有価証券報告書-第74期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
企業理念、経営方針、行動指針から成り立つ企業理念体系を当社グループの全員が常に意識し、目標・価値観を共有して行動してまいります。創業から現在までに築き上げてきた良き企業文化を継承するとともに、時代や環境、価値観の変化に迅速に対応できるスピード感のある経営に努め、マテリアルを通じて価値を創造するイノベーション・カンパニーとして、社会とステークホルダーの皆様の信頼に応える企業を目指してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標
<目標とする経営指標>当社グループは、営業利益とROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)を、目標とすべき重要な経営指標と位置づけております。
(中期経営計画「JSR20i9」における業績目標)
(注)上記はIFRSで要求される開示の一部であり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32.金融商品 (1)資本管理方針」で上記を参照しております。
<当期の進捗状況>(中期経営計画「JSR20i9」(ジェイエスアールにせんじゅうきゅう)の進捗)
中期経営計画「JSR20i9」では、対象期間である2018年3月期(2017年度)から2020年3月期(2019年度)までの3ヵ年を、2020年のあるべき姿に向けた持続的変革を図る第三段階にあたる「未来に向けた競争力強化」の期間と位置づけ、2020年代に向け継続的な変革を実施してまいります。「JSR20i9」の2年度目となる2019年3月期(2018年度)は中期経営計画の収益目標を前期に続き達成することができました。
(3)対処すべき課題
<エラストマー事業>需要業界である自動車・タイヤ生産ともグローバル市場では安定した成長が見込まれております。 その中で、グローバルに需要が増加している低燃費タイヤ用SSBRは、電気自動車やオールシーズンタイヤといった高機能タイヤ向けにも需要が拡大しています。
こうした中、タイの合弁会社JSR BST Elastomer Co.,Ltdの第1期・第2期設備がフル稼働に近づいているため、2020年3月期(2019年度)にハンガリーに設立した合弁会社JSR MOL Synthetic Rubber Ltd.の稼働を開始し、供給能力を拡大してまいります。
また、JSR Elastomer Europe GmbH(ドイツ)、JSR Elastomer Korea Co.,Ltd.(韓国)、JSR(Shanghai)Co.,Ltd(中国)の販売拠点に加え、2018年4月からJSR Elastomer India Private Limited(インド)、2018年10月からJSR Elastomer America,Inc.(アメリカ)の営業を開始し、より一層のグローバルな販売体制を構築しました。
また、今後の高機能タイヤ需要の大きな成長が期待される中国においては、天津技術センターにより現地顧客に密着した技術サポートを提供してまいります。SSBRのグローバルな需要増大を確実に取り込み、販売を拡大してまいります。
<合成樹脂事業>2018年4月に統合したテクノUMG株式会社においては、販売・開発・製造の融合を進めてまいりました。工場間での生産品目の相互移管により、能力増強の投資を抑制しつつ生産効率を上げております。また、海外現地法人の統廃合を行い、販売体制の最適化を実施しました。これまで蓄積してきた両社の製造力・開発力・販売力を活かし、製品の開発・製造効率・コスト競争力をより高めて、差別化製品を増やし、海外における特殊品の販売を拡大することにより、事業統合によるシナジー効果を実現してまいります。
<デジタルソリューション事業>半導体材料事業は、通信の高速化、データ容量の増加などにより、半導体需要の増加が見込まれる中、最先端の7-10nm世代プロセスを含む先端リソグラフィ材料市場でのグローバルな主要顧客との関係を強固なものにしながら、競争力を維持してまいります。
