有価証券報告書-第63期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、経営理念である「ユーザーのための研究開発」をモットーに、境界領域(モノとモノとの接点における摩擦や磨耗など)におけるニーズに応え、「水と油と高分子のスペシャリストとして社会の発展に貢献」し、「小さくとも世界にきらりと光を放つ」企業を目指し、次の5項目を中期経営方針に掲げております。
① 当社グループの経営資源を最大限活用し、持続可能社会の実現に貢献する。
② 営業と開発の強みを相互に活かし、事業の付加価値向上と新事業分野へのチャレンジを加速する。
③ 継続的な技術革新によりものづくりの競争力を強化し、製造原価の低減と品質の向上を図る。
④ 管理部門の抜本的な改革により業務効率の改善を図り、MORESCO流働き方改革を推進する。
⑤ コンプライアンス・リスクに対して高い意識をもち、ステークホルダーの信頼を高める。
(2) 経営戦略等
① 各事業部門の戦略
(特殊潤滑油部門)
主たる需要分野である自動車産業においては、新型コロナウイルス感染症の拡大を早期に抑制した中国、ワクチン接種で先行する北米地域等での生産台数の回復が見込まれます。また、世界的な脱炭素の動きのなか環境対応車への移行が加速しています。このような市場の変化において当社は従来の用途に限らず、更なる軽量化や構成材料の多様化に対応した製品開発に取り組みます。主力製品であるダイカスト用油剤については、少量塗布で優れた性能を発揮し、環境負荷低減にも貢献する離型剤の拡大によって引き続きグローバルトップを目指します。また、世界的にシェアの低い切削油剤や熱間鍛造潤滑剤については、国内外の顧客ニーズに対応する製品開発に注力するとともに、各拠点において効率的な生産体制を確立し世界市場でのシェア拡大を図ります。一方、国内では、上記少量塗布型離型剤、白色系の熱間鍛造潤滑剤等、環境負荷低減に貢献できる潤滑剤の開発に加えて、航空機部品、ガラス等の特殊材料の加工を可能にする切削油剤の開発に注力するとともに、新たな販売ルートの開拓等により販売拡大を図ります。
(合成潤滑油部門)
高温用合成潤滑油は、主として自動車用電装部品向けの高温軸受用グリースの基油として使用されており、オンリーワン製品として安定的な需要が見込まれます。また、産業機械、製菓・製パン等食品機械等の非自動車分野への用途拡大やアジア・欧米への展開を図ります。ハ-ドディスク表面潤滑剤については、ローカルストレージ分野におけるソリッドステートドライブ(SSD)への置き換えの進展により、足元ではハードディスクドライブ需要は縮小傾向にあるものの、大量のデータを取り扱うデータセンターでは、今後もハードディスクドライブ需要の拡大が見込まれます。高密度化する記憶方式に適応し、コストパフォーマンスに優れた新潤滑剤を市場投入することによって市場シェアの維持・拡大を図ります。
(素材部門)
主力製品である流動パラフィンは、医薬・医療品、化粧品などの成長分野で拡大する需要の取り込みに努めるとともに一層の生産性向上に取り組み、原価低減を継続的に進めます。また、乳化剤や清浄分散剤として幅広く利用されている石油スルホネートおよび合成スルホネートにおいても、原材料の最適化や製造プロセスの改善により品質の向上と原価低減を図り、流動パラフィンと合わせて素材事業全体の収益性向上を目指します。
(ホットメルト接着剤部門)
衛生材用途では、既存顧客との関係をより緊密なものとしながら高機能新製品の市場投入や次世代衛生材への取り組みにより国内基盤を一層強固にするとともに、多様化する海外ニーズに対応した商品の開発により、各エリアでの市場シェアの拡大を図ります。また低臭気ホットメルト接着剤など顧客ニーズにあった新商品による拡販に努めます。ラベル等の粘着材分野においては、高機能新製品により医療など新分野、新用途への売上高拡大を目指します。また、包装用途やフィルター用途では、環境負荷低減に貢献できる低VOC(揮発性有機化合物)型ホットメルト接着剤の拡販に注力していきます。自動車内装用での需要増加が見込まれる湿気硬化型ホットメルト接着剤においても引き続きグローバル展開を加速します。
