有価証券報告書-第83期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営方針は、「地球環境と生活空間の創造」を図っていくために、石こうボードを中心に環境、防災など豊かな住環境を支える建築資材を提供し続けることであり、それをより一層意識して取り組み続けていくことを目的に、新たな基本理念を策定しました。
新たな基本理念では、私たちが現在取り組んでいる「ミッション」と、将来へ視点を向けた「ビジョン」を定め、ミッションとビジョンを支える「4つの価値(私たちらしさ、パートナーシップ、エンゲージメント、起業家精神)」により構成されています。特に「ミッション」で定めた、『最高の品質と独自技術で、安全・快適な生活空間を届ける』ことは、従前の基本理念から変わらずに引き継ぐ中核に位置づけられるものであり、品質面でたゆまずレベルアップを図りながら、建築資材の専門メーカーとして常に独自の商品開発力(Unique Technology)を強化し、社会に支持される高機能・高付加価値製品の開発と市場への提供を目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、厳しい経営環境に直面しようとも必要な設備投資を継続し、収益力の回復を図っていくことを目指しており、事業活動から生じるキャッシュ(EBITDA)を把握し、売上高に対する比率(EBITDAマージン)を経営指標として採用しております。
EBITDAは営業利益に減価償却費を足し戻すことで容易に算定(注1)でき、設備投資によって変動が生じる減価償却費の影響を排除し、売上高に対する比率(EBITDAマージン)を経年で比較することにより企業の収益性を把握することが可能となります。
資本業務提携関係にあるクナウフ・グループ(注2)は、世界各地で事業会社を展開し、各国の会計処理の影響に左右されない把握可能な指標としてEBITDAマージンを採用していることから、当社グループでも経営指標として採用することが適当であると判断しております。現在の水準からは高い目標でありますが、EBITDAマージン10%超の達成を目指して取り組んでまいります。
(注)1.EBITDA(利払い前、税引き前、償却前利益)≒営業利益+減価償却費
2.資本業務提携関係にあるKnauf International GmbHが所属するグループをクナウフ・グループと表記します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループを取り巻く環境は、人口減少を起因とする国内の住宅市場縮小という厳しさの到来がほぼ確実に想定されるなか、競合する他社が圧倒的な市場シェアを占め、現状のままでは財務面やリソースの点で安定した事業継続を果たしていくことに懸念を抱えていました。
そうした中、2020年1月にKnauf International GmbHとの間であらためて資本業務提携契約を締結し、昨年3月より新たな体制(取締役会の半数にクナウフ・グループ在籍員が就任)のもとで経営を進めることになりました。
⦅資本業務提携の背景について⦆
当社は、戦後1948年に創業後、1955年に石こうボードの製造を開始しました。壁や天井に使用される建築内装材は、木質系資材が燃えやすいという欠点があるのに対して、石こうボードが防火性と耐熱性に優れていたことから、建築基準法や消防法等による義務付けを契機に主流を占めるようになりました。加えて、石こうボードの価格が、木質系資材に比べて低価格で安定していたこと、石こうボードの主原料が、肥料工場や火力発電所から副産物として発生する化学石膏と古紙を使用していることから、資源リサイクルに大きな貢献を果たしてきたことが、社会的にも支持されてきました。
