有価証券報告書-第127期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/25 9:58
【資料】
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【項目】
90項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
ブラザーグループは、すべてのステークホルダーから信頼され、従業員にとって心の底から誇りの持てる企業となることを目指しています。2002年に策定した中長期ビジョン「Global Vision 21」(以下「GV21」)では、ブラザーグループが目指す3つの項目を以下の通り掲げ、事業活動に取り組んでいます。
・「グローバルマインドで優れた価値を提供する高収益体質の企業」になる
・ 独自の技術開発に注力し「傑出した固有技術によってたつモノ創り企業」を実現する
・「“At your side.”な企業文化」を定着させる
(2)中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
ブラザーグループでは、この「GV21」実現に向けたロードマップとして、中期戦略を策定しております。2018年度を最終年度とした3年間の中期戦略「CS B2018」では、“Transform for the Future ~変革への挑戦~”をテーマに掲げ、プリンティング事業の収益最大化を図るとともに、産業用領域の拡大を通じた複合事業企業への変革を目指し、事業、業務、人財の3つの変革に取り組んでまいりました。その結果、プリンティング事業における大幅な収益性改善や、産業用領域での売上成長に一定の成果を上げることができました。
しかしながら、プリンティング事業を取り巻く環境は、デジタル化の進行による印刷機会減少の流れに加え、「所有から利用へ」と顧客の消費行動が変化する中で、顧客ニーズの多様化が進むなど、今後もより一層の変化が予想されます。また、産業用領域においては、省人化・自動化需要の高まりや、トレーサビリティ・カスタマイズ需要の高まりなど、当社を取り巻く事業環境は、今後も大きく変化し、厳しさを増していくものと認識しています。
このような認識のもと、ブラザーグループでは、「GV21」達成に向けて従来以上に踏み込んだ改革が必要不可欠であると考え、新中期戦略「CS B2021」を策定いたしました。
新中期戦略「CS B2021」では、“Towards the Next Level ~次なる成長に向けて~”をテーマに掲げ、グループ全体で以下の4つの経営の優先事項にフォーカスした改革を実行し、成長基盤の構築を目指してまいります。
①プリンティング領域での勝ち残り
・高PV*1ユーザーの獲得強化と本体収益力向上による事業規模の維持、収益力の強化
・新たなビジネスモデルへの転換加速により、安定収益確保と顧客との繋がりを強化
②マシナリー・FA*2領域の成長加速
・自動車/一般機械市場強化による産業機器分野の大幅な成長
・省人化、自動化ニーズを捉えたFA領域の拡大
③産業用印刷領域の成長基盤構築
・シナジー顕在化によるドミノ事業の成長再加速
・インクジェットを核としたプリンティング技術活用による産業用印刷領域の拡大
④スピード・コスト競争力のある事業運営基盤の構築
・IT活用によるグループ全体の業務プロセス変革・効率化の実現
・人財の底上げ、最適人員体制の確立による組織パフォーマンスの最大化
・不採算・低収益事業の梃入れ
これらの改革を成し遂げることにより、中期戦略の最終年度となる2021年度の業績目標として、売上収益7,500億円、営業利益750億円、営業利益率10%の達成を目指してまいります。
同時に、グローバル社会の一員として企業活動のあらゆる面でESGを中心としたCSR経営を推進し、地球環境の保全、従業員の健康維持、人財多様性の確保、コーポレート・ガバナンスの強化などの取り組みを通じて、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。
*1:Print Volume(印刷量)の略
*2:Factory Automationの略。工場の様々な作業や工程を機械や情報システムを用いて自動化すること