更に7nm世代以降に向けたEUVリソグラフィの早期実用化に向けて主要顧客での評価を進め、ベルギーのimecとの合弁事業のEUV Resist Manufacturing & Qualification Center N.V.で世界に先駆けてEUVリソグラフィ材料の量産化を進めて販売拡大をしてまいります。周辺材料につきましては、先端ラインでの実装材料・洗浄剤・CMP材料を中心に更に販売を拡大してまいります。
ディスプレイ材料事業は、液晶および有機ELパネルの汎用化に伴う材料の競争激化が依然として懸念されますが、それぞれのパネルの需要は堅調に伸びる見通しです。大型液晶パネル向けを中心に、特に成長が見込まれる中国市場において、競争力のある配向膜と絶縁膜を中心に有機EL材料等でも販売を拡大し、収益の確保・拡大を図ってまいります。
<ライフサイエンス事業>当社の強みである高機能の材料のライフサイエンス市場への提供に加えて、積極的な事業買収を行い、今後大きな成長が見込まれる抗体医薬などのバイオ医薬の創薬・製造プロセス開発・委託製造を一貫して請け負う事業を第3の柱として育成してきました。2018年5月には創薬支援を行うCrown Bioscience Internationalを連結子会社化しました。KBI Biopharma,Inc.(KBI)やSelexis S.A.などのグループ各社との連携により、ライフサイエンス事業の事業範囲を拡大してまいります。KBIにおいては、バイオ医薬品製造設備の能力を増強するとともに、ベルギーのグループ企業JSR Micro N.V.(NV)の敷地内にも新たな分析サービス拠点を設置しました。また、今後需要の伸びが期待できる抗体医薬精製用担体の「Amsphere®(アムスフェア)A3」の製造設備をNVに新設することで生産能力を増強し、販売拡大に注力してまいります。
<その他事業>慶應義塾大学医学部および大学病院との共同研究施設「JSR・慶應義塾大学 医学化学イノベーションセンター」(JKiC)において、革新的な材料や製品の開発に取り組んでおります。JKiCでは、医学的見地と素材開発の知見を融合させて、主に4つの領域(①精密医療、②幹細胞生物学と細胞医療、③微生物叢(マイクロバイオーム)、④先端医療機器)で研究を進めております。また、2021年を目標に川崎市殿町地区に新研究棟を開設予定です。新研究棟ではJKiCから生まれる研究成果を社会実装につなげる開発支援を行うだけではなく、先端デジタル技術を材料技術開発に応用するマテリアルズ・インフォマティクスやオープンイノベーションを実践して新しい事業領域やモデルに挑戦するなど、2020年代以降をにらんだ次世代研究投資を継続してまいります。
(4)その他の対処すべき課題
ESG(環境・社会・ガバナンス)
当社グループは、企業理念に立脚して様々なステークホルダーと良好な関係を築き、信頼され必要とされる企業市民になることを目指しております。そのために企業理念を実践する経営と企業の社会的責任(CSR)を一体のものと捉え、当社グループが重要と考える経営課題(重要課題)の解決を、「事業活動で貢献する社会的課題」/「事業活動によって生じる社会的課題」/「事業活動の基盤となる課題」の3つの切り口で整理し、社会的重要課題の解決に取り組んでおります。また、CSR会議が、企業倫理/レスポンシブル・ケア(RC)推進/リスク管理/社会貢献の4つの活動を統括してCSRを推進しております。2015年9月に国連にて採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」とその目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」は、当社グループの企業理念と持続可能な社会の実現を目指すという点で、互いに関連する部分が多いと考えております。2030年にSDGsが目指している17の目標169のターゲットと、当社グループの重要課題との関係性を整理し、「事業活動によって生じる社会的課題」や「事業活動で貢献する社会的課題」として捉え、事業活動を通じてSDGsの実現に貢献しております。
当社グループの重要課題のうち、「事業活動で貢献する社会的課題」では環境に優しく、かつ確実に安全に止まる性能を維持する低燃費タイヤの原料となるSSBRや、電子産業にとって重要な半導体の消費電力を低減する手段としての微細加工を可能にする製品など、事業と地球環境問題解決に大きな可能性をもたらす環境配慮型製品を通じて貢献してまいります。「事業活動によって生じる社会的課題」では、環境安全マネジメント方針を掲げて、レスポンシブル・ケア(RC)活動に取り組み、サプライチェーンでの温室効果ガス排出量削減や埋め立てゴミゼロの目標達成など、環境負荷低減の取り組みを継続してまいります。