こうして石こうボードは、戦後の建設業界に普及してきましたが、当社が石こうボードメーカーとして飛躍した背景には、1960年代のプレハブ住宅の建築戸数の急激な伸びが背景にあります。1962年に石こうボード等の不燃材を使用した鉄骨系プレハブ住宅が住宅金融公庫の融資対象となったことから、プレハブ住宅の建築が急激に増加し、それとともに石こうボードも急速に使用されるようになりました。もともと石こうボードの最大市場であるビル・事務所等の建設業界は、日本におけるパイオニアとして牽引してきた国内トップ企業がしっかりと押さえており、当社が入り込む隙間がほとんどなく、建設業界以外に市場を求めざるを得ないという状況にあって、当社はいち早くプレハブ住宅市場を開拓しに行ったことが大きな飛躍の原動力となりました。
しかしながら、こうした歴史的背景が今日の当社を取り巻く環境において、先行きの不透明感を増す一因となっています。戦後の日本経済において、これまでバブル崩壊やリーマンショック等の大きな経済変動の影響を受けながら、住宅市場は増減を繰り返してきましたが、少子高齢化が進み、日本国内の人口減少が見込まれる中、1973年には過去最高の190万戸に達した新設住宅着工戸数は、2009年度には100万戸を下回り、大手シンクタンクは、新設住宅着工戸数が2030年度には60万戸程度まで減少する見通しを発表(新型コロナ感染症拡大前)しており、それに伴い石こうボードの使用量も減少することが予想されます。当社が住宅市場で伸びてきた強みが、今後は弱点になりかねない状況に直面しており、これまでも住宅分野以外の非住宅分野における取扱い強化を進めてきましたが、その市場は圧倒的に国内トップ企業が押さえており、新たなニーズの発掘や市場開拓を進めていくためには、商品力、研究開発力、人材、資金等がますます必要になってきています。特に石こうボード業界は、戦後乱立していたメーカーが淘汰され続け、現在では国内トップ企業と当社の2社体制という特異な業界構造になっており、両社とも全国を同じく商圏とするなか、当社の業界シェアは約2割と、国内トップ企業とは格段に差がある状況です。
当社はこのような業界ポジションにあって、2006年より、石こうボードを始めとする建材をグローバルに展開するドイツのクナウフ・グループと石こうボード事業を中心とした資本業務提携を行ってきており、縮小が見込まれる日本の市場環境と当社グループの足元業績に鑑みると、早急に成長戦略を策定し、安定した企業経営に軌道を乗せることがステークホルダーとの共通した経営目標であると判断し、2020年1月に一層強固な資本業務関係を図ることを目的とした契約を取り交わしました。
① 財務基盤の改善
a. Knauf International GmbHとの間であらためて資本業務提携契約を締結して約25億円の増資を実施し、2020年3月期末時点で調達した資金全額を有利子負債の返済に充当し、今後の合理化効率化投資に備えた財務基盤の改善を推進しました。
b. 2020年度に入り新型コロナウイルス感染症拡大による不測の事態に備えて、低利固定の長期資金の調達により手元資金を厚めに確保したことから、有利子負債の総額は増加しましたが、手元現預金ならびに流動化実施前の売上債権が増加しており、資金調達余力は大幅に改善しています。2021年3月期末(連結)のEBITDA有利子負債倍率は約6倍ですが、合理化効率化による収益力改善と有利子負債の削減に努め、将来的には3倍程度を目指して財務基盤の改善を進めます。
② 主力石こうボード事業への投資推進
目下のところ新型コロナウイルス感染拡大による収束時期が見通せず、主力石こうボード事業をベースにエッジを効かせた施策や投資の進捗を控えていましたが、2020年度において商社機能を担っていた子会社東京総合資材㈱をグループ外に売却する等、本業である主力石こうボード事業に注力する体制を整備しており、コア事業にリソースを集中してまいります。
a. マーケティング力の強化
当社とクナウフ・グル―プが持つ製品やサービスの機能・特性を踏まえた比較、調査を行い、主に当社にない製品やサービス分野への進出の機会を検討し、断熱材を始めとした建設資材全般での国内上市を検討していくためにマーケティング力の強化を図ってまいります。
b. 業務プロセスの効率化推進
販売・製造・物流・管理の各分野においてIT投資を実行していくことで、今後、各種データの蓄積・活用を通じ、業務プロセスの効率化を推進し、一人当たりの生産性向上を高めてまいります。特に新型コロナウイルス感染拡大を契機に、人手に頼らないデータの読み込み等のシステム化を推進します。
