有価証券報告書-第87期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績などの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較を行っております。
(1) 経営成績
当期におけるわが国経済は、おおむね良好な雇用・所得環境を背景に個人消費が底堅く推移したことや、企業の設備投資増加などに支えられ、期間を通して緩やかな回復が続いたものの、第4四半期に入り一部の指標が弱含んできました。海外経済についても当初は緩やかな回復が続きましたが、中国経済の減速などの影響から弱含んでおり、今後も米中における貿易摩擦の深刻化や、英国のEU離脱問題などが各国の経済成長の減速に波及するリスクが懸念されています。
医薬品業界につきましては、2018年4月より実施された診療報酬改定において、薬価への影響が薬剤費ベースでマイナス7.48%となり、国内の事業環境は厳しいものとなりました。また、同年6月には政府により「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針2018)」が閣議決定され、引き続き「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に基づき、費用対効果評価の本格実施へ向けた結論を得ることや、毎年薬価調査・毎年薬価改定の対象範囲を業界に与える影響などを把握した上で決定するとしています。このように事業環境が厳しいものとなるなか、国内製薬業界としては最大規模となる海外医薬品メーカーに対するM&Aや、企業間での長期収載品の譲渡やジェネリック医薬品事業の売却など、各企業では経営環境の変化に伴う様々な動きが目立ちました。なお、前述の「骨太の方針2018」の中に、当社の重要テーマであるCKDの予防に、国として重点的に取り組むことが初めて盛り込まれています。
このような環境下で、当社グループは引き続き「信頼できるジェネリック医薬品」の普及に貢献するべく、ジェネリック医薬品の高品質維持と安定供給確保、並びに生産性及び効率性の向上に資する施策を一層推し進めてまいりました。
また、ジェネリック医薬品事業と並行して取り組んでいるミッション、「高尿酸血症領域」や「自社開発創薬」に関しましても、各開発品目の試験が順調に進展したことで国内外企業への導出活動が本格化するなど、ミッションの実現に向けた取り組みが進んでおります。当社グループはまだ十分な治療薬がない病気に苦しむ患者さんのために、画期的な自社創薬の開発に取り組んでいます。
セグメントの経営成績は次のとおりです。
① 医薬品事業
1) 医療用医薬品
(a) ジェネリック医薬品
当期においては循環器官用薬の「イルアミクス配合錠LD・同HD『ケミファ』」や中枢神経系用薬「トアラセット配合錠『ケミファ』」など6成分9品目を発売いたしました。
販売面では、前述の薬価改定の影響に加え、市場のジェネリック医薬品への置換え率が上がるにつれ既存品の数量の伸びが鈍化しており、さらに、オーソライズドジェネリックの台頭や価格競争の激化などの影響を受けて、市場環境は厳しいものとなりました。
当社においては、子会社である日本薬品工業が、2017年度に他社からの製品承継や販売移管を行ったことで得た、新たな販路での売上を伸ばしたものの、グループ全体の薬価改定と市場競争の影響を補うには至りませんでした。
(b) 主力品・新薬
主力品であるアルカリ化療法剤ウラリットにつきましては、ジェネリック医薬品への置換えが進んでおりますが、日本薬品工業が販売するウラリットのジェネリック医薬品「クエンメット配合散・同配合錠」と合わせて当社グループで提供できる状況を活かし、痛風並びに高尿酸血症における酸性尿改善の重要性に関する普及活動を強化してきました。
また、2018年12月にフェリング・ファーマ株式会社と、経口腸管洗浄剤「ピコプレップ配合内用剤」の製造販売承認の承継に関する契約を締結し、当社グループとしては「カルバン錠25・50・100」(以下、カルバン)以来の新薬となる同剤の販売を、2019年2月から開始しております。
(c) 海外販売
海外での販売につきましては、当期末時点で韓国、タイ、中国の3か国において6品目の承認を取得し、5品目を販売しております。また、2018年10月に中国の中堅製薬企業と広範な提携を視野に入れた業務契約を結んでおり、今後、順調に事業が進めば、同社を通じた中国での新たな事業展開が図れると考えています。