中国・天津やインドネシア、インドの現地法人においては衛生材用途だけでなく、フィルター分野や自動車分野等他分野への拡販活動を強化するとともに、販売エリアの拡大も進めていきます。製造面では、製造工程の自動化や原料購入のグローバル化による調達地の最適化等によりコスト競争力強化と原材料の安定確保に努めます。また、海外生産部門との連携を更に強化し、グローバルな共通品質の確保と最適生産を追求します。
(デバイス材料部門)
当部門の主力製品である有機EL向け封止材については、中国や台湾の大手メーカーへの納入実績をもとに引き続き拡販に努めシェアアップを図っていきます。当該業界でも知名度が高まってきた、世界で唯一の高性能ガス・水蒸気透過度測定装置(スーパーディテクト)についても、国内外の実績が上がっており、中国での販売体制を整え拡大を図っていきます。また、同装置を使った受託分析ビジネスにも引き続き注力していきます。
② 海外戦略
当社グループは、国内市場が成熟するなか、自動車関連や衛生材料分野の成長が見込まれる新興国において、特殊潤滑油、ホットメルト接着剤等の事業展開を積極的に推進します。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により各拠点においてマイナス成長を余儀なくされましたが、2021年以降は回復基調が見込まれています。そのようななか、中長期的には自動車関連等で需要が拡大していく中国、北米、インドを引き続き重要市場と位置付け、性能、コスト、サービス面等で競合他社を凌駕すべく体制を強化していきます。中国においてはアフターコロナの市場回復が目覚ましく、2021年以降も堅調な経済成長が見込まれるなか、当社は更なる成長を目指し、中国各会社の再編や開発部門および管理部門の一元管理を実行することにより、現地ニーズに対応したスピーディな事業展開を推進していきます。主力のダイカスト用油剤では、環境負荷低減に貢献できる少量塗布型離型剤を積極的に展開していくとともに、今後大きく成長することが見込まれる環境対応車の市場に対しマーケティングおよび開発体制の強化を図り、来るべき需要を取り込んでいきます。また、シェアの低い切削油剤および熱間鍛造潤滑剤では現地ニーズに対応した製品の開発・改良により拡販を図ります。ホットメルト接着剤では、フィルターやラベルなど衛生材用途以外での用途拡大を図っていくとともに、環境規制が厳しくなってきている市場ニーズに対し、低VOC・低臭気タイプのホットメルト接着剤の販売を強化し新たな市場・用途に展開していきます。東南アジアにおいては特に感染者数の多かったインドネシアで経済が大きく停滞しました。2021年以降は同地域での経済回復が見込まれているなか、現地ニーズに対応した製品開発をスピーディに行うことでシェアアップに努めます。また、今後発展が見込まれるASEAN NEXT4への市場開拓を進めていきます。また、事業基盤を強化すべくタイ、インドネシアの両拠点においては開発・購買・製造一体となっての原価低減、ならびに管理部門の業務効率の改善を目指します。インドでは、2019年7月に竣工した現地工場を拠点にホットメルト接着剤や特殊潤滑油の販売を開始し事業基盤の確立を目指しております。インド全土のロックダウンに伴う経済低迷の影響を受けるなど厳しい事業環境にありましたが、2021年以降の経済は回復基調が見込まれています。そのなかにおいて、ホットメルト接着剤では日系衛材メーカーへの拡販やローカル衛材メーカーへの販売に努める一方、特殊潤滑油ではインド南部での販売ネットワークを強化し拡販を目指します。北米においては、当社顧客の工場生産停止等によりビジネス環境が悪化しましたが、2021年以降は自動車生産が回復基調にあります。2021年以降はダイカスト用油剤、熱間鍛造潤滑剤および高温用合成潤滑油を中心とした市場開拓を日系企業のみならず米系企業に対して継続推進するとともに、原料調達の多様化など原価低減により価格競争力を強化します。また、メキシコにおいては営業体制を強化し、ダイカスト用油剤と切削油剤の拡販に注力します。