③ クナウフ・グループとの提携関係強化による事業継続対策
a. 安定した原料調達
当社が利用する原料石膏の多くは、火力発電所の副産物として生じる化学石膏を利用していますが、世界的な脱炭素社会に向けた流れから、環境の負荷が大きい石炭火力発電事業に対し、金融機関が融資について慎重な姿勢を表明し始めています。こうした環境配慮の措置が一層進むと、将来的に国内の化学石膏の入手が困難になる事態が想定されます。当社として石こうボード事業を継続していく上で、化学石膏を補うために海外より天然石膏を手当てする必要が生じた際、海外で天然石膏の鉱山を保有するクナウフ・グループからの調達に備えることが可能となります。
b.当社グループの主要な製造拠点は、南海トラフ等の震災被害の可能性が高く、グローバルで事業を展開するクナウフ・グループとの事業継続計画を協働で策定し、顧客への供給責任を果たせる体制の構築を図ります。
(4) 会社の対処すべき課題
今後のわが国の経済見通しは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、持ち直しの動きが続くことが見込まれており、特にワクチン接種の進展に対して強い期待が寄せられています。しかしながら、変異型ウイルスの感染が拡大し収束時期を見通せないなどコロナ前の水準に戻るまでにまだまだ時間を要することが報じられており、不透明な経済環境が続くことが予想されます。
住宅市場におきましては、2019年秋の消費税引き上げに加え新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、外出自粛や先行きの所得不安から新設住宅着工戸数は大幅に落ち込みましたが、2021年3月にはようやく反転の動きも見られました。また新型コロナウイルス感染拡大を契機に、自宅で過ごす時間が長くなるなど新たなライフスタイルの浸透により、郊外・地方移住も含め住まいに関する価値観の多様化が進み始めており、厳しい市場環境の中にあっても「ニューノーマル」という発想が模索され従来とは異なる動きが見受けられます。
当社グループにおきましては、将来の変化の激しい市場環境も見据え、昨年1月にクナウフ・グループとより一層強固な資本業務提携を締結し、新たな経営体制のもと、『競争力の回復』をキーワードに掲げ、厳しい環境に直面しようとも、安定した収益を確保できる強靭な企業基盤の再構築を目的に、諸課題の改善に徹底した取り組みを進めてまいりました。2021年3月期においてトップラインが頭打ちする中にあっても、重要な経営課題の一つに挙げた配送サービスの適切な運賃徴収交渉に取り組むことで収益の底上げを図ったように、旅費等の物件費削減による一時的な収益積み上げにとどまらず、構造的な体質改善を意識しながら成果へ結びつけることに地道に取り組んでまいります。その一つとして今年度に入り、子会社も含めた製造現場において、外部コンサルタントを活用した業務効率改善に新たに取り組む一方で、職場の安全衛生向上を目的とする「お守りプロジェクト」も展開し、従業員の職場環境の整備に全社一丸であらためて取り組み始めたところです。経営から現場従業員まで職場に潜む災害リスクの撲滅活動は、コストではなく前向きな投資であり、社員の安全衛生だけにとどまらず顧客満足度の改善にも繋がるとの認識のもと、経営が進捗管理に直接関与し愚直な取り組みを継続しているところです。また今年5月に「チヨダ外壁ボード」の販売を開始しましたが、石こうボードの新たな用途展開も見据えた研究開発に今後とも取り組み、市場開拓に努めてまいります。
昨年4月より新たな経営体制のもとでスタートした経営委員会では、新型コロナ感染予防の対策や「お守りプロジェクト」等、社内各部門の継続課題や突発的に発生した問題を経営レベルで共有し、適切かつ迅速に対処できるようほぼ毎週開催することで、速やかに方針を示し課題解決や成果のスピードアップを図ってきているところです。7月より新社長のもとで体質改善に向けた取り組みを加速させることで、安定した収益力を維持向上のうえ、低い水準にまで落ち込んだ内部留保の積み上げを着実に進めてまいります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営方針は、「地球環境と生活空間の創造」を図っていくために、石こうボードを中心に環境、防災など豊かな住環境を支える建築資材を提供し続けることであり、それをより一層意識して取り組み続けていくことを目的に、新たな基本理念を策定しました。