以上の結果、ジェネリック医薬品の売上高は前期比 6.2%の減収、ウラリットをはじめとする主力3品の売上高は23.5%の減収となり、医療用医薬品全体では7.3%の減収となりました。
なお、医療用医薬品の売上高比率を薬効別にみますと、循環器官用薬及び呼吸器官用薬33.0%、消化器官用薬17.1%、ウラリットなどの代謝性医薬品16.0%、神経系及び感覚器官用薬8.4%、病原生物用薬5.1%、腫瘍用薬3.3%、その他の医薬品17.1%となっています。
(d) 研究開発
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けながら、当社と九州大学が共同で開発を進めてまいりました「NC-2600」(P2X4受容体拮抗薬)は、世界で初めてグリア細胞をターゲットとした神経障害性疼痛治療薬であり、フェーズⅠ試験の結果、ヒトにおいても中枢神経系に起因する副作用が起きにくい可能性が示唆されています。当期は早期の導出を目指して国内外の複数メーカーに対し導出交渉を実施してまいりました。
抗うつ・抗不安薬「NC-2800」(オピオイドδ受容体作動薬)については、非臨床試験を終了し、その新たな作用機序に基づく情動調節薬としての期待や、既存の抗うつ・抗不安薬の抱える問題を克服しうる可能性などが認められ、2018年1月にAMEDの新規事業である「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」に採択され、引き続きAMEDの支援を受けながら開発を進めています。当期はフェーズⅠ試験に向けた準備を進めるとともに、国内外企業に向けた導出可能性についても検討を行ってきました。
また、当社グループの3つのミッションの1つである高尿酸血症の治療薬として開発を進めている尿酸降下薬については、「NC-2500」(キサンチンオキシドリダクターゼ阻害薬)がフェーズⅠ試験を、「NC-2700」(URAT1阻害薬)については非臨床試験を2017年度に終えて、ともに他社への導出や提携を目指した活動を継続いたしました。
さらに、「ソレトン錠80」(以下、ソレトン)については、日本医師会治療促進センターの支援を得て、金沢大学附属病院が中心となり、腱滑膜巨細胞腫に対する医師主導型の治験が進められています。また、カルバンについてもスペインのSOMバイオテック社により、ハンチントン病などの運動性疾患を対象としたフェーズⅡ試験が当期に始まりました。
一方、将来にわたり有望な医薬品候補を生み出し続けるためには、技術革新著しい情報技術や人工知能(AI)を取り入れるなど、創薬手法そのもののイノベーションが必要不可欠であると考え、2018年11月にAI創薬ベンチャーであるMOLCUREの第三者割当増資の一部を引受けるとともに、両社間で業務提携に向けた協議を開始することを合意した覚書を交わしております。
(e) 生産体制
グループ全体の生産能力増強及び製造コスト削減を目的として、日本薬品工業の子会社であるNC-VN社 が建設し、商業生産開始に向けた準備を進めておりましたベトナム工場では、2018年11月よりウラリットとソレトンの商業生産を開始し、同年12月には日本に向けた輸出をスタートいたしました。その一方、日本薬品工業の国内つくば工場では、2018年11月より当社グループで初めてとなる新薬の受託製造を開始しております。
このように、今後も国内工場からベトナム工場へ品目移管を進めていくことでさらなる低コスト生産を図っていきながら、マザー工場の位置づけとなる国内工場においては、高い技術力を活かして新製品の製造や受託製造などに注力することで、当社グループ全体の最適な生産体制の確立を目指しています。
2) 臨床検査薬
自社開発のアレルギー検査薬「オリトンIgE『ケミファ』」及び測定機器の「DiaPack3000」について、海外に広くネットワークを有する国内企業と協力し、アジア、中国、欧州などでマーケティング活動を行ってまいりました。また、企業と製品の知名度向上策として、専門学会などでの出展や学会発表も積極的に行いました。
以上により、医薬品事業全体の売上高は32,682百万円(前期比4.7%減)、営業利益は1,375百万円(前期比24.3%減)となりました。
② その他
受託試験事業、ヘルスケア事業及び不動産賃貸事業である「その他」の事業では受託試験事業の厳しい競争環境の中で受注が堅調に推移した結果、売上高は1,500百万円(前期比42.7%増)となり、営業利益は88百万円(前期比188.3%増)となりました。
