有価証券報告書-第118期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)企業理念、行動指針、必達
当社グループでは、創業者である高橋 義博が1968年に制定した<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、役職員で毎朝唱和することにより、<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。
<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境の変化をみたとき、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における当社の連環という視点に不十分さをぬぐえない状況にありました。
そのため、2015年12月開催の当社取締役会において、<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。
これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。
これらを踏まえ、当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行い、社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。
<企業理念>・人に興味を持とう
・新しいことに興味を持とう
・未来に興味を持とう
<行動指針>人間は面白い。
その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。
全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。
人に興味を持とう。
新しいことはワクワクする。
技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。
新しいことに興味を持とう。
未来を考えることは楽しい。
未来は子供たちのものだ。
未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。
顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。
更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。
未来に興味を持とう。
一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を誇りを持って遵守しています。
<必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう
1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう
1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう
1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう
1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう
1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう
(2)経営理念
創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との言葉にもありますように、世界中の「もっと自由に彩りたい」という願いをかなえるために、当社グループは、彩りと機能性を持った素材をさまざまな分野での企業活動を通じて提供し、社会やお客様の願いに貢献することとしております。お客様の声に十分に耳を傾け、これまで培ってまいりました3つのコア技術、すなわち、①有機無機合成・顔料処理技術、②分散・加工技術、③樹脂合成技術と、これらを組み合わせ、素材が持つ特性や機能を生かした製品開発、すなわち、ファンクションテクノロジーを一体となって機能させることにより、お客様の課題解決を提案してまいりました。その結果、生み出してまいりました製品は、色材、機能材、合成樹脂、天然物由来高分子など多岐にわたっており、自動車・電気機器・建材などの部品から日常生活に関連する繊維・パッケージ・情報関連素材まで広範囲な製品に利用・活用されております。今後とも、地道で着実な研究開発とものづくりを通して、お客様や社会の課題解決に貢献することにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、環境の変化に的確に対応し、持続的な社会の実現に貢献する製品、サービスを提供する技術オリエンテッドのソリューションカンパニーとして、事業の収益性・資本効率を重視する点から、ROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%を中長期的な経営目標として掲げることといたします。
なお、本項(4)で後述するように、技術開発を促進している新規発展分野及び継続発展分野への投資や海外新規ビジネス投資については、事業単位でのEBITDA(償却前・利払前利益)分析を駆使して事業評価を行うことなどにより積極的な成長機会を追求し、併せて、経営環境の変化に適時に対応するために、財務基盤の安定と成長を両立させることも重要な課題として認識しております。
