有価証券報告書-第59期(平成28年3月1日-平成29年2月28日)

【提出】
2017/05/26 11:34
【資料】
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【項目】
123項目

研究開発活動

当社グループにおきましては、取引先の加工現場における切削加工・研削加工上の問題点をニーズとして吸い上げ、これを解決しうる商品を開発し提供することを研究開発活動の基本方針としております。
直近では「超硬工具や工具保持具(ホルダー)、治具、さらにはこれら周辺装置とのコンビネーションによる加工精度の向上」「加工工程の集約」「慢性不具合の解消」などといったテーマを中心に取り組んでおり、当連結会計年度における研究開発費の総額は7千6百万円(売上高比率0.4%)であります。
当社グループは生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、研究開発活動は主に当社を中心とした日本セグメントで行っております。なお、当連結会計年度における主な研究開発の成果は、次のとおりであります。
(1) 自動補正付きQTツール
高精度を要求される鋳鉄やスチールワークの仕上げ加工では、切刃の摩耗進行により加工穴径が小さくなる傾向があり、公差外となる直前に刃先のセット径を補正して初期値に戻す必要があります。当社が開発したQTツールは、この補正を加工設備内にて自動で行うことができる機構を備えており、現在、エンジン部品のシリンダーブロックやコンロッド等の仕上げ加工に使われています。
近年、ワーク形状の制約により止まり穴や小径穴への対応ニーズが高まりをみせており、「HLタイプ」や「BBタイプ」といった新機種をQTツールのラインナップに追加するなど、お客様のニーズをいち早く捉え、その具現化を進めております。
(2) マテハンホルダ
一般に加工設備内で行われるワークの着脱は、手作業またはロボット等で行いますが、近年の自働化や設備投資額低減のニーズに鑑みて、当社は主軸に取り付けたマテハンホルダで行う仕組みを提供しております。エアーやクーラントを駆動源とし、加工設備内で払い出しやワークの姿勢を変えたいというニーズに応えた提案は、旋盤やマシニングセンタラインにおいて導入され、お客様の設備投資額低減及び生産性向上に寄与しております。
(3) 新たな取り組み
当社は、お客様ラインの全体最適のため主軸に取り付ける切削工具やマテハンホルダの他にワークを取り付ける治具やワークを搬送するパレット等の開発にも力を入れております。
多機能ワーク搬送用パレットを例にいたしますと、従来はワーク機種・ワーク姿勢・工程ごとに数種類のパレットを使用して搬送しておりましたが、最適設計を行うことで1機種1種類の搬送用パレットでライン内を取廻すことを可能にしました。さらに、部品の一部を交換することで多機種のワークに対応可能かつ切り屑が堆積しにくい形状とした多機能搬送パレットをご提案、ご提供いたしております。
また、近年、新製品開発期間の間隔が非常に短くなっており、お客様のラインで加工評価を実施することが困難になっております。当社では自動工具研削盤や自動工具測定機を導入し、お客様のニーズに合ったドリル、エンドミル等の加工用工具を開発し、加工評価機や各計測機器を使うことで直ちに加工評価を実施できる体制を確立いたしました。このように、お客様の生産性向上につながる製品開発の環境を積極的に整備し、高いレベルでの開発品のご提供を目指しております。