有価証券報告書-第97期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/31 11:10
【資料】
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【項目】
170項目

有報資料

(1)会社の経営の基本方針
当社グループは今日まで「農家を過酷な労働から解放したい」という創業の理念を連綿と受け継ぎ、2025年には創立100周年を迎えます。2026年以降の次の100年間においても、当社グループが農家に最も寄り添う存在であり続けるためにも、新中期経営計画の5年間でしっかりと礎づくりを実行し飛躍を果たします。
私たちが次の100年に向けて目指す基本理念は、「お客さまに喜ばれる製品・サービスの提供」を通じ豊かな社会の実現へ貢献する、としています。これからは製品の提供だけではなくサービス(情報・コト・機能など)にも注力し、お客さまに喜ばれる井関として活動を続けてまいります。

(2)目標とする経営指標
当社グループは、事業環境が大きく変化する中で、農業機械総合専業メーカーとして培ってきた知見、経験などをコアに社会課題を解決し、新たな価値を創造するソリューションカンパニーを目指してまいります。目標とする経営指標を「2025年までに連結営業利益率5%」として企業価値向上を図ってまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
1)前中期経営計画(2016年~2020年)の振り返り
当社グループは、創立100周年となる2025年には「農業機械総合専業メーカーとして、国内・海外市場で確固たる地位を築く」の実現に向け、2016年に前半5ヶ年を重要なステップと位置付け中期経営計画を策定し活動してまいりました。その後、市場環境の変化を踏まえ、数値目標の達成時期を2年後ろ倒しとしました。
しかしながら、日本国内では消費増税前の駆け込み需要とその反動減や自然災害などが農機需要に影響を与え、海外では成長エンジンと位置付けたアセアン・中国市場で成長の踊り場状態が継続するなど、国内・海外ともに当初想定していた事業環境に大きな変動がありました。加えて、昨年からの新型コロナウイルス感染症の影響も大きく中期経営計画の数値目標を大幅に下回る結果となりました。
これらのことから当社は、売上高に左右されることなく収益を確実に上げられる筋肉質への体質転換が大きな課題となっており、そのためには固定費の低減をはじめとした収益性の改善が欠かせません。
一方、基本戦略に沿った取り組みは、国内販売会社における修理や部品などメンテナンス収入の向上や、海外向け商品の収益改善、PT.ISEKI INDONESIAの採算性向上など一定の成果として結びつけることができました。前中期経営計画での成果を継続して成長させていくとともに残課題の解決に向けて、今回、2021年から2025年の5年間の新中期経営計画を策定しました。

2)事業環境と課題
・事業環境
当社グループを取り巻く事業環境は、国内では、農家戸数の減少と農業の大規模化や作付転換、スマート農業化などが見られ、農業構造は大きく変化してきております。海外では、地域ごとに環境は異なりますが、多様なニーズや競争激化など、事業環境は常に変化しております。
また、国内外共通事項としては、新型コロナウイルス感染症の影響、世界的な食糧問題、気候変動リスクなど多岐に亘っております。
・新型コロナウイルス感染症の影響について
2020年は新型コロナウイルス感染の拡大が国内外の経済活動に大きな影響を与えました。当社グループの事業環境においても、国内は展示会をはじめとした営業活動の自粛による農機製品の売上減少がありました。海外は、北米向けコンパクトトラクタの巣ごもり特需があった一方、欧州でのロックダウン影響やタイでのコロナ影響による農家所得の低下に伴う出荷減少がありました。次期の当社グループを取り巻く環境は、国内外ともに新型コロナウイルス感染症が依然残るものの、ワクチンの普及等により徐々に収束に向かい、2021年度中には社会活動や経済活動も緩やかに回復していくものと仮定しております。その中で、Webを活用したバーチャル実演会や小規模ロングラン商談会など営業活動の工夫や在宅勤務、分散業務等新しい働き方をはじめとしたニューノーマルなビジネススタイルを推し進めてまいります。
また、このコロナ禍において、食料の安定供給や食料自給率の向上など食への関心が高まっております。食を支える農業や、人々の暮らしを支える景観整備事業は止めてはならないエッセンシャルビジネスとして重要度が再認識されております。これらを支える当社グループは、今後も変革し続け存在感を示していかなければなりません。
・経営課題
上記の環境認識のもと、当社グループは①需要、ニーズ変化への対応②財務体質改善、収益拡大③ESGへの取り組み強化④技術革新の実現を経営課題と認識し、長期ビジョンの実現に向けて各種の施策を推し進めてまいります。