③ 新製品開発
新製品開発では、従来からの「環境関連分野」、「情報関連分野」、「エネルギーデバイス分野」に「ライフサイエンス分野」を加えた4分野に重点をおき、人的、技術的ネットワークを生かしながら、当社のコア技術をさらに強化し、国内外の顧客ニーズにあった製品開発に注力していきます。
(環境関連分野)
自動車関連部品の製造工程で重要な役割を担う特殊潤滑油分野では、省資源、省エネルギーに貢献する高機能製品の開発を進めます。少量塗布で優れた離型性や潤滑性を発揮するダイカスト用油剤、航空機産業用部品などの難削剤を加工できる切削油剤、環境負荷低減に貢献できる少量塗布型の熱間鍛造潤滑剤開発など、オリジナリティーの高い製品展開を図ります。溶剤を含まず環境負荷低減に寄与するホットメルト接着剤分野では、ラベル等の粘着材分野において高機能新製品により医療など新分野、新用途への売上高拡大を目指すとともに、包装用途やフィルター用途では、環境負荷低減に貢献できる低VOC(揮発性有機化合物)型ホットメルト接着剤の拡販に注力していきます。自動車内装用での需要増加が見込まれる湿気硬化型の反応型ホットメルト接着剤においても引き続きグローバル展開を加速します。
(情報関連分野)
今後とも大量のデータを取り扱うデータセンターではハードディスクドライブの使用が続くとみられ、新しいエネルギーアシスト型高密度磁気記録方式に対応するより高性能でコストパフォーマンスに優れた表面潤滑剤を提供していきます。
(エネルギーデバイス分野)
テレビやスマートフォンなどの分野で今後の成長が期待される有機ELパネルの長寿命化に貢献する高バリア性封止材料については、有機合成技術、配合技術、高分子材料の変性技術等の強みを生かして、さらなる性能アップに努めるとともに、有機デバイス分野で高いシェアを有する中国企業等でのさらなる採用拡大に向けて注力し、同分野での事業基盤を確立します。有機薄膜太陽電池(OPV)については、再生可能エネルギーを生み出す軽量、フレキシブル、透明性といった特性を持つ材料の一つとして実用性の検証を進めます。
(ライフサイエンス分野)
ライフサイエンス分野では、当社の強みである有機合成技術を活かし、産学連携によって新規アレルギー治療薬の創出を目指します。同時に、オートファジー活性化薬の開発にも取り組みます。また、人体に対して非常に有効な物質をナノエマルジョン化して化粧品や食品等に応用する新しいビジネス展開を図ります。
④ 資本効率を高め企業価値向上を図る取り組み
当社はこれまで経営指標として総資産利益率(ROA)や自己資本利益率(ROE)に注視していますが、新たに投下資本利益率(ROIC)の指標を取り入れることによって限られた経営資源である資本を有効に活用し、企業価値を一層高めることを目指します。
(3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
2021年に入って新技術に基づくワクチン接種が一部始まったものの、わが国の経済活動が2020年より前の状態に戻るにはまだ時間を要し、世界経済の先行きは非常に見通し難い状況にあります。米国においてトランプ政権のアメリカ第一主義からバイデン政権の多国間協調へと変化が明らかになっていますが、米中間の緊張関係は継続し、世界経済の見通しをより困難にしています。さらには、EUが先頭を走る脱炭素の動きが世界中に伝播し加速する中、原油を中心とした資源価格動向にも留意が必要となっています。
このような当社を取り巻く経済環境や社会生活は、新型コロナウイルス感染症の蔓延を機に、より大きな潮流の変化を遂げようとしています。ビジネス界においては、社会課題や環境課題への取り組みが市場を牽引する原動力に変わってきています。
こうした新しい潮流・ニューノーマルへの対応が求められる中で、当社の第9次中期経営計画では、「持続可能な社会の実現」と「事業の付加価値の向上」の両立を達成するべく、営業・開発・製造がそれぞれの強みを一体化した三位一体の経営により、環境関連分野、情報関連分野、エネルギーデバイス分野といった既存事業およびライフサイエンス分野等、今後の成長が期待できる新事業分野への取り組みを一層加速させていきます。