以上の結果、各セグメントを通算した業績は当期の連結売上高が34,182百万円(前期比3.3%減)、連結営業利益が1,464百万円(前期比20.8%減)、連結経常利益が1,512百万円(前期比10.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が881百万円(前期比24.1%減)となりました。
3つのミッションの1つであるジェネリック医薬品の市場環境は前述の通り、薬価改定の影響に加え、ジェネリック医薬品への置換え率の上昇やオーソライズドジェネリックの台頭などでさらに厳しさを増しております。かかる市場環境下、当社においてはグループで販売チャネルの多様化を進めることなどで売上の増収を図っているものの、医薬品事業並びに「その他」の事業を含めた売上高は減収となりました。
利益面では、ジェネリック医薬品及び新薬開発にかかる開発費の効率的使用や経常的な経費の削減に努めたことなどから販管費率は低下した一方で、薬価改定による単価引き下げや主力品の売上減の影響から原価率が上昇し、営業利益以下各利益で減益の結果となりました。
かかる状況下でのより効率的な販売体制の構築のため、当社におきましてはサプライチェーン効率化の一環として2018年度中に支店・営業所の統合や、医薬事業のマネジメントを強化するための販売体制の見直しを行いました。刻々と変化する事業環境に対して迅速な対応をとることで、MR活動のさらなる生産性向上に取り組んでまいります。さらに、2019年2月に製造販売承認を承継した新薬の経口腸管洗浄剤「ピコプレップ配合内用剤」に関する情報提供活動は、当社が消化器・オンコロジー領域への取り組みを通じて育んできた医師・薬剤師とのリレーションのさらなる深耕に資するものです。本剤に加えて周辺薬剤に関する情報提供を可能とすることで、より一層効率的なMR活動につながるものと期待しております。
また日本薬品工業による新たな販路での売上が順調に伸びており、引き続き販売チャネルの選択肢を拡大させながらグループ全体での売上増加を図ってまいります。
主力品のウラリットは2019年に発売から30年を迎えました。今後も腎臓内科、泌尿器科、代謝系内科などの専門医から得られた痛風・高尿酸血症における酸性尿の改善及びアシドーシスの酸塩基平衡改善の重要性を示すデータを活用しながら、医師・薬剤師などの医療関係者はもとより、患者さんへの有用な情報の発信をこれまで以上に強化し、痛風・高尿酸血症における尿アルカリ化療法の啓発、認知向上に努めてまいります。また、「骨太の方針2018」でCKD予防への取り組みが取り上げられる中、引き続き東北大学で進められている尿アルカリ化薬とCKDの関連を解明する臨床研究への協力を行っていきます。
海外においては、ASEAN、中国などで申請中の品目について早期に承認を得るとともに、申請準備段階にある品目についてもなるべく早く申請手続きに入り、品目数の拡大を図ってまいります。また、臨床検査薬事業においては、海外に広くネットワークを有する国内企業とともに中国でのビジネス展開を図っており、早期に同国での製品上市を目指しています。
新薬の研究開発については、各開発品の特性などを国内外の企業へアピールし、導出交渉を進めてまいります。加えて、AI創薬ベンチャーMOLCUREとの協業など、最新の創薬技術導入にチャレンジし、将来のパイプライン充実に向けた基盤づくりにも取り組んでいきます。
(2) キャッシュ・フローの状況
当期における連結ベースの現金及び現金同等物は、営業活動により2,196百万円増加いたしました。また投資活動においては960百万円の減少、財務活動においては110百万円の増加となりました。
この結果、当期末の現金及び現金同等物(以下、資金)は9,254百万円(前期末比17.3%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期において、営業活動による資金は法人税等の支払及び仕入債務の減少などがあったものの、主に税金等調整前当期純利益の計上により、2,196百万円の増加(前期は3,188百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期において、投資活動による資金は主に既存設備更新のための固定資産取得などにより、960百万円の減少(前期は1,606百万円の減少)となりました。なお、これらの支払は過年度における銀行借入金を充当しております。
