有価証券報告書-第27期(2023/04/01-2024/03/31)
対処すべき課題
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。
尚、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
現在の航空機需要は激減したコロナ禍から漸く回復し、成長軌道へ転じつつあります。また、長期化しているウクライナ情勢を発端に再編された航空機向けチタンのグローバルサプライチェーンによる代替需要が加わり、スポンジチタンの需要は更に高まっています。一般産業用途向けスポンジチタンにおきましても需要は堅調に推移しています。しかしながら、チタン鉱石等の各種原材料価格は依然として高水準に留まっており、中東情勢に起因するエネルギー価格の上昇懸念等も生じており、不安定な世界動静によって影響される事業環境の不確実性が続いています。
このような事業環境において、旺盛なスポンジチタン需要に応えるため高い工場稼働率による生産を継続しており、最大限の生産量を確保すべく生産体制の整備を進めております。また、チタン事業の収益性を確保するためにお客様の理解を得ながら販売価格の適正化を進めると共に、生産諸元の改善や操業条件の最適化等による徹底したコスト削減に取り組んでおります。これらの活動と併せて、各種工程の自動化や生産効率の向上を図り、更に将来の生産改革に繋げていくためAIやIoT技術等の先端技術を駆使したスマートファクトリー化を推進しております。
航空機の中長期的な需要は持続的な成長が予想されており、また、一般産業用途向けチタン製品に関しても需要拡大が見込まれることからチタン展伸材製造各社は生産能力の増強計画を具体化しつつあります。中長期的な需給逼迫の可能性を見据えてチタンサプライチェーンより高品質スポンジチタンの安定供給を強く要請されており、当社チタン事業の成長とチタン業界発展への貢献の観点から、スポンジチタンの生産能力の増強計画について検討を加速しております。
一方、二つ目の中長期経営課題である事業構造の強化を図り、将来の経営ビジョンとして描く事業ポートフォリオの実現に向けて高機能材料事業の育成、強化に鋭意取り組んでおります。高機能材料事業の製品群である高純度チタンや球状チタン合金粉末(合金TILOP)は今後、大きな市場成長が期待される半導体や積層造形市場に上市しており、特長ある製品や技術を武器に市場におけるプレゼンスを高め、事業成長を促進してまいります。
一方、リチウムイオン電池用SiO負極材をはじめとする当社の強みを発現できる新規事業の創出にも継続して取り組んでおります。これらの活動によってチタン事業を主軸とする成長戦略を補強し、安定成長のための経営基盤強化を着実に推進してまいります。
現在、以下の中期経営課題に鋭意取り組んでおります。
それぞれの事業セグメントにおける課題は次のとおりであります。
1.チタン事業
①収益基盤の強化
・事業の継続的成長の基盤となる収益力を確保する水準への販売価格及び販売構成の適正化
・革新的な技術開発によるコスト構造の改質と環境負荷低減への貢献
・安定かつ競争力ある原料調達体制の維持と低廉原材料の利用技術の強化
②高稼働率の維持と最適生産体制の追求
・炉当たり生産性の改善による生産能力の最大活用
・職場環境改善(自動化、業務負荷低減)による労働生産性の向上
・生産技術の高度化のためのAI等の数理工学的アプローチの積極導入
③スポンジチタン生産能力の増強計画の具体化と始動
2.高機能材料事業
①高純度チタンの顧客対応力強化による事業拡大
・技術営業による顧客対応力の強化と戦略製品によるシェア拡大
・先端ニーズを先取りした特長ある製品の開発と継続的な成長機会の捕捉
・高付加価値品の拡販とロスコスト削減による収益力の更なる強化
②球状チタン合金粉末(合金TILOP)の事業基盤の強化
・合金TILOP専用工場の戦力化による事業基盤の構築
・事業推進体制の強化による提案力の向上と顧客との連携深化
・プロセス技術の継続的な開発と差別化製品の市場投入
③リチウムイオン電池用SiO負極材料の事業化加速
・顧客ニーズへのきめ細かく迅速な対応で早期事業化を推進
・商業生産の開始と事業推進体制の強化
・新製品の開発と事業拡大の検討
④高品質メニュー創出に向けた取り組みの継続
・当社保有技術を活用した新規事業の探索と事業化検討
・経営資源の投入による新規事業候補の事業化検証の推進
・当社の強みを発現できる案件の追求
3.全社的取り組み
①技術開発力の強化
・生産プロセス技術の高度化に特化した組織体制の強化と社外研究機関との連携
・事業ポートフォリオの変革に向けた新たな製品や事業のための探索活動の継続
②人的資本の強化
・「採用」、「育成」、「職場環境改善」を重点テーマとした人的資本強化推進プロジェクトチームの活動開始と
成果出し
・次代を担うリーダーの計画的な育成に向けた人事施策の充実
・熟練者の経験やノウハウ等の可視化、共有化による技能伝承と技術スタッフの強化
③DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応推進
・基幹システムの刷新による業務改革の推進
・蓄積データの積極的な活用による更なる品質安定化と生産効率の向上
・スマートファクトリー化全体構想の立案と推進
④ESG取り組み
・環境負荷低減への貢献
・安全で健康な職場環境の構築
・人材育成とダイバーシティの推進
・ガバナンスの充実による持続的成長
・先端素材の開発、提供によるサステナビリティ社会への貢献
尚、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