環境関連分野では、少量塗布で優れた性能を発揮する離型剤や環境負荷低減に貢献できる低VOC型ホットメルト接着剤や自動車内装用で需要の見込まれる反応型ホットメルト接着材等グローバル展開をしてまいります。
情報関連分野では、成長が見込まれるデータセンター向け高密度磁気記録方式ハードディスクに対応した高性能でコストパフォーマンスに優れた表面潤滑剤を提供してまいります。
エネルギーデバイス分野では、有機デバイス分野で高いシェアを有する中国企業等での採用拡大に注力してまいります。有機薄膜太陽電池(OPV)については、実用性の検証を進めます。
ライフサイエンス分野では、有機合成技術の強みを生かし、産学連携によって創薬分野に展開を図るとともに、ナノエマルジョン技術の応用による化粧品や食品分野へのビジネス展開を図ってまいります。
また、技術革新を通じての生産効率の向上による原価低減と品質向上を実現するとともに、間接部門の効率化・強靭化を図り、働き方改革を推進するために、より一層のデジタル化・IoT化を組織内で進めていきます。さらには、世界が持続可能な社会の実現に向けて大きく舵を切る中、SDGsの観点から当社独自のゴール達成に向けて取り組み、ステークホルダーの信頼を高めていきます。
このような一連の取り組みを通じて当社グループの連携を強化し、不確実性や変動性がより顕著となる経営環境の中にあってグローバルな競争力を強化し、企業価値を高めていきます。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第9次中期経営計画(2021年度~2023年度)においては、上記の経営方針および経営戦略等のもと、目標を下記のとおり定めております。
(1) 経営方針
当社グループは、経営理念である「ユーザーのための研究開発」をモットーに、境界領域(モノとモノとの接点における摩擦や磨耗など)におけるニーズに応え、「水と油と高分子のスペシャリストとして社会の発展に貢献」し、「小さくとも世界にきらりと光を放つ」企業を目指し、次の5項目を中期経営方針に掲げております。
① 当社グループの経営資源を最大限活用し、持続可能社会の実現に貢献する。
② 営業と開発の強みを相互に活かし、事業の付加価値向上と新事業分野へのチャレンジを加速する。
③ 継続的な技術革新によりものづくりの競争力を強化し、製造原価の低減と品質の向上を図る。
④ 管理部門の抜本的な改革により業務効率の改善を図り、MORESCO流働き方改革を推進する。
⑤ コンプライアンス・リスクに対して高い意識をもち、ステークホルダーの信頼を高める。
(2) 経営戦略等
① 各事業部門の戦略
(特殊潤滑油部門)
主たる需要分野である自動車産業においては、新型コロナウイルス感染症の拡大を早期に抑制した中国、ワクチン接種で先行する北米地域等での生産台数の回復が見込まれます。また、世界的な脱炭素の動きのなか環境対応車への移行が加速しています。このような市場の変化において当社は従来の用途に限らず、更なる軽量化や構成材料の多様化に対応した製品開発に取り組みます。主力製品であるダイカスト用油剤については、少量塗布で優れた性能を発揮し、環境負荷低減にも貢献する離型剤の拡大によって引き続きグローバルトップを目指します。また、世界的にシェアの低い切削油剤や熱間鍛造潤滑剤については、国内外の顧客ニーズに対応する製品開発に注力するとともに、各拠点において効率的な生産体制を確立し世界市場でのシェア拡大を図ります。一方、国内では、上記少量塗布型離型剤、白色系の熱間鍛造潤滑剤等、環境負荷低減に貢献できる潤滑剤の開発に加えて、航空機部品、ガラス等の特殊材料の加工を可能にする切削油剤の開発に注力するとともに、新たな販売ルートの開拓等により販売拡大を図ります。
(合成潤滑油部門)
