有価証券報告書-第128期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 9:15
【資料】
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【項目】
136項目
(3)気候関連における戦略
①組織が選別した、短期・中期・長期の気候変動のリスクおよび機会の認識
当社における気候変動の影響について、短期(1~3年)・中期(2030年まで)・長期(2030年以降)の時間軸を想定し、シナリオ分析を行いました。気候変動がもたらすリスクは、低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と物理的な影響(物理的リスク)に分けられます。地球の平均気温が産業革命前と比べて1.5℃および2℃を含む2℃未満または4℃上昇するシナリオを想定し、それぞれのリスクと機会について、影響度が高いと思われる項目を抽出しました。
シナリオ分析プロセス
(イ)リスク・機会の抽出
考えられる気候変動によるリスク・機会を抽出
(ロ)重要リスク・機会の特定
(イ)で抽出したリスク・機会の中から当社への影響が大きいと考えられる項目を特定
(ハ)シナリオの設定および事業インパクト評価
2℃未満シナリオおよび4℃シナリオを設定し、各シナリオでの想定に対する影響を分析
(ロ)で特定した重要リスク・機会を分析した結果をロジックツリー形式で整理し、事業への影響を定量的に評価
(ニ)対応策の策定
(ハ)で評価した当社への影響に対し、シナリオ別に当社の対応事項を策定
②気候関連のリスクおよび機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響
リスク重要度評価の結果、抽出されたリスク・機会は20項目あり、そのうち重要度「大」としたのは6項目で、その一覧は以下の表のとおりです。
リスク重要度評価「大」項目に対応した想定されるリスクと機会・財務的影響(定量分析)・対応策・時間軸一覧
(財務的影響:○…影響が大きい、△…影響は中程度、×…影響は小さい)
タイプリスク・機会項目重要度評価想定されるリスクと機会財務的
影響
(定量・定
性分析)
対応策時間軸
大分類小分類
2℃
未満
4℃
移行リスク政策/規制炭素税・炭素価格定形品では、乾燥や焼成する工程があり、重油、LNGおよび電気を使用しています。定形品は焼成品と不焼成品に分類され、焼成品は焼成工程があるため、エネルギー消費量が多く、気候変動への対応として導入が検討されている炭素税や省エネルギー基準の引き上げといった各種政策によって、多額の追加コストが必要になります。×●省エネ投資・再エネ切り替え・非炭素エネルギー切り替え
●燃料・電力原単位の低減
●蓄電池導入
長期
各国の
GHG排出
目標/政

排出量の
報告義務
の強化
国際社会は脱炭素化への取り組みが急速に進んでいます。社会的要請に対応しない場合、売上高減少につながるリスクがあります。一方、この要求に対応し、より厳しい目標を設定した場合、現在設定している2℃未満水準の目標よりも多くの対策が必要になり、新たな対策費用が必要となります。2030年度GHG排出量削減目標を設定し、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入を進めています。これらの設備導入で将来的にエネルギーコストの削減効果が得られますが、設備導入の際、財務リスクが高まります。×●省エネ投資・再エネ切り替え・非炭素エネルギー切り替え
●燃料・電力原単位の低減
●蓄電池導入
長期
エネルギーミックスの変化燃料費の上昇は直接費である製造コストの上昇に直結しますが、このうち再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく、再生可能エネルギー賦課金は今後の再生可能エネルギーの普及の進展に伴い、さらに増加し、製造コストが上昇することが懸念されます。×●再エネ切り替え
●燃料・電力原単位の一層の低減
長期

タイ
リスク・機会項目重要度評価想定されるリスクと機会財務的
影響
(定量・定
性分析)
対応策時間軸
大分類小分類
2℃
未満
4℃
移行リスク市場各国の
環境規制
耐火物原料を主に中国から調達しています。中国では2060年カーボンニュートラルを掲げ、中国国内の環境規制は今後も強化されることが予想されます。この結果、供給量減少による原料価格高騰が持続的リスクとして考えられます。×●原材料購入先の新規発掘
●国内生産
●中国を中心としているが、中国以外も含めた複数購買による適正価格での安定調達
●原料のリサイクル化
長期
物理的リスク急性異常気象の頻発化と深刻化(豪雨、洪水等)大型台風・豪雨等の頻発により、製造拠点の被害やサプライチェーンが寸断され、操業への支障や復旧に要するコスト増加が想定されます。●BCP計画に対応した生産工場の分散長期
機会製品およびサービス消費者の嗜好の移り変わり電炉向け耐火物の製造・販売に強みを持っており、低炭素・循環型鋼材が高炉製品を代替すること、かつ将来的な低炭素・循環型鋼材の需要規模の拡大が見込まれることから、製品売上拡大の機会になると考えています。また、低炭素型の焼成れんが、不焼成れんが、不定形耐火物がその市場規模に対し、大きく寄与することとなります。●電炉向け耐火物拡販中期

③シナリオ分析の結果
設定したシナリオ
(イ)移行リスクの大きいシナリオ(2℃未満シナリオ)
温室効果ガスの排出規制などが厳しくなり、社会システムが気候変動の緩和に移行する「①カーボンニュートラルな社会」におけるシナリオ(参照した外部シナリオ:RCP2.6、SDS/NZE2050)
(ロ)物理的リスクが大きいシナリオ(4℃シナリオ)
自然の猛威に立ち向かうために物理的な影響への適応が必要な「②気候変動の影響が甚大な社会」におけるシナリオ(参照した外部シナリオ:IPCCの最新の知見、及び国際エネルギー機関World Energy Outlookで示されるSTEPSシナリオ等)
(注) IPCCシナリオの動向について
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の次期シナリオに関する研究プロジェクトにおいて、高排出シナリオとして広く用いられてきたRCP8.5は、その非現実性が指摘され、事実上排除される方向性が示されました。当社では、この動向を注視し、今後IPCCより示されるより現実的な高排出シナリオを適用してまいります。
自社シナリオ分析の結果検討した、省エネ投資・再エネ切り替えや電炉向け耐火物拡販等の対応策を講じることで、将来のリスクに対する当社事業のレジリエンスを高められると考えます。また、①と②が組み合わさった最も厳しい社会は、それぞれの対応策の組み合わせにより、リスクを低減できると考えます。

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