有価証券報告書-第116期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

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2016/03/30 14:31
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118項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、前半は比較的好調な米国をはじめとする先進国の牽引により回復基調にありましたが、後半に入り中国の減速が鮮明化し、その影響が新興国・資源国を中心に世界に波及し、景気回復ペースは緩慢なものとなりました。
国内経済も円安と原油安、株高を追い風とする企業収益の向上や所得雇用環境の改善などにより、年央までは回復基調にありました。しかし夏以降は、中国など新興国の減速によるマイナス効果が大きく、輸出関連企業での在庫調整や設備投資抑制などから、景気回復は足踏み状態となりました。
こうした中、当社の主たる需要先である鉄鋼業界は、大きな需給ギャップが生じ、販売数量、市況の両面で大幅な減少・下落となりました。
当社におきましても、上期まではほぼ順調でしたが、下期に入り合金鉄事業の業績が急激に悪化するなど、大変厳しい状況となりました。
なお、当社は2014年7月1日に中央電気工業株式会社(以下「中央電気工業」といいます。)と当社を株式交換完全親会社、中央電気工業を株式交換完全子会社とする株式交換により経営統合し、「新日本電工株式会社」として新たなスタートを切っており、その効果を最大限に発揮するため、両社完全統合に向けた事業の選択決定と集中再編の加速化に全社をあげて取り組んでいるところです。かかる方針の下、その第一弾として昨年11月に中央電気工業の磁石合金事業の譲渡を決定いたしました。
当社の当連結会計年度の業績は、年間を通じて中央電気工業グループが加わりましたが、主力製品である合金鉄の市況低迷を主たる要因とし、売上高は82,902百万円(前年度実績75,864百万円)と前年に対して9.3%の微増にとどまり、営業利益は前年に対して24.8%減少し2,046百万円(前年度実績2,720百万円)となりました。
経常利益は前年に対して90.8%減少し211百万円(前年度実績2,286百万円)となりました。当社の持分法適用会社である香港のKudumane Investment Holding Limited(以下「KIH」といいます。)が出資している南アフリカ共和国のマンガン鉱山会社、Kudumane Manganese Resources (Pty) Ltd.がマンガン鉱石市況価格下落及び足元の業績低下を受け事業の採算計画を見直した結果、KIHが間接的に有する鉱業権価値が低下したことなどにより、持分法による投資損失1,619百万円を計上したことによります。
当期純損益は14,181百万円の損失となりました(前年は中央電気工業との株式交換に伴い発生した負ののれん発生益10,220百万円などにより、10,807百万円の利益)。中央電気工業の磁石合金事業の譲渡及び当社の連結子会社であるベトナムのVietnam Rare Earth Company Limitedの事業休止などによる事業整理損2,860百万円、合金鉄事業及び電池材料事業などの固定資産減損損失9,607百万円を主たる要因としております。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(合金鉄事業)
2015年の世界66ヵ国の粗鋼生産は、前年に比べ減少し、15億9,948万トンとなりました。欧米、アジアの主要国の多くが前年実績を下回り、これまで成長を続けていた中国の粗鋼生産も、経済減速を反映して、8億383万トンと34年ぶりに減少に転じました。
日本の粗鋼生産についても、1億515万トンと前年比で5%減少しました。国内需要の伸び悩み、鋼材在庫の調整、中国の高水準の鋼材輸出やエネルギー関連需要の減少による輸出環境の悪化などが、生産減の要因となりました。
合金鉄については粗鋼生産を反映し需要が減少していることに加え、国際市況の低迷の長期化が収益悪化の要因となっています。急速な回復は想定し難く当面厳しい事業環境が続くものと考えられます。
当事業の2015年1-12月期の業績は、中央電気工業との経営統合により2014年7月以降、高炭素フェロマンガンが販売数量増となったことから前年に比べ売上高は増加し、また、同社の環境事業は堅調に推移しましたが、他方、合金鉄の販売価格が低下したため、営業利益は若干減少しました。
(機能材料事業)
フェロボロンの販売は主にアモルファス向けが減少し、前年を下回りました。
酸化ジルコニウムの販売は電子部品向けが堅調に推移し、ほう素の販売はガラス向け等が増加したことで前年を上回りました。
マンガン酸リチウムの販売は国内自動車用向けの出荷が減少し、前年を下回りました。
一方、経営統合により連結子会社となった中央電気工業のハイブリッド自動車向けニッケル水素電池用水素吸蔵合金は堅調に推移しました。
以上の結果、総じて当事業の売上高は前年に比べ増加し、営業利益も若干増加しました。
(環境システム事業)
自動車、航空機部品関連業界の表面処理ライン新設、ほう素関連のモバイル型イオン交換塔の取扱い伸長に伴い、レンタル契約件数、樹脂再生量が増加しました。また、水素ステーション向け純水製造装置の販売も拡大しました。しかし、前年のような大型設備販売が無かったため、全体では売上高、営業利益とも前年比減少となりました。
(その他の事業)
その他の事業は、前年同期比で売上高、営業利益ともに減少しました。
なお、当連結会計年度におけるセグメントの売上高及び営業利益は、次の通りであります。
(単位:百万円、%)

区分第115期(前連結会計年度)
(平成26.1.1~26.12.31)
第116期(当連結会計年度)
(平成27.1.1~27.12.31)
増減率
売上高営業利益売上高営業利益売上高営業利益
金 額構成比金 額構成比金 額構成比金 額構成比
合金鉄事業46,61661.564223.650,21960.651525.27.7△19.7
機能材料事業18,31824.184130.922,57127.285942.023.22.0
環境システム事業1,8372.445316.71,5341.938118.6△16.5△15.9
その他の事業9,09212.078228.88,57810.328914.2△5.7△63.0
合 計75,864100.02,720100.082,902100.02,046100.09.3△24.8

(2) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、8,135百万円の収入となりました(前連結会計年度は1,266百万円の支出)。主な増加要因は、売上債権の減少による増加7,120百万円、たな卸資産の減少による増加1,862百万円、前渡金の減少による増加1,192百万円であります。主な減少要因は、税金等調整前当期純損失12,753百万円、仕入債務の減少による減少5,282百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、3,349百万円の支出となりました(前連結会計年度は4,565百万円の支出)。主な減少要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出3,059百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,604百万円の支出となりました(前連結会計年度は2,568百万円の収入)。主な減少要因は、短期借入金の減少2,200百万円、配当金の支払額732百万円、長期借入金の返済による支出638百万円であります。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,190百万円増加し10,499百万円となりました。