有価証券報告書-第87期(2024/04/01-2025/03/31)

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3. 重要性のある会計方針の要約
(1) 測定の基礎
連結財務諸表は、以下の会計方針で記載されているとおり、再評価額又は公正価値で測定されている特定の非流動資産及び金融商品を除き、取得原価により測定し、作成しております。当社グループが採用した重要性のある会計方針は以下のとおりであります。
(2) 連結の基礎
① 子会社
連結財務諸表は、当社及び当社が各年度の3月31日現在で支配している事業体(子会社)の財務諸表に基づき作成しております。支配とは、投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、投資先に対するパワーによりそのリターンに影響を及ぼす能力を有することをいいます。当社は、これらの支配の要素についての変化を示す事実や状況がある場合には、投資先を支配しているかどうかを再判定しております。
すべての子会社は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めております。子会社が採用する会計方針が当社グループの会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えております。連結財務諸表の作成にあたり、連結会社間の内部取引高及び債権債務残高を相殺消去しております。
支配を喪失しない子会社の当社グループの所有持分の変動は、資本取引として会計処理されます。当社グループの持分及び非支配持分の帳簿価額は、子会社に対する持分の変動を反映して調整されます。「修正された非支配持分の金額」と「支払った又は受領した対価の公正価値」との差額は資本に直接認識し、当社の株主に帰属させます。
当社グループが子会社の支配を喪失する場合、処分損益は (i)受取対価の公正価値及び残存持分の公正価値の合計と (ii) 子会社の資産(のれんを含む)、負債及び非支配持分の従前の帳簿価額との間の差額として算定されます。
連結子会社の非支配持分は、当社グループの持分とは別個に識別されております。非支配持分は、当初の企業結合日での持分額及び企業結合日からの非支配持分の変動から構成されております。包括利益は非支配持分が負となる場合であっても当社の所有者と非支配持分に帰属させております。
② 関連会社への投資
関連会社とは、当社グループが投資先企業に対し、財務及び営業の方針を支配又は共同支配することはないものの、それらの方針の決定への参加を通じて重要な影響力を行使する立場にある場合の、当該投資先企業をいいます。
関連会社の経営成績並びに資産及び負債の残高は、投資が、IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って会計処理される売却目的で保有する資産に分類される場合を除いて、持分法を適用して会計処理しております。
持分法では、関連会社への投資は、「関連会社の純資産の当社グループ持分の取得後の変動」を修正した取得原価から、個々の投資の減損を差し引いて連結財政状態計算書に計上されております。
関連会社の当社持分(関連会社への当社による純投資の実質的な一部を構成する長期持分を含む)を超える関連会社の損失は、当社の法的債務又は推定的債務が発生している、又は関連会社の代わりに支払いをした範囲内でのみ認識されており、それらを超える損失については持分の認識を停止しております。「取得原価」が取得日に認識された関連会社の「識別可能資産、負債及び偶発負債の公正価値純額の当社グループの持分」を超える金額は、その投資の一部として減損の評価が行われます。取得日に認識された関連会社の「識別可能資産、負債及び偶発負債の公正価値純額の当社グループの持分」が「取得原価」を超える金額は直ちに損益で認識されます。当社グループが当社グループの関連会社と取引する場合、その関連会社における当社グループ持分割合の損益が消去されます。
③ 共同支配の取決め
当社グループは、共同支配の取決めへの関与を、当社グループの、その取決めの資産に対する権利または負債に係る義務により、ジョイント・オペレーション(取決めに関連して当社グループが資産への権利を有し、負債への義務を負う場合)と、ジョイント・ベンチャー(当社グループが取決めの純資産に対する権利のみを有する場合)に分類しております。
ジョイント・オペレーションについては、その持分に関連した資産、負債、収益及び費用を認識します。
ジョイント・ベンチャーについては、持分法を適用します。
なお、当社グループでは、ジョイント・オペレーション及びジョイント・ベンチャーを有しておりません。
(3) 企業結合
企業結合は、支配が獲得された時点で「取得法」を用いて会計処理しております。取得に直接起因する取引費用は損益として処理されます。被取得事業における識別可能資産及び引受負債は、取得日の公正価値で認識されます。
取得日において、識別可能な資産及び引受負債は、以下を除き、取得日における公正価値で認識されます。