なお前期に比べ支出が減少した主な要因は、ベトナム工場建設等の大型設備投資が一巡したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期において、財務活動による資金は長期借入金の返済があった一方で、主に長期の借入れがあり、110百万円の増加(前期は1,741百万円の減少)となりました。
なお前期に比べキャッシュ・フローが増加した主な要因は、前期には自己株式の取得支出があったことによるものです。
(3) 財政状態
流動資産は前期末に比べて3.2%増加し、28,668百万円となりました。これは売上債権が減少した一方で、主に現金及び預金の増加によるものです。
固定資産は前期末に比べ3.5%減少し、18,256百万円となりました。これは、主に減価償却費の計上によるものです。
この結果、総資産は前期末に比べて0.5%増加し、46,926百万円となりました。
流動負債は前期末に比べて7.3%減少し、13,825百万円となりました。これは、主に仕入債務の減少によるものです。
固定負債は前期末に比べて6.6%増加し、15,237百万円となりました。これは、長期借入金の増加などによるものです。
この結果、負債合計は前期末に比べて0.5%減少し、29,063百万円となりました。
純資産合計は前期末に比べて2.1%増加し、17,863百万円となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、製造原価によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を立て、これにより生産をしております。
受注生産は一部の子会社で行っておりますが、受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較を行っております。
(1) 経営成績
当期におけるわが国経済は、おおむね良好な雇用・所得環境を背景に個人消費が底堅く推移したことや、企業の設備投資増加などに支えられ、期間を通して緩やかな回復が続いたものの、第4四半期に入り一部の指標が弱含んできました。海外経済についても当初は緩やかな回復が続きましたが、中国経済の減速などの影響から弱含んでおり、今後も米中における貿易摩擦の深刻化や、英国のEU離脱問題などが各国の経済成長の減速に波及するリスクが懸念されています。
医薬品業界につきましては、2018年4月より実施された診療報酬改定において、薬価への影響が薬剤費ベースでマイナス7.48%となり、国内の事業環境は厳しいものとなりました。また、同年6月には政府により「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針2018)」が閣議決定され、引き続き「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に基づき、費用対効果評価の本格実施へ向けた結論を得ることや、毎年薬価調査・毎年薬価改定の対象範囲を業界に与える影響などを把握した上で決定するとしています。このように事業環境が厳しいものとなるなか、国内製薬業界としては最大規模となる海外医薬品メーカーに対するM&Aや、企業間での長期収載品の譲渡やジェネリック医薬品事業の売却など、各企業では経営環境の変化に伴う様々な動きが目立ちました。なお、前述の「骨太の方針2018」の中に、当社の重要テーマであるCKDの予防に、国として重点的に取り組むことが初めて盛り込まれています。
このような環境下で、当社グループは引き続き「信頼できるジェネリック医薬品」の普及に貢献するべく、ジェネリック医薬品の高品質維持と安定供給確保、並びに生産性及び効率性の向上に資する施策を一層推し進めてまいりました。
また、ジェネリック医薬品事業と並行して取り組んでいるミッション、「高尿酸血症領域」や「自社開発創薬」に関しましても、各開発品目の試験が順調に進展したことで国内外企業への導出活動が本格化するなど、ミッションの実現に向けた取り組みが進んでおります。当社グループはまだ十分な治療薬がない病気に苦しむ患者さんのために、画期的な自社創薬の開発に取り組んでいます。
セグメントの経営成績は次のとおりです。
① 医薬品事業
1) 医療用医薬品
(a) ジェネリック医薬品
