有価証券報告書-第125期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/25 15:35
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【項目】
149項目

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、創立の精神である『高級特殊鋼を製造し、産業界に貢献する』に基づき、特殊鋼素材開発、製造、精密部品加工、熱処理、表面処理から成るバリューチェーンを活かした特徴ある商品をお客様に提供しております。また、お客様とのコラボレーションによる新たな商品開発も含め、多方面で新しい技術開発に取組んでおります。さらに、海外での生産活動も積極的に進め、タイとインドの生産拠点と連携し、グローバルに広がるお客様の多様なニーズに応えております。
2024年度は、前年度から続く厳しい経営環境の下、「事業改革待ったなし 今こそ発揮、チーム力」をスローガンに掲げました。全社一丸で特殊鋼事業の収益力強化を最重要課題として事業改革を進め、これからも産業界の発展ならびに人々の豊かな暮らしに貢献できるよう挑戦し続けてまいります。
(2)中期経営計画の実績
当社グループは2021年に「中期経営計画(2021年度~2023年度)」を策定し公表しました。2021年度から当連結会計年度の3年間は、当計画の中で掲げた基本コンセプト「技術変革の激流をも力に変え 社会の期待を先取りし応え続ける『開発機能会社』への進化」に従い、各活動計画を実行してまいりました。
①特殊鋼事業
a.特殊鋼事業全般
「コア技術集結、強み商品の拡販」をテーマに、上方・下方生産弾力性の確保及び市場深掘り、新規需要の捕捉に取り組んできました。
上方・下方生産弾力性の確保としては、コロナ禍を発端に不安定となった受注環境下でも安定した収益獲得を目指して、生産設備の新設や人材流動性の確保に努めました。特に、電動車や半導体製造装置等の次世代成長市場向けの高機能材料の生産能力を強化するため、真空誘導溶解炉や磁気焼鈍炉の大型の設備投資を行いました。人材流動性の確保としては、需要変動により商品の受注構成が大きく変化したとしても生産体制を維持できるよう、生産ラインを超えた配置換えや応援を通して人員の多能工化を進めました。これらの施策により、将来の需要増加に備えると共に、需要減少の際でも柔軟な人員体制により生産の効率化を図ります。
市場深掘り、新規需要としては、高付加価値商品を中心に既存市場や隣接市場での営業活動を推進してきました。その成果として、次世代成長市場での新規受注を獲得または試作品を納入しております。
しかしながら、この中期計画期間では、当社グループの原価低減活動を超える原材料やエネルギー等のコスト上昇があり、収益性は著しく低下しております。当社グループで吸収できないコストの上昇分を販売価格に転嫁できるよう、お客様へ丁寧に説明しながら値上げ活動を続けてまいります。
b.新事業・新商品
「オープンイノベーションを基軸とした事業化・新商品開発加速」をテーマに、コア技術を活用した研究開発活動を実施しました。
当社が開発した電気と振動を双方向で変換できる磁歪クラッド材を用いた商品開発では、農業向け害虫防除機器の量産モデルが開発完了しており、販売に向けて体制を整えているところです。同じく磁歪クラッド材を用いた振動発電センサーでは宮城県の補助金を受けパートナー企業と開発を進めています。いずれも当社が開発した材料を用いた機器開発であり、当社の強みである材料開発力と用途開発力を融合した商品開発を進めてきました。
また、2022年度に採択された新エネルギー・産業技術総合開発機構のグリーンイノベーション基金事業「次世代蓄電池・次世代モーターの開発」プロジェクトの中で、当社は次世代モーター用素材の開発を担当しております。2023年度には開発用設備の導入が完了し、2030年以降の商品化を目指して活動に取り組んでおります。
今後も東北大学や東北大学金属材料研究所等の研究機関と連携しながら、世界的なカーボンニュートラル実現に向けて、積極的に新事業の創出と新商品の開発を進めてまいります。
c.海外事業
「国内外事業の連携による市場変革への対応」をテーマに、海外の現地子会社と連携強化を図りました。
タイの精密加工事業では、日本国内の精密加工事業と連携することで、新商品の受注や生産プロセスの確立等の効果がありました。現在は、内燃エンジン用途の精密加工商品を主に生産しておりますが、タイ国内でも自動車の電動化が進み、日本国内と同様に内燃エンジン用途の需要は縮小するものと考えております。今後も日本国内と連携を強化し、収益基盤の安定化を図ります。
インドの特殊鋼鋼材事業では、インド国内の自動車と二輪車の生産台数増加による特殊鋼需要を十分に取り込むことができず、受注計画を達成することができませんでした。インド市場における特殊鋼需要の見極めと販売体制の強化が課題となります。
d.事業基盤
「技術変革の激流を力に変え、乗り越えるための体幹づくり」をテーマに、企業風土改革やDX推進活動を進めてきました。企業風土改革では、企業の基礎となる人事制度の見直しや会議体の統廃合を行い、コミュニケーションや部門横断活動を促進する環境を整えてきました。DX推進活動では、ITツールの利用促進や社内のITリテラシー向上を図り、各従業員が主体的に業務のDX実現に向けて取り組んできました。また、博士号取得支援制度の新設、女性の働きやすさの向上等、人的資本への投資を実行してきました。
