有価証券報告書-第92期(平成27年4月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/28 16:40
【資料】
PDFをみる
【項目】
131項目

対処すべき課題

当社グループは、激しく変化する経営環境の下、国内の安定した顧客基盤の確立と、グローバルな事業展開を加速し将来に亘る発展を実現するために、グループの総力を挙げて以下の課題にスピードを上げて取り組んでまいります。
1) 国内市場の変化への対応強化
国内農業は、従来の食用米を中心とした体系から、飼料米、畑作・野菜作等、栽培体系が多様化しており、また、農業の大規模化が進み、農業のIT化や農業機械のロボット化等、近年目覚ましい変化を遂げています。更にTPPの大筋合意を受け、強い農業を目指す動きが加速することが予想されております。そのような国内市場環境の変化に適切に対応し、競争が激化する中でも、安定した顧客基盤の確立に向け、国内販売シェア20%以上の安定的確保に努めてまいります。
具体的には、多様化する栽培体系・大規模化を中心とした営農形態の変化に対して、様々な提案ができる人材の育成に力を入れるとともに(アグリヒーロー応援プロジェクト)、ヰセキ関東総合サポートセンター、九州アグリサービスセンターの設立等、整備工場の大型化を推進しており、大型機械の点検・整備への対応力強化を図っております。さらに、平成27年10月には、「日本の農業を担う先端営農技術研究と普及支援」の拠点として、「夢ある農業総合研究所」を設立いたしました。ハードとソフトの両面で、高品質な営業サービス力の提供やお客様の農業経営に合った提案を行なうことにより、お客様への「サポート力」を強化し、一層の顧客満足度の向上を図り、国内販売の拡大を図ってまいります。
2) グローバル戦略の本格展開
海外については、欧州・北米・中国の3つの既存市場に加え、機械化の進展がめざましいASEANを視野に入れて、海外展開を加速し、海外売上高比率20%以上の確保、収益力の向上を図ってまいります。
欧州ならびに北米市場等については、顧客のニーズに合わせた「新たな戦略商品」を投入することにより、更に売上の拡大に努めてまいります。特に欧州については、ISEKI France S.A.Sの子会社化を契機に、売上・シェア拡大に注力してまいります。
また、農業の機械化が急速に進む中国市場へは、事業統合した東風井関農業機械有限公司におけるトラクタの本格販売やコンバイン等の新商品投入や開発のスピードを速め、取り組み強化を図ります。将来の成長が見込まれるASEAN市場では、生産を本格化したPT.ISEKI INDONESIAの操業拡大と、戦略トラクタの販売を開始したISEKI SALES (THAILAND)CO.,LTD.の販売力の強化等により、井関ブランドの定着を図ってまいります。
加えて、地域に根ざした開発、生産、販売、サービス体制の強化に努め、多様な市場ニーズに対応して事業展開の拡大を図ってまいります。
3) ローコストオペレーション
当社グループは、国内外で勝てる商品を市場に投入すべく、開発製造部門を中心にコスト構造改革を推進してまいりましたが、当期においては、粗利益の減少等により、営業利益、経常利益とも低水準な結果に終わりました。今後、国内外市場での厳しい競争に打ち勝つためにも、開発製造部門でより一層コスト構造改革を推進するとともに、販売部門を含め当社グループ一体となって、ローコストオペレ-ションの徹底、収益構造の改革に取り組んでまいります。
4) コンプライアンスの徹底
当社は、施設工事の入札に関し、独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を、平成27年3月26日及び平成28年2月10日に受けました。また、平成27年10月6日に「東北地方に所在する地方公共団体等が発注する施設園芸用施設及び同施設に附帯する施設等の建設工事」に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会による立ち入り検査を受けておりますが、当該検査に全面的に協力しております。
当社は本件の重大性を強く認識し、再発防止策を策定・実践し、再発防止に努めております。
体制面では平成27年5月1日付で、施設業務に対する監査・モニタリング機能を有している施設監理室を、内部統制・監査部に移し、併せて、内部統制・監査部を、業務執行部門から独立した経営監理委員会の下に置く体制といたしました。また、施設事業に関する行動指針、マニュアルを見直すとともに、販売子会社を含めた研修の充実を図っております。
今後とも、更なる法令順守の徹底、内部統制の充実に努めるとともに、再発防止策の強化を図ってまいります。