有価証券報告書-第128期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
ブラザーグループは、すべてのステークホルダーから信頼され、従業員にとって心の底から誇りの持てる企業となることを目指しています。2002年に策定した中長期ビジョン「Global Vision 21」では、ブラザーグループが目指す3つの項目を以下の通り掲げ、事業活動に取り組んでいます。
(2)経営環境
◆全般
当期における世界経済は、米中貿易摩擦の拡大懸念の長期化に加え、年度末に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、経済活動全般での減速が懸念され、景気の先行きに対する不透明感は一段と強まっています。
◆プリンティング&ソリューションズ事業
オフィス・ホーム向けのプリンティング市場は、デジタル化の進展や働き方の変化の流れを受け、緩やかな市場縮小が続いています。このような環境の中、ブラザーグループでは、コンパクトなモノクロ/カラーレーザー複合機、A3ビジネスインクジェット複合機などと、モバイル機器やクラウドに対応できるスキャナーを組み合わせることで、インプットからアウトプットまで一貫してお客様のニーズに対応できる製品構成やサービスの提供を進めています。また、顧客層をSMB*1市場にも拡大し、お客様のお困りごとに対するソリューションやオフィスでの最適製品・最適配置の提案、印刷管理・消耗品自動配送などの契約型ビジネスも拡大し、お客様の生産性向上とコスト最適化を実現することで、持続的な事業成長を目指しています。
電子文具分野は、先進国でのオフィス・ホーム向けのラベリング市場を中心に堅調な需要が続いています。今後はバーコードプリンターや製造現場向けのラベリング機器などの業務用製品の需要拡大に合わせ、製品ラインアップの強化を通じた事業成長を目指しています。
◆パーソナル&ホーム事業
家庭用ミシン市場は、北米や欧州、オセアニア地域などの先進国では、刺しゅうやキルトなどのソーイングを趣味とする顧客層による安定した需要が続いていることに加え、ネームやデザインなどの刺しゅうサービス向けの業務用刺しゅう機の需要が拡大傾向にあるなど、堅調な事業環境が持続しています。今後はアジアをはじめとする新興国においても、所得の増加やライフスタイルの変化によりソーイングを趣味とする顧客層が拡大することが期待されていますが、同時にこれらアジア諸国での顧客層の拡大には、一定の時間や投資を要するものと考えられます。
◆マシナリー事業
工業用ミシン市場は、米中貿易摩擦によるマクロ景気の低迷の影響を受け、主要な市場である中国・アジア地域での需要低迷が続きました。主要顧客であるアパレル産業向けの需要は世界経済の影響を受けやすく、当面は厳しい状況が継続する可能性があります。一方で、インクジェット方式により、衣類や靴、カバンなどに直接デザインを印字することができるガーメントプリンターは、欧米を中心としたオンデマンド印刷需要の拡大に支えられ、高水準の市場成長が続いています。
産業機器市場は、2019年暦年での工作機械業界全体の受注額が前年比で大幅な減少となるなど、内需・外需ともすべての産業向けで需要が低迷しました。長期的には、生産性や環境性能に優れた小型の工作機械分野は、自動車やIT関連向けなどでの量産部品加工用途での成長が期待できるものの、短期的には全世界での自動車生産台数の減少や、世界経済の停滞の影響を受ける可能性があります。
減速機や歯車などの工業用部品は、製造業全般での生産活動や設備投資減速の影響により、需要の低迷が続いています。
◆ネットワーク&コンテンツ事業
国内におけるカラオケ市場は、働き方の多様化やライフスタイルの変化の影響により、緩やかな減少傾向が続いています。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大の抑制策の影響を受け、2020年2月以降の経営環境は予断を許さない厳しい状況になっています。
このような厳しい経営環境ではありますが、カラオケは東日本大震災の後に「安、近、短」の身近なレジャーとして見直されたように、新型コロナウイルスの感染拡大の終息後の業績回復を目指し、より安全で安心して楽しめる店舗環境づくり、映像視聴やライブ・ビューイング、会議室利用等カラオケルームの多目的利用の促進、音楽をはじめとするエンタテインメント業界とのさらなる連携による魅力的なコンテンツ開発などに注力してまいります。
◆ドミノ事業
ドミノ事業は、コーディング&マーキング事業(C&M事業)とデジタルラベル印刷事業(DP事業)を軸として事業展開しています。C&M事業は、アジア地域を中心とした新興国での所得拡大による、食品や飲料、医薬品などの消費材の生産拡大を受け、商品パッケージ(紙やビニールなどの軟包装や、瓶や缶などの包装容器)への日付やバーコードなどの印刷機械の需要は安定的な拡大が続いています。DP事業は、ラベルや包装などの商品パッケージ印刷は、地域や季節などに合わせたカスタマイズニーズの高まりもあり小ロット化、短納期化が進んでおり、アナログ印刷機からデジタル印刷機へと、設備投資のトレンドが緩やかにシフトしています。ドミノ事業が手掛ける産業用印刷分野は、「増え続ける印刷領域」として、長期的な事業成長が期待されます。
(3)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
中期戦略「CS B2021」