当社グループの重要課題のうち、「事業活動で貢献する社会的課題」では、ライフサイエンス事業での健康長寿社会に求められる製品・サービスを通じて貢献してまいります。「事業活動によって生じる社会的課題」では、「安全は製造業に働く全ての人にとって最も大切なものであり、事業活動の大前提である」という考えのもとに安全基盤と安全文化の再構築に向けた安全衛生の取り組みを推進してまいります。「事業活動の基盤となる課題」では、コンプライアンスやリスク管理の強化を推進してまいります。
人材育成は企業の競争力と持続的発展のための最重要課題であり、引き続き、社員の自立的成長を重視する育成方針に基づいて、当社グループのあるべき姿と価値観を共有した個々人・組織の自発的な行動を促進します。企業理念体系の浸透と風土改革を進めるとともに、組織能力強化のためのグローバルな人材育成策に継続的に取り組んでまいります。また、当社では2015年度にダイバーシティ推進室を設置するなど、人材のダイバーシティ(多様性)推進に積極的に取り組んでおります。さらに、多様な人材が活躍でき、労働生産性の向上もめざして、かねてよりワークライフマネジメントとして取り組んできた活動を「ワークスタイルイノベーション活動」として中期経営計画「JSR20i9」に織り込み、働き方の見直しを進め企業競争力の向上を目指しております。また、労働生産性向上の前提は社員が健康的に働けることであるとして、健康づくりの活動にも取り組んでおります。このような取り組みにより、2016年度から3年連続で経済産業省と日本健康会議より、優良な健康経営を実践している上場企業として「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定いただいております。
当社グループにとっての重要課題のうち、「事業活動の基盤となる課題」では、監査役設置会社として、取締役会と監査役による業務執行の監視・監督を行う制度を基礎としつつ、コーポレート・ガバナンス体制の強化・拡充を継続的に図っております。2018年度にはコーポレートガバナンス・コードの改定への対応を含め、以下のような対応を行ってまいりました。
①政策保有株式の縮減
個別の政策保有株式につき、保有目的、リスク・リターン、資本コスト等を考慮し、取締役会において政策保有株式の保有状況および保有方針を確認し、縮減を進めております。
②取締役会の多様性の確保と当グループの経営体制の継承
グローバル化、IT化、デジタル化等の事業環境の急速な変化に対応すべく、メンバーの過半数を社外取締役で構成し社外取締役が委員長を務める指名諮問委員会からの答申に基づき、取締役会として必要な能力・経歴・性別等の多様性の見直しを行うとともに、数年にわたり議論を継続してきた後継者育成計画に基づき、CEO(最高経営責任者)の後継者候補者の選定を行いました。当社の取締役会は当連結会計年度末現在、代表取締役社長を含む4名の社内取締役と経営執行および財務活動に精通した3名の社外取締役から構成されており、1名の常勤監査役と財務・会計・税務の専門家および会社法を含む法務の専門家の2名の社外監査役(うち1名は女性)が毎回出席しております。指名諮問委員会は2015年度に設置され、社外取締役を委員長とする社外取締役3名(委員長含む)と代表取締役社長から構成され、社長の選解任および当グループの経営体制および経営責任・執行の継承計画について客観的かつ長期的な面から検討を行っております。
③役員報酬体系の透明性と公平性の確保
グローバルに競争力のある経営体制を担う人材を確保し、報奨する報酬制度が必要となるため、メ
ンバーの過半数を社外取締役で構成し社外取締役が委員長を務める報酬諮問委員会からの答申に基づ
き、新設を予定している取締役CEOの報酬の構成要素と報酬水準の設定を行うとともに、役員報酬に
関する開示の拡充を行いました。当社は2014年度に社外取締役を委員長とし、社外取締役3名(委員
長含む)と代表取締役社長からなる報酬諮問委員会を設置し、外部機関からデータおよび助言を受け
て、毎年度の業績などを考慮しながら公平かつ透明性を持った報酬制度および報酬額の答申を取締役
会に対して行っております。
④取締役会実効性評価
昨年に引き続き、取締役会実効性評価を実施いたしました。取締役会、指名諮問委員会・報酬諮問
