの研究開発力
(基本戦略)
・成長需要の着実な獲得による既存事業の拡大
・QOL向上に資する新製品・新事業の開発加速
・M&A・提携による事業基盤の拡大・強化
(個別戦略)
ビジョンケア材料
・新製品の上市・育成によるさらなる事業拡大
不織布
・顧客との戦略連携によるフル生産・フル販売
歯科材料
・デジタル化を支援・推進する製品投入による事業拡大
(当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の影響及び来期の見通し)
・当連結会計年度:5億円程度の減益
・来期の見通し:ビジョンケア材料は、中国、欧州、その他各国での眼鏡小売店の休業により、一時的に需要減少したが、徐々に回復傾向
不織布は、マスク、医療用ガウン等の特需、おむつ需要回復
歯科診療の減少による歯科材料需要減
③フード&パッケージング
人口の増加や気候変動など地球規模の深刻な課題に対し、農産物の安定生産・収量向上やフードロス・廃棄削減が求められています。加えて、プラスチック問題など循環型社会への対応が今や喫緊の課題となっています。当社は、顧客起点型イノベーションを通じて、農業・食品・パッケージングに関わる製品とサービスを提供し、会社・組織の枠を超えた情報・技術・顧客関係の最大活用により、当社グループの持続的な成長を牽引します。
(主要製品)
農業化学品、コーティング・機能材、機能性フィルム・シートを事業展開しています。半導体製造において、シリコンウェハ研削時の表面保護テープとして用いられるイクロステープ®は、世界シェア1位です。主要競合メーカーの中で唯一の樹脂製造・加工メーカーであり、樹脂設計・製膜加工技術に強みを有しています。
(強み)
・幅広い製品ラインアップ
・独自性の高い研究開発と生産技術
・アジアを中心とする海外展開
・迅速なレスポンスを通じた顧客基盤
(基本戦略)
・高付加価値製品へのシフトによる事業ポートフォリオ強化
・海外成長市場の取り込みによる事業拡大
・社内外との連携を通じた新製品・新事業の創出と環境ニーズへの対応
(個別戦略)
農業化学品
・アジア、南米市場の成長取り込み
・農薬周辺領域(防疫分野)の強化
コーティング・機能材
・アジア市場の成長取り込み
・環境対応製品のグローバル展開
・高機能品の実需化加速
機能性フィルム・シート
・製品ポートフォリオ転換による事業基盤強化
・ICT分野におけるシェア維持・拡大
(当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の影響及び来期の見通し)
・当連結会計年度:5億円程度の減益
・来期の見通し:総じて影響は軽微
パッケージング分野は巣篭り需要で堅調
半導体向けは上期減販を見込む。下期回復へ
④基盤素材
石化・基礎化学品を中心とする基盤素材事業は、自動車、住宅、家電、インフラ、食品包装をはじめ、様々な分野に素材提供を行っています。特徴のある技術と付加価値製品群の拡大、さらなるコスト競争力強化により、アジアで存在感を示し、安定した収益を確保し、当社グループの基盤事業を目指します。
事業再構築の着実な実行により、収益構造は改善しています。一方、基礎原料エチレンについては、さらなる競争力強化を図りつつ、エボリュー®に代表される高付加価値系ポリマーの拡販を通じ稼働の安定、採算性向上を進めています。事業を取り巻く環境は不透明で変化は大きいものの、徹底した合理化を推進し、差別化製品の拡充や地産地消化による高稼働率維持など、さらなる事業の深化を図り、市況・需給等の変動を受け難い、安定した収益基盤を築き上げていきます。
(主要製品)
エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、触媒、フェノール類、高純度テレフタル酸、ペット樹脂、ポリウレタン材料、工業薬品等において、事業展開しています。
当社のナフサクラッカーにおいて、ナフサを熱分解してエチレン、プロピレン等の基礎原料を生産し、さらに付加価値を高めた様々な製品を生産しています。海外の専門機関から、当社のナフサクラッカーは、アジアの新規大型クラッカーと比較して遜色なく、高いエネルギー効率を有しているとの評価を得ており、これが基盤素材以外の高付加価値製品群も含めた誘導品における競争力の源泉となっております。
(強み)
・世界トップクラスの競争力を有するナフサクラッカー
・メタロセンをはじめとするポリオレフィン触媒技術
・特長ある差別化製品
・高機能ポリオールをベースとしたウレタンシステムハウス事業のグローバル展開
(基本戦略)
・事業再構築の完遂とコスト競争力強化
・特長ある付加価値誘導品の拡大
・海洋プラスチック、プラスチック循環等の環境課題等への積極的な対応
(当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の影響及び来期の見通し)