新たな基本理念では、私たちが現在取り組んでいる「ミッション」と、将来へ視点を向けた「ビジョン」を定め、ミッションとビジョンを支える「4つの価値(私たちらしさ、パートナーシップ、エンゲージメント、起業家精神)」により構成されています。特に「ミッション」で定めた、『最高の品質と独自技術で、安全・快適な生活空間を届ける』ことは、従前の基本理念から変わらずに引き継ぐ中核に位置づけられるものであり、品質面でたゆまずレベルアップを図りながら、建築資材の専門メーカーとして常に独自の商品開発力(Unique Technology)を強化し、社会に支持される高機能・高付加価値製品の開発と市場への提供を目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、厳しい経営環境に直面しようとも必要な設備投資を継続し、収益力の回復を図っていくことを目指しており、事業活動から生じるキャッシュ(EBITDA)を把握し、売上高に対する比率(EBITDAマージン)を経営指標として採用しております。
EBITDAは営業利益に減価償却費を足し戻すことで容易に算定(注1)でき、設備投資によって変動が生じる減価償却費の影響を排除し、売上高に対する比率(EBITDAマージン)を経年で比較することにより企業の収益性を把握することが可能となります。
資本業務提携関係にあるクナウフ・グループ(注2)は、世界各地で事業会社を展開し、各国の会計処理の影響に左右されない把握可能な指標としてEBITDAマージンを採用していることから、当社グループでも経営指標として採用することが適当であると判断しております。現在の水準からは高い目標でありますが、EBITDAマージン10%超の達成を目指して取り組んでまいります。
(注)1.EBITDA(利払い前、税引き前、償却前利益)≒営業利益+減価償却費
2.資本業務提携関係にあるKnauf International GmbHが所属するグループをクナウフ・グループと表記します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループを取り巻く環境は、人口減少を起因とする国内の住宅市場縮小という厳しさの到来がほぼ確実に想定されるなか、競合する他社が圧倒的な市場シェアを占め、現状のままでは財務面やリソースの点で安定した事業継続を果たしていくことに懸念を抱えていました。
そうした中、2020年1月にKnauf International GmbHとの間であらためて資本業務提携契約を締結し、昨年3月より新たな体制(取締役会の半数にクナウフ・グループ在籍員が就任)のもとで経営を進めることになりました。
⦅資本業務提携の背景について⦆
当社は、戦後1948年に創業後、1955年に石こうボードの製造を開始しました。壁や天井に使用される建築内装材は、木質系資材が燃えやすいという欠点があるのに対して、石こうボードが防火性と耐熱性に優れていたことから、建築基準法や消防法等による義務付けを契機に主流を占めるようになりました。加えて、石こうボードの価格が、木質系資材に比べて低価格で安定していたこと、石こうボードの主原料が、肥料工場や火力発電所から副産物として発生する化学石膏と古紙を使用していることから、資源リサイクルに大きな貢献を果たしてきたことが、社会的にも支持されてきました。
