有価証券報告書-第148期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 15:30
【資料】
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【項目】
145項目

研究開発活動

新日本理化は、今年度100年の節目を迎えました。当社グループはもの創りを通して広く社会の発展に貢献することを経営理念として、次の100年に向けた新規事業の創出を目指し、「開発スピードアップとコア技術の進化」と
「革新的な次世代製造プロセスの開発」を経営計画基本方針に掲げ、当社が保有する水素化、エステル化を筆頭とするコア技術を用いた各事業・用途分野毎のテーマ探索と事業化の促進を図るとともに、コア技術の深化と新たにコアとなる製造技術の開発に邁進しています。
今後は、けいはんな地区で建設中の「京都R&Dセンター」竣工に向け、従来の枠にとらわれない研究開発テーマの創出および優先開発テーマへの研究資源の重点投入により、市場変化に機敏に対応し、次世代高付加価値製品の早期創出を図って行きます。
当連結会計年度における研究開発費の総額は730百万円となっております。なお、当社グループは単一セグメント
であるため、セグメント別の記載は省略しております。
オレオケミカル製品では、非石油系の自然原料を利用した環境配慮型の製品開発に重点をおき、顧客ニーズに密接に対応した研究開発を進めております。皮膚刺激の少ないアミノ酸系両性界面活性剤を基調とした独自処方の研究成果をシャンプー、ボディソープなど化粧品に利用しています。また、これまでの製造技術を見直し、安定でかつ高品質な製品供給体制をさらに強化しています。
可塑剤では、お客様との連携を強化し、医療用新規可塑剤の採用・上市に向けた開発を進めております。高機能フタレート可塑剤については実機試験生産を経て、お客様の要望に合わせて納入できる体制を整えました。また、DOP、DINPなど既存の汎用可塑剤をご使用いただいているお客様に対しても、法対応、環境問題に対する情報の提供
や技術課題に対する技術サービスの提供を通して、共に解決を図っております。さらに、塩ビ用可塑剤の開発に加
え、エンプラ、バイオプラ、シーリング用途に対応できる改質剤の開発にも着手し、幅広い分野に対応できる樹脂改
質剤開発に取り組んでおります。
機能性化学品では、各種水素化製品、高機能オイル、樹脂原料および樹脂添加剤を重点開発分野として、素材の提供から開発を一歩進め、顧客ニーズにマッチする機能・性能を発揮するパフォーマンスケミカルズへの展開を強化・推進しております。水素化製品としては、コア技術である選択水素化技術と分離精製技術を組み合わせることにより立体構造を制御した脂環式化合物を種々提案しており、液晶パネルなどの電子材料原料や環境対応型ポリオレフィン用重合触媒原料として採用いただいています。また自社製品の拡大のみならず、受託水素化にも積極的に取り組みを行い数百kgから数百tレベルに対応できる環境を整えています。
高機能オイル製品のHDD用流動軸受油は、急速に進んでいるビッグデータ化に必要なサーバー向けHDD用として高評価を受け新たな市場が広がっています。今後は、電気自動車向け駆動オイルや、各種耐熱オイルの開発などを進めてまいります。
樹脂原料製品は、エポキシ樹脂の薄膜硬化を可能にした固体の不揮発性酸無水物リカシッドTBN-100がお客様での評価が進み採用に向けての技術支援を継続的に実施しています。またお客様の要望を聞きながら新たな製品の検討も開始しています。
樹脂添加剤は、ポリプロピレンの低温加工時の透明性を高めた新規透明化核剤RiKAFAST EDXおよびEDXPの拡販を進めています。透明性向上、低温加工によるエネルギーコストの抑制が特徴であり、透明性と環境にやさしい点が特に海外のお客様から評価されています。
これら市場投入した新製品の更なる改良などを進め、早期業績への寄与を目指し開発促進を図ってまいります。