・繰延税金資産・負債及び従業員給付契約に関連する資産・負債
・被取得企業の株式報酬契約等
・IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って売却目的に分類される資産または処分グループ
当社グループが移転した企業結合の対価に、条件付対価契約から生じる資産又は負債が含まれる場合、条件付対価は、取得日の公正価値で測定され、移転した企業結合の対価の一部として含まれます。測定期間の修正として適格な条件付対価の公正価値の変動は遡及して修正され、対応してのれんの金額を修正いたします。測定期間の修正とは、「測定期間」(取得日から1年を超えることはできません)に取得した、取得日に存在した事実及び状況に関する追加的な情報から生じる修正であります。
測定期間の修正として適格でない条件付対価の、公正価値の変動は、以下のいずれかにより会計処理いたします。
① 資本に分類される条件付対価は、事後の報告日において再測定されず、事後の決済も資本取引として会計処理いたします。
② 資産又は負債に分類される条件付対価は、事後の報告日において、適切に、IFRS第9号「金融商品」又はIAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に従い再測定され、対応する利得又は損失は、損益に認識いたします。
のれんは、移転した企業結合の対価、被取得事業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に保有していた被取得事業の資本持分の公正価値の合計金額が、取得日における識別可能資産及び引受負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定されます。負ののれんは直ちに損益に認識されます。
非支配持分は、当社グループの持分とは別個に識別されます。被取得事業に対する非支配持分の測定については、以下のいずれかを個々の企業結合取引ごとに選択しております。
① 非支配持分を公正価値で測定。
② 取得事業の識別可能な資産・引受負債の純額に対する非支配持分の比例割合で測定。
段階的に達成される企業結合の場合、当社グループが以前に保有していた被取得事業の資本持分は取得日(すなわち当社グループの支配獲得日)の公正価値で再評価され、発生した利得又は損失があれば損益として認識いたします。取得日以前にその他の包括利益に計上されていた被取得事業の持分の金額は、取得企業がその持分を処分した場合と同じ方法で会計処理されます。
IFRS会計基準移行日前の取得により生じたのれんは、IFRS会計基準移行日に減損テストを実施した後のIFRS会計基準移行日現在の従前の一般に認められた会計原則(日本基準)による帳簿価額で計上されております。
(4) 外貨換算
① 外貨建取引
当社グループの各企業の個々の財務諸表は、その企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨(機能通貨)で表示されます。連結財務諸表の目的のため、各企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは、当社の機能通貨であり、連結財務諸表の表示通貨である日本円で表示されます。各企業の個々の財務諸表を作成する際、その企業の機能通貨以外の通貨(外貨)での取引の換算については、取引日の為替レートが使用されます。
各連結会計年度末日に、外貨建の貨幣性項目は、連結会計年度末日の為替レートで換算されます。公正価値で計上された外貨建非貨幣性項目は、公正価値が決定した日の為替レートで換算されます。
換算又は決済により生じる為替差損益は、その期間の損益として認識されます。
② 在外子会社等の財務諸表
連結財務諸表を表示するために、当社グループの在外子会社等の資産及び負債は、連結会計年度末日の為替レートを使用して日本円で表示されます。損益項目は、連結会計期間中の為替レートが著しく変動していない限り、その期間の平均為替レートで換算されます。為替レートに著しい変動がある場合には、取引日の為替レートが使用されます。換算差額が生じた場合、その他の包括利益に「在外営業活動体の換算損益」として認識され、累積額は資本の「累積その他の包括利益」に分類されます。在外営業活動体の換算損益は、在外子会社等が処分された期間に損益として認識されます。当該損益は、連結包括利益計算書の「その他の費用」及び「その他の収益」に含まれております。
(5) 有形固定資産
当社グループは、有形固定資産の測定に「原価モデル」を採用しております。
有形固定資産は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した帳簿価額で表示されております。建設中の資産は、生産目的、管理目的又は使用目的が未定であるもののいずれも、取得原価により計上し、認識された減損損失累計額を控除しております。取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、資産の解体・撤去及び設置していた場所の原状回復費用に関する初期見積り費用及び(該当ある場合には)長期プロジェクトのための借入コスト等が含まれます。これらの資産の減価償却は、使用可能となった時点から開始されます。
