有価証券報告書-第126期(2025/04/01-2026/03/31)
② 戦略(リスクと機会)
サプライチェーン全体を見渡し、複数の気候シナリオ(2℃・4℃等)に基づき、短期・中期・長期のリスク・機会を特定。事業へのインパクトを評価し、戦略の強靭性を高めています。
移行リスク(2℃シナリオ等):
・炭素税の導入や規制強化、市場ニーズの変化を想定
・これらを新領域(環境・エネルギー等)への事業転換を加速させる機会と捉え、投資を重点化
物理的リスク(4℃シナリオ等):
・激甚化する気象災害による拠点の浸水や操業停止リスクを想定
・拠点の立地評価やBCP(事業継続計画)の高度化により、供給責任を果たす体制を整備
<検討に用いた主なシナリオや予測>2℃シナリオ:IPCC RCP2.6、IEA ETP 2DS等
4℃シナリオ:IPCC RCP8.5、S&P Globalの“Mobility and Energy Future”サービスデータ等
なお、ここでいう評価(影響度)、リスク/機会が現れる時期は、次の通りです。
評価(影響度)※いずれも営業利益
小:数億円程度の影響
中:50億円程度の影響
大:100億円以上の影響
リスク/機会が現れる時期
短期:2027年頃まで
中期:長期経営計画の目標年度に合わせた2030年頃まで
長期:長期経営計画の目指す姿に合わせた2040年頃まで
<気候関連のリスク>
(ⅰ) 物理的リスクへの対応
気候変動に伴う自然災害の激甚化に備え、グローバルサプライチェーンの強靭化を図る目的で主要拠点を対象としたリスク評価を実施しています。
1)現状評価(洪水・渇水・高潮等のリスクポテンシャル調査)
主要拠点:事業継続に深刻な被害を及ぼす可能性は低い
全拠点の分析:物理的リスクによる事業継続への致命的な影響は確認されず
2)将来予測と対策:
・将来的な降水量の増加が予測される地域を特定
・各拠点の立地(地盤、標高、治水状況等)に応じた詳細な脆弱性評価を継続
・必要に応じてBCP(事業継続計画)の補強や設備対策を行う
<気候関連の機会>
(ⅱ) 移行リスクと機会への戦略的対応
現状の認識:
売上収益の約8割を占める内燃機関関連事業において、脱炭素化に伴う事業環境の激変を最重要の移行リスクと認識
戦略的シフト:
・「長期経営計画2030」にて「環境・エネルギー」を重点分野に設定
・水素関連等の新市場創出に向けた研究開発と資源投入を加速
価値向上のストーリー:
2040年に向けた事業ポートフォリオの最適化を完遂することで、既存事業の収益維持と新領域での成長を両立し、持続可能な企業価値の向上を実現します。
(ⅲ) 事業ポートフォリオ転換の必然性とレジリエンスの確保
気候シナリオ分析に基づき、内燃機関事業の変革の必要性と、その他の事業領域におけるレジリエンスを以下の通り評価しています。
■内燃機関事業における移行リスクの定量化
見通し:
・各国の規制強化に伴い、新車市場における内燃機関車は2030年代半ばから減少に転じる見込み
・当社の主力であるスパークプラグは保有車両向けの「補修用需要」が下支えとなり、売上高のピークは
2040年頃と予測
財務影響の試算:この減衰を織り込んだ上で、早期の事業転換を推進しています。
<仮定>2040年度以降に2024年度比で売上が5%減少
<売上収益>約270億円
<営業利益>約70億円
■非内燃機関事業の強靭性
2℃および4℃いずれのシナリオ下においても、市場変化を先取りした戦略的な事業展開により、中長期的に極めて高いレジリエンスを有していることを確認
■価値向上のストーリー
内燃機関事業から創出されるキャッシュを「環境・エネルギー」等の成長領域へ再投資する「事業ポートフォリオ最適化」を完遂し、リスクを成長機会へと転換します。
サプライチェーン全体を見渡し、複数の気候シナリオ(2℃・4℃等)に基づき、短期・中期・長期のリスク・機会を特定。事業へのインパクトを評価し、戦略の強靭性を高めています。
移行リスク(2℃シナリオ等):
・炭素税の導入や規制強化、市場ニーズの変化を想定
・これらを新領域(環境・エネルギー等)への事業転換を加速させる機会と捉え、投資を重点化
物理的リスク(4℃シナリオ等):
・激甚化する気象災害による拠点の浸水や操業停止リスクを想定
・拠点の立地評価やBCP(事業継続計画)の高度化により、供給責任を果たす体制を整備