(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
当社グループの置かれている経営環境については、下記のとおりと認識しております。
①お客様の国内外の事業展開に対して的確にキャッチアップする必要があることと同時に、販売、生産に係る収益性、効率性などの観点から、国内外における積極的な業務展開は不可欠な状況にあり、国内、海外の一方に偏することなくバランスのよい業務展開をするべきであることは引き続き重要な課題であると認識しています。
②市場環境の変化と、国内製造事業所の置かれている立地環境の変化と生産設備の物理的、経済的な償却に伴い、防災、安全に十分配慮した上で、安定的かつ効率的な生産を実施することが必要であるとの認識に基づき、2017年12月に取得した茨城県の坂東インター工業団地内の7万平米の区画に、グラビアインキ、特殊コーティング剤向けの坂東製造事業所を建設しました。2020年11月に竣工後、効率の高い新設備、省人化設備の導入を進め、2021年7月から生産開始し、川口製造事業所から段階的に移転する予定です。また高分子製品において、生産部門は東京都北区の赤羽製造事業所から千葉県佐倉市の佐倉製造事業所への移転が完了し、2019年4月より、生産プロセスの改善、環境対応、新規開発品の生産対応などを踏まえた新たな生産体制で運営を開始しております。併せて、技術部門は、佐倉製造事業所の敷地内に建設中の技術・研究棟が2021年11月に竣工予定であり、これにより、赤羽製造事業所の完全移転が完了し、原材料メーカー、お客様との協働テーマ開発体制を一層強化できることとなります。他の製造事業所においても同様の認識に基づき、今後も継続的に対応していく予定としていますが、坂東製造事業所、佐倉製造事業所への完全移転により、国内生産体制の拡充に係る当面の課題は、目途を付けることができたものと認識しております。
③持続的な成長のためには、ESGへの取り組みがあらゆる事業活動の基本理念であり、環境配慮(E)、社会貢献(S)に対し研究・開発が果たす役割が特に重要と認識しております。本年より、従来の4つの注力分野(環境、エネルギー、パーソナルケア、IT・エレクトロニクス)を再区分し、①IT・エレクトロニクス・機能性材料、②ライフサイエンス・パーソナルケアの二つを新規発展分野に、③モビリティ、④パッケージの二つを継続発展分野と想定し、本項「(2)経営理念」で前述のとおり、3つのコア技術を更に深化させるとともに、新たな技術を取り入れた上で融合し、社会全体の持続性、安全性、収益性、効率性、採算性などの側面から十分に検証しながら、引き続き資金と人財を投入していく必要があるものと認識しております。
④上記③に述べたように、長期的・持続的成長分野への対応にあたり、ESG、SDGsを念頭に、例えば、二酸化炭素を原料とした樹脂、生分解性微粒子、化粧品用材料、バイオマス由来製品、水性製品等、環境に調和する製品の開発を重要な課題のひとつと認識し、鋭意進めてまいりましたが、製品開発という点にとどまることなく、地球規模の環境や社会問題へ取り組む企業姿勢と、透明かつ公正な意思決定を可とするガバナンスが、当社グループの安定的かつ長期的な成長及び将来の企業価値においても大きな影響を与えるものと再認識した上で、お客様や投資家様を始めとするステークホルダーから常に選ばれる企業となるために、全社を挙げて、E(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)の側面から能動的に活動を促進することが必要と理解しております。
⑤新基幹システムは、2018年10月に国内拠点に導入後、海外拠点においても現地の事情に適応したシステムの導入を順次進めてまいりました。結果、適時に共通した基準での数値取り込みが可能となり、連結ベースでの経営管理、意思決定が一層迅速にできるようになりました。また、国内物流の3PL化(Third-party Logistics:物流業務の包括委託)及びWMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)を導入することにより適時に精緻な物流費データの把握が可能となったことと併せ、計画的な配送大口化、ストックポイントの集約などの合理的な物流体制の構築を行うことにより、物流費抑制の取り組みも継続的に進めてきております。システムを最大限に活用し、得られる情報を十分に経営に生かしていくことは、引き続き重要な課題であるとの認識には変わりはありませんが、導入、運用、活用の各フェーズにおいて、一定の成果が得られ、経営に十分に資する状況となっていることをもって、システム導入・活用の課題に対しては目途を付けることができたものと認識しております。
⑥国内外の新型コロナウイルス感染者の推移を俯瞰すると、まだまだ予断を許さない状況にあることは否めないものの、当社グループは、可能な限りで時差・時短出勤、交代勤務、在宅勤務、リモート会議等を取り入れ、職場及び家庭での感染対策を励行し、従業員とその家族の健康に配慮してきております。事業においては、手元流動性を厚めに維持することなどにより事業継続に備え、製品を安定的に供給することに努めてまいりました結果、市場の回復に呼応して業績も回復基調にあるものと認識しております。今後は、新型コロナウイルスの感染状況と需要動向を十分に把握した上で、適応した事業活動を進めていくことが肝要であると認識しております。