重要な構成部分を定期的に交換する必要がある場合、当社グループはその部分について、固有の耐用年数により減価償却される個別資産として認識しております。また、日常的に生じる有形固定資産の保守費用は、発生時に損益として認識しております。
土地及び建設仮勘定以外の資産の減価償却費は、以下の見積耐用年数にわたり、主として定額法で計上されます。
見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、将来に反映される見積りの変動の影響を考慮して、各連結会計年度末に見直されます。
建物及び構築物 3-50 年
機械装置及び運搬具 3-10 年
工具器具及び備品 2-10 年
(6) リース
当社グループは、借手としてのリース取引について、リース開始日に使用権資産及びリース負債を認識しております。リース負債は未払リース料総額の現在価値で測定し、使用権資産は、リース負債の当初測定の金額に開始日以前に支払ったリース料等、借手に発生した当初直接コスト及びリースの契約条件で要求されている原状回復義務等のコストを調整した取得原価で測定しております。
当初認識後は、使用権資産は耐用年数とリース期間のいずれか短い年数にわたって、定額法で減価償却を行っております。
リース料は、利息法に基づき金融費用とリース負債の返済額に配分し、金融費用は連結包括利益計算書において認識しております。
ただし、リース期間が12ヶ月以内の短期リース及び原資産が少額のリースについては、使用権資産及びリース負債を認識せず、リース料をリース期間にわたって、定額法又は他の規則的な基礎のいずれかにより費用として認識しております。
使用権資産は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で、連結財政状態計算書において「有形固定資産」及び「無形資産」に含めて表示しております。
リース負債は、連結財政状態計算書において「長期有利子負債」及び「短期有利子負債」に含めて表示しております。
貸手としてのリース取引について、リースをオペレーティング・リースまたはファイナンス・リースのいずれかに分類しております。原資産の所有に伴うリスクと経済的価値のほとんどすべてを移転する場合には、ファイナンス・リースに分類し、原資産の所有に伴うリスクと経済的価値のほとんどすべてを移転するものではない場合には、オペレーティング・リースに分類しております。
ファイナンス・リース取引においては、リース開始日に、ファイナンス・リースに基づいて保有している資産を連結財政状態計算書に認識し、それらを正味リース投資未回収額に等しい金額で債権として計上しております。
オペレーティング・リース取引においては、対象となる資産を連結財政状態計算書に計上しており、受取リース料は連結包括利益計算書においてリース期間にわたって定額法により収益として認識しております。
(7) 無形資産
当社グループは、無形資産の測定に「原価モデル」を採用しております。また、無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した帳簿価額で表示されております。
① 個別に取得した無形資産及び企業結合で取得した無形資産
個別に取得した無形資産は当初認識時に取得原価で測定されます。企業結合で取得した無形資産は、無形資産の定義を満たし、識別可能であり、かつ公正価値が信頼性をもって測定できる場合、のれんとは別個に識別され、取得日の公正価値で認識されます。
② 自己創設無形資産(研究開発費)
研究活動の支出は、発生した連結会計年度に費用として認識されます。開発過程(又は内部プロジェクトの開発段階)で発生した費用は、以下のすべてを立証できる場合に限り、資産計上されます。
(a) 使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
(b) 無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという企業の意図
(c) 無形資産を使用又は売却する能力
(d) 無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法
(e) 無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他
の資源の利用可能性
(f) 開発期間中に無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
自己創設無形資産の当初認識額は、無形資産が上記の認識条件のすべてを初めて満たした日から開発完了までに発生した費用の合計額であります。償却は、開発に費やした資金が回収されると見込まれる期間で行い、将来の経済的便益の獲得が期待できなくなった場合等には、残存する帳簿価額を損失として認識いたします。