2021年度を最終年度とする中期戦略「CS B2021」では、“Towards the Next Level ~次なる成長に向けて~”をテーマに掲げ、「事業・業務・人財」の3つの変革をさらに加速させていくことを目指し、グループ全体で以下の4つの経営の優先事項にフォーカスした改革を実行し、成長基盤の構築を進めております。
①プリンティング領域での勝ち残り
・高PV*2ユーザーの獲得強化と本体収益力向上による事業規模の維持、収益力の強化
・新たなビジネスモデルへの転換加速により、安定収益確保と顧客との繋がりを強化
②マシナリー・FA*3領域の成長加速
・自動車/一般機械市場強化による産業機器分野の大幅な成長
・省人化、自動化ニーズを捉えたFA領域の拡大
③産業用印刷領域の成長基盤構築
・シナジー顕在化によるドミノ事業の成長再加速
・インクジェットを核としたプリンティング技術活用による産業用印刷領域の拡大
④スピード・コスト競争力のある事業運営基盤の構築
・IT活用によるグループ全体の業務プロセス変革・効率化の実現
・人財の底上げ、最適人員体制の確立による組織パフォーマンスの最大化
・不採算・低収益事業の梃入れ

これらの改革を成し遂げることにより、中期戦略「CS B2021」の最終年度となる2021年度の業績目標として、売上収益7,500億円、営業利益750億円、営業利益率10%の達成を目指してまいります。
同時に、グローバル社会の一員として企業活動のあらゆる面で環境・社会・ガバナンス(ESG)を中心としたCSR経営を推進し、地球環境の保全、従業員の健康維持、人財多様性の確保、コーポレート・ガバナンスの強化などの取り組みを通じて、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。
(4)中期戦略「CS B2021」の進捗状況
◆プリンティング領域での勝ち残り
モノクロレーザープリンター・複合機、カラーレーザープリンター・複合機とも、上位機種の拡販をKPI*4として設定し、各国の状況に合わせた販売活動を推進しました。主力製品であるモノクロレーザー複合機は、先進国・新興国とも概ね初年度の目標を達成しました。カラーレーザー複合機は、年度前半でのシェア低下を受けて目標は未達となったものの、年度後半は積極的な拡販施策の効果により販売が持ち直しています。
インクジェット複合機は、先進国ではコストパフォーマンスに優れたビジネス向けモデルの拡販が順調に進んだほか、新興国では大容量インクタンクを搭載したモデルの販売数量も計画を達成しました。
新たなビジネスモデルへの転換による安定収益確保と顧客との繋がり強化への取り組みとしては、欧米地域におけるサブスクリプションモデルのテスト導入の検討や、アジア地域における低CPP*5のモノクロレーザー機の投入など、様々な取り組みを進めています。
◆マシナリー・FA領域の成長加速
工業用ミシン分野では、中国やアジアにおける需要低迷の影響で販売目標は未達となったものの、景気回復局面での事業成長を見据え、アパレル業界向けには、世界初となる電子布送り機構「DigiFlex Feed」を搭載し生産性向上に貢献する本縫いミシンや、特定工程向けの特殊ミシンの拡販活動を進めました。また、シートベルトやエアバッグなどの自動車内装部品向けの販売拡大を目指し、ブリッジ型プログラム式電子ミシン「BAS-360H/365H」などの高付加価値製品の販売強化に取り組んでいます。
産業機器分野においては、自動車/一般機械市場向け強化を目指し、加工部品の自動搬送・供給により省人化に貢献する「ローディングシステム BV7-870」を投入したことに加え、高速パレットチェンジャーを搭載した「スピーディオ R450X2/R650X2」や、旋削加工とマシニング加工の工程を1つに集約することで生産の効率化に貢献する小型複合加工機の新モデル「スピーディオ M200X3/M300X3」を発売するなど、製品ラインアップの強化を計画どおり推進しました。
◆産業用印刷領域の成長基盤構築
産業用印刷領域においては、ブラザーの持つノウハウ(事業基盤・強み・技術)とドミノプリンティングサイエンス(DPS)とのシナジー強化を重点施策と位置づけ、開発体制・開発力の強化に取り組んでいます。具体的な成果として、サーマルインクジェット「Gxシリーズ」、CO2レーザーマーカー「D310シリーズ」の投入に加え、日本の大手包装機メーカー向けに産業用サーマルプリンター「Vx3-A」の提供を開始するなど、コーディング&マーキング製品で複数の新製品を市場投入いたしました。
販売面では、日本におけるドミノブランド製品の販売拡大を狙い、DPSの日本総代理店であったコーンズテクノロジー株式会社から各種マーキング機器の輸入・販売・アフターサービスの提供を行う事業を譲り受け、ブラザーインダストリアルプリンティング株式会社として販売体制を整えました。
◆スピード・コスト競争力のある事業運営基盤の構築
限られたリソースを有効活用し、顧客への価値提案力を継続的に高めていくために、グループ全体で業務プロセスの抜本的な見直しを行うとともに、RPAやAI等のITを活用した業務の自動化を推進しています。中期戦略の期間中に70万時間に相当する時間を創出することも目標に、初年度は41万時間の創出を達成しました。
また、中期戦略の期間中に80億円超の損益を改善することを目標に、サブ事業単位での損益管理を強化しています。活動の中で、将来的な改善が見込めないと判断したヘッドマウントディスプレーとウェブ会議システムサービスについては事業を撤退することで経営資源の再配分を実行し、持続的成長に向けた基盤強化を進めています。
