有価証券報告書-第101期(2025/01/01-2025/12/31)

【提出】
2026/03/24 13:32
【資料】
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【項目】
146項目

有報資料

本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本報告書の提出日現在において判断したもの
です。
(1)経営の基本方針
当社グループでは、グループの全ての事業活動、社会活動を貫く企業理念として “Look Beyond” を定めています。この “Look Beyond” において、当社グループが世の中に提供すべき価値、グループの存在意義を示すものとして「私たちのパーパス:“AGC、いつも世界の大事な一部”~私たちは先を見据え、独自の素材・ソリューションで、いつもどこかで世界中の人々の暮らしを支えます~」を掲げています。
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当社グループは、“いつも世界の大事な一部”であり続けるために、それぞれの時代で求められる変革に取り組んでいます。その変革を加速するため、2016年に既存事業を「コア事業」、成長分野での新事業群を「戦略事業」と定義し、両利きの経営を推進してきました。2021年には長期経営戦略「2030年のありたい姿」を策定するとともに、「コーポレート・トランスフォーメーション第二章」として事業ポートフォリオ改革の方向性を明確にし、企業変革をさらに加速することを宣言しました。
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(2)対処すべき課題
当社グループは、長期経営戦略「2030年のありたい姿」の実現に向け、2024年2月に策定した中期経営計画 AGC plus-2026(以下、「現中計」といいます。)の戦略に基づく取り組みを実行しています。
独自の素材・ソリューションの追求を通じて事業構造の変革を図り、市況変動に強く、資産効率・成長性・炭素効率の高い事業ポートフォリオの構築を目指しています。
現中計の基本戦略は、次のとおりです。
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① 2026年の財務KPI
現中計の策定時点では、2026年の財務KPIを営業利益2,300億円、ROE8%以上と設定していました。しかしながら、中国・欧州の景気低迷及びライフサイエンス事業における販売数量の大幅な未達を受け、2025年2月に目標を下方修正しました。更に、電子部材事業(EUV露光用フォトマスクブランクス、オプトエレクトロニクス)、ライフサイエンス事業での売上目標未達、並びにエッセンシャルケミカルズ東南アジア事業における価格低迷が見込まれるため、今般、2026年の財務KPIを以下のとおりとしました。
0102010_004.png* EBITDA=営業利益+減価償却費 ** 2023-2025平均。CAPM(資本資産価格モデル)で算出
現中計の最終年である2026年度においてROE5%以上を達成し、2027年以降早期に、株主資本コストを上回るROE8%超えを目指します。この達成に向けて、以下の施策を実行していきます。
② 主要課題と対応施策
(ⅰ) ROCEの改善
当社グループは、ROE向上のため、事業管理指標としてROCE*1を用いています。
エレクトロニクス事業及びインテグレイテッドケミカルズ事業*2は、製品の差別化により高収益を確保しており、今後も高水準のROCE継続を目指します。
一方、資産規模の大きい事業の収益性が不十分であることが全社ROCEを引き下げており、これらの事業における営業利益の向上及び営業資産の適正化を喫緊の課題と位置付け、対応を継続しています。その結果、オートモーティブ事業では2025年にROCEが10%を超える水準を達成し、ディスプレイ事業*3でも改善が進んでいます。しかしながら、エッセンシャルケミカルズ東南アジア事業*2及びライフサイエンス事業は依然として改善途上にあります。