当初認識後、自己創設無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上されます。自己創設無形資産が認識されない場合は、開発コストは発生した連結会計年度に費用として認識されます。
③ 無形資産の償却
見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。主な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。なお、耐用年数を確定できない無形資産はありません。
技術資産 10-20 年
顧客関連資産 5-16 年
ソフトウエア 3-5 年
④ 無形資産の認識の中止
処分の時点、又は使用もしくは処分による将来の経済的便益が期待できなくなった時点で、無形資産の認識を中止いたします。無形資産の認識の中止から生じる利得又は損失は、認識の中止時点で連結包括利益計算書に認識されます。
(8) のれん
事業の取得から生じたのれんは、「移転された対価、被取得事業の非支配持分の金額及び取得企業が以前に保有していた被取得事業の資本持分の公正価値の合計額」が、取得日における「識別可能資産及び引き受けた負債の正味価額」を超える金額で資産に認識されます。のれんは当初、取得原価で資産として認識され、償却は行わず、毎連結会計年度において減損テストが実施されます。連結財政状態計算書には、取得原価から減損損失累計額を控除した帳簿価額で計上されます。
のれんは、企業結合のシナジーから便益を得ることが期待される資金生成単位又は資金生成単位グループに配分されます。のれんが配分された資金生成単位は、各連結会計年度末、又は減損の兆候がある場合には随時、減損テストが実施されます。資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額よりも低い場合、減損損失は、まず、その資金生成単位に配分されたのれんの帳簿価額から控除し、残額があればその資金生成単位におけるその他の資産の帳簿価額の比例割合でその他の資産から控除されます。のれんについて認識された減損損失はその後の期間で戻入ができません。資金生成単位の処分の際には、関連するのれんの金額は処分の損益額に含められます。
なお、関連会社の取得により生じたのれんに関する当社グループの会計方針は、「(2)連結の基礎 ②関連会社への投資」に記載しております。
(9) 有形固定資産及び無形資産の減損
当社グループでは、各連結会計年度末に有形固定資産及び無形資産の帳簿価額について、減損の兆候の有無を判定しております。減損の兆候がある場合には、その資産又はその資産の属する資金生成単位ごとの回収可能価額の見積りを行っております。
合理的であり一貫性のある配分方法が識別できる場合、全社資産(のれん以外の資産で検討の対象である資金生成単位と他の資金生成単位の双方のキャッシュ・フローに寄与する資産)もまた、個々の資金生成単位又は資金生成単位のグループに配分されております。
回収可能価額は、「売却費用控除後の公正価値」と、「使用価値」のいずれか高い金額となります。「使用価値」の算定は、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率により、見積ったキャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより測定しております。
資産(又は資金生成単位)の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合、資産(又は資金生成単位)の帳簿価額は回収可能価額まで切り下げられます。
減損損失を認識後に戻し入れる場合、当該資産(又は資金生成単位)の帳簿価額は、改訂後の見積回収可能価額まで増額いたします。ただし、当該減損の戻入は、戻入時点における資産(又は資金生成単位)が、仮に減損損失を認識していなかった場合の帳簿価額を超えない範囲で行われます。減損損失の戻入は直ちに純損益を通じて認識されます。
(10) デリバティブ金融商品
デリバティブは、デリバティブ契約が締結された日の公正価値で当初認識され、当初認識後は各連結会計年度末日の公正価値で再測定されます。
(11) デリバティブ以外の金融資産
① 当初認識及び測定
当社グループは、金融資産について、「償却原価で測定する金融資産」、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」、「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産」に分類しております。この分類は、当初認識時に決定しております。
当社グループは、金融資産に関する契約の当事者となった取引日に当該金融資産を認識しております。
すべての金融資産は、「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産」に分類される場合を除き、公正価値に取引費用を加算した金額で測定しております。
② 償却原価で測定する金融資産