当期においては循環器官用薬の「イルアミクス配合錠LD・同HD『ケミファ』」や中枢神経系用薬「トアラセット配合錠『ケミファ』」など6成分9品目を発売いたしました。
販売面では、前述の薬価改定の影響に加え、市場のジェネリック医薬品への置換え率が上がるにつれ既存品の数量の伸びが鈍化しており、さらに、オーソライズドジェネリックの台頭や価格競争の激化などの影響を受けて、市場環境は厳しいものとなりました。
当社においては、子会社である日本薬品工業が、2017年度に他社からの製品承継や販売移管を行ったことで得た、新たな販路での売上を伸ばしたものの、グループ全体の薬価改定と市場競争の影響を補うには至りませんでした。
(b) 主力品・新薬
主力品であるアルカリ化療法剤ウラリットにつきましては、ジェネリック医薬品への置換えが進んでおりますが、日本薬品工業が販売するウラリットのジェネリック医薬品「クエンメット配合散・同配合錠」と合わせて当社グループで提供できる状況を活かし、痛風並びに高尿酸血症における酸性尿改善の重要性に関する普及活動を強化してきました。
また、2018年12月にフェリング・ファーマ株式会社と、経口腸管洗浄剤「ピコプレップ配合内用剤」の製造販売承認の承継に関する契約を締結し、当社グループとしては「カルバン錠25・50・100」(以下、カルバン)以来の新薬となる同剤の販売を、2019年2月から開始しております。
(c) 海外販売
海外での販売につきましては、当期末時点で韓国、タイ、中国の3か国において6品目の承認を取得し、5品目を販売しております。また、2018年10月に中国の中堅製薬企業と広範な提携を視野に入れた業務契約を結んでおり、今後、順調に事業が進めば、同社を通じた中国での新たな事業展開が図れると考えています。
以上の結果、ジェネリック医薬品の売上高は前期比 6.2%の減収、ウラリットをはじめとする主力3品の売上高は23.5%の減収となり、医療用医薬品全体では7.3%の減収となりました。
なお、医療用医薬品の売上高比率を薬効別にみますと、循環器官用薬及び呼吸器官用薬33.0%、消化器官用薬17.1%、ウラリットなどの代謝性医薬品16.0%、神経系及び感覚器官用薬8.4%、病原生物用薬5.1%、腫瘍用薬3.3%、その他の医薬品17.1%となっています。
(d) 研究開発
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けながら、当社と九州大学が共同で開発を進めてまいりました「NC-2600」(P2X4受容体拮抗薬)は、世界で初めてグリア細胞をターゲットとした神経障害性疼痛治療薬であり、フェーズⅠ試験の結果、ヒトにおいても中枢神経系に起因する副作用が起きにくい可能性が示唆されています。当期は早期の導出を目指して国内外の複数メーカーに対し導出交渉を実施してまいりました。
抗うつ・抗不安薬「NC-2800」(オピオイドδ受容体作動薬)については、非臨床試験を終了し、その新たな作用機序に基づく情動調節薬としての期待や、既存の抗うつ・抗不安薬の抱える問題を克服しうる可能性などが認められ、2018年1月にAMEDの新規事業である「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」に採択され、引き続きAMEDの支援を受けながら開発を進めています。当期はフェーズⅠ試験に向けた準備を進めるとともに、国内外企業に向けた導出可能性についても検討を行ってきました。
また、当社グループの3つのミッションの1つである高尿酸血症の治療薬として開発を進めている尿酸降下薬については、「NC-2500」(キサンチンオキシドリダクターゼ阻害薬)がフェーズⅠ試験を、「NC-2700」(URAT1阻害薬)については非臨床試験を2017年度に終えて、ともに他社への導出や提携を目指した活動を継続いたしました。
さらに、「ソレトン錠80」(以下、ソレトン)については、日本医師会治療促進センターの支援を得て、金沢大学附属病院が中心となり、腱滑膜巨細胞腫に対する医師主導型の治験が進められています。また、カルバンについてもスペインのSOMバイオテック社により、ハンチントン病などの運動性疾患を対象としたフェーズⅡ試験が当期に始まりました。
一方、将来にわたり有望な医薬品候補を生み出し続けるためには、技術革新著しい情報技術や人工知能(AI)を取り入れるなど、創薬手法そのもののイノベーションが必要不可欠であると考え、2018年11月にAI創薬ベンチャーであるMOLCUREの第三者割当増資の一部を引受けるとともに、両社間で業務提携に向けた協議を開始することを合意した覚書を交わしております。