・当連結会計年度:20億円程度の減益
・来期の見通し:ナフサ価格急落による在庫評価損
需要に応じた柔軟なクラッカー稼働を実施する。
(1) 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」ことを企業グループ理念として掲げ、経済軸、環境軸、社会軸が結びついた社会課題解決への取り組みにより、事業活動を通じた社会貢献を目指しております。また、目指すべき企業グループ像として、「絶えず革新による成長を追求し、グローバルに存在感のある化学企業グループ」を掲げております。
2025年度を見据えた長期経営計画では、「環境と調和した共生社会」、「健康・安心な長寿社会」及び「地域と調和した産業基盤」の実現を当社グループが貢献すべき社会課題と捉え、「モビリティ」、「ヘルスケア」、「フード&パッケージング」、「次世代事業/新事業開発」及び「基盤素材」の5つの事業領域において、より良い未来社会の実現に向けて取り組みます。
顧客起点イノベーションの追求、グループ・グローバル経営の強化及び既存事業の競争力強化といった基本戦略を推進するとともに、成長投資及び研究開発費を積極的に拡大することによって、2025年度には次の経営目標(連結)の実現を目指してまいります。
| 2025年度長期経営目標 | 積極的な経営資源の投入 | ||||
| 営業利益 | 2,000億円 | 成長投資 10年間で1兆円 うち戦略投資 4,000億円 | 研究開発費 2025年度に700億円 2016年度比約2倍 | ||
| 売上高 | 20,000億円 | ||||
| 売上高営業利益率 (ROS) | 10% | ||||
| 自己資本利益率 (ROE) | 10%以上 | ||||
| Net D/E | 0.8以下 | ||||
| 投下資本利益率 (ROIC) | 8%以上 | ||||
また、中期ベースの経営計画に関しては、毎年の予算策定時に向こう3ヵ年の事業計画の見直しを行うというローリング方式を採用しています。社会環境の変化が急速かつ大きくなる中で、長期的な視野を持ちつつ、経営の環境適応性を高め、戦略推進を加速してまいります。
このような経営ビジョン及び経営計画のもと、2020年度において、当社は、次のように経営環境を認識し、重点課題に取り組んでまいります。
<経営環境>2020年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、経済活動は大きく縮小すると見られ、一部の国・地域によってはリーマンショックを大きく下回る成長率となる可能性があると見込まれます。
日本経済においても、新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済と同様に経済活動は大きく縮小し、極めて厳しい状況が続くと見込まれます。
化学工業界においては、世界的に極めて厳しい経済環境による需要の縮小、ナフサや化学製品の市況の変動に留意すべき状況が継続することが見込まれます。
<重点課題>(経済軸)
・成長3領域の拡大・成長
・拡大・成長、グループ・グローバル経営の基盤強化に向けた資源投入の優先順位付けによる選択と集中
・次世代の新事業の育成・新製品創出の加速
・基盤素材事業の更なる競争力強化
(社会・環境軸)
・事故・トラブルの根絶、全社を挙げた安全確保の徹底
・グループ全体でのコンプライアンスの取り組み強化
・ESG要素の経営・戦略への取り込み強化
<新型コロナウイルス感染症の影響への対応>当社は、かかる経営環境の悪化を受けて、需要動向の見極めや、原料調達・製品出荷などのサプライチェーンの確保を行いつつ、在庫や売掛債権・買掛債務管理の徹底、不要・不急な支出の抑制、借入枠の増大や手元資金の確保など、キャッシュ・フローに注視した対応に、当面は注力してまいります。
また、当社は、社員及び関係者の感染リスク低減のための必要な措置(テレワーク勤務や時差出勤等)を講じ、会社の機能維持及び工場の安全・安定運転の確保に努めております。
さらに、当社は、医療従事者支援のため、入手が困難な状況となっている医療用ガウン(アイソレーションガウン)の原料である不織布について、100%子会社であるサンレックス工業株式会社の製造ラインを活用し、月産1,000万枚分以上の生産体制を確立し、供給を開始しました。
引き続き、事業継続及び社会貢献の両面から、新型コロナウイルス感染症への対応を継続してまいります。
このような情勢のもと、2020年度の当社グループの業績は、下表のとおりとなることを予想しております。
以下の予想は、新型コロナウイルス感染症の影響が上期中にピークを迎え、その後徐々に回復が見込まれる
こと及び原油価格の大幅な下落を前提として作成しております。
| 2020年度連結業績予想 | 2019年度連結業績 | ||
| 売上高 (※売上収益) | (億円) | 11,450 | 13,390 |