3)新中期経営計画(2021年~2025年)
当社グループは、2030年の長期ビジョンを
「食と農と大地」のソリューションカンパニー
~夢ある農業と美しい景観を支え、持続可能な「食と農と大地」の未来を創造する~
としました。
「農」は「食」と「大地」を守り、豊かな「人・社会」を実現しています。その「農」と「農家」を支えるのが当社グループであり、これらに関連する課題を解決していく企業であり続けたいという想いを込めています。この長期ビジョンの実現に向けて、当社グループは7つの誓いを胸に変革してまいります。

[当社グループの7つの誓い]
1.Spirit :創業の志を受け継ぎ、食と農と大地に向き合い、ともに歩む
2.Front runner:フロントランナーとして、画期的な製品・サービスを生み出す
3.Quality :上質な製品を、情熱をもって作る
4.Solution :お客さまの課題解決を目指し、アクションを起こす
5.Innovation :先端技術でイノベーションを巻き起こし、新しい価値を提供する
6.Global :よりグローバルに、世界の社会課題を解決する
7.Future :食と農と大地の明日を、未来を切り拓く

・基本戦略
長期ビジョンの実現に向けて、当社グループでは2つの基本戦略に沿って経営課題を解決してまいります。①ベストソリューションの提供(お客さまに向けて)
需要やニーズの変化、技術革新への対応等の課題には、主要機種毎に市場の伸びやニーズ等を分析したうえで中期商品開発テーマを設定し、お客さまに喜ばれる製品・サービスの提供を、開発、製造、営業が三位一体となって実行してまいります。
国内においては農業の大規模化やスマート農業化の加速、コメ以外の作物への作付転換など農業構造の変化に合わせた商品開発および営業戦略を展開してまいります。特に大規模化は今後ますます進行していくことが予想され、開発、営業のリソースを傾注してまいります。
サービス面でも、従来より実施している大型整備拠点の拡充や大規模農家のニーズに応える教育などは引き続き強化していくことに加え、サービスの概念を「情報」にも広げてまいります。現在、デジタル技術を導入した新しい農業が始まっています。これを広めていくことも当社グループの役割です。スマート農機から得られたデータを活用する新しい営業サービスや商品開発を展開するなど、トータルICTソリューションによりビジネスモデルの進化を図ってまいります。
海外においては、北米、欧州、アジアを中心に各地域での戦略パートナーとの協力関係を強化し事業領域を拡大してまいります。北米は、昨年はコロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり特需がありましたが、中長期的には安定市場であると考えております。OEM先との協力関係強化に加え、商材を拡充し売上拡大を図ってまいります。欧州は景観整備市場向けを中心に展開しており、当社グループの歴史は長く井関ブランドの認知度が高い地域です。引き続き市場ニーズに合った商品開発を進めるとともに、電動製品の研究開発も進め、景観整備市場でのポジションアップを図ってまいります。アジアは、農業市場の拡大が最も期待できる地域です。特にアセアンでは、前期末に連結子会社化したIST Farm Machinery Co.,Ltd.を核として、日本で培った技術やノウハウを展開し、売上拡大を図ってまいります。
②収益とガバナンス強化による企業価値向上(従業員、株主、取引先に向けて)
当社の課題である収益性については、構造改革と経営効率化により改善を図ってまいります。構造改革では、生産体制の再編成及び事業・商品・リソースの選択と集中を基本的な考え方とし、特に国内製造所の最適生産体制の構築を重点施策として進めてまいります。これにより、グループの人材・設備を活性化し生産性の向上を図ります。また、経営効率化では、これまで取り組んできた業務効率化に加え、デジタルツールを活用した営業の効率化や、共通設計、型式削減などによる投資効率の改善、グループ全体での人員フル活用による効率的な経営に変革してまいります。これらの取り組みにより、売上高に左右されることなく収益を確実に上げられる筋肉質への体質転換を果たしてまいります。
ガバナンスの強化については、取締役候補者の選任プロセスを透明化するため、独立社外取締役を主要な構成員とする「指名諮問委員会」を2018年に設置し、2020年には取締役の報酬における審議・答申の機能を追加し「指名報酬委員会」として再編いたしました。また、取締役会の機能のさらなる向上を目的とした取締役会実効性評価の実施など、取り組みを進めてまいりました。今後は、2021年に予定されているコーポレートガバナンス・コード改訂を契機とし、さらなる態勢強化に努めてまいります。また、ESGの取り組みについては新中期経営計画策定に合わせてマテリアリティ(重要課題)を見直しました。井関らしい取り組みを通じて、社会的責任を果たしてまいります。

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