高温用合成潤滑油は、主として自動車用電装部品向けの高温軸受用グリースの基油として使用されており、オンリーワン製品として安定的な需要が見込まれます。また、産業機械、製菓・製パン等食品機械等の非自動車分野への用途拡大やアジア・欧米への展開を図ります。ハ-ドディスク表面潤滑剤については、ローカルストレージ分野におけるソリッドステートドライブ(SSD)への置き換えの進展により、足元ではハードディスクドライブ需要は縮小傾向にあるものの、大量のデータを取り扱うデータセンターでは、今後もハードディスクドライブ需要の拡大が見込まれます。高密度化する記憶方式に適応し、コストパフォーマンスに優れた新潤滑剤を市場投入することによって市場シェアの維持・拡大を図ります。
(素材部門)
主力製品である流動パラフィンは、医薬・医療品、化粧品などの成長分野で拡大する需要の取り込みに努めるとともに一層の生産性向上に取り組み、原価低減を継続的に進めます。また、乳化剤や清浄分散剤として幅広く利用されている石油スルホネートおよび合成スルホネートにおいても、原材料の最適化や製造プロセスの改善により品質の向上と原価低減を図り、流動パラフィンと合わせて素材事業全体の収益性向上を目指します。
(ホットメルト接着剤部門)
衛生材用途では、既存顧客との関係をより緊密なものとしながら高機能新製品の市場投入や次世代衛生材への取り組みにより国内基盤を一層強固にするとともに、多様化する海外ニーズに対応した商品の開発により、各エリアでの市場シェアの拡大を図ります。また低臭気ホットメルト接着剤など顧客ニーズにあった新商品による拡販に努めます。ラベル等の粘着材分野においては、高機能新製品により医療など新分野、新用途への売上高拡大を目指します。また、包装用途やフィルター用途では、環境負荷低減に貢献できる低VOC(揮発性有機化合物)型ホットメルト接着剤の拡販に注力していきます。自動車内装用での需要増加が見込まれる湿気硬化型ホットメルト接着剤においても引き続きグローバル展開を加速します。
中国・天津やインドネシア、インドの現地法人においては衛生材用途だけでなく、フィルター分野や自動車分野等他分野への拡販活動を強化するとともに、販売エリアの拡大も進めていきます。製造面では、製造工程の自動化や原料購入のグローバル化による調達地の最適化等によりコスト競争力強化と原材料の安定確保に努めます。また、海外生産部門との連携を更に強化し、グローバルな共通品質の確保と最適生産を追求します。
(デバイス材料部門)
当部門の主力製品である有機EL向け封止材については、中国や台湾の大手メーカーへの納入実績をもとに引き続き拡販に努めシェアアップを図っていきます。当該業界でも知名度が高まってきた、世界で唯一の高性能ガス・水蒸気透過度測定装置(スーパーディテクト)についても、国内外の実績が上がっており、中国での販売体制を整え拡大を図っていきます。また、同装置を使った受託分析ビジネスにも引き続き注力していきます。
② 海外戦略
当社グループは、国内市場が成熟するなか、自動車関連や衛生材料分野の成長が見込まれる新興国において、特殊潤滑油、ホットメルト接着剤等の事業展開を積極的に推進します。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により各拠点においてマイナス成長を余儀なくされましたが、2021年以降は回復基調が見込まれています。そのようななか、中長期的には自動車関連等で需要が拡大していく中国、北米、インドを引き続き重要市場と位置付け、性能、コスト、サービス面等で競合他社を凌駕すべく体制を強化していきます。中国においてはアフターコロナの市場回復が目覚ましく、2021年以降も堅調な経済成長が見込まれるなか、当社は更なる成長を目指し、中国各会社の再編や開発部門および管理部門の一元管理を実行することにより、現地ニーズに対応したスピーディな事業展開を推進していきます。主力のダイカスト用油剤では、環境負荷低減に貢献できる少量塗布型離型剤を積極的に展開していくとともに、今後大きく成長することが見込まれる環境対応車の市場に対しマーケティングおよび開発体制の強化を図り、来るべき需要を取り込んでいきます。また、シェアの低い切削油剤および熱間鍛造潤滑剤では現地ニーズに対応した製品の開発・改良により拡販を図ります。