委員会・監査役会の運営が適切になされていることを再確認するとともに、M&Aや大型投資案件に関
するフォローアップを行いました。今後も、取締役会の実効性のさらなる向上を図るとともに、コー
ポレート・ガバナンスを拡充させて、企業価値の継続的向上に努めてまいります。
以上のような課題に対して、確実に取り組み、遂行してまいります。
なお、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断
する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)会社の経営の基本方針
企業理念、経営方針、行動指針から成り立つ企業理念体系を当社グループの全員が常に意識し、目標・価値観を共有して行動してまいります。創業から現在までに築き上げてきた良き企業文化を継承するとともに、時代や環境、価値観の変化に迅速に対応できるスピード感のある経営に努め、マテリアルを通じて価値を創造するイノベーション・カンパニーとして、社会とステークホルダーの皆様の信頼に応える企業を目指してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標
<目標とする経営指標>当社グループは、営業利益とROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)を、目標とすべき重要な経営指標と位置づけております。
(中期経営計画「JSR20i9」における業績目標)
| 2020年3月期 当初目標 | 2019年3月期 実績 | 2020年3月期 通期予想 | |
| 売上収益 | 4,600億円 | 4,967億円 | 5,080億円 |
| 営業利益 | 420億円 | 430億円 | 445億円 |
| ROE | 8%以上 | 7.8% | 7.6% |
(注)上記はIFRSで要求される開示の一部であり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32.金融商品 (1)資本管理方針」で上記を参照しております。
<当期の進捗状況>(中期経営計画「JSR20i9」(ジェイエスアールにせんじゅうきゅう)の進捗)
中期経営計画「JSR20i9」では、対象期間である2018年3月期(2017年度)から2020年3月期(2019年度)までの3ヵ年を、2020年のあるべき姿に向けた持続的変革を図る第三段階にあたる「未来に向けた競争力強化」の期間と位置づけ、2020年代に向け継続的な変革を実施してまいります。「JSR20i9」の2年度目となる2019年3月期(2018年度)は中期経営計画の収益目標を前期に続き達成することができました。
(3)対処すべき課題
<エラストマー事業>需要業界である自動車・タイヤ生産ともグローバル市場では安定した成長が見込まれております。 その中で、グローバルに需要が増加している低燃費タイヤ用SSBRは、電気自動車やオールシーズンタイヤといった高機能タイヤ向けにも需要が拡大しています。
こうした中、タイの合弁会社JSR BST Elastomer Co.,Ltdの第1期・第2期設備がフル稼働に近づいているため、2020年3月期(2019年度)にハンガリーに設立した合弁会社JSR MOL Synthetic Rubber Ltd.の稼働を開始し、供給能力を拡大してまいります。
また、JSR Elastomer Europe GmbH(ドイツ)、JSR Elastomer Korea Co.,Ltd.(韓国)、JSR(Shanghai)Co.,Ltd(中国)の販売拠点に加え、2018年4月からJSR Elastomer India Private Limited(インド)、2018年10月からJSR Elastomer America,Inc.(アメリカ)の営業を開始し、より一層のグローバルな販売体制を構築しました。
また、今後の高機能タイヤ需要の大きな成長が期待される中国においては、天津技術センターにより現地顧客に密着した技術サポートを提供してまいります。SSBRのグローバルな需要増大を確実に取り込み、販売を拡大してまいります。
