訂正有価証券報告書-第122期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2015/04/10 11:03
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は次の通りです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成26年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、日本で一般的に認められている会計原則に従って作成されております。
連結財務諸表の作成に際し、連結会計年度末における資産、負債の計上、重要な偶発事象及び後発事象の開示、並びに連結会計年度における収入、費用の計上を行うために、見積り及び仮定設定を行う必要があります。これらの見積りは、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる仮定に基づいて行っており、他の方法では判定しにくい資産、負債及び収入、費用の計上についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと異なる 場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表の作成において、重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
①投資の減損
市場価格のある有価証券の時価が著しく下落した場合、かつ、その下落が一時的でない場合、当該期末日より 概ね1年以内に取得原価にほぼ近い水準まで回復する見込みを合理的根拠(帳簿価額を下回った期間、下落幅、当該会社の財務状況及び将来展望等)に基づいて検討し、回復可能性がないと判断した場合に減損処理を行っております。また、時価のない有価証券の減損処理にあたっては、当該会社の財政状態及び経営成績をもとに業績の回復可能性を総合的に勘案し、必要と認められた額について減損処理を行っております。
②たな卸資産の評価
当社及び製造連結子会社は主に総平均法又は先入先出法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により、販売連結子会社は移動平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により評価しております。在庫の経過期間、市場価値に基づいた時価の見積り額と原価との差額を評価損として計上しております。将来における実際の需要、市場価値が見積り額よりも低下した場合には、追加の評価減が必要となる可能性があります。
③貸倒引当金
連結会計年度末現在に有する債権の貸倒による損失に備えるため、貸倒実績率による計算額を計上している ほか、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し回収不能見込額を計上しております。取引先の財政状態が悪化しその支払能力が低下した場合には、債権の回収可能額が直近の見積り額より減少し、追加の引当が必要となる可能性があります。
④製品保証引当金
販売製品のアフターサービス費用の支出に備えるため、将来に発生すると見込まれるアフターサービス費用の見込額を過去の実績を基礎として計上しております。過去の実績と実際の製品不良率または修理コストが異なる場合には、追加の引当が必要となる可能性があります。
⑤繰延税金資産
将来減算一時差異等についてその回収可能性を十分に検討し、実現可能性が高いものに限って繰延税金資産を計上するため、必要に応じて評価性引当額を控除しております。評価性引当額の控除にあたっては、収益力に 基づく将来の課税所得の十分性及び現実的かつ継続的なタックスプランニングを判断材料としております。将来の事業動向の変化により繰延税金資産の全部または一部を実現できないと判断した場合、当該期間に繰延税金資産の調整を行い費用計上することがある一方、繰延税金資産を実現できると判断した場合、計上していなかった繰延税金資産を計上し、利益が増加することがあります。
⑥退職給付会計
当社、国内子会社及び一部の在外子会社において、従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき、退職給付費用、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債を計上しております。これらの見込額は、割引率、年金資産の期待運用収益率、退職率及び死亡率等の仮定に基づいて計算されます。そのため、実際の結果が仮定と異なった場合、または仮定自体が変更された場合には将来の退職給付費用額に影響を与えます。例えば、割引率の低下は退職給付債務を増加させます。この増加額は数理計算上の差異の償却として将来にわたって費用処理され、退職給付費用を増加させることになります。
⑦資産除去債務