現在の航空機需要は激減したコロナ禍から漸く回復し、成長軌道へ転じつつあります。また、長期化しているウクライナ情勢を発端に再編された航空機向けチタンのグローバルサプライチェーンによる代替需要が加わり、スポンジチタンの需要は更に高まっています。一般産業用途向けスポンジチタンにおきましても需要は堅調に推移しています。しかしながら、チタン鉱石等の各種原材料価格は依然として高水準に留まっており、中東情勢に起因するエネルギー価格の上昇懸念等も生じており、不安定な世界動静によって影響される事業環境の不確実性が続いています。
このような事業環境において、旺盛なスポンジチタン需要に応えるため高い工場稼働率による生産を継続しており、最大限の生産量を確保すべく生産体制の整備を進めております。また、チタン事業の収益性を確保するためにお客様の理解を得ながら販売価格の適正化を進めると共に、生産諸元の改善や操業条件の最適化等による徹底したコスト削減に取り組んでおります。これらの活動と併せて、各種工程の自動化や生産効率の向上を図り、更に将来の生産改革に繋げていくためAIやIoT技術等の先端技術を駆使したスマートファクトリー化を推進しております。
航空機の中長期的な需要は持続的な成長が予想されており、また、一般産業用途向けチタン製品に関しても需要拡大が見込まれることからチタン展伸材製造各社は生産能力の増強計画を具体化しつつあります。中長期的な需給逼迫の可能性を見据えてチタンサプライチェーンより高品質スポンジチタンの安定供給を強く要請されており、当社チタン事業の成長とチタン業界発展への貢献の観点から、スポンジチタンの生産能力の増強計画について検討を加速しております。
一方、二つ目の中長期経営課題である事業構造の強化を図り、将来の経営ビジョンとして描く事業ポートフォリオの実現に向けて高機能材料事業の育成、強化に鋭意取り組んでおります。高機能材料事業の製品群である高純度チタンや球状チタン合金粉末(合金TILOP)は今後、大きな市場成長が期待される半導体や積層造形市場に上市しており、特長ある製品や技術を武器に市場におけるプレゼンスを高め、事業成長を促進してまいります。
一方、リチウムイオン電池用SiO負極材をはじめとする当社の強みを発現できる新規事業の創出にも継続して取り組んでおります。これらの活動によってチタン事業を主軸とする成長戦略を補強し、安定成長のための経営基盤強化を着実に推進してまいります。
現在、以下の中期経営課題に鋭意取り組んでおります。
<中期経営課題>(チタン事業) ・市場の成長軌道への回帰を背景にチタン事業を中核とする持続的成長戦略への復帰 (高機能材料事業) ・高機能材料事業の成長促進により事業構造の強化を図り、収益力の補強と成長戦略の加速 (全社共通) ・財務体質の早期健全化による安定成長基盤の復元 ・カーボンニュートラル対応をはじめ環境負荷低減に向けた多面的な活動の推進 ・生産及び業務活動における生産IT技術の積極的な活用 |
それぞれの事業セグメントにおける課題は次のとおりであります。
1.チタン事業
①収益基盤の強化
・事業の継続的成長の基盤となる収益力を確保する水準への販売価格及び販売構成の適正化
・革新的な技術開発によるコスト構造の改質と環境負荷低減への貢献
・安定かつ競争力ある原料調達体制の維持と低廉原材料の利用技術の強化
②高稼働率の維持と最適生産体制の追求
・炉当たり生産性の改善による生産能力の最大活用
・職場環境改善(自動化、業務負荷低減)による労働生産性の向上
・生産技術の高度化のためのAI等の数理工学的アプローチの積極導入
③スポンジチタン生産能力の増強計画の具体化と始動
2.高機能材料事業
①高純度チタンの顧客対応力強化による事業拡大
・技術営業による顧客対応力の強化と戦略製品によるシェア拡大
・先端ニーズを先取りした特長ある製品の開発と継続的な成長機会の捕捉
・高付加価値品の拡販とロスコスト削減による収益力の更なる強化
②球状チタン合金粉末(合金TILOP)の事業基盤の強化
・合金TILOP専用工場の戦力化による事業基盤の構築
・事業推進体制の強化による提案力の向上と顧客との連携深化
・プロセス技術の継続的な開発と差別化製品の市場投入
③リチウムイオン電池用SiO負極材料の事業化加速
・顧客ニーズへのきめ細かく迅速な対応で早期事業化を推進
・商業生産の開始と事業推進体制の強化
・新製品の開発と事業拡大の検討
④高品質メニュー創出に向けた取り組みの継続
・当社保有技術を活用した新規事業の探索と事業化検討
・経営資源の投入による新規事業候補の事業化検証の推進
・当社の強みを発現できる案件の追求
3.全社的取り組み
①技術開発力の強化
・生産プロセス技術の高度化に特化した組織体制の強化と社外研究機関との連携
・事業ポートフォリオの変革に向けた新たな製品や事業のための探索活動の継続
②人的資本の強化
・「採用」、「育成」、「職場環境改善」を重点テーマとした人的資本強化推進プロジェクトチームの活動開始と
成果出し
・次代を担うリーダーの計画的な育成に向けた人事施策の充実
・熟練者の経験やノウハウ等の可視化、共有化による技能伝承と技術スタッフの強化
③DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応推進
・基幹システムの刷新による業務改革の推進
・蓄積データの積極的な活用による更なる品質安定化と生産効率の向上
・スマートファクトリー化全体構想の立案と推進
④ESG取り組み
・環境負荷低減への貢献
・安全で健康な職場環境の構築
・人材育成とダイバーシティの推進
・ガバナンスの充実による持続的成長
・先端素材の開発、提供によるサステナビリティ社会への貢献