有価証券報告書-第109期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/26 13:00
【資料】
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【項目】
156項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「技術と信頼と挑戦で、健全で活力にみちた企業を築く。」を企業理念として、お客様や社会のニーズに応え、独創的で高品質な商品やサービスを創造し、提供することにより、社会にとってかけがえのない存在になることをめざしています。さらに、企業の持続的な価値創造と、より良い社会の実現をめざし、社会的責任を果たすことを経営の基本としています。
ダイカストと完成商品をあわせもつ企業として発展させ、お客様はもとより、株主、取引先の皆様や社員など、当社グループと関係を持っていただいている方々に、当社グループと関わってよかったと思っていただけるよう最善の努力を尽くします。
また、CSRやESG、SDGsの重要性を認識し、コーポレートガバナンス、環境保全、社会貢献活動、安全で働きやすい職場づくり、積極的な企業情報の開示などを推進します。
(2)目標とする経営指標
企業が社会から求められる要件は多様化し、業績の向上はもとより、様々な社会的責任を果たすことなど、いろいろな面に及んでいます。当社グループはこれらに対する取り組みを強化し、充実をはかっています。
業績の面では利益を伴う売上高の拡大と原価低減に注力しながら、積極的な技術開発や新商品開発を進めるとともに、総資産利益率の向上、フリーキャッシュ・フローの増大をめざしています。
(3)経営環境、中長期的な経営戦略と対処すべき課題
当社グループが将来へ向けて成長・発展し続けるためには、競争力を強化し、収益力を向上することが不可欠です。当社グループならではの技術、商品、サービスを提供し、それぞれの事業分野で一層存在感のある企業になるよう、種々の取り組みを行っています。
また、ESG経営における社会貢献と経営環境の変化に対応し、安定した利益を出すことのできる企業になるよう、事業活動から生じる環境負荷を低減するための取組を推進し、品質保証能力、技術開発力や生産性の向上、積極的な営業活動、魅力ある商品作りやサービスの提供に引き続き努めていきます。
セグメント毎の事業環境及び事業展開の方向性は次のとおりです。
①ダイカスト事業
ダイカスト事業の主要取引先である自動車産業においては100年に一度の変革期と言われており、CASE(Connected/接続、Autonomous/自動化、Shared/共有、Electric/電動化)の進展や燃費規制による軽量化ニーズの高まりが進み、当社グループが現在主力としている製品群の需要が将来的には変化していくことが予想されます。
そのような環境の中で、当社グループは世界中の取引先のニーズに対応できる開発・供給体制のもと、グローバルな自動車部品サプライヤーになることをめざしています。
日本、米国、メキシコ、英国、中国、タイに拠点を構え、世界トップクラスのダイカストメーカーとしてのノウハウを活かして、グローバルに自動車メーカーなどとの関係を強化しています。営業力の強化、新工法の開発、価格競争力の強化、生産現場での自動化推進、生産性の向上などに取り組みながら、国内、海外での受注拡大を進めています。自動車市場は、国内は中長期的に縮小が予想されますが、海外はアジア地域等での拡大が期待されるため、収益性を考慮しながら積極的な受注活動と設備投資を進めています。
リサイクル性に優れたアルミニウムダイカストは、軽量かつ耐久性に富み、自動車の軽量化に貢献し、省エネルギー・省資源など環境保全にも有効な技術としても注目されています。当社グループは高品質な製品、付加価値の高い製品の開発に一層注力していきます。自動車の電動化にも注目し、軽量化ニーズに応えるための工法開発を進めるとともに、次世代車のパワートレイン部品や電装部品、また、車体部品や足回り部品等のダイカスト化にも積極的に取り組んでいきます。
②住建機器事業
住建機器事業の主力市場である国内市場においては、住宅市場は長期的に緩やかに縮小する事が予想され、ビル市場はテレワークの推奨によるオフィス需要の減少が予想されます。
そのような環境の中で、当社グループは国内ドアクローザ市場のマーケットリーダーとして、施工性や快適性を追求した商品開発と事業全体の収益性向上をめざしています。主力商品であるドアクローザや引戸クローザの機能性や意匠性を追求して、ビル市場、住宅市場でお客様に満足していただける電動開閉装置などの高機能な新商品開発に取り組みながら、施工現場の要求にもきめ細かく対応し、さらなるシェア拡大に取り組んでいきます。
また、国内での顧客対応力向上などを目的に、生産体制の見直しを進めています。海外については、販売基盤の強化に取り組んでいきます。
③印刷機器事業
印刷機器事業においては、紙離れ、省人化ニーズの高まりが進むと予想しています。一方でパッケージ印刷を中心とした高付加価値印刷の需要は堅調であると予想しています。
そのような環境の中で、当社グループは「ともに、世界へ彩りを。」をテーマに、独創的な技術をもとに、高品質な印刷機やサービスをグローバルに提供し、豊かな社会づくりに貢献することをめざしています。
小型から大型まで豊富なバリエーション(サイズ・機能・仕様等)を取り揃えるオフセット枚葉印刷機を中心に、環境に配慮した商品を開発・製造し、国内及び海外で幅広く販売しています。また、需要が拡大している印刷通販市場、包装印刷市場での拡販を進めるとともに、国内、海外のお客様のニーズに最適なソリューションを提供するため、印刷にかかわる自動化にも注目して、印刷業界への提案力の強化とサービスの提供により信頼関係を深めることに取り組んでいきます。
(4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について
当社では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する対策本部を設置し、国内外のグループ各社と連携して、情報を把握し、状況の変化への対応を図っています。
また、手元資金を厚く保持し、財務基盤の安定性をより一層高めることを目的に、2020年4月に金融機関から50億円の借入を実行し、6月には金融機関とのコミットメントライン設定金額を総額70億円から180億円に増額しています。