不動産賃借契約に基づく、退去時の原状回復費用等の支出に備えるため、将来に発生すると見込まれる原状回復費用の支出見込み額を過去の実績を基礎として算定し、これを現在価値に割り引いた金額を資産除去債務として負債計上しております。過去の実績と実際の原状回復費用等が異なる場合には、退去時に追加の費用負担が必要となる可能性があります。また、原状回復費用の支出見込み額に重要な見積りの変更が生じた場合には、有形固定資産の帳簿価額が増減し、将来の減価償却費に影響を与えることになります。
(2)経営成績
①概要
当連結会計年度における経済環境を振り返りますと、日本においては、政府・日銀による経済・財政政策の効果により、円安や株高が定着し、企業業績や個人消費など、景気は順調な回復基調が持続しました。米国においても、企業部門の業績回復や雇用環境の改善により、緩やかな成長が持続しました。景気の低迷が続いていた欧州も、雇用環境には依然として厳しさが続いているものの、金融緩和政策の効果などにより、景気は緩やかに回復いたしました。一方、新興国経済は、成長鈍化への懸念や通貨安などの影響もあり、先行き不透明な状況が継続した1年となりました。
このような状況の中、当社グループの連結業績は、円安による為替のプラス影響に加え、米州及び中国を含むアジアにおいて、通信・プリンティング機器が堅調に推移したこと、縫製産業の市況改善により、工業用ミシンの需要が回復したこと、株式会社ニッセイを連結子会社とした効果などにより、売上高は前年同期比19.5%増の616,834百万円となりました。営業利益は、通信カラオケ機器の新製品効果が一巡したネットワーク・アンド・コンテンツ事業が減収となったことや、販売費及び一般管理費などの費用増加の影響はあるものの、円安による為替のプラス影響もあり、前年同期比45.4%増の43,301百万円となりました。経常利益は、円安に伴い、為替予約に係る決済差損が増加したものの、営業利益の増加により、前年同期比53.9%増の35,613百万円となりました。当期純利益は、税効果会計の影響で法人税等が増加したものの、前年同期7.8%増の19,220百万円となりました。
*当連結会計年度における平均為替レート(連結)は次の通りであります。
米ドル : 100.00円 ユーロ : 134.01円
*前連結会計年度における平均為替レート(連結)は次の通りであります。
米ドル : 83.23円 ユーロ : 107.57円
②売上高
セグメント別の売上高は次の通りであります。
<プリンティング・アンド・ソリューションズ事業>売上高 430,826百万円(前年同期比+22.8%)
○通信・プリンティング機器 384,137百万円(前年同期比+22.5%)
主に米州及び中国を含むアジアにおいて、製品本体・消耗品とも需要が堅調だったことに加え、為替のプラス影響もあり、増収となりました。
○電子文具 46,688百万円(前年同期比+25.0%)
主に日本・アジア地域で売上が堅調に推移したことに加え、為替のプラス影響もあり、増収となりました。
<パーソナル・アンド・ホーム事業>売上高 43,275百万円(前年同期比+28.0%)
主に欧米において売上が堅調に推移したことに加え、為替のプラス影響もあり、増収となりました。
<マシナリー・アンド・ソリューション事業>売上高 63,097百万円(前年同期比+2.7%)
○工業用ミシン 26,781百万円(前年同期比+41.6%)
中国・アジア地域における、縫製産業の設備投資需要の回復を受け、増収となりました。
○産業機器 36,316百万円(前年同期比△14.6%)
IT関連産業向けの大口受注が一巡した影響により、減収となりました。
<ネットワーク・アンド・コンテンツ事業>売上高 47,582百万円(前年同期比△5.0%)
前年に発売した通信カラオケ機器の新製品効果が一巡した影響により、減収となりました。
<工業用部品事業>売上高 16,098百万円(前期比+337.4%)
平成25年3月期第4四半期から、株式会社ニッセイを連結子会社とし、平成26年3月期第1四半期連結会計期間より、工業用部品事業としてセグメント開示しております。上記記載の前年同期比増減率は、前年度第4四半期に、「その他事業」に含めていた数値のうち、工業用部品事業に相当する金額を組み替えて比較したものです。なお、前年度の実績は、連結を開始した第4四半期の実績のみを比較対象としております。
③営業損益
セグメント別の営業損益は次の通りであります。
<プリンティング・アンド・ソリューションズ事業>営業利益 30,957百万円(前年同期比+64.4%)
販売費及び一般管理費の増加の影響はあるものの、為替のプラス影響により、増益となりました。
<パーソナル・アンド・ホーム事業>営業利益 4,215百万円(前年同期比+69.4%)
主に為替のプラス影響により、増益となりました。
<マシナリー・アンド・ソリューション事業>営業利益 4,990百万円(前年同期比+24.6%)
工業用ミシンが増収となったことに加え、為替のプラス影響もあり、増益となりました。
<ネットワーク・アンド・コンテンツ事業>営業利益 451百万円(前年同期比△80.5%)