契約上のキャッシュ・フローを回収するために保有することを目的とする事業モデルの中で保有され、契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる金融資産であります。
当初認識後、「償却原価で測定する金融資産」は実効金利法を適用した償却原価から減損損失を控除して測定しております。
③ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有され、契約条件により元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる金融資産であります。
公正価値の変動額はその他の包括利益に含めて認識しております。
資本性金融資産のうち、公正価値の事後の変動を、その他の包括利益に表示するという取消不能の選択を行ったものは、公正価値の変動はその他の包括利益として認識しております。
④ 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記以外の金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。公正価値の変動額は純損益として認識しております。
⑤ 金融資産の減損
「償却原価で測定する金融資産」については、予想信用損失に対する貸倒引当金を認識しております。
当社グループは、期末日ごとに金融資産に係る信用リスクが当初認識時から著しく増大しているかどうかを評価しております。当初認識時点から信用リスクが著しく増大していない場合には、12か月の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。一方で、当初認識時点から信用リスクが著しく増大している場合には、全期間の予想信用損失に等しい金額を貸倒引当金として認識しております。ただし、営業債権については、常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。予想信用損失は、信用情報の変化や過去における債務不履行の実績率、債権の期日経過情報等を反映する方法で見積もっております。当該測定に係る金額は、純損益で認識しております。
⑥ 金融資産の認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、又は当社グループが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合にのみ金融資産の認識を中止いたします。当社グループが、移転した当該金融資産に対する支配を継続している場合には、継続的関与を有している範囲において、資産と関連する負債を認識いたします。
(12) 棚卸資産
棚卸資産は、原価又は正味実現可能価額のいずれか低い金額で計上されます。正味実現可能価額とは、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する費用及び販売に要する見積費用を控除した金額であります。原価は、主として総平均法に基づいて算定されており、購入原価、加工費及び棚卸資産の現在の保管場所及び状態に至るまでに要したすべての費用を含んでおります。加工費には、固定及び変動製造間接費の適切な配賦額も含んでおります。
(13) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(14) 売却目的で保有する資産
非流動資産(又は処分グループ)の帳簿価額が、継続的使用よりも、主として売却取引により回収される場合に、当該資産(又は処分グループ)は、「売却目的で保有する資産」として分類されます。「売却目的で保有する資産」としての分類の条件は、売却の可能性が非常に高く、現状で直ちに売却することが可能な場合にのみ満たされます。経営者が、当該資産の売却計画の実行を確約していなければならず、分類した日から1年以内で売却が完了する予定でなければなりません。
当社グループが子会社に対する支配の喪失を伴う売却計画を確約し、かつ、上記の条件を満たす場合、当社グループが売却後も従前の子会社に対する非支配持分を有するか否かにかかわらず、当該子会社のすべての資産及び負債が売却目的保有に分類されます。
売却目的で保有する資産は、「帳簿価額」と「売却費用控除後の公正価値」のいずれか低い金額で測定いたします。「売却目的で保有する資産」に分類後の有形固定資産及び無形資産については、減価償却又は償却は行いません。
(15) 自己株式
再取得された自己の資本性金融商品(自己株式)は取得原価で評価され、資本から控除されます。当社の自己株式の購入、売却又は消却においていかなる利得及び損失も損益としては認識されません。なお、帳簿価額と売却時の対価との差額はその他の資本剰余金として認識されます。
(16) 株式報酬
当社グループでは、取締役、執行役及び一部の従業員に対するインセンティブ制度として、株式報酬制度を設けており、持分決済型と現金決済型に区分して会計処理しております。
① 持分決済型
持分決済型の株式報酬は、取締役、執行役及び一部の従業員に対して付与されます。それに対応する資本の増加を付与された資本性金融商品の付与日における公正価値で測定し、権利確定期間にわたって費用として計上し、同額を資本の増加として認識しております。