これらを踏まえ、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の創出のため、次の3つの施策を重点的に進めております。
ア、技術主導による競争優位性確保
当社グループでは、技術マネジメント手法を用いて保有する技術を再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、市場規模・収益性・成長性を評価して、保有している3つのコア技術(1 有機無機合成・顔料処理技術、2 分散・加工技術、3 樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでおります。従来の注力4分野(環境、エネルギー、パーソナルケア、IT・エレクトロニクス)を改めて、①IT・エレクトロニクス、②ライフサイエンス・パーソナルケアの二つを新規発展分野、③モビリティ、④パッケージングの二つを継続発展分野として開発対象の中心に据え、資金と人財を積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位の確保を目的とした「技術オリエンテッド」体制の構築を目指すことといたします。これにより、製品の差別化、品質向上により社会貢献度を高め、同時に収益性の確保を図ってまいります。
・新規発展分野
①IT・エレクトロニクス・・・導電性樹脂、二次電池用部材、帯電防止材、放熱材、IJ顔料・分散液、機能性ポリマー
②ライフサイエンス・パーソナルケア・・・生分解性微粒子、化粧品材料
・継続発展分野
③モビリティ・・・ウレタン・アクリル・シリコン合成樹脂、高機能コンパウンド
④パッケージング・・・新規バリア性素材、リサイクル用インキ
イ、ESGを重視した経営による企業価値向上に向けた改革の推進
ESGへの取組みは、当社グループを取り巻くサプライチェーン全体の重要な課題として認識し、原材料調達段階から当社製品を使用した製品が廃棄される段階までを含めたライフサイクル全体において以下の施策を実施してまいります。
(ア)ESG貢献製品開発・拡販
脱炭素社会に貢献する二酸化炭素を原料とした樹脂、生分解性微粒子、バイオマス由来製品、水性製品等、環境に調和する製品の開発や、お客様の効率改善に貢献し結果的にエネルギー使用量、廃棄物を削減する製品の開発、紛争鉱物の不使用など、当社グループのみならず、サプライチェーン全体でESGに貢献します。
(イ)気候変動への取り組み
気候変動により生じる様々な影響に関して、TCFD提言に基づくリスクと収益機会を分析し、サプライチェーン全体にわたり当社グループの事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
リスクに向けた取り組みとして、自らの事業活動により排出される温室効果ガスの排出量削減を、継続的な省エネ対策と再生可能エネルギーによる電力の調達(※)を加速させ、温室効果ガス削減に関する日本の公約に貢献できる体制の確立を目指します。また、国内当社グループ内における温室効果ガス削減意識向上と、将来における炭素税導入への準備のために、インターナル・カーボンプライシング(社内制度)の導入に向け準備を開始いたします。
収益機会に向けては、脱炭素に貢献できる製品群の開発と拡販に努めてまいります。
一方で、当社が開発した二酸化炭素を原料とする樹脂の販売戦略と原料調達スキームを更に深化し、消費による二酸化炭素の削減を更に促進させてまいります。
(※)2021年度より、電力各社の再生可能エネルギー普及に協力することにより、再生可能エネルギーによる発電電力の提供を受ける契約を締結し、これを加味すれば国内当社グループの温室効果ガスの排出量は2013年度比60%削減を達成する見込みです。
(ウ)資源循環促進
石油資源等の枯渇防止及び環境への負荷軽減を目的として、バイオマス製品及びプラスチックのリサイクル化に貢献する製品の開発及び廃棄プラスチックを削減するための工程改善を進めてまいります。
(エ)社会貢献の一層の促進
当社グループにかかわるさまざまなステークホルダーとの関係を通じて、これまで以上に、社会貢献を果たしてまいります。
・お客様とのかかわり
「ものづくり」を通して社会に貢献するために、各拠点の環境整備の一端として、とりわけ化学物質管理には慎重を期して製品性能と品質保証を充実させることはもちろんのこと、生産現場からお客様の手に渡るまでに関わる全ての方の安全衛生を確保することが化学メーカーとして果たすべき責任であると認識しております。流通において、当社グループ全体を俯瞰した合理的で安全な物流安全体制の設置・運用、サプライチェーンを含めたESGに配慮した購買方針、調達基準を設定することなどの取り組みを行い、お客様から一層信頼いただける企業グループを目指してまいります。なお、新型コロナウイルス感染症の当社グループに対する影響についてはまだまだ予断を許さない状況にあることを前提に、従業員の安全・安心、お客様への製品の安定的供給のために、引き続き対策プロジェクトを維持し、対策の立案、実施を図ってまいります。
・従業員とのかかわり