こうして石こうボードは、戦後の建設業界に普及してきましたが、当社が石こうボードメーカーとして飛躍した背景には、1960年代のプレハブ住宅の建築戸数の急激な伸びが背景にあります。1962年に石こうボード等の不燃材を使用した鉄骨系プレハブ住宅が住宅金融公庫の融資対象となったことから、プレハブ住宅の建築が急激に増加し、それとともに石こうボードも急速に使用されるようになりました。もともと石こうボードの最大市場であるビル・事務所等の建設業界は、日本におけるパイオニアとして牽引してきた国内トップ企業がしっかりと押さえており、当社が入り込む隙間がほとんどなく、建設業界以外に市場を求めざるを得ないという状況にあって、当社はいち早くプレハブ住宅市場を開拓しに行ったことが大きな飛躍の原動力となりました。
しかしながら、こうした歴史的背景が今日の当社を取り巻く環境において、先行きの不透明感を増す一因となっています。戦後の日本経済において、これまでバブル崩壊やリーマンショック等の大きな経済変動の影響を受けながら、住宅市場は増減を繰り返してきましたが、少子高齢化が進み、日本国内の人口減少が見込まれる中、1973年には過去最高の190万戸に達した新設住宅着工戸数は、2009年度には100万戸を下回り、大手シンクタンクは、新設住宅着工戸数が2030年度には60万戸程度まで減少する見通しを発表(新型コロナ感染症拡大前)しており、それに伴い石こうボードの使用量も減少することが予想されます。当社が住宅市場で伸びてきた強みが、今後は弱点になりかねない状況に直面しており、これまでも住宅分野以外の非住宅分野における取扱い強化を進めてきましたが、その市場は圧倒的に国内トップ企業が押さえており、新たなニーズの発掘や市場開拓を進めていくためには、商品力、研究開発力、人材、資金等がますます必要になってきています。特に石こうボード業界は、戦後乱立していたメーカーが淘汰され続け、現在では国内トップ企業と当社の2社体制という特異な業界構造になっており、両社とも全国を同じく商圏とするなか、当社の業界シェアは約2割と、国内トップ企業とは格段に差がある状況です。
当社はこのような業界ポジションにあって、2006年より、石こうボードを始めとする建材をグローバルに展開するドイツのクナウフ・グループと石こうボード事業を中心とした資本業務提携を行ってきており、縮小が見込まれる日本の市場環境と当社グループの足元業績に鑑みると、早急に成長戦略を策定し、安定した企業経営に軌道を乗せることがステークホルダーとの共通した経営目標であると判断し、2020年1月に一層強固な資本業務関係を図ることを目的とした契約を取り交わしました。
① 財務基盤の改善
a. Knauf International GmbHとの間であらためて資本業務提携契約を締結して約25億円の増資を実施し、2020年3月期末時点で調達した資金全額を有利子負債の返済に充当し、今後の合理化効率化投資に備えた財務基盤の改善を推進しました。
b. 2020年度に入り新型コロナウイルス感染症拡大による不測の事態に備えて、低利固定の長期資金の調達により手元資金を厚めに確保したことから、有利子負債の総額は増加しましたが、手元現預金ならびに流動化実施前の売上債権が増加しており、資金調達余力は大幅に改善しています。2021年3月期末(連結)のEBITDA有利子負債倍率は約6倍ですが、合理化効率化による収益力改善と有利子負債の削減に努め、将来的には3倍程度を目指して財務基盤の改善を進めます。
② 主力石こうボード事業への投資推進
目下のところ新型コロナウイルス感染拡大による収束時期が見通せず、主力石こうボード事業をベースにエッジを効かせた施策や投資の進捗を控えていましたが、2020年度において商社機能を担っていた子会社東京総合資材㈱をグループ外に売却する等、本業である主力石こうボード事業に注力する体制を整備しており、コア事業にリソースを集中してまいります。
a. マーケティング力の強化
当社とクナウフ・グル―プが持つ製品やサービスの機能・特性を踏まえた比較、調査を行い、主に当社にない製品やサービス分野への進出の機会を検討し、断熱材を始めとした建設資材全般での国内上市を検討していくためにマーケティング力の強化を図ってまいります。
b. 業務プロセスの効率化推進
販売・製造・物流・管理の各分野においてIT投資を実行していくことで、今後、各種データの蓄積・活用を通じ、業務プロセスの効率化を推進し、一人当たりの生産性向上を高めてまいります。特に新型コロナウイルス感染拡大を契機に、人手に頼らないデータの読み込み等のシステム化を推進します。