②不動産賃貸事業
2022年3月の福島県沖地震の影響で修繕費用が増加しましたが、中期計画期間の3年間を通して安定した売上高を計上し、当社グループの利益に貢献しました。
(3)経営環境及び対処すべき課題
当社は、「中期経営計画(2021年度~2023年度)」を策定の際、2030年の当社ビジョンとして「迫り来る革新的モビリティ・エネルギー・デジタル社会 その激流に流されず、変化を御してよりよい社会づくりのために高機能材を提供し続ける」を設定しました。この2030年ビジョンからバックキャスティングしたコンセプト「技術変革の激流をも力に変え 社会の期待を先取りし応え続ける『開発機能会社』への進化」に従い、この3年間は活動を実施してまいりました。新たな「2026中期経営計画」では2030年ビジョンを踏襲し新たなコンセプト「『開発機能会社』への前進と柔軟な事業の転進」をコンセプトに実施計画を策定しました。
当社を取り巻く環境は、自動車の電動化、カーボンニュートラル、IT技術の進化、そして爆発的なAIの普及等、これまで経験したことがないスピードで変化しています。また、それぞれの分野で国際的な競争が激化しており、各種コストが高騰する中で、より良いものを需要環境に応じて柔軟に生産しお客様へ提供することが求められてきています。このような環境の中で、当社グループが策定した新たな中期経営計画に沿って以下の活動を実施してまいります。
①特殊鋼事業
a.本業での収益力強化
2021年度から原材料やエネルギー等のコストが上昇しており、当社ではコストの上昇分を原価低減活動で吸収することが困難になってきております。併せて、事業の継続的な成長のため、研究開発活動や人的資本への投資を続けながら設備の維持更新も必要となります。また、半導体製造装置産業を中心とした慢性的な需要変動により理想的な操業水準が予測困難な状況となっており、コストの固定費負担が大きくなっています。
2024年度から2026年度の3年間は、これまで同様にコスト上昇についてお客様へ丁寧な説明を行い、販売価格の値上げを進めてまいります。
自動車産業では生産台数が回復基調、かつ半導体製造装置産業では日本国内で半導体企業の進出が増えている状況ですが、サプライチェーンの上流における特殊鋼の需要はまだ先行きが不透明です。既存商品に係る特殊鋼の需要が低位な状況でも、当社は収益を確保するため、高付加価値商品を中心とした拡販活動を強化してまいります。
b.ポートフォリオ改革
特殊鋼事業の売上高の約7割は自動車産業向けであり、その大部分はエンジンバルブ用耐熱鋼や燃料噴射装置用電磁ステンレス鋼の特殊鋼鋼材並びに自動車燃料系統用途の精密加工商品が占めています。今後、これらエンジン用商品の需要は縮小すると見込んでおりますが、その他の用途で需要がある電磁ステンレス鋼等の高機能材料について、市場シェアの拡大を図ります。
また、現在当社グループの中で磁歪クラッド材や拡散接合技術の収益貢献はわずかではありますが、マーケティングの結果潜在的な需要があることがわかりました。これらの商品や技術が将来の収益に貢献できるよう、個々の需要を捉えて事業成長を図ります。
各部品メーカーに材料として納入している特殊鋼鋼材や特殊合金は、当社売上の約8割を占めております。いずれも直接的に完成品として使用されず、部品メーカー向けの材料販売としてサプライチェーンの上流に位置しています。当社商品を安定的に市場へ供給するため、及び完成品における当社商品のシェア拡大のため、精密加工事業への投資や垂直型M&Aによるサプライチェーン下流域への事業拡大の可能性を模索してまいります。
c.研究開発活動
2024年度から2026年度の3年間は、毎期特殊鋼事業の売上高の2.5%を目標として研究開発活動に割り当てていきます。次世代モーター用素材の開発、及び磁歪クラッド材を用いた振動発電デバイスの開発を推進します。
②不動産賃貸事業
旧長町工場用地に建設した商業施設である「ザ・モール仙台長町」を中心とした不動産価値の最大化が課題です。インターネット通信販売の普及や人口減少により、実店舗での販売は減少傾向が見られますが、これからも「安全・安心・快適」な施設作りとビルメンテナンスの提供を行い、集客力の維持・向上を図ります。また、地域や近隣店舗との連携を強化し、仙台市長町エリアの活性化を目指します。
不動産賃貸事業は当社グループの収益基盤を下支えしておりますが、2023年度以降もより一層の安定したキャッシュインフローを生み出せるよう、事業投資を継続します。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、産業のグローバル化を背景に厳しい価格競争を強いられる事業環境のなか、さらなる経営基盤の強化・持続的発展に向けた戦略投資に向けて積極的に資源配分しつつ、収益確保を目指しております。
2026中期経営計画では、最終年度の2027年3月期において連結売上高260億円、連結営業利益23億円を目標としております。
実績中期経営計画
2023年度2024年度2025年度2026年度
連結売上高(億円)213230250260
連結営業利益(億円)12142023
ROS(連結営業利益/連結売上高)5.9%6%8%9%
ROE(連結当期純利益/連結純資産)3.6%4%5%6%

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