企業にとって「人」は財産であり、企業を常に活性化させるためには、さまざまな知識・スキルを持った「人財」と、高いパフォーマンスを引き出す環境が必要であると認識し、人財確保と教育に加え、対話により個人の価値観、個性、習慣等の多様性を認め合う場を築き、企業活動の改革に活かすことを目指していきます。そのために、ワーク・ライフバランスに配慮した社内制度の充実、ダイバーシティ&インクルージョンを推進していきます。
・地域社会とのかかわり
当社グループは、「企業市民」として地域に貢献し、地域社会とともに発展していくことを目指します。このために、防災活動、職業体験受入、美化運動など多様な側面から地域の皆様と密接な交流を図ってまいります。
(オ)コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み
お客様や投資家をはじめとするステークホルダーから継続的に信頼を勝ち得ていくためには、単に法令遵守にとどまることなく、社内外からみて、より高次な牽制と「風通し」を両立した組織体制を確立し、かつこれを向上させ続けることだと考えます。ESG活動を、CSR活動を能動的に捉えた活動と認識し、ESG推進体制を常に的確に運用することで、迅速かつ牽制の効いた意思決定・業務執行につなげることは言うに及ばず、情報セキュリティへの取り組み、従業員に対する研修など地に足を付けた着実な活動を今後も一層展開してまいります。なお、上記の趣旨も鑑み、これまで以上に、E(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)に重視した経営による企業価値向上を目指す目的のため、2021年4月1日付にて、CSR・リスク管理推進本部からCSR・ESG推進本部に名称変更しております。
ウ、海外事業拡大に向けた事業基盤の強化~海外売上高比率の向上~
当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開もバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に、以下の施策により海外売上高比率の向上を継続的な目標として注力してまいります。
(ア)「地産地消」の推進と海外拠点の拡充
「地産地消」のスローガンの下、既に国内で十分な評価を得た製品の海外展開を目的に、既存、新設を問わず海外生産拠点の拡充を図り、また、多様な製品の生産を可能にする拠点にシフトすることにより、現地でのお客様の開拓、拡販を一層推進します。成長市場をターゲットに軟包装材用接着剤を始めとして高分子ポリマー製品の現地生産も視野に、本格的な市場参入を図ります。
(イ)新規ビジネスの創出
欧米には高付加価値製品をターゲットに市場展開を図ります。将来的にはM&Aも選択肢として現地生産化も鋭意検討してまいります。
(1)企業理念、行動指針、必達
当社グループでは、創業者である高橋 義博が1968年に制定した<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、役職員で毎朝唱和することにより、<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。
<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境の変化をみたとき、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における当社の連環という視点に不十分さをぬぐえない状況にありました。
そのため、2015年12月開催の当社取締役会において、<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。
これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。
これらを踏まえ、当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行い、社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。
<企業理念>・人に興味を持とう
・新しいことに興味を持とう
・未来に興味を持とう
<行動指針>人間は面白い。
その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。
全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。
人に興味を持とう。
新しいことはワクワクする。
技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。
新しいことに興味を持とう。
未来を考えることは楽しい。
未来は子供たちのものだ。
未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。
顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。
更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。
未来に興味を持とう。
一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を誇りを持って遵守しています。