ホットメルト接着剤では、フィルターやラベルなど衛生材用途以外での用途拡大を図っていくとともに、環境規制が厳しくなってきている市場ニーズに対し、低VOC・低臭気タイプのホットメルト接着剤の販売を強化し新たな市場・用途に展開していきます。東南アジアにおいては特に感染者数の多かったインドネシアで経済が大きく停滞しました。2021年以降は同地域での経済回復が見込まれているなか、現地ニーズに対応した製品開発をスピーディに行うことでシェアアップに努めます。また、今後発展が見込まれるASEAN NEXT4への市場開拓を進めていきます。また、事業基盤を強化すべくタイ、インドネシアの両拠点においては開発・購買・製造一体となっての原価低減、ならびに管理部門の業務効率の改善を目指します。インドでは、2019年7月に竣工した現地工場を拠点にホットメルト接着剤や特殊潤滑油の販売を開始し事業基盤の確立を目指しております。インド全土のロックダウンに伴う経済低迷の影響を受けるなど厳しい事業環境にありましたが、2021年以降の経済は回復基調が見込まれています。そのなかにおいて、ホットメルト接着剤では日系衛材メーカーへの拡販やローカル衛材メーカーへの販売に努める一方、特殊潤滑油ではインド南部での販売ネットワークを強化し拡販を目指します。北米においては、当社顧客の工場生産停止等によりビジネス環境が悪化しましたが、2021年以降は自動車生産が回復基調にあります。2021年以降はダイカスト用油剤、熱間鍛造潤滑剤および高温用合成潤滑油を中心とした市場開拓を日系企業のみならず米系企業に対して継続推進するとともに、原料調達の多様化など原価低減により価格競争力を強化します。また、メキシコにおいては営業体制を強化し、ダイカスト用油剤と切削油剤の拡販に注力します。
③ 新製品開発
新製品開発では、従来からの「環境関連分野」、「情報関連分野」、「エネルギーデバイス分野」に「ライフサイエンス分野」を加えた4分野に重点をおき、人的、技術的ネットワークを生かしながら、当社のコア技術をさらに強化し、国内外の顧客ニーズにあった製品開発に注力していきます。
(環境関連分野)
自動車関連部品の製造工程で重要な役割を担う特殊潤滑油分野では、省資源、省エネルギーに貢献する高機能製品の開発を進めます。少量塗布で優れた離型性や潤滑性を発揮するダイカスト用油剤、航空機産業用部品などの難削剤を加工できる切削油剤、環境負荷低減に貢献できる少量塗布型の熱間鍛造潤滑剤開発など、オリジナリティーの高い製品展開を図ります。溶剤を含まず環境負荷低減に寄与するホットメルト接着剤分野では、ラベル等の粘着材分野において高機能新製品により医療など新分野、新用途への売上高拡大を目指すとともに、包装用途やフィルター用途では、環境負荷低減に貢献できる低VOC(揮発性有機化合物)型ホットメルト接着剤の拡販に注力していきます。自動車内装用での需要増加が見込まれる湿気硬化型の反応型ホットメルト接着剤においても引き続きグローバル展開を加速します。
(情報関連分野)
今後とも大量のデータを取り扱うデータセンターではハードディスクドライブの使用が続くとみられ、新しいエネルギーアシスト型高密度磁気記録方式に対応するより高性能でコストパフォーマンスに優れた表面潤滑剤を提供していきます。
(エネルギーデバイス分野)
テレビやスマートフォンなどの分野で今後の成長が期待される有機ELパネルの長寿命化に貢献する高バリア性封止材料については、有機合成技術、配合技術、高分子材料の変性技術等の強みを生かして、さらなる性能アップに努めるとともに、有機デバイス分野で高いシェアを有する中国企業等でのさらなる採用拡大に向けて注力し、同分野での事業基盤を確立します。有機薄膜太陽電池(OPV)については、再生可能エネルギーを生み出す軽量、フレキシブル、透明性といった特性を持つ材料の一つとして実用性の検証を進めます。
(ライフサイエンス分野)
ライフサイエンス分野では、当社の強みである有機合成技術を活かし、産学連携によって新規アレルギー治療薬の創出を目指します。同時に、オートファジー活性化薬の開発にも取り組みます。また、人体に対して非常に有効な物質をナノエマルジョン化して化粧品や食品等に応用する新しいビジネス展開を図ります。
