有価証券報告書-第86期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 11:42
【資料】
PDFをみる
【項目】
119項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績などの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当期におけるわが国経済は、企業の設備投資や輸出の増加基調が継続したことに加え、良好な雇用環境の下で個人消費についても緩やかな持ち直しが見られ、期間を通して回復基調が続きました。また、海外経済も同様に景気の回復傾向が続きましたが、北朝鮮情勢をめぐる地政学的リスクが度々高まったことや、米国トランプ政権に代表される保護主義的な政策の台頭により、先行きには不透明感が広がっています。
医薬品業界につきましては、平成29年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017」の中で、薬価制度の抜本的改革が盛り込まれました。これを受け、中央社会保険医療協議会で議論が進められ、平成30年4月に実施される薬価改定において、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度や新薬のイノベーション評価、長期収載品およびジェネリック医薬品の薬価算定方式などの項目について新たな仕組みが取り入れられることとなりました。なお、毎年薬価調査・毎年薬価改定につきましては、その対象範囲を平成32年度中に設定することとして引き続き検討が行われています。
このような環境下で、当社グループは引き続き「信頼できるジェネリック医薬品」の普及に貢献するべく、ジェネリック医薬品の高品質維持と安定供給確保、並びに生産性及び効率性の向上に資する施策を一層推し進めてまいりました。
また、ジェネリック医薬品事業と並行して取り組んでいるミッション、「高尿酸血症領域」や「自社開発創薬」に関しましても、複数の開発品目において、それぞれの試験が順調に進展しております。当社グループはまだ十分な治療薬がない病気に苦しむ患者さんのために、画期的な自社創薬の開発に取り組んでいます。
セグメントの経営成績は次のとおりです。
① 医薬品事業
1) 医療用医薬品
(a) ジェネリック医薬品
当期においては循環器官用薬の「テルミサルタン錠」や「ロスバスタチン錠」「オルメサルタン錠」など5成分16品目を発売いたしました。
販売面では、ジェネリック医薬品市場の拡大は続いたものの、市場規模が大きな品目を中心にジェネリック医薬品への置換率が政府目標に近づいており、従前に較べて置換速度が鈍化しつつあることに加え、オーソライズド・ジェネリックの台頭や価格競争の激化などの影響を受けて、市場の競争環境は厳しいものとなりました。
当社においても、製剤的優位性がある製品やオンコロジー領域などで売上が好調な製品がある反面、特に近年発売した製品では競争激化の影響を受けて苦戦を強いられました。また、同業他社向けの販売である導出売上についても、同じく競争環境の厳しさから既存導出先の発注が思うように伸びず前期比減収となっています。
一方、日本薬品工業では、当期に他社からの製品承継や販売移管をおこなったことで、新たな販路を獲得することができました。
(b) 主力品
主力品であるアルカリ化療法剤「ウラリット」につきましては、ジェネリック医薬品への置き換えが進んでおりますが、日本薬品工業が販売するウラリットのジェネリック医薬品「クエンメット」と合わせ、当製剤の9割を超えるシェアを確保しております。
かかる状況において、これまで実施して来た痛風並びに高尿酸血症における酸塩基平衡改善の重要性の啓発活動に加え、近年、高尿酸血症や代謝性アシドーシスが慢性腎臓病を進展させること、アシドーシスに対するアルカリ化療法による慢性腎臓病の進展抑制効果などの報告が増加していることを踏まえ、アルカリ化療法剤投与の重要性に関して普及活動を強化してきました。
(c) 海外販売
海外での販売につきましては、当期末時点で韓国、タイ、中国の3か国において6品目の承認を取得し、5品目を販売しております。加えてASEANと中国を中心に数品目を申請済みであり、その他複数品目の申請準備を進めてきました。
以上の結果、ジェネリック医薬品の売上高は前期比 3.1%の増収となりましたが、ウラリットをはじめとする主力3品の売上高は11.7%の減収となり、医療用医薬品全体では2.0%の増収となりました。
なお、医療用医薬品の売上高比率を薬効別にみますと、循環器官用薬及び呼吸器官用薬32.0%、消化器官用薬18.3%、ウラリットなどの代謝性医薬品16.5%、神経系及び感覚器官用薬9.1%、病原生物用薬6.2%、腫瘍用薬3.4%、その他の医薬品14.5%となっています。
(d) 研究開発
AMEDの支援を受け、当社と九州大学が共同で開発を進めている「NC-2600」は、世界で初めてグリア細胞をターゲットとした神経障害性疼痛治療薬であり、当上期にフェーズⅠ試験を終了し、その後データの解析を行いながら早期の導出を目指し、国内外複数のメーカーに対し導出交渉を実施しています。