<合成樹脂事業>2018年4月に統合したテクノUMG株式会社においては、販売・開発・製造の融合を進めてまいりました。工場間での生産品目の相互移管により、能力増強の投資を抑制しつつ生産効率を上げております。また、海外現地法人の統廃合を行い、販売体制の最適化を実施しました。これまで蓄積してきた両社の製造力・開発力・販売力を活かし、製品の開発・製造効率・コスト競争力をより高めて、差別化製品を増やし、海外における特殊品の販売を拡大することにより、事業統合によるシナジー効果を実現してまいります。
<デジタルソリューション事業>半導体材料事業は、通信の高速化、データ容量の増加などにより、半導体需要の増加が見込まれる中、最先端の7-10nm世代プロセスを含む先端リソグラフィ材料市場でのグローバルな主要顧客との関係を強固なものにしながら、競争力を維持してまいります。
更に7nm世代以降に向けたEUVリソグラフィの早期実用化に向けて主要顧客での評価を進め、ベルギーのimecとの合弁事業のEUV Resist Manufacturing & Qualification Center N.V.で世界に先駆けてEUVリソグラフィ材料の量産化を進めて販売拡大をしてまいります。周辺材料につきましては、先端ラインでの実装材料・洗浄剤・CMP材料を中心に更に販売を拡大してまいります。
ディスプレイ材料事業は、液晶および有機ELパネルの汎用化に伴う材料の競争激化が依然として懸念されますが、それぞれのパネルの需要は堅調に伸びる見通しです。大型液晶パネル向けを中心に、特に成長が見込まれる中国市場において、競争力のある配向膜と絶縁膜を中心に有機EL材料等でも販売を拡大し、収益の確保・拡大を図ってまいります。
<ライフサイエンス事業>当社の強みである高機能の材料のライフサイエンス市場への提供に加えて、積極的な事業買収を行い、今後大きな成長が見込まれる抗体医薬などのバイオ医薬の創薬・製造プロセス開発・委託製造を一貫して請け負う事業を第3の柱として育成してきました。2018年5月には創薬支援を行うCrown Bioscience Internationalを連結子会社化しました。KBI Biopharma,Inc.(KBI)やSelexis S.A.などのグループ各社との連携により、ライフサイエンス事業の事業範囲を拡大してまいります。KBIにおいては、バイオ医薬品製造設備の能力を増強するとともに、ベルギーのグループ企業JSR Micro N.V.(NV)の敷地内にも新たな分析サービス拠点を設置しました。また、今後需要の伸びが期待できる抗体医薬精製用担体の「Amsphere®(アムスフェア)A3」の製造設備をNVに新設することで生産能力を増強し、販売拡大に注力してまいります。
<その他事業>慶應義塾大学医学部および大学病院との共同研究施設「JSR・慶應義塾大学 医学化学イノベーションセンター」(JKiC)において、革新的な材料や製品の開発に取り組んでおります。JKiCでは、医学的見地と素材開発の知見を融合させて、主に4つの領域(①精密医療、②幹細胞生物学と細胞医療、③微生物叢(マイクロバイオーム)、④先端医療機器)で研究を進めております。また、2021年を目標に川崎市殿町地区に新研究棟を開設予定です。新研究棟ではJKiCから生まれる研究成果を社会実装につなげる開発支援を行うだけではなく、先端デジタル技術を材料技術開発に応用するマテリアルズ・インフォマティクスやオープンイノベーションを実践して新しい事業領域やモデルに挑戦するなど、2020年代以降をにらんだ次世代研究投資を継続してまいります。
(4)その他の対処すべき課題
ESG(環境・社会・ガバナンス)
当社グループは、企業理念に立脚して様々なステークホルダーと良好な関係を築き、信頼され必要とされる企業市民になることを目指しております。そのために企業理念を実践する経営と企業の社会的責任(CSR)を一体のものと捉え、当社グループが重要と考える経営課題(重要課題)の解決を、「事業活動で貢献する社会的課題」/「事業活動によって生じる社会的課題」/「事業活動の基盤となる課題」の3つの切り口で整理し、社会的重要課題の解決に取り組んでおります。また、CSR会議が、企業倫理/レスポンシブル・ケア(RC)推進/リスク管理/社会貢献の4つの活動を統括してCSRを推進しております。2015年9月に国連にて採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」とその目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」は、当社グループの企業理念と持続可能な社会の実現を目指すという点で、互いに関連する部分が多いと考えております。2030年にSDGsが目指している17の目標169のターゲットと、当社グループの重要課題との関係性を整理し、「事業活動によって生じる社会的課題」や「事業活動で貢献する社会的課題」として捉え、事業活動を通じてSDGsの実現に貢献しております。