<必達>私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう
1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう
1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう
1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう
1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう
1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう
(2)経営理念
創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との言葉にもありますように、世界中の「もっと自由に彩りたい」という願いをかなえるために、当社グループは、彩りと機能性を持った素材をさまざまな分野での企業活動を通じて提供し、社会やお客様の願いに貢献することとしております。お客様の声に十分に耳を傾け、これまで培ってまいりました3つのコア技術、すなわち、①有機無機合成・顔料処理技術、②分散・加工技術、③樹脂合成技術と、これらを組み合わせ、素材が持つ特性や機能を生かした製品開発、すなわち、ファンクションテクノロジーを一体となって機能させることにより、お客様の課題解決を提案してまいりました。その結果、生み出してまいりました製品は、色材、機能材、合成樹脂、天然物由来高分子など多岐にわたっており、自動車・電気機器・建材などの部品から日常生活に関連する繊維・パッケージ・情報関連素材まで広範囲な製品に利用・活用されております。今後とも、地道で着実な研究開発とものづくりを通して、お客様や社会の課題解決に貢献することにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、環境の変化に的確に対応し、持続的な社会の実現に貢献する製品、サービスを提供する技術オリエンテッドのソリューションカンパニーとして、事業の収益性・資本効率を重視する点から、ROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%を中長期的な経営目標として掲げることといたします。
なお、本項(4)で後述するように、技術開発を促進している新規発展分野及び継続発展分野への投資や海外新規ビジネス投資については、事業単位でのEBITDA(償却前・利払前利益)分析を駆使して事業評価を行うことなどにより積極的な成長機会を追求し、併せて、経営環境の変化に適時に対応するために、財務基盤の安定と成長を両立させることも重要な課題として認識しております。
(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
当社グループの置かれている経営環境については、下記のとおりと認識しております。
①お客様の国内外の事業展開に対して的確にキャッチアップする必要があることと同時に、販売、生産に係る収益性、効率性などの観点から、国内外における積極的な業務展開は不可欠な状況にあり、国内、海外の一方に偏することなくバランスのよい業務展開をするべきであることは引き続き重要な課題であると認識しています。
②市場環境の変化と、国内製造事業所の置かれている立地環境の変化と生産設備の物理的、経済的な償却に伴い、防災、安全に十分配慮した上で、安定的かつ効率的な生産を実施することが必要であるとの認識に基づき、2017年12月に取得した茨城県の坂東インター工業団地内の7万平米の区画に、グラビアインキ、特殊コーティング剤向けの坂東製造事業所を建設しました。2020年11月に竣工後、効率の高い新設備、省人化設備の導入を進め、2021年7月から生産開始し、川口製造事業所から段階的に移転する予定です。また高分子製品において、生産部門は東京都北区の赤羽製造事業所から千葉県佐倉市の佐倉製造事業所への移転が完了し、2019年4月より、生産プロセスの改善、環境対応、新規開発品の生産対応などを踏まえた新たな生産体制で運営を開始しております。併せて、技術部門は、佐倉製造事業所の敷地内に建設中の技術・研究棟が2021年11月に竣工予定であり、これにより、赤羽製造事業所の完全移転が完了し、原材料メーカー、お客様との協働テーマ開発体制を一層強化できることとなります。他の製造事業所においても同様の認識に基づき、今後も継続的に対応していく予定としていますが、坂東製造事業所、佐倉製造事業所への完全移転により、国内生産体制の拡充に係る当面の課題は、目途を付けることができたものと認識しております。
③持続的な成長のためには、ESGへの取り組みがあらゆる事業活動の基本理念であり、環境配慮(E)、社会貢献(S)に対し研究・開発が果たす役割が特に重要と認識しております。本年より、従来の4つの注力分野(環境、エネルギー、パーソナルケア、IT・エレクトロニクス)を再区分し、①IT・エレクトロニクス・機能性材料、②ライフサイエンス・パーソナルケアの二つを新規発展分野に、③モビリティ、④パッケージの二つを継続発展分野と想定し、本項「(2)経営理念」で前述のとおり、3つのコア技術を更に深化させるとともに、新たな技術を取り入れた上で融合し、社会全体の持続性、安全性、収益性、効率性、採算性などの側面から十分に検証しながら、引き続き資金と人財を投入していく必要があるものと認識しております。