<検討に用いた主なシナリオや予測>2℃シナリオ:IPCC RCP2.6、IEA ETP 2DS等
4℃シナリオ:IPCC RCP8.5、S&P Globalの“Mobility and Energy Future”サービスデータ等
なお、ここでいう評価(影響度)、リスク/機会が現れる時期は、次の通りです。
評価(影響度)※いずれも営業利益
小:数億円程度の影響
中:50億円程度の影響
大:100億円以上の影響
リスク/機会が現れる時期
短期:2027年頃まで
中期:長期経営計画の目標年度に合わせた2030年頃まで
長期:長期経営計画の目指す姿に合わせた2040年頃まで
<気候関連のリスク>
| リスク項目 | 事業インパクト(リスク) | 評価 (影響度) | リスクが 現れる時期 | ||
| 低炭素経済への移行に関するリスク | 政 策 ・ 法 規 制 | 炭素税 | ・炭素税が導入されると燃料調達コストに税金が課されることになるため、エネルギーコストや原材料コストが増加する。 | 大 | 中期~長期 |
| 国境炭素税 | ・国境炭素税が導入されると、輸出する製品に課税されることになるため、製品の価格競争力が低下する。 | 大 | 短期~長期 | ||
| 炭素排出規制 | ・GHG削減目標の達成が求められ、設備投資や再エネ電力購入等の対応コストが増加する。 | 大 | 中期~長期 | ||
| ガソリン車販売 | ・ガソリン車の新車販売を禁止する国では、OEM需要が無くなり、売上が減少する。 | 大 | 中期~長期 | ||
| 技 術 | 省エネ・再エネ技術の普及 | ・新たな省エネ・再エネ技術を導入するために、設備投資等の対応コストが増加する。 | 中~大 | 短期~長期 | |
| 新技術開発 | ・新技術への研究開発の投資コストが増加する。 | 大 | 短期~長期 | ||
| 市 場 | 顧客の変化 | ・2030年代以降に中古車でもZEVを選ぶ人が増え、プラグの交換需要が減少し、売上が減少する。 ・ライフサイクルでのCO2排出量が少ない製品が選ばれるようになり、従来品の売上が減少する。 | 大 | 長期 | |
| 評 判 | 投資家の変化 | ・内燃機関への風当たりが強くなり、ダイベストメントの対象となる。 | 小~中 | 中期~長期 | |
| 求職者の変化 | ・内燃機関への風当たりが強くなり、就職先として選ばれなくなる。 | 小~中 | 短期~中期 | ||
| 気候変動による物理的変化に関するリスク | 急 性 | 異常気象の激甚化 | ・台風等によって工場等への被害が発生し、操業停止や生産減少などが起こる。また、設備復旧への追加コスト等が発生する。損害保険料も増加する。 | 小~中 | 短期~長期 |
| 慢 性 | 海面の上昇 | ・海面上昇に伴って洪水や高潮が増加し、沿岸部にある工場や交通インフラが被害を受けてサプライチェーンが寸断され、対応コストが発生する。 | 小~中 | 長期 | |
| 降水・気象 パターンの変化 | ・水不足が深刻化する地域にある工場で水利用が制限され、操業を停止・減少せざるを得なくなり、別工場での生産や輸送などの対応コストが発生する。 | 小~中 | 長期 | ||
| 平均気温の上昇 | ・猛暑の中で働く従業員に熱中症が頻発し、体力的な負担が増加するため、猛暑対応のためのコストや人件費が増加する。 | 小~中 | 長期 | ||
(ⅰ) 物理的リスクへの対応
気候変動に伴う自然災害の激甚化に備え、グローバルサプライチェーンの強靭化を図る目的で主要拠点を対象としたリスク評価を実施しています。
1)現状評価(洪水・渇水・高潮等のリスクポテンシャル調査)
主要拠点:事業継続に深刻な被害を及ぼす可能性は低い
全拠点の分析:物理的リスクによる事業継続への致命的な影響は確認されず
2)将来予測と対策:
・将来的な降水量の増加が予測される地域を特定
・各拠点の立地(地盤、標高、治水状況等)に応じた詳細な脆弱性評価を継続
・必要に応じてBCP(事業継続計画)の補強や設備対策を行う
<気候関連の機会>
| 側面 | 主な機会 | 機会が 現れる時期 |
| 資源の効率性 | ・新たな省エネ・再エネ技術の社内への導入が進み、エネルギーコストが減少する。 | 中期~長期 |