② 現金決済型
現金決済型の株式報酬は、取締役、執行役及び一部の従業員に付与されます。それに対応する負債は、当該負債の公正価値で測定され、権利確定期間にわたって費用として計上され、同額を負債の増加として認識しております。
当社は、当該負債の公正価値を決算日に再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。
公正価値を決定するための詳細は、注記「22. 株式報酬制度」に記載しております。
(17) 利益の配当
当社の株主に対する配当は、連結財務諸表上、当該配当が当社の取締役会によって承認された日の属する期間の負債として認識しております。
(18) デリバティブ以外の金融負債
① 金融負債
金融負債は、「純損益を通じて公正価値で測定される金融負債」又は「償却原価で測定される金融負債」のいずれかに分類しております。この分類は、当初認識時に決定しております。
② 純損益を通じて公正価値で測定される金融負債
純損益を通じて公正価値で測定される金融負債については、売買目的の金融負債と当初認識時に純損益を通じて公正価値で測定されると指定した金融負債を含んでおり、当初認識時に公正価値で測定し、その変動については当期の純損益として認識しております。
③ 償却原価で測定される金融負債
償却原価で測定される金融負債については、取引コスト控除後の公正価値で当初測定されます。当初認識後は、実効金利法を使用した償却原価で測定され、実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失については、金融費用の一部として当期の純損益として認識しております。
④ 金融負債の認識の中止
当社グループは、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止いたします。
⑤ 金融保証契約
金融保証契約は以下のいずれか大きい金額で事後測定されます。
・IFRS第9号「金融商品」に従って決定された、予想信用損失に対する貸倒引当金の金額
・当初認識の額から、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」に従って認識された累積償却額を控除した金額
(19) 退職給付
確定給付型の退職給付に係る費用は、各連結会計年度末に、年金数理計算で予測単位積増方式を用いて算定しております。
再測定は、数理計算上の差異、資産上限額の変動の影響、制度資産に係る収益(利息分除く)を含み、発生期間にその他の包括利益に認識することで即時に連結財政状態計算書に反映されます。その他の包括利益に認識された再測定は、即時に利益剰余金に反映され、純損益には振り替えられません。
過去勤務費用は、制度改定が行われた期間に純損益に認識しております。
利息純額は、確定給付負債又は資産の純額に対して、報告期間の期首時点の割引率を使用して計算しております。
確定給付費用は以下のように分類しております。
・勤務費用(当期勤務費用、過去勤務費用、縮小及び清算に伴う利得又は損失を含む)
・利息費用純額又は利息収益純額
・再測定
当社グループは、確定給付費用の最初の2つの要素を「人件費」及び「金融費用」の項目で純損益に表示しております。
連結財政状態計算書上に認識される退職給付債務は、当社グループの確定給付制度における実際の積立不足又は積立超過を表しております。この計算による積立超過は、制度からの返還又は制度に対する将来掛金の減額という形による利用可能な将来の経済的便益の現在価値を上限としております。
確定拠出型の退職給付に係る費用は、拠出した連結会計年度に費用として認識しております。
(20) 引当金・企業結合時の偶発負債
過去の事象の結果として、現在の法的債務及び推定的債務が存在し、当社グループが当該債務の決済をするために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、その債務の金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、連結会計年度末日における債務に関するリスク及び不確実性を考慮に入れた、現在の債務の決済のために必要な支出(将来キャッシュ・フロー)の最善の見積りにより、引当金を認識いたします。
引当金の貨幣の時間価値が重要な場合には、見積られた将来キャッシュ・フローをその負債に固有のリスクを反映させた税引前割引率で割り引いた現在価値で測定しております。時の経過に伴う割引額の割戻しは、金融費用として認識しております。
各引当金の説明は以下のとおりであります。
① 資産除去債務引当金
賃借事務所・建物・店舗等に対する原状回復義務及び固定資産に関連する有害物質の除去に備え、過去の原状回復実績及び事務所等に施した内部造作の耐用年数を考慮して決定した使用見込期間等を基礎として、各物件の状況を個別具体的に勘案して資産除去債務を見積り、認識・測定しております。計算に用いる割引率は使用見込期間、所在国等により異なります。
