有価証券報告書-第82期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/23 10:41
【資料】
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【項目】
203項目
③ 戦略
当社の人的資本経営戦略は、「資源循環型社会のエッセンシャル・カンパニー」になるという当社の長期シナリオの達成に貢献できる人材を獲得・育成することを主眼としています。その実現のためには、社員が活き活きと働き、能力を発揮する環境を整え、「3つのつなぐ力」を強化する各種施策の実施により、生産性の向上やエンゲージメントの向上を図ることが重要であると考えます。2026年度を最終年度とする「NeXuSⅡ 2026」の策定に当たっては、「企業は人なり」という企業経営の原点に立ち返り、4つのテーマ「物質的メリット」、「自己実現」、「連帯感・チームワーク」、「企業理念への共感」への施策を通じて、エンゲージメント向上に取り組むこととしています。なお、「NeXuSⅡ 2026」においては、人的資本に対して3年間で約50億円の投資を計画・実施しています。
<4つのテーマに紐づく主な取り組み>a.物質的メリットの向上
物質的メリットについては、主に「社員が心身ともに安心・安全な状態で働ける環境であること」と定義しています。所得水準の引き上げ、工場などの職場環境や寮、福利厚生施設の充実を図るとともに、安全に関する取り組み、健康経営、働き方改革などを進めています。
ⅰ 所得水準の引き上げ
社員の所得水準の継続的な引き上げを目指します。
ⅱ 職場環境の整備
工場などの生産設備のみならず、事務所や厚生棟、寮など生産設備以外の環境も整備し、社員が快適に働けるための投資を行っています。当期においては名古屋事業所の事務所棟を更新したほか、山口事業所においても新事務所の建設を進めています。
また、労働生産性を高めるとともに、社員同士が交流する(つながる)ための時間的・心理的余裕が生まれるよう、生産拠点のスマートファクトリー化やIT化による業務効率化を推進します。
ⅲ 安全に関する取り組み
当社グループでは、生産活動のすべてのプロセスにおいて社員の安全を最優先すべく、グループ全体を横断した中央安全衛生委員会を設置し、安全衛生に関する活動の巡視、課題の解決を行い、安全感度向上を図っています。さらに企業が競争力を維持し続けるためには、安心して活き活きと働ける職場環境を整備することが重要であると考えています。
電炉工場の作業環境は製造業の中でも厳しく、リスクを伴う作業もあることから、今後の事業継続の観点からも作業環境整備は重要な経営課題です。例えば、社員の安全を守り、安心して働ける環境づくりの一環として、製鋼工場にロボットを導入するなどこれまで手作業で行っていた炉前作業の自動化を進めています。引き続き危険作業の撲滅を目指してまいります。
また、VR(仮想現実)技術を利用し、転倒や感電、挟まれなどに繋がる危険行為をまるで現実であるかのように体感することで、安全感度の向上を図るなど、事故の防止について考える機会を設けています。
ⅳ 健康経営の取り組み推進
当社グループは、社会の発展と地球環境との調和に貢献する「エッセンシャル・カンパニー」へと成長するためには、企業の根幹である社員一人ひとりが心身ともに健康であることが何よりも重要であると考え、2021年4月に「健康宣言」を制定し、以下の取り組みを推進しています。
イ.社員の健康増進に関する取り組み
・社員の健康課題の把握と必要な対策の実施(35歳以上の従業員・配偶者に人間ドックの受診を奨励・費用支援)
・産業医や協会けんぽと連携した健康保持・増進策(保健指導など)の実施
・健康の保持・増進をテーマとした健康セミナーの実施
・仕事と介護の両立セミナーの実施
・健康管理アプリを活用した生活習慣の見直しと健康チャレンジ活動を実施
・時間外労働の削減、長時間労働の抑止、メンタルヘルスケアの取り組み
・有給休暇の取得推進
・従業員意識調査において、パフォーマンス発揮度合いを評価する設問を設定し、その結果をもとに生産性向上の改善施策へつなげる取り組みを実施