また、当社と筑波大学、国立精神・神経医療研究センター、北里研究所の4者による共同研究を行ってきた抗うつ・抗不安薬「NC-2800」についても、同じくAMEDの支援を受けながら、当期に非臨床試験を進めてまいりました。平成30年1月には、これまでの研究成果により、その新たな作用機序に基づく情動調節薬としての期待や、既存の抗うつ・抗不安薬の抱える問題を克服しうる可能性などが認められ、AMEDのCiCLEに採択されました。これにより、現在の支援プログラム終了後も引き続き最長で9年間の支援を受けることができるようになりました。
さらに、当社グループの3つのミッションの1つである高尿酸血症の治療薬として開発を進めている尿酸降下薬については、当期において「NC-2500」のフェーズⅠ試験を終了し、NC-2500に続く新規の尿酸降下薬として開発を行っている「NC-2700」についても非臨床試験を終えて、ともにデータの取りまとめを行うとともに、他社への導出や提携を目指した活動を開始しております。
一方、ソレトンについては、日本医師会治療促進センターの支援を得て、金沢大学附属病院が中心となり、腱滑膜巨細胞腫に対する医師主導型の治験がスタートしました。また、カルバンについてもスペインのSOMバイオテック社により、ハンチントン病などの運動性疾患を対象としたフェーズⅡ試験を行うことが発表されています。このように、当社は新薬開発に力を入れるとともに、ウラリットを含めた主力品の新たな可能性を開くために外部と協力しながら開発を続けています。
(e) 生産体制
グループ全体の生産能力増強及び製造コスト削減を目的として、日本薬品工業の子会社であるNC-VN社が建設を行っておりましたベトナム工場は、平成29年3月に建物の引渡しを受けた後、当期に設備の実装などを進め、同年9月にベトナムの政府要人をはじめとした関係者列席のもと竣工式を執り行いました。現在は試作品の生産に加え、各種の薬事手続きや現地従業員の採用と教育などを行っており、平成30年度下期の商業生産開始に向けた準備が順調に進捗しています。
一方、国内においては安定供給体制のさらなる強化を目指し、平成29年10月より大塚倉庫株式会社と西日本エリアの物流における業務提携を開始いたしました。この提携により従来の物流センター(埼玉県春日部市)に加えて、西日本(兵庫県神戸市)に二拠点目の物流センターを確保することができ、災害リスクへのより迅速な対応や、四国・九州地区への配送時間の大幅短縮などが可能となっています。
2) 臨床検査薬
自社開発のアレルギー検査薬「オリトンIgE『ケミファ』」及び測定機器の「DiaPack3000」について、海外に広くネットワークを有する国内企業と協力し、アジア、中国、欧州などでマーケティング活動を行ってまいりました。また、企業と製品の知名度向上策として、専門学会などでの出展や学会発表も積極的に行いました。
以上により、医薬品事業全体の売上高は34,279百万円(前期比0.8%減)、営業利益は1,817百万円(前期比35.2%減)となりました。
② その他
受託試験事業、ヘルスケア事業及び不動産賃貸事業である「その他」の事業では受託試験事業の厳しい競争環境の中、受注は堅調に推移しましたが、翌期以降に試験終了となる案件があることなどから売上高は1,051百万円(前期比7.6%減)となり、営業利益は30百万円(前期比0.5%減)となりました。
以上の結果、各セグメントを通算した業績は当期の連結売上高が35,331百万円(前期比1.0%減)、連結営業利益が1,848百万円(前期比34.8%減)、連結経常利益が1,696百万円(前期比40.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,160百万円(前期比43.5%減)となりました。
3つのミッションの1つであるジェネリック医薬品につきましては、市場規模が大きな品目を中心にジェネリック医薬品への置換え率が政府目標に近づいており、従前に比べて置換え速度が鈍化しつつあることに加え、オーソライズド・ジェネリックの台頭による企業間競争の激化や市場における価格選好性の高まりにより、収益環境は厳しさを増しております。かかる市場環境下、当社においては、他社向けの導出売上について既存取引先の発注が思うように伸びなかった一方で、新発売品の上市や子会社を中心とした販路の拡大など自社販売での売上拡大の取り組みにより、医薬品事業、並びに「その他」の事業を含めた売上高はほぼ前期並みとなりました。
利益面ではグループ一貫製造品の製造数量調整などの影響で原価率が前期より上昇したことに加え、NC-VN社ベトナム工場での商業生産開始に向けた試験運転費用や、新薬及びジェネリック医薬品の研究開発進展に伴う研究開発費など、将来投資についても予定どおり実施したことによる費用の増加もあり、営業利益以下各利益で減益の結果となりました。