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(注)
*1. ROCE(営業資産営業利益率)=(当年度営業利益)÷(当年度末営業資産残高)
*2. インテグレイテッドケミカルズ事業:
日本国内のクロール・アルカリ及びウレタン製品事業並びに主に日本に開発・製造機能を置く機能化学品事業
エッセンシャルケミカルズ東南アジア事業:
東南アジア地域のクロール・アルカリ事業
*3. 化学強化用特殊ガラス事業を含まない
全ての事業における営業利益の向上及び営業資産の適正化に向けて、次の取り組みを実行のうえ、ROE8%に相当する全社ROCE10%以上の達成を目指していきます。
- 営業利益の向上施策:コスト改善(安定生産・生産性改善)、価格政策、高付加価値化
- 営業資産の適正化:投資の厳選、在庫の縮減、事業の売却・撤退
(ⅱ) 各事業の状況と取り組み
<エレクトロニクス事業>半導体関連市場が拡大する中、高い市場シェアを有する独自性の高い製品群により高収益を確保していますが、2025年は成長が鈍化しました。オプトエレクトロニクスは更なる高機能化に向けた移行期にあり、その着実な実行により再成長を目指します。一方、半導体関連部材は概ね成長を継続しており、EUV露光用フォトマスクブランクスについては先端分野の開発及び拡販に注力することで、成長軌道への回帰を図ります。
<インテグレイテッドケミカルズ事業>半導体関連を主としたエレクトロニクス市場の拡大を背景に、多様で差別化された製品群が高収益に寄与しています。また、組織改正により日本でのケミカルチェーン全体を最適化し、事業運営の機動性と収益性を高める体制を整えました。パフォーマンスケミカルズでは、エレクトロニクス・エネルギー・モビリティの3分野における高収益製品に注力し、収益性の更なる向上を図ります。
<オートモーティブ事業>価格政策、事業構造改革及び高機能・高付加価値化による収益改善施策により、2025年にROCEが10%を上回る水準を達成しました。これらの取り組みを継続し、数年以内にROCE15%の達成を目指します。
<建築ガラス事業>欧州では需要低迷が継続する一方、需給改善により価格水準は適正に維持されています。Low-E複層ガラス、真空断熱ガラス等の高断熱・高遮熱製品の拡販と継続的なコスト削減により、収益性の強化を図ります。日本ではリノベーション需要が下支えとなり、当社が有する強固なお客様基盤を活かして価格政策や高付加価値製品の拡販を進め、収益力の向上を目指します。東南アジアでは需要は緩やかに増加するものの競争環境は激化しており、販売・流通網の強化や高付加価値化等を継続します。南米については経済成長に伴い需要は堅調であり、高付加価値化の推進により収益化の更なる向上に努めます。
<ディスプレイ事業>事業構造改革、価格政策及び技術革新を通じた競争力強化により収益性は着実に改善しています。今後も施策を継続し、ROCE10%の達成を目指します。
<エッセンシャルケミカルズ東南アジア事業>東南アジア域内の需要は年平均約4%で拡大しており、特に苛性ソーダはインドネシアのアルミナ・ニッケル精錬向け需要が増加しています。一方、塩化ビニル樹脂・苛性ソーダの市場価格は中国経済の低迷やインドによるアンチダンピング課税見送りの影響で引き続き低調に推移しています。こうした需給・価格環境を踏まえ、東南アジア域内生産の優位性を最大限に活用し、域内での販売比率を高めることで物流費等の販売コストを削減し、マージンの拡大を図ります。併せて、域内での安定的なエチレン供給を確保して原料面での競争力を高め、収益改善を進めていきます。
<ライフサイエンス事業>バイオ医薬品CDMOの微生物及び遺伝子・細胞治療、並びに合成医農薬CDMOは、安定した品質と実績を維持しています。一方で、ライフサイエンス事業の売上高のうち半分を占めるバイオ医薬品CDMOの動物細胞は、受注獲得が課題であり、営業・マーケティングの強化、当社グループの生産技術力の活用、コスト削減などの改善策を順次実施しています。
本事業全体の業績は、米国コロラド拠点撤退に伴うコスト構造の改善や生産の安定化が進んでいることから回復を見込んでいるものの、動物細胞分野の受注拡大の効果発現に時間を要するため、黒字化は2027年を見込んでいます。
(ⅲ) 研究開発投資の方向性
当社グループは持続的成長と競争力強化を目的に研究開発投資を推進しており、投資効率向上のため、市場軸と技術軸の二軸で開発領域を選定する仕組みを運用しています。これらの仕組みに基づき、今後の開発の方向性を次のとおり定めており、最先端かつ高付加価値領域への投資を強化していきます。
イ 生産・基盤技術革新(AI/MI技術、量子コンピュータ活用、GHG削減等)
ロ 次世代・新製品開発(IRカットフィルタ、EUV露光用フォトマスクブランクス、ガラスコア、車載用パネル等)
ハ 新事業創出(半導体プロセス部材、電池用材料、DDS等)
(注)
MI:マテリアルズ・インフォマティクス、DDS:ドラッグデリバリーシステム(薬剤を体内で必要な部位に、必要な量、必要な時間作用させるように工夫を施す技術)
<半導体関連事業の拡大>上記の方向性に基づき、半導体関連の研究開発投資を一層強化するとともに、事業展開を加速します。
半導体製造の前工程では、EUV露光用フォトマスクブランクスやCMPスラリーを中心に、半導体メーカーの厳しい要求に応える部材を供給してきました。前工程での価値提供は引き続き強化する一方で、今後は半導体の更なる性能向上に直結すると期待される後工程にも注力し、新技術・新製品の投入を図ります。当社グループの強みは、無機素材、有機素材、機能設計・加工技術を一貫して保有し、これらを融合したソリューションを提供できる点にあります。こうした強みを最大限に活用し、特に半導体パッケージング関連技術とソリューションの拡大を推進していきます。
(ⅳ) 設備投資
2018年から2025年にかけて、毎年2,000億円を超える設備投資を実施してきました。主に化学品事業やライフサイエンス事業における生産能力拡大のための投資であり、これらの大規模な投資は2025年で一段落しました。
2026年以降は、新規投資を大幅に抑制し、既存設備の最大活用によるROCE改善を図り、これまでの投資の回収に注力します。
(ⅴ) 株主還元
株主還元は、親会社所有者帰属持分配当率(DOE)3%程度を目安とした安定的な配当を基本方針としており、2026年の1株当たり配当は2025年水準を維持する予定です。なお2027年以降の株主還元方針については、業績回復の状況を見極めたうえで、必要に応じて見直しを検討します。
当社グループは、これらの取り組みを着実に実行のうえ、「2030年のありたい姿」を実現することで、世の中、お客様・取引先様、従業員、株主・投資家の皆様、将来世代など、全てのステークホルダーに様々な価値をプラスします。

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