ロ.ハラスメント防止への取り組み
当社グループでは、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント等のすべてのハラスメント行為については、これを禁じ、見逃しません。問題発生時には、迅速に調査を行うとともに、被害者の救済と再発防止に向けた処置を取ることにしています。
〈ハラスメント防止策〉
・「コンプライアンス・マニュアル」に明記し、社内ポスター・携帯カード等にて周知
・ハラスメント防止ハンドブックの配布
・コンプライアンス研修(年2回)
・相談ルートの体制整備(社内外にコンプライアンス相談窓口を設置)
・従業員意識調査の実施
ハ.人権の尊重
当社グループは、自らの事業活動において影響を受けるすべての人びとの人権が尊重されなければならないことを理解し、人権尊重の取り組みをグループ全体で推進し、その責務を果たします。その指針として「共英製鋼グループ人権ポリシー」を定め、人権尊重の取り組みを推進しています。今後も継続的にグループ内での啓発、理解推進に向けた教育・研修を実施していきます。
ⅴ 男性社員の育児参加促進を目的とした育児休暇や育児目的休暇制度の導入
育児休業制度については、女性の取得率が100%であるのに対し、男性の取得率が低迷していた(2021年度では4.3%)ことから、2022年度に男性社員の育児参加促進を図るため、育児制度の大幅改定を行いました。男性が積極的に育児参加することで、職場全体が育児への理解を深めるとともに、育児を応援する職場環境の醸成に繋げたいと考え、時間単位や半日単位での取得が可能な有給の育児目的休暇制度を新設するなど環境整備に努めています。こうした取り組みにより、2025年度の男性の育児休業および育児目的休暇取得率は41.9%となりました。今後は、男性の育児休業取得率のさらなる向上とともに育児目的休暇の取得も推進してまいります。
※実績数値は共英製鋼単体で算出
このような取り組みを評価いただき、2026年3月には、5年連続で経済産業省/日本健康会議による「健康経営優良法人」に認定されました。さらに、事務所棟や厚生棟の更新や研修センターの開設、福利厚生制度の充実など、働く社員にとって快適で魅力ある職場環境整備に向けた取り組みを評価いただき、2026年3月には、福利厚生の充実・活用に取り組む法人を表彰・認証する制度「ハタラクエール」において6年連続で「福利厚生推進法人」に認証されました。
b.自己実現(成長機会の提供)
自己実現については、あらゆる階層、職種のすべての社員に学ぶ機会を提供していきます。経営理念のもと挑戦を続けながら社会の発展に貢献し、一人ひとりがプロフェッショナルとして自律して行動する「共英人」を育成し、当社の将来を支える「次世代の人材力」を高めるために、社内外での研修機会の費用を、1人当たり15万円にすることを目指します。
ⅰ 社内教育の充実
人事総務部内に「人財開発室」を設置するとともに、全社の教育拠点となる「研修センター」を開設しています。人財開発室では、全社的な研修体系の再構築を行うとともに、特に製造現場の技術伝承や更なる技術力向上に向け、国内に留まらず海外拠点も含めた教育研修のグローバル化を目指し取り組んでいます。
次世代経営幹部候補には、ビジネスリーダーに求められる戦略思考や行動変革につなげるため、外部の経営アカデミーに派遣し、他社人材との他流試合の機会を設けるなど、若手層から管理職層に至るまで様々な教育機会を提供することにより、将来の経営人材を計画的に育成しています。
また、「世界3極体制」のもと、国内外での事業展開により成長を目指す当社グループにとって、特に海外人材の育成は重要な課題と認識しており、将来を担う若手社員を6か月程度海外に派遣する海外トレーニー制度のほか、国内でも語学教育に注力するなどグローバル人材の育成に取り組んでいます。
ⅱ 人事評価制度