売上の減少に加え、カラオケ店舗事業の競争力強化のための投資などの費用の増加の影響により、減益となりました。
<工業用部品事業>営業利益 1,106百万円(前期比+259.6%)
平成25年3月期第4四半期から、株式会社ニッセイを連結子会社とし、平成26年3月期第1四半期連結会計期間より、工業用部品事業としてセグメント開示しております。上記記載の前年同期比増減率は、前年度第4四半期に、「その他事業」に含めていた数値のうち、工業用部品事業に相当する金額を組み替えて比較したものです。なお、前年度の実績は、連結を開始した第4四半期の実績のみを比較対象としております。
(3)資金調達と流動性、及びキャッシュ・フロー
①資金調達と流動性
当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性維持及び、柔軟で効率的な資金の確保を財務活動の重要な方針としております。この方針に従って、当社グループは、グループ会社が保有する資金をグループ内で効率よく活用するキャッシュマネジメントシステムを構築し運用しております。また、手元流動性の補完として複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しております。これらの結果、資金の偏在をならし、グループ全体で借入を極力削減する体制を整えております。
流動性管理
当社グループは、現金及び現金同等物と未使用のコミットメントラインを合わせた金額を手元流動性と位置付けております。当連結会計年度末現在、当社グループは現金及び現金同等物68,934百万円を保有しております。
また、複数の金融機関と合計20,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、未使用額は20,000百万円です。これらを合わせると、当社グループは手元流動性を88,934百万円確保しております。これにより、季節的な資金需要の変動、1年以内に期限の到来する借入、事業環境リスク等を考慮の上、通年に渡り十分な手元流動性を確保していると考えております。
資金調達
運転資金等の短期資金は、原則として期限が1年以内の短期借入金を現地通貨で調達することとし、生産設備等の長期資金は、内部留保資金の他、固定金利の長期借入金及び社債等で調達することを基本方針としております。当連結会計年度末現在、短期借入金の残高は1,466百万円で、主な通貨は日本円であります。また、長期借入金の残高は12,900百万円であり、日本円による固定金利調達であります。
当社は、株式会社格付投資情報センターから格付けを取得しています。当連結会計年度末現在、長期債及び発行体格付けがA、コマーシャルペーパーがa-1であります。金融・資本市場へのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持は重要と考えております。
当社グループでは、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力に加えて、コミットメントライン契約を含めた手元流動性、健全な財務体質により、当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資・研究開発資金等を確保することが可能と考えております。
②キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度の32,734百万円より22,285百万円多い55,019百万円の現金及び現金同等物(以下「資金」)が得られました。これは主に、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度よりも増加したことに加え、仕入債務が増加したためです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度の41,771百万円より2,672百万円少ない39,099百万円の資金を使用しました。これは、有形固定資産の取得による支出が増加したものの、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が減少したためです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度の6,413百万円より7,019百万円多い13,433百万円の資金を使用しました。有利子負債については、前連結会計年度は31百万円の収入でありましたが、当連結会計年度は6,735百万円の支出となりました。なお、配当金の支払には、前連結会計年度並の6,378百万円を使用しました。
これらの活動の結果、為替レートの変動が海外連結子会社の現金及び現金同等物の円換算額に与えた影響を含めますと、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度に対して13,875百万円増加し、68,934百万円となりました。