| エネルギー源 | ・炭素税が課税されない燃料として水素の需要が高まり、水素エネルギー市場で新たな機会が生まれる。 ・メタネーションなどの技術が発達し、e-Fuelなどの合成燃料が普及すると、現状の内燃機関ビジネスが継続される。 | 長期 |
| 製品/サービス | ・燃費規制に対応していくために、高付加価値製品の需要が増える。 | 短期~中期 |
| ・GHG削減が義務化されることで水素エネルギー市場が拡大すると予想され、水素関連技術やSOFC、SOECの需要が高まって、ビジネス機会が生まれる。 | 長期 | |
| ・電気を利用して水素を作る(SOEC)、回収したCO2を燃料にするなどのCO2循環関連ソリューションの需要が高まる。 | 長期 | |
| ・災害に備えて、エネルギーの地産地消(分散型の発電)が注目され、SOFCの需要が高まる。 | 長期 | |
| ・電気モーターや発電機に使われるセラミック関連技術・製品の需要が高まる。 | 中期~長期 | |
| 市場 | ・社会のニーズを捉えた気候変動に関連する新技術を開発することで、ビジネス機会が生まれる。 | 中期~長期 |
| 強靭性(レジリエンス) | ・災害に備えて、サプライチェーンも含めてBCM/BCPを継続的に強化していくことで、レジリエンスが高まる。 | 短期~長期 |
(ⅱ) 移行リスクと機会への戦略的対応
現状の認識:
売上収益の約8割を占める内燃機関関連事業において、脱炭素化に伴う事業環境の激変を最重要の移行リスクと認識
戦略的シフト:
・「長期経営計画2030」にて「環境・エネルギー」を重点分野に設定
・水素関連等の新市場創出に向けた研究開発と資源投入を加速
価値向上のストーリー:
2040年に向けた事業ポートフォリオの最適化を完遂することで、既存事業の収益維持と新領域での成長を両立し、持続可能な企業価値の向上を実現します。
| 検討対象とした 事業 | 製品 | 今後の事業リスクと事業機会への対応 | 財務面の影響 | 長期経営計画での 売上収益目標 |
| 自動車関連事業 | スパークプラグ、グロープラグ、センサ | 2℃シナリオ下では、内燃機関を有する自動車への規制が厳しくなることで、将来、内燃機関部品の売上減少が想定される。一方で、電動車市場などの新市場への機会が生じる。 4℃シナリオ下では、内燃機関のさらなる省エネと有害ガスの排出抑制が求められるため、高性能化への対応を行う。 | 売上収益の一部に影響 | 7,000億円 (2029年度) |
| 燃料電池事業 | 燃料電池 | 2℃/4℃のいずれのシナリオ下においても非化石エネルギーの需要拡大が予想されるため、当該市場への対応を引き続き強化。 2℃シナリオにおいては、水素インフラの普及が予想され、加速的に市場が増える可能性がある。 | 2,000億円規模の市場が予想され、水素インフラの普及状況によっては上振れの可能性あり | 3,000億円 (2029年度) |
| その他の事業 | 半導体製造装置用部品、半導体パッケージ、酸素濃縮装置、ベアリング用ボールなど | 2℃/4℃のいずれのシナリオにおいても、リスク及び機会への影響は小さい。 | 小さい |
(ⅲ) 事業ポートフォリオ転換の必然性とレジリエンスの確保
気候シナリオ分析に基づき、内燃機関事業の変革の必要性と、その他の事業領域におけるレジリエンスを以下の通り評価しています。
■内燃機関事業における移行リスクの定量化
見通し:
・各国の規制強化に伴い、新車市場における内燃機関車は2030年代半ばから減少に転じる見込み
・当社の主力であるスパークプラグは保有車両向けの「補修用需要」が下支えとなり、売上高のピークは
2040年頃と予測
財務影響の試算:この減衰を織り込んだ上で、早期の事業転換を推進しています。
<仮定>2040年度以降に2024年度比で売上が5%減少
<売上収益>約270億円
<営業利益>約70億円
■非内燃機関事業の強靭性
2℃および4℃いずれのシナリオ下においても、市場変化を先取りした戦略的な事業展開により、中長期的に極めて高いレジリエンスを有していることを確認
■価値向上のストーリー
内燃機関事業から創出されるキャッシュを「環境・エネルギー」等の成長領域へ再投資する「事業ポートフォリオ最適化」を完遂し、リスクを成長機会へと転換します。