③ クナウフ・グループとの提携関係強化による事業継続対策
a. 安定した原料調達
当社が利用する原料石膏の多くは、火力発電所の副産物として生じる化学石膏を利用していますが、世界的な脱炭素社会に向けた流れから、環境の負荷が大きい石炭火力発電事業に対し、金融機関が融資について慎重な姿勢を表明し始めています。こうした環境配慮の措置が一層進むと、将来的に国内の化学石膏の入手が困難になる事態が想定されます。当社として石こうボード事業を継続していく上で、化学石膏を補うために海外より天然石膏を手当てする必要が生じた際、海外で天然石膏の鉱山を保有するクナウフ・グループからの調達に備えることが可能となります。
b.当社グループの主要な製造拠点は、南海トラフ等の震災被害の可能性が高く、グローバルで事業を展開するクナウフ・グループとの事業継続計画を協働で策定し、顧客への供給責任を果たせる体制の構築を図ります。
(4) 会社の対処すべき課題
今後のわが国の経済見通しは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、持ち直しの動きが続くことが見込まれており、特にワクチン接種の進展に対して強い期待が寄せられています。しかしながら、変異型ウイルスの感染が拡大し収束時期を見通せないなどコロナ前の水準に戻るまでにまだまだ時間を要することが報じられており、不透明な経済環境が続くことが予想されます。
住宅市場におきましては、2019年秋の消費税引き上げに加え新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、外出自粛や先行きの所得不安から新設住宅着工戸数は大幅に落ち込みましたが、2021年3月にはようやく反転の動きも見られました。また新型コロナウイルス感染拡大を契機に、自宅で過ごす時間が長くなるなど新たなライフスタイルの浸透により、郊外・地方移住も含め住まいに関する価値観の多様化が進み始めており、厳しい市場環境の中にあっても「ニューノーマル」という発想が模索され従来とは異なる動きが見受けられます。
当社グループにおきましては、将来の変化の激しい市場環境も見据え、昨年1月にクナウフ・グループとより一層強固な資本業務提携を締結し、新たな経営体制のもと、『競争力の回復』をキーワードに掲げ、厳しい環境に直面しようとも、安定した収益を確保できる強靭な企業基盤の再構築を目的に、諸課題の改善に徹底した取り組みを進めてまいりました。2021年3月期においてトップラインが頭打ちする中にあっても、重要な経営課題の一つに挙げた配送サービスの適切な運賃徴収交渉に取り組むことで収益の底上げを図ったように、旅費等の物件費削減による一時的な収益積み上げにとどまらず、構造的な体質改善を意識しながら成果へ結びつけることに地道に取り組んでまいります。その一つとして今年度に入り、子会社も含めた製造現場において、外部コンサルタントを活用した業務効率改善に新たに取り組む一方で、職場の安全衛生向上を目的とする「お守りプロジェクト」も展開し、従業員の職場環境の整備に全社一丸であらためて取り組み始めたところです。経営から現場従業員まで職場に潜む災害リスクの撲滅活動は、コストではなく前向きな投資であり、社員の安全衛生だけにとどまらず顧客満足度の改善にも繋がるとの認識のもと、経営が進捗管理に直接関与し愚直な取り組みを継続しているところです。また今年5月に「チヨダ外壁ボード」の販売を開始しましたが、石こうボードの新たな用途展開も見据えた研究開発に今後とも取り組み、市場開拓に努めてまいります。
昨年4月より新たな経営体制のもとでスタートした経営委員会では、新型コロナ感染予防の対策や「お守りプロジェクト」等、社内各部門の継続課題や突発的に発生した問題を経営レベルで共有し、適切かつ迅速に対処できるようほぼ毎週開催することで、速やかに方針を示し課題解決や成果のスピードアップを図ってきているところです。7月より新社長のもとで体質改善に向けた取り組みを加速させることで、安定した収益力を維持向上のうえ、低い水準にまで落ち込んだ内部留保の積み上げを着実に進めてまいります。