将来において経済的便益の流出が予測される時期は、主に各連結会計年度末日より1年を経過した後の時期であります。
② 製品保証引当金
販売済製品(メガネ製品等)に対して、保証期間内に発生が見込まれるアフターサービス費用に充てるため、過年度の実績を基礎に将来の保証見込を加味して、製品保証費用を見積り、認識・測定しております。
将来において経済的便益の流出が予測される時期は、各連結会計年度末日より1年以内の時期であります。
③ 企業結合により発生した偶発負債
企業結合により発生した偶発負債は、取得日の公正価値で当初認識・測定されます。当初認識後は、各連結会計年度末日において偶発債務の支払見積額、発生確率及び支払時期を基に再度見積っております。
(21) 収益
顧客との契約について、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
当社グループは、ヘルスケア関連製品、メディカル関連製品、エレクトロニクス関連製品、映像関連製品等の販売を行っております。当該製品に対する支配が顧客に移転し、当社グループの履行義務が充足されると判断される時期に応じて、船積日または顧客に引き渡された時点等で収益を認識しております。メディカル関連製品の保守契約等は、時の経過につれて履行義務が充足されると判断されるため、契約期間にわたって均等に収益を認識しております。収益は割引、割戻し及び消費税等の税金を控除した金額で測定されます。
(22) 政府補助金
補助金交付のための条件を満たし、補助金を受領することに合理的な保証がある場合は、補助金収入を公正価値で測定し、認識しております。発生した費用に対する補助金は、費用の発生と同じ連結会計年度に収益として計上しております。資産の取得に対する補助金は、資産の耐用年数にわたって規則的にその他の収益として計上し、未経過の補助金収入を繰延収益として負債に計上しております。
(23) 法人所得税
法人所得税は当期税金及び繰延税金で構成されており、資本の「累積その他の包括利益」に計上される項目から生じる税金又は企業結合の当初認識による税金を除き、損益として計上しております。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局から還付が予想される金額で測定されます。税額の算定にあたっては、当社グループが事業活動を行い、課税対象となる損益を稼得する国において、連結会計年度末日までに制定又は実質的に制定されている税率及び税法に従っております。
繰延税金は、会計上の資産及び負債の帳簿価額と、関連する税務基準額との差額により生じる一時差異、繰越欠損金及び税額控除に関して、資産負債法を適用して会計処理しております。なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上しておりません。
• のれんから生じる一時差異
• 企業結合ではなく、会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えず、かつ同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
• 子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識され、繰延税金資産は将来減算一時差異を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で、すべての将来減算一時差異について認識されます。
繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しております。未認識の繰延税金資産は毎期再評価され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識されます。
繰延税金資産及び負債は、連結会計年度末日において制定されている、又は実質的に制定されている法定税率(及び税法)に基づいて資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税率(及び税法)によって測定されます。
繰延税金資産及び負債は、当期税金負債と当期税金資産を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、相殺しております。
企業結合の場合、税効果は、のれんを計算する時点、又は負ののれんを決定する時点で考慮されます。
当社グループは、経済協力開発機構が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関して、認識及び情報開示に対する例外を適用しております。
(24) 1株当たり利益
基本的1株当たり利益は、親会社の普通株主に帰属する損益を、当連結会計年度中の発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。
(25) 組替
当連結会計年度の表示形式に合わせ、前連結会計年度の連結財務諸表を一部組み替えて表示しております。