| 営業利益 (※コア営業利益) | (億円) | 350 | 716 |
| 経常利益 (※営業利益) | (億円) | 370 | 655 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 (※親会社の所有者に帰属する当期利益) | (億円) | 200 | 379 |
※当社は2020年度より国際財務報告基準(IFRS)を適用する予定です。そのため2020年度の業績予想はIFRSに基づき作成しており、カッコ内の名称はIFRSに基づく名称を記載しております。コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因(事業撤退や縮小から生じる損失等)により発生した損益を除いて算出しております。
足下では、新型コロナウイルス感染症による影響を受けて事業環境は厳しく、2020年度の業績は非常に厳しいものになると予測しています。一方で、感染拡大防止に向けて化学産業が果たすべき貢献、そして、その役割の重要性は益々広く認識されています。
今後はポスト・コロナ社会における「新しい生活様式」の定着、需要構造、サプライチェーンの変化など、世の中のあり方が大きく変わっていくことが考えられますが、このような変化の時にこそ、化学の総合力、既成概念に捉われない前向きな思考と実行力で、当社グループの新たなステージを築き上げてまいります。
(2) 事業領域ごとの環境分析及び戦略
① モビリティ
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大に伴い、自動車メーカーの生産活動は世界各地において減産や停止の対応を余儀なくされている他、世界経済の低迷によって自動車需要の低下も懸念されるなど足下の市場環境は不透明感が増しています。一方で環境保護意識の高まりに伴う燃費向上ニーズや電動化へのシフトは年々進行し、電装化・快適性の向上といった多様化した新たなニーズを生み出しています。当社では、自動車を中心としたあらゆる種類の人・モノの移動手段を「モビリティ」と定義しています。そのモビリティ領域において新型コロナウイルス感染症による当社事業への影響を最小限に抑制すべく適切かつスピーディーに対応しつつ、多様化するニーズに対応したソリューションの提供と個々の事業の競争力強化を通じて持続的な成長を実現していきます。
(主要製品)
エラストマー、機能性コンパウンド、機能性ポリマー(ICT関連用途中心)、ポリプロピレン・コンパウンド、ソリューション事業等において、モビリティにおける軽量化、燃費向上、電動化、自動化等のためのソリューションを提供しています。
自動車のバンパーに用いられるポリプロピレン・コンパウンドは、世界シェア2位、アジアシェア1位を誇っています。独自の配合レシピや原料に遡り樹脂そのものを設計する技術を強みとして保有しており、顧客の高い評価を得ています。
(強み)
・幅広い材料ラインアップ
・高い技術力と品質
・顧客基盤
・技術サービス
・バリューチェーンを通じたトータルソリューション提案力
(基本戦略)
・軽量化・電池材料トレンドを事業機会拡大につなげる
・自動車とICTの融合を事業機会につなげる
・自動車の開発初期段階からニーズを先取りすることで提案力を高める
(当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の影響及び来期の見通し)
・当連結会計年度:10億円程度の減益
・来期の見通し:グローバル自動車生産減速(△20%)を見込む
当社ICT用途への影響は軽微
②ヘルスケア
先進国の少子・高齢化や新興国の経済成長に加え、足下の新型コロナウイルス感染症拡大への対策など、「健康」への関心が増大しています。顧客価値も多様化し、個々人の志向やニーズが高まり、また、ライフスタイルに応じたケアが求められるようになってきています。当社は、生活の質(QOL)向上に資する製品・サービスをケミカルイノベーションにより創出・提供し、当社グループの新たな成長基盤を確立していきます。
(主要製品)
ビジョンケア材料、不織布、歯科材料、パーソナルケア材料を事業展開しています。
低屈折率から高屈折率まで、幅広く展開しているメガネレンズ材料は、当社グループにて、世界シェア45%を占めています。また、当社グループの技術を駆使して開発した柔らかく伸縮性に優れた不織布は、「快適性・フィット性」といった高機能化が求められるプレミアム紙おむつのニーズを捉え高い評価を得ています。
(強み)
ビジョンケア材料
・幅広い製品ラインアップ
不織布
・原料樹脂から加工まで一貫した技術力
歯科材料
・グローバルでのブランド力
・素材から歯科材料までの研究開発力
(基本戦略)
・成長需要の着実な獲得による既存事業の拡大
・QOL向上に資する新製品・新事業の開発加速