④上記③に述べたように、長期的・持続的成長分野への対応にあたり、ESG、SDGsを念頭に、例えば、二酸化炭素を原料とした樹脂、生分解性微粒子、化粧品用材料、バイオマス由来製品、水性製品等、環境に調和する製品の開発を重要な課題のひとつと認識し、鋭意進めてまいりましたが、製品開発という点にとどまることなく、地球規模の環境や社会問題へ取り組む企業姿勢と、透明かつ公正な意思決定を可とするガバナンスが、当社グループの安定的かつ長期的な成長及び将来の企業価値においても大きな影響を与えるものと再認識した上で、お客様や投資家様を始めとするステークホルダーから常に選ばれる企業となるために、全社を挙げて、E(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)の側面から能動的に活動を促進することが必要と理解しております。
⑤新基幹システムは、2018年10月に国内拠点に導入後、海外拠点においても現地の事情に適応したシステムの導入を順次進めてまいりました。結果、適時に共通した基準での数値取り込みが可能となり、連結ベースでの経営管理、意思決定が一層迅速にできるようになりました。また、国内物流の3PL化(Third-party Logistics:物流業務の包括委託)及びWMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)を導入することにより適時に精緻な物流費データの把握が可能となったことと併せ、計画的な配送大口化、ストックポイントの集約などの合理的な物流体制の構築を行うことにより、物流費抑制の取り組みも継続的に進めてきております。システムを最大限に活用し、得られる情報を十分に経営に生かしていくことは、引き続き重要な課題であるとの認識には変わりはありませんが、導入、運用、活用の各フェーズにおいて、一定の成果が得られ、経営に十分に資する状況となっていることをもって、システム導入・活用の課題に対しては目途を付けることができたものと認識しております。
⑥国内外の新型コロナウイルス感染者の推移を俯瞰すると、まだまだ予断を許さない状況にあることは否めないものの、当社グループは、可能な限りで時差・時短出勤、交代勤務、在宅勤務、リモート会議等を取り入れ、職場及び家庭での感染対策を励行し、従業員とその家族の健康に配慮してきております。事業においては、手元流動性を厚めに維持することなどにより事業継続に備え、製品を安定的に供給することに努めてまいりました結果、市場の回復に呼応して業績も回復基調にあるものと認識しております。今後は、新型コロナウイルスの感染状況と需要動向を十分に把握した上で、適応した事業活動を進めていくことが肝要であると認識しております。
これらを踏まえ、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の創出のため、次の3つの施策を重点的に進めております。
ア、技術主導による競争優位性確保
当社グループでは、技術マネジメント手法を用いて保有する技術を再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、市場規模・収益性・成長性を評価して、保有している3つのコア技術(1 有機無機合成・顔料処理技術、2 分散・加工技術、3 樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでおります。従来の注力4分野(環境、エネルギー、パーソナルケア、IT・エレクトロニクス)を改めて、①IT・エレクトロニクス、②ライフサイエンス・パーソナルケアの二つを新規発展分野、③モビリティ、④パッケージングの二つを継続発展分野として開発対象の中心に据え、資金と人財を積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位の確保を目的とした「技術オリエンテッド」体制の構築を目指すことといたします。これにより、製品の差別化、品質向上により社会貢献度を高め、同時に収益性の確保を図ってまいります。
・新規発展分野
①IT・エレクトロニクス・・・導電性樹脂、二次電池用部材、帯電防止材、放熱材、IJ顔料・分散液、機能性ポリマー
②ライフサイエンス・パーソナルケア・・・生分解性微粒子、化粧品材料
・継続発展分野
③モビリティ・・・ウレタン・アクリル・シリコン合成樹脂、高機能コンパウンド
④パッケージング・・・新規バリア性素材、リサイクル用インキ
イ、ESGを重視した経営による企業価値向上に向けた改革の推進
ESGへの取組みは、当社グループを取り巻くサプライチェーン全体の重要な課題として認識し、原材料調達段階から当社製品を使用した製品が廃棄される段階までを含めたライフサイクル全体において以下の施策を実施してまいります。
(ア)ESG貢献製品開発・拡販
脱炭素社会に貢献する二酸化炭素を原料とした樹脂、生分解性微粒子、バイオマス由来製品、水性製品等、環境に調和する製品の開発や、お客様の効率改善に貢献し結果的にエネルギー使用量、廃棄物を削減する製品の開発、紛争鉱物の不使用など、当社グループのみならず、サプライチェーン全体でESGに貢献します。
(イ)気候変動への取り組み