(e) 生産体制
グループ全体の生産能力増強及び製造コスト削減を目的として、日本薬品工業の子会社であるNC-VN社 が建設し、商業生産開始に向けた準備を進めておりましたベトナム工場では、2018年11月よりウラリットとソレトンの商業生産を開始し、同年12月には日本に向けた輸出をスタートいたしました。その一方、日本薬品工業の国内つくば工場では、2018年11月より当社グループで初めてとなる新薬の受託製造を開始しております。
このように、今後も国内工場からベトナム工場へ品目移管を進めていくことでさらなる低コスト生産を図っていきながら、マザー工場の位置づけとなる国内工場においては、高い技術力を活かして新製品の製造や受託製造などに注力することで、当社グループ全体の最適な生産体制の確立を目指しています。
2) 臨床検査薬
自社開発のアレルギー検査薬「オリトンIgE『ケミファ』」及び測定機器の「DiaPack3000」について、海外に広くネットワークを有する国内企業と協力し、アジア、中国、欧州などでマーケティング活動を行ってまいりました。また、企業と製品の知名度向上策として、専門学会などでの出展や学会発表も積極的に行いました。
以上により、医薬品事業全体の売上高は32,682百万円(前期比4.7%減)、営業利益は1,375百万円(前期比24.3%減)となりました。
② その他
受託試験事業、ヘルスケア事業及び不動産賃貸事業である「その他」の事業では受託試験事業の厳しい競争環境の中で受注が堅調に推移した結果、売上高は1,500百万円(前期比42.7%増)となり、営業利益は88百万円(前期比188.3%増)となりました。
以上の結果、各セグメントを通算した業績は当期の連結売上高が34,182百万円(前期比3.3%減)、連結営業利益が1,464百万円(前期比20.8%減)、連結経常利益が1,512百万円(前期比10.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が881百万円(前期比24.1%減)となりました。
3つのミッションの1つであるジェネリック医薬品の市場環境は前述の通り、薬価改定の影響に加え、ジェネリック医薬品への置換え率の上昇やオーソライズドジェネリックの台頭などでさらに厳しさを増しております。かかる市場環境下、当社においてはグループで販売チャネルの多様化を進めることなどで売上の増収を図っているものの、医薬品事業並びに「その他」の事業を含めた売上高は減収となりました。
利益面では、ジェネリック医薬品及び新薬開発にかかる開発費の効率的使用や経常的な経費の削減に努めたことなどから販管費率は低下した一方で、薬価改定による単価引き下げや主力品の売上減の影響から原価率が上昇し、営業利益以下各利益で減益の結果となりました。
かかる状況下でのより効率的な販売体制の構築のため、当社におきましてはサプライチェーン効率化の一環として2018年度中に支店・営業所の統合や、医薬事業のマネジメントを強化するための販売体制の見直しを行いました。刻々と変化する事業環境に対して迅速な対応をとることで、MR活動のさらなる生産性向上に取り組んでまいります。さらに、2019年2月に製造販売承認を承継した新薬の経口腸管洗浄剤「ピコプレップ配合内用剤」に関する情報提供活動は、当社が消化器・オンコロジー領域への取り組みを通じて育んできた医師・薬剤師とのリレーションのさらなる深耕に資するものです。本剤に加えて周辺薬剤に関する情報提供を可能とすることで、より一層効率的なMR活動につながるものと期待しております。
また日本薬品工業による新たな販路での売上が順調に伸びており、引き続き販売チャネルの選択肢を拡大させながらグループ全体での売上増加を図ってまいります。
主力品のウラリットは2019年に発売から30年を迎えました。今後も腎臓内科、泌尿器科、代謝系内科などの専門医から得られた痛風・高尿酸血症における酸性尿の改善及びアシドーシスの酸塩基平衡改善の重要性を示すデータを活用しながら、医師・薬剤師などの医療関係者はもとより、患者さんへの有用な情報の発信をこれまで以上に強化し、痛風・高尿酸血症における尿アルカリ化療法の啓発、認知向上に努めてまいります。また、「骨太の方針2018」でCKD予防への取り組みが取り上げられる中、引き続き東北大学で進められている尿アルカリ化薬とCKDの関連を解明する臨床研究への協力を行っていきます。
