有価証券報告書-第120期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/18 11:44
【資料】
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【項目】
160項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 新製品開発について
当社グループは、研究開発活動を積極的に展開し、シール製品および機能樹脂製品の業界においては先駆的な役割を果たしております。また、新たな技術探索とオープンイノベーションによる外部技術活用を積極的に展開しております。しかし、実行している研究開発テーマの全てが順調に進捗し、個々の新製品開発が確実に成功するものではありませんので、研究開発部門全体としてリスクを考慮しつつ、当社の成長に寄与する開発運営を行なっております。従って、新製品開発の結果次第では、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(2) 石綿問題について
当社グループは、2006年9月1日施行の労働安全衛生法施行令による「アスベスト全面禁止」に先立ち、2006年7月31日をもって一切の石綿製品の供給を停止いたしました。石綿代替品(ノンアスベスト製品)の品揃えは他社に先駆け完了しておりますので、今後ともノンアスベスト製品の強力な販売活動を展開していく所存であります。
2006年3月27日施行の「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づく被害者救済策が講じられておりますが、当社の対応といたしましては、以下の措置を継続して講じております。
・石綿関連の質問や相談に応じるための「相談窓口」の開設
・従業員および元従業員のうち、希望された方への健康診断の実施
・当社ホームページでのアスベストに関する情報の開示
当社規定による補償金や見舞金の支払いによる費用負担は、限定的なものでありますが、今後も継続する可能性があります。また、損害賠償請求などの訴訟を受けた場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(3) 為替相場の変動について
当社グループは、海外現地法人による生産および販売を通じて、多くの輸出入取引を行なっております。取引に伴う為替の変動リスクについては、これを極小にすべく細心の注意を払っておりますが、そのリスクの全てを完全に排除することは不可能であり、場合によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(4) 海外進出に潜在するリスクについて
新型コロナウイルス感染拡大(「パンデミック」)は、世界規模で需要蒸発を誘発し、グローバル経済へ甚大な影響を及ぼしております。当社グループにおいても事業環境の急激な変化は、取引先の事業活動を停滞させ、財政状態悪化により不良債権発生リスクが高まる可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染拡大を契機に米国と中国の通商摩擦が再び激化する動きもあり、今後、米中両国への投資や貿易にも負の影響が想定されると共にアセアン経済への波及も考えられ、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(5) 他社との業務提携等の成否について
当社グループは、アライアンスによる製品ラインアップの拡充などのサプライソース中心の業務提携に加え、技術的アライアンス、営業的アライアンス、サービス的アライアンスなども積極的に行っております。今後も引き続きこの方針を進めてまいる所存ですが、当初想定していなかった事情により提携先や市場と当社の意図に乖離が生じる可能性もあり、その場合には当初予定通りの成果を得ることはできず、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 製品の欠陥について
当社グループは、厳格な品質管理基準に従い製品の製造を行なっておりますが、全ての個々の製品についての欠陥の発生およびそれに起因する事故の発生の可能性を払拭することはできません。また、製造物責任保険(PL保険)への加入により事故の影響を最小化するように考えておりますが、当社グループが負担する最終的な賠償額の全てを担保することができるという保証はありません。多額の賠償に繋がるような製品の欠陥の発生は、ブランドに大きな損失を与え、その結果として売上高の減少、収益の悪化原因となり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(7) 固定資産の減損について
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。将来、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える場合があります。
(8) 退職給付債務について
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出しております。しかしながら、数理計算上の前提条件を変更する必要性が生じた場合、あるいは、証券市場の低迷により年金資産が毀損した場合等には、退職給付費用・退職給付債務の増加や年金資産の追加的支出が必要となる可能性があります。このような場合には、将来の当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える場合があります。
(9) 原材料価格変動と調達について
当社グループは、国内外から原材料を購入して製品の製造を行なっております。グローバル化が進行する中、資源の価格変動は世界同レベルで進行しております。当社グループといたしましては、安定した調達を確保するとともに、安価な原材料調達に注力してまいりますが、需給の逼迫や価格変動等により、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(10) 地震等の自然災害について
生産拠点の分散や、基幹システムサーバーを外部センターに移設するなどの対策を行なっておりますが、地震等の自然災害が発生した場合、当社グループと顧客企業の生産設備に対して損傷を与え、生産活動の停止・サプライチェーンの混乱などの可能性があります。また、停電や交通機関ストップなどのインフラへの影響により、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(11) 新型コロナウイルス等感染症に関わるリスクについて
新型コロナウイルス等感染症が拡大し、従業員の罹患者数が増加した場合、操業に影響を及ぼす可能性があります。さらには、感染症拡大による経済活動への影響は計り知れないものがあり、顧客の操業度低下・停止やサプライチェーン寸断、及び信用不安などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
以上のリスクへの対応策として、グローバルにグループ全体でリスク管理体制の構築に努めるものとし、特に災害、環境、品質、輸出管理等に係るリスクについては、それぞれ所管する部署において、規程、マニュアル等を制定・整備し、リスクの顕在化を防止するとともに、万一リスクが顕在化した場合に損失を最小化するための施策を予め講じるものとしております。また、非常事態における業務継続、復旧のための基本対応手順・対策を事前に定めるとともに、かかる事態を速やかに上級職位並びに関係者に通報する体制を整備しております。
さらに、リスクの顕在化の不測の事態に備え、主要取引銀行との間で複数年の合計30億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性を確保しております。