当社の人事評価制度並びに処遇体系は、職能型と職務型のハイブリッド型とするとともに、目標設定と評価結果のフィードバック時の面談を通じて上司と社員間のコミュニケ―ションを高めることで、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上を図り、公平で透明性が高く、変化の激しい時代においても、柔軟かつ強靭な組織構築が可能な制度としています。「NeXuSⅡ 2026」においても、評価者・被評価者研修を継続的に行い、公正公平な人事評価の徹底を図っています。
c.連帯感・チームワークの強化
連帯感・チームワークについては、国内生産拠点で従前より実施している製造技術開発連絡会や、海外子会社も参加するJK大会(職場の小グループで課題解決に取り組む自主管理活動(JK活動)の発表会)、事業所長とグループ全社の社長が一堂に会して当社グループの現状と課題を議論するグループマネジメントカンファレンスなど業務面での交流機会に加え、コロナ禍で休止していた行事を復活・充実させるなどして相互理解を深める機会を増やし、国内外で働く同じ仲間としての連帯感、チームワークの醸成に努めています。
また、新たに2025年4月からは、「グループ内をつなぐ力」の強化施策として、「特定課題の解決」「知識・スキルの習得等」を目的としたグループの人的派遣行為により「グループ内をつなぐ力」を体現する人材を「おむすび」と称し、グループ内交流の活性化を進めています。
さらに、女性、キャリア人材、シニア、外国人、障がい者など多様な人材の採用に積極的に取り組み、様々な視点を取り入れることで、「つなぐ力」の強化を図っています。特に業種柄、女性社員比率が低い(約1割)中、近年は女性総合職の積極採用を継続し、キャリアデザイン研修などを通じて女性活躍の必要性や役割意識を高めるとともに、持続的に活躍できる職場環境づくりやワーク・ライフ・バランス実現に向けた環境整備に努めています。さらに製造・技術系の女性総合職採用も積極的に進めています。
キャリア人材に関しても、当社は従前より事業の展開に応じて積極的に外部の人材を採用し、社内における経歴に関わらず活躍できる場を整えており、現在は管理・総合職のうち約4割がキャリア採用者となっています。
一方、離職率(定年退職者を除く)は3%前後の低水準で定着しており、会社と個人との「選び選ばれる関係」の基盤が構築されています。
※実績数値は共英製鋼単体で算出
d.企業理念への共感
当社は創業以来、「鉄づくりを通じて社会に貢献する」ことを企業理念として、各種インフラを支える建設用鋼材の供給を中心に事業を行ってきました。さらに、1988年には、感染性の高い使用済み注射針の不法投棄が社会問題になったことをきっかけに、製鋼工程における電気炉稼働時の高温を利用して医療廃棄物を無害化溶融処理する「メスキュード・システム」を開発し、山口事業所を拠点として事業を開始しました。以来、約36年にわたり、当社グループの事業の柱のひとつである「環境リサイクル事業」として、社会課題の解決に貢献しつつ当社グループの成長を支えてきましたが、このたび、鉄づくりと医療廃棄物処理や産業廃棄物処理を一体として行うことで医療・産業廃棄物を資源循環のサイクルに乗せるという当該事業の独自性をブランディングし、改めて訴求することとしました。これにより、社外のみならず、社内にも当社の事業の社会的意義を伝え、企業理念、会社の姿勢への共感を醸成することを目指します。
企業理念への共感については、上記のブランド戦略とも連携し、当社の存在意義や方向性について、社員各層に正確に伝えます。また、各研修には必ず社長が登壇し、会社の課題や展望について直接語り掛けることで、社員のモチベーション向上やコミュニケーションの醸成に努めています。
以上のような取り組みを通じて、社員一人ひとりの意欲を高め、組織としての力につなげていくことを目指します。その効果を測るため、従業員意識調査を実施しています。当該調査では「社員エンゲージメント」と「コンプライアンス」の二軸が測定されており、よりよい組織づくりのために優先的に解決すべき課題の抽出に活用するとともに、重要な経営データとして人事戦略やリスクマネジメント戦略に活用しています。
今後も社員の声を真摯に受け止め、「働きがい」を持って取り組める職場環境整備に努めていきます。

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