海外においては、ASEAN、中国などで申請中の品目について早期に承認を得るとともに、申請準備段階にある品目についてもなるべく早く申請手続きに入り、品目数の拡大を図ってまいります。また、臨床検査薬事業においては、海外に広くネットワークを有する国内企業とともに中国でのビジネス展開を図っており、早期に同国での製品上市を目指しています。
新薬の研究開発については、各開発品の特性などを国内外の企業へアピールし、導出交渉を進めてまいります。加えて、AI創薬ベンチャーMOLCUREとの協業など、最新の創薬技術導入にチャレンジし、将来のパイプライン充実に向けた基盤づくりにも取り組んでいきます。
(2) キャッシュ・フローの状況
当期における連結ベースの現金及び現金同等物は、営業活動により2,196百万円増加いたしました。また投資活動においては960百万円の減少、財務活動においては110百万円の増加となりました。
この結果、当期末の現金及び現金同等物(以下、資金)は9,254百万円(前期末比17.3%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期において、営業活動による資金は法人税等の支払及び仕入債務の減少などがあったものの、主に税金等調整前当期純利益の計上により、2,196百万円の増加(前期は3,188百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期において、投資活動による資金は主に既存設備更新のための固定資産取得などにより、960百万円の減少(前期は1,606百万円の減少)となりました。なお、これらの支払は過年度における銀行借入金を充当しております。
なお前期に比べ支出が減少した主な要因は、ベトナム工場建設等の大型設備投資が一巡したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期において、財務活動による資金は長期借入金の返済があった一方で、主に長期の借入れがあり、110百万円の増加(前期は1,741百万円の減少)となりました。
なお前期に比べキャッシュ・フローが増加した主な要因は、前期には自己株式の取得支出があったことによるものです。
(3) 財政状態
流動資産は前期末に比べて3.2%増加し、28,668百万円となりました。これは売上債権が減少した一方で、主に現金及び預金の増加によるものです。
固定資産は前期末に比べ3.5%減少し、18,256百万円となりました。これは、主に減価償却費の計上によるものです。
この結果、総資産は前期末に比べて0.5%増加し、46,926百万円となりました。
流動負債は前期末に比べて7.3%減少し、13,825百万円となりました。これは、主に仕入債務の減少によるものです。
固定負債は前期末に比べて6.6%増加し、15,237百万円となりました。これは、長期借入金の増加などによるものです。
この結果、負債合計は前期末に比べて0.5%減少し、29,063百万円となりました。
純資産合計は前期末に比べて2.1%増加し、17,863百万円となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 医薬品事業 | 7,664 | △4.6 |
| その他 | ― | ― |
| 合計 | 7,664 | △4.6 |
(注) 1 金額は、製造原価によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を立て、これにより生産をしております。
受注生産は一部の子会社で行っておりますが、受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 医薬品事業 | 32,682 | △4.7 |
| その他 | 1,500 | 42.7 |
| 合計 | 34,182 | △3.3 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
| アルフレッサ㈱ | 8,067 | 22.8 | 7,508 | 22.0 |
| ㈱メディセオ | 7,374 | 20.9 | 6,485 | 19.0 |
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。