気候変動により生じる様々な影響に関して、TCFD提言に基づくリスクと収益機会を分析し、サプライチェーン全体にわたり当社グループの事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
リスクに向けた取り組みとして、自らの事業活動により排出される温室効果ガスの排出量削減を、継続的な省エネ対策と再生可能エネルギーによる電力の調達(※)を加速させ、温室効果ガス削減に関する日本の公約に貢献できる体制の確立を目指します。また、国内当社グループ内における温室効果ガス削減意識向上と、将来における炭素税導入への準備のために、インターナル・カーボンプライシング(社内制度)の導入に向け準備を開始いたします。
収益機会に向けては、脱炭素に貢献できる製品群の開発と拡販に努めてまいります。
一方で、当社が開発した二酸化炭素を原料とする樹脂の販売戦略と原料調達スキームを更に深化し、消費による二酸化炭素の削減を更に促進させてまいります。
(※)2021年度より、電力各社の再生可能エネルギー普及に協力することにより、再生可能エネルギーによる発電電力の提供を受ける契約を締結し、これを加味すれば国内当社グループの温室効果ガスの排出量は2013年度比60%削減を達成する見込みです。
(ウ)資源循環促進
石油資源等の枯渇防止及び環境への負荷軽減を目的として、バイオマス製品及びプラスチックのリサイクル化に貢献する製品の開発及び廃棄プラスチックを削減するための工程改善を進めてまいります。
(エ)社会貢献の一層の促進
当社グループにかかわるさまざまなステークホルダーとの関係を通じて、これまで以上に、社会貢献を果たしてまいります。
・お客様とのかかわり
「ものづくり」を通して社会に貢献するために、各拠点の環境整備の一端として、とりわけ化学物質管理には慎重を期して製品性能と品質保証を充実させることはもちろんのこと、生産現場からお客様の手に渡るまでに関わる全ての方の安全衛生を確保することが化学メーカーとして果たすべき責任であると認識しております。流通において、当社グループ全体を俯瞰した合理的で安全な物流安全体制の設置・運用、サプライチェーンを含めたESGに配慮した購買方針、調達基準を設定することなどの取り組みを行い、お客様から一層信頼いただける企業グループを目指してまいります。なお、新型コロナウイルス感染症の当社グループに対する影響についてはまだまだ予断を許さない状況にあることを前提に、従業員の安全・安心、お客様への製品の安定的供給のために、引き続き対策プロジェクトを維持し、対策の立案、実施を図ってまいります。
・従業員とのかかわり
企業にとって「人」は財産であり、企業を常に活性化させるためには、さまざまな知識・スキルを持った「人財」と、高いパフォーマンスを引き出す環境が必要であると認識し、人財確保と教育に加え、対話により個人の価値観、個性、習慣等の多様性を認め合う場を築き、企業活動の改革に活かすことを目指していきます。そのために、ワーク・ライフバランスに配慮した社内制度の充実、ダイバーシティ&インクルージョンを推進していきます。
・地域社会とのかかわり
当社グループは、「企業市民」として地域に貢献し、地域社会とともに発展していくことを目指します。このために、防災活動、職業体験受入、美化運動など多様な側面から地域の皆様と密接な交流を図ってまいります。
(オ)コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み
お客様や投資家をはじめとするステークホルダーから継続的に信頼を勝ち得ていくためには、単に法令遵守にとどまることなく、社内外からみて、より高次な牽制と「風通し」を両立した組織体制を確立し、かつこれを向上させ続けることだと考えます。ESG活動を、CSR活動を能動的に捉えた活動と認識し、ESG推進体制を常に的確に運用することで、迅速かつ牽制の効いた意思決定・業務執行につなげることは言うに及ばず、情報セキュリティへの取り組み、従業員に対する研修など地に足を付けた着実な活動を今後も一層展開してまいります。なお、上記の趣旨も鑑み、これまで以上に、E(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)に重視した経営による企業価値向上を目指す目的のため、2021年4月1日付にて、CSR・リスク管理推進本部からCSR・ESG推進本部に名称変更しております。
ウ、海外事業拡大に向けた事業基盤の強化~海外売上高比率の向上~
当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開もバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に、以下の施策により海外売上高比率の向上を継続的な目標として注力してまいります。
(ア)「地産地消」の推進と海外拠点の拡充
「地産地消」のスローガンの下、既に国内で十分な評価を得た製品の海外展開を目的に、既存、新設を問わず海外生産拠点の拡充を図り、また、多様な製品の生産を可能にする拠点にシフトすることにより、現地でのお客様の開拓、拡販を一層推進します。成長市場をターゲットに軟包装材用接着剤を始めとして高分子ポリマー製品の現地生産も視野に、本格的な市場参入を図ります。
(イ)新規ビジネスの創出
欧米には高付加価値製品をターゲットに市場展開を図ります。将来的にはM&Aも選択肢として現地生産化も鋭意検討してまいります。