人材育成は企業の競争力と持続的発展のための最重要課題であり、引き続き、社員の自立的成長を重視する育成方針に基づいて、当社グループのあるべき姿と価値観を共有した個々人・組織の自発的な行動を促進します。企業理念体系の浸透と風土改革を進めるとともに、組織能力強化のためのグローバルな人材育成策に継続的に取り組んでまいります。また、当社では2015年度にダイバーシティ推進室を設置するなど、人材のダイバーシティ(多様性)推進に積極的に取り組んでおります。さらに、多様な人材が活躍でき、労働生産性の向上もめざして、かねてよりワークライフマネジメントとして取り組んできた活動を「ワークスタイルイノベーション活動」として中期経営計画「JSR20i9」に織り込み、働き方の見直しを進め企業競争力の向上を目指しております。また、労働生産性向上の前提は社員が健康的に働けることであるとして、健康づくりの活動にも取り組んでおります。このような取り組みにより、2016年度から3年連続で経済産業省と日本健康会議より、優良な健康経営を実践している上場企業として「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定いただいております。
①政策保有株式の縮減
個別の政策保有株式につき、保有目的、リスク・リターン、資本コスト等を考慮し、取締役会において政策保有株式の保有状況および保有方針を確認し、縮減を進めております。
②取締役会の多様性の確保と当グループの経営体制の継承
グローバル化、IT化、デジタル化等の事業環境の急速な変化に対応すべく、メンバーの過半数を社外取締役で構成し社外取締役が委員長を務める指名諮問委員会からの答申に基づき、取締役会として必要な能力・経歴・性別等の多様性の見直しを行うとともに、数年にわたり議論を継続してきた後継者育成計画に基づき、CEO(最高経営責任者)の後継者候補者の選定を行いました。当社の取締役会は当連結会計年度末現在、代表取締役社長を含む4名の社内取締役と経営執行および財務活動に精通した3名の社外取締役から構成されており、1名の常勤監査役と財務・会計・税務の専門家および会社法を含む法務の専門家の2名の社外監査役(うち1名は女性)が毎回出席しております。指名諮問委員会は2015年度に設置され、社外取締役を委員長とする社外取締役3名(委員長含む)と代表取締役社長から構成され、社長の選解任および当グループの経営体制および経営責任・執行の継承計画について客観的かつ長期的な面から検討を行っております。
③役員報酬体系の透明性と公平性の確保
グローバルに競争力のある経営体制を担う人材を確保し、報奨する報酬制度が必要となるため、メ
ンバーの過半数を社外取締役で構成し社外取締役が委員長を務める報酬諮問委員会からの答申に基づ
き、新設を予定している取締役CEOの報酬の構成要素と報酬水準の設定を行うとともに、役員報酬に
関する開示の拡充を行いました。当社は2014年度に社外取締役を委員長とし、社外取締役3名(委員
長含む)と代表取締役社長からなる報酬諮問委員会を設置し、外部機関からデータおよび助言を受け
て、毎年度の業績などを考慮しながら公平かつ透明性を持った報酬制度および報酬額の答申を取締役
会に対して行っております。
④取締役会実効性評価
昨年に引き続き、取締役会実効性評価を実施いたしました。取締役会、指名諮問委員会・報酬諮問
委員会・監査役会の運営が適切になされていることを再確認するとともに、M&Aや大型投資案件に関
するフォローアップを行いました。今後も、取締役会の実効性のさらなる向上を図るとともに、コー
ポレート・ガバナンスを拡充させて、企業価値の継続的向上に努めてまいります。
以上のような課題に対して、確実に取り組み、遂行してまいります。
なお、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断
する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。