④ 資本効率を高め企業価値向上を図る取り組み
当社はこれまで経営指標として総資産利益率(ROA)や自己資本利益率(ROE)に注視していますが、新たに投下資本利益率(ROIC)の指標を取り入れることによって限られた経営資源である資本を有効に活用し、企業価値を一層高めることを目指します。
(3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
2021年に入って新技術に基づくワクチン接種が一部始まったものの、わが国の経済活動が2020年より前の状態に戻るにはまだ時間を要し、世界経済の先行きは非常に見通し難い状況にあります。米国においてトランプ政権のアメリカ第一主義からバイデン政権の多国間協調へと変化が明らかになっていますが、米中間の緊張関係は継続し、世界経済の見通しをより困難にしています。さらには、EUが先頭を走る脱炭素の動きが世界中に伝播し加速する中、原油を中心とした資源価格動向にも留意が必要となっています。
このような当社を取り巻く経済環境や社会生活は、新型コロナウイルス感染症の蔓延を機に、より大きな潮流の変化を遂げようとしています。ビジネス界においては、社会課題や環境課題への取り組みが市場を牽引する原動力に変わってきています。
こうした新しい潮流・ニューノーマルへの対応が求められる中で、当社の第9次中期経営計画では、「持続可能な社会の実現」と「事業の付加価値の向上」の両立を達成するべく、営業・開発・製造がそれぞれの強みを一体化した三位一体の経営により、環境関連分野、情報関連分野、エネルギーデバイス分野といった既存事業およびライフサイエンス分野等、今後の成長が期待できる新事業分野への取り組みを一層加速させていきます。
環境関連分野では、少量塗布で優れた性能を発揮する離型剤や環境負荷低減に貢献できる低VOC型ホットメルト接着剤や自動車内装用で需要の見込まれる反応型ホットメルト接着材等グローバル展開をしてまいります。
情報関連分野では、成長が見込まれるデータセンター向け高密度磁気記録方式ハードディスクに対応した高性能でコストパフォーマンスに優れた表面潤滑剤を提供してまいります。
エネルギーデバイス分野では、有機デバイス分野で高いシェアを有する中国企業等での採用拡大に注力してまいります。有機薄膜太陽電池(OPV)については、実用性の検証を進めます。
ライフサイエンス分野では、有機合成技術の強みを生かし、産学連携によって創薬分野に展開を図るとともに、ナノエマルジョン技術の応用による化粧品や食品分野へのビジネス展開を図ってまいります。
また、技術革新を通じての生産効率の向上による原価低減と品質向上を実現するとともに、間接部門の効率化・強靭化を図り、働き方改革を推進するために、より一層のデジタル化・IoT化を組織内で進めていきます。さらには、世界が持続可能な社会の実現に向けて大きく舵を切る中、SDGsの観点から当社独自のゴール達成に向けて取り組み、ステークホルダーの信頼を高めていきます。
このような一連の取り組みを通じて当社グループの連携を強化し、不確実性や変動性がより顕著となる経営環境の中にあってグローバルな競争力を強化し、企業価値を高めていきます。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第9次中期経営計画(2021年度~2023年度)においては、上記の経営方針および経営戦略等のもと、目標を下記のとおり定めております。
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
| 売上高(百万円) | 25,830 | 27,650 | 29,750 |
| 営業利益(百万円) | 1,170 | 1,640 | 2,230 |
| 経常利益(百万円) | 1,470 | 1,840 | 2,470 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 1,200 | 1,050 | 1,430 |
| 経常利益率(%) | 5.7 | 6.7 | 8.3 |