・M&A・提携による事業基盤の拡大・強化
(個別戦略)
ビジョンケア材料
・新製品の上市・育成によるさらなる事業拡大
不織布
・顧客との戦略連携によるフル生産・フル販売
歯科材料
・デジタル化を支援・推進する製品投入による事業拡大
(当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の影響及び来期の見通し)
・当連結会計年度:5億円程度の減益
・来期の見通し:ビジョンケア材料は、中国、欧州、その他各国での眼鏡小売店の休業により、一時的に需要減少したが、徐々に回復傾向
不織布は、マスク、医療用ガウン等の特需、おむつ需要回復
歯科診療の減少による歯科材料需要減
③フード&パッケージング
人口の増加や気候変動など地球規模の深刻な課題に対し、農産物の安定生産・収量向上やフードロス・廃棄削減が求められています。加えて、プラスチック問題など循環型社会への対応が今や喫緊の課題となっています。当社は、顧客起点型イノベーションを通じて、農業・食品・パッケージングに関わる製品とサービスを提供し、会社・組織の枠を超えた情報・技術・顧客関係の最大活用により、当社グループの持続的な成長を牽引します。
(主要製品)
農業化学品、コーティング・機能材、機能性フィルム・シートを事業展開しています。半導体製造において、シリコンウェハ研削時の表面保護テープとして用いられるイクロステープ®は、世界シェア1位です。主要競合メーカーの中で唯一の樹脂製造・加工メーカーであり、樹脂設計・製膜加工技術に強みを有しています。
(強み)
・幅広い製品ラインアップ
・独自性の高い研究開発と生産技術
・アジアを中心とする海外展開
・迅速なレスポンスを通じた顧客基盤
(基本戦略)
・高付加価値製品へのシフトによる事業ポートフォリオ強化
・海外成長市場の取り込みによる事業拡大
・社内外との連携を通じた新製品・新事業の創出と環境ニーズへの対応
(個別戦略)
農業化学品
・アジア、南米市場の成長取り込み
・農薬周辺領域(防疫分野)の強化
コーティング・機能材
・アジア市場の成長取り込み
・環境対応製品のグローバル展開
・高機能品の実需化加速
機能性フィルム・シート
・製品ポートフォリオ転換による事業基盤強化
・ICT分野におけるシェア維持・拡大
(当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の影響及び来期の見通し)
・当連結会計年度:5億円程度の減益
・来期の見通し:総じて影響は軽微
パッケージング分野は巣篭り需要で堅調
半導体向けは上期減販を見込む。下期回復へ
④基盤素材
石化・基礎化学品を中心とする基盤素材事業は、自動車、住宅、家電、インフラ、食品包装をはじめ、様々な分野に素材提供を行っています。特徴のある技術と付加価値製品群の拡大、さらなるコスト競争力強化により、アジアで存在感を示し、安定した収益を確保し、当社グループの基盤事業を目指します。
事業再構築の着実な実行により、収益構造は改善しています。一方、基礎原料エチレンについては、さらなる競争力強化を図りつつ、エボリュー®に代表される高付加価値系ポリマーの拡販を通じ稼働の安定、採算性向上を進めています。事業を取り巻く環境は不透明で変化は大きいものの、徹底した合理化を推進し、差別化製品の拡充や地産地消化による高稼働率維持など、さらなる事業の深化を図り、市況・需給等の変動を受け難い、安定した収益基盤を築き上げていきます。
(主要製品)
エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、触媒、フェノール類、高純度テレフタル酸、ペット樹脂、ポリウレタン材料、工業薬品等において、事業展開しています。
当社のナフサクラッカーにおいて、ナフサを熱分解してエチレン、プロピレン等の基礎原料を生産し、さらに付加価値を高めた様々な製品を生産しています。海外の専門機関から、当社のナフサクラッカーは、アジアの新規大型クラッカーと比較して遜色なく、高いエネルギー効率を有しているとの評価を得ており、これが基盤素材以外の高付加価値製品群も含めた誘導品における競争力の源泉となっております。
(強み)
・世界トップクラスの競争力を有するナフサクラッカー
・メタロセンをはじめとするポリオレフィン触媒技術
・特長ある差別化製品
・高機能ポリオールをベースとしたウレタンシステムハウス事業のグローバル展開
(基本戦略)
・事業再構築の完遂とコスト競争力強化
・特長ある付加価値誘導品の拡大
・海洋プラスチック、プラスチック循環等の環境課題等への積極的な対応
(当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の影響及び来期の見通し)
・当連結会計年度:20億円程度の減益
・来期の見通し:ナフサ価格急落による在庫評価損
需要に応じた柔軟なクラッカー稼働を実施する。