かかる状況下、平成32年以降は毎年の薬価改定が予定されていることから、ジェネリック医薬品市場の収益環境はかつてなく厳しい状況になることが予想されます。このような事業環境の変化を受け、将来にわたる当社グループの企業価値の持続的拡大のために、引き続き「3つのミッションプラス1」の早期達成に注力するとともに、一層の経営効率化を推進してまいります。
ジェネリック医薬品の販売面では、環境変化に対応するため、医療機関や製品ごとの戦略を見直すとともに、これまで以上に効率性を重視したMR活動を実施する他、子会社を中心に新たな流通ルートへの販売強化や製造受託の獲得により販売チャネルを拡大することで、ジェネリック医薬品市場におけるプレゼンスを維持していきます。また、生産面では製造コストの低減を目指し、NC-VN社ベトナム工場の平成30年度中の商業生産開始に向け、各種の薬事手続きや現地人材の採用と教育などの準備を進めてまいります。
高尿酸血症領域では、東北大学で尿アルカリ化剤の市場拡大につながる可能性がある慢性腎臓病との関連を解明する臨床研究が進んでいます。また、異なる作用機序をもつ治療薬候補「NC-2500」や「NC-2700」の導出に向けた活動を推進してまいります。
自社創薬については、AMEDのCiCLEに採択された「NC-2800」のフェーズⅠ試験への移行準備を実施しつつ、各パイプラインに関して導出活動を進めてまいります。
また、海外への取り組みに関しても、ASEAN、中国、香港を中心に各地域でパートナー通じて販売承認品目数の拡大を進めて参ります。加えて、当面は日本向けに高品質で安価なジェネリック医薬品を供給する役割を担うNC-VNベトナム工場を足掛かりに、アジア地区への展開を強化する予定です。
(2) キャッシュ・フローの状況
当期末における連結ベースの現金及び現金同等物は、営業活動により3,188百万円増加いたしました。また投資活動においては1,606百万円の減少、財務活動においては1,741百万円の減少となりました。
この結果、当期末の現金及び現金同等物(以下、資金)は7,890百万円(前期末比2.4%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期において、営業活動による資金は法人税等の支払及びたな卸資産の増加などがあったものの、主に税金等調整前当期純利益の計上により、3,188百万円の増加(前期は2,737百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期において、投資活動による資金は日本薬品工業つくば工場の実装及びNC-VN社ベトナム工場の建設に係る支払などにより、1,606百万円の減少(前期は2,504百万円の減少)となりました。なお、これらの支払は手元資金及び過年度における銀行借入金を充当しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期において、財務活動による資金は長期借入れがあった一方で、主に長期借入金の返済及び自己株式の取得があり、1,741百万円の減少(前期は787百万円の増加)となりました。
(3) 財政状態
流動資産は前期末に比べて2.3%減少し、28,334百万円となりました。これは、主に売上債権の減少によるものです。
固定資産は前期末に比べ2.7%増加し、18,479百万円となりました。これは、主に投資有価証券の含み益の増加によるものです。
この結果、総資産は前期末に比べて0.4%減少し、46,814百万円となりました。
流動負債は前期末に比べて0.2%減少し、14,914百万円となりました。これは、仕入債務の増加があった一方で、設備関係債務の減少などによるものです。
固定負債は前期末に比べて2.0%減少し、14,412百万円となりました。これは、主に長期借入金及び退職給付債務の減少によるものです。
この結果、負債合計は前期末に比べて1.1%減少し、29,326百万円となりました。
純資産合計は前期末に比べて0.8%増加し、17,487百万円となりました。これは自己株式の取得があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び有価証券評価差額金の増加などによるものです。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
医薬品事業8,0304.9
その他
合計8,0304.9

(注) 1 金額は、製造原価によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を立て、これにより生産をしております。
受注生産は一部の子会社で行っておりますが、受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
医薬品事業34,279△0.8
その他1,051△7.6
合計35,331△1.0

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
アルフレッサ㈱7,82121.98,06722.8
㈱メディセオ7,42720.87,37420.9

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。