有価証券報告書-第76期(2023/04/01-2024/03/31)
<気候変動への対応>当社グループは気候変動への対応をサステナビリティの取組みにおける重要課題と位置づけ、TCFD提言に沿って気候変動対応の強化に努め、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な企業価値向上の両立に向けて、グループ全体でサステナビリティ活動を推進していきます。
(2)戦略
当社グループにおける事業戦略のレジリエンスを評価するため、気候関連におけるリスクおよび機会について、シナリオ分析を実施しています。
シナリオの概要
IEAやIPCCなどの国際的な機関が公表している報告書やパリ協定をはじめとする国際動向を踏まえ、低炭素社会へ移行する1.5℃シナリオおよび温暖化が進行する4℃シナリオを選択しました。
識別した重要なリスク・機会、財務インパクトおよび対応策
1.5℃シナリオ
4℃シナリオ
期 間(短:0~3年未満/中:3~10年未満/長:10~30年)
(2)戦略
当社グループにおける事業戦略のレジリエンスを評価するため、気候関連におけるリスクおよび機会について、シナリオ分析を実施しています。
シナリオの概要
IEAやIPCCなどの国際的な機関が公表している報告書やパリ協定をはじめとする国際動向を踏まえ、低炭素社会へ移行する1.5℃シナリオおよび温暖化が進行する4℃シナリオを選択しました。
1.5℃シナリオ | 2050年カーボンニュートラルを達成するため、炭素税や排出量取引、脱プラスチックに関連する様々な法規制が強化される一方、低炭素製品や生分解性素材などの需要拡大が想定されます。なお、世界の平均気温が産業革命期以前と比較して、今世紀末ごろに約1.5℃の上昇に抑えられることから、物理的な影響は大きくないことが想定されます。 | ・IEA(国際エネルギー機関) WEO NZEシナリオ、SDSシナリオ ・IPCC(気候変動に関する政府間パネル) RCP1.9 |
4℃シナリオ | 化石燃料への依存による経済が進展し、世界の平均気温が産業革命期以前と比較して今世紀末ごろに約4℃上昇するに伴い、洪水などの気温上昇に起因する異常気象など、自然災害の発生が激増し、物理的な被害が拡大することが想定されます。 | ・IEA WEO STEPSシナリオ ・IEA 「The Future of Cooling」 ・IPCC RCP8.5 ・WRI Aqueduct Floods、国土交通省 ハザードマップ 等 |
識別した重要なリスク・機会、財務インパクトおよび対応策
1.5℃シナリオ
分 類 | 事業への影響 | 期 間 | 影響度 | 主な対応策 | ||
リスク | 機 会 | |||||
政策・法規制 | 炭素税・排出量取引制度の導入 | 炭素排出の負担が発生し、炭素税等の転嫁による原材料などの調達コストが増加 | 中~長 | 大 | ・石化由来原料の使用量削減 ・調達先における低炭素化の取組に関わる現状把握と連携促進 | |
炭素税等の転嫁による物流コストが増加 | 中~長 | 大 | ・物流効率化の推進 ・物流事業者との連携強化 | |||
自社の炭素排出コスト(Scope1,2に係る炭素税等)が増加 | 中~長 | 中 | ・再エネ活用の検討 ・効率性能が高い設備への更新の検討 | |||
石油由来製品への規制強化 | バージンプラスチック等への課税により石油由来原料などの調達コストが増加 | 中~長 | 中 | ・石化由来原料の使用量削減 ・生分解性プラスチック等の調達量の拡大 | ||
テクノロジー・技術 | 低炭素技術の進展 | 低炭素・循環型製品の開発による需要の増加 | 中~長 | 中 | ・メーカー(OEM先等)との協働による高付加価値製品の開発の推進 | |
市場 | 小売電力価格の上昇 | 自社が調達する電力コストの増加 | 中~長 | 大 | ・効率性能が高い設備への更新の検討 | |
素材の価格上昇 | 低炭素・循環型社会の進展に伴い、サステナブル系新素材の価格が上昇 | 中~長 | 大 | ・サプライヤーとの協働による高付加価値製品の開発 | ||
評判 | 低炭素や循環型社会に対する顧客の意識の高まり | 気候変動対策の遅延や情報開示不足による信用力の低下 | 中~長 | 中 | ・脱炭素経営、気候変動関連の情報開示の推進 | |
脱炭素経営の推進による企業価値の上昇 | 中~長 | 中 |
4℃シナリオ
分 類 | 事業への影響 | 期 間 | 影響度 | 主な対応策 | ||
リスク | 機 会 | |||||
急性 | 温暖化による気象災害(洪水・大雨・台風等)の激甚化 | 気象災害の被災による自社拠点への損害拡大、操業停止 | 中~長 | 大 | ・生産拠点の新設・移転時における気候変動リスクなどの継続評価 | |
気象災害によりサプライチェーンが寸断 | 中~長 | 大 | ・サプライチェーンマネジメントの強化 ・代替品、複数購買の検討 | |||
BCP対応コストの増加 | 中~長 | 中 | ・BCPの継続的な見直し・改善 | |||
慢性 | 気温上昇による熱帯性感染症の増加 | 原材料の生産国における蚊媒介感染症等の流行によりサプライチェーンが寸断 | 中~長 | 中 | ・BCPの継続的な見直し・改善 |
期 間(短:0~3年未満/中:3~10年未満/長:10~30年)