(5)ESGの取り組み
環境・社会・経済のシステムが統合的に変化し社会環境も大きく変化する中、気候変動対応などの社会課題の解決に貢献し、持続的発展が可能な社会を構築するため、2018年3月に「ブラザーグループ 環境ビジョン2050」を策定しました。この環境ビジョンに基づき、グループ全体で「CO2排出削減」「資源循環」「生物多様性保全」に関する活動を⼀層強化しています。また、ブラザーグループは、2020年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しました。今後、TCFDの提言に基づき、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会を分析し、経営戦略に反映するとともに、関連する情報の開示に努めてまいります。また同月、国連が提唱する国連グローバル・コンパクトにも賛同、署名しました。ブラザーグループは、「持続的な開発目標(SDGs)」に掲げられている17のゴールの達成に貢献するために、モノ創り企業として事業を通じた社会価値をグローバルに創出するとともに、ESGを中心としたCSR経営を推進してまいります。
*1:Small Medium Business(小規模な事業所や中小企業、複数拠点に分散する企業のオフィスなど)の略
*2:Print Volume(印刷量)の略
*3:Factory Automationの略。工場の様々な作業や工程を機械や情報システムを用いて自動化すること
*4:Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の略
*5:Cost Per Page(1枚あたりの印刷コスト)の略
(1)会社の経営の基本方針
ブラザーグループは、すべてのステークホルダーから信頼され、従業員にとって心の底から誇りの持てる企業となることを目指しています。2002年に策定した中長期ビジョン「Global Vision 21」では、ブラザーグループが目指す3つの項目を以下の通り掲げ、事業活動に取り組んでいます。
| ・「グローバルマインドで優れた価値を提供する高収益体質の企業」になる ・ 独自の技術開発に注力し「傑出した固有技術によってたつモノ創り企業」を実現する ・「“At your side.”な企業文化」を定着させる |
(2)経営環境
◆全般
当期における世界経済は、米中貿易摩擦の拡大懸念の長期化に加え、年度末に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、経済活動全般での減速が懸念され、景気の先行きに対する不透明感は一段と強まっています。
◆プリンティング&ソリューションズ事業
オフィス・ホーム向けのプリンティング市場は、デジタル化の進展や働き方の変化の流れを受け、緩やかな市場縮小が続いています。このような環境の中、ブラザーグループでは、コンパクトなモノクロ/カラーレーザー複合機、A3ビジネスインクジェット複合機などと、モバイル機器やクラウドに対応できるスキャナーを組み合わせることで、インプットからアウトプットまで一貫してお客様のニーズに対応できる製品構成やサービスの提供を進めています。また、顧客層をSMB*1市場にも拡大し、お客様のお困りごとに対するソリューションやオフィスでの最適製品・最適配置の提案、印刷管理・消耗品自動配送などの契約型ビジネスも拡大し、お客様の生産性向上とコスト最適化を実現することで、持続的な事業成長を目指しています。
電子文具分野は、先進国でのオフィス・ホーム向けのラベリング市場を中心に堅調な需要が続いています。今後はバーコードプリンターや製造現場向けのラベリング機器などの業務用製品の需要拡大に合わせ、製品ラインアップの強化を通じた事業成長を目指しています。
◆パーソナル&ホーム事業
家庭用ミシン市場は、北米や欧州、オセアニア地域などの先進国では、刺しゅうやキルトなどのソーイングを趣味とする顧客層による安定した需要が続いていることに加え、ネームやデザインなどの刺しゅうサービス向けの業務用刺しゅう機の需要が拡大傾向にあるなど、堅調な事業環境が持続しています。今後はアジアをはじめとする新興国においても、所得の増加やライフスタイルの変化によりソーイングを趣味とする顧客層が拡大することが期待されていますが、同時にこれらアジア諸国での顧客層の拡大には、一定の時間や投資を要するものと考えられます。
◆マシナリー事業
工業用ミシン市場は、米中貿易摩擦によるマクロ景気の低迷の影響を受け、主要な市場である中国・アジア地域での需要低迷が続きました。主要顧客であるアパレル産業向けの需要は世界経済の影響を受けやすく、当面は厳しい状況が継続する可能性があります。一方で、インクジェット方式により、衣類や靴、カバンなどに直接デザインを印字することができるガーメントプリンターは、欧米を中心としたオンデマンド印刷需要の拡大に支えられ、高水準の市場成長が続いています。
産業機器市場は、2019年暦年での工作機械業界全体の受注額が前年比で大幅な減少となるなど、内需・外需ともすべての産業向けで需要が低迷しました。長期的には、生産性や環境性能に優れた小型の工作機械分野は、自動車やIT関連向けなどでの量産部品加工用途での成長が期待できるものの、短期的には全世界での自動車生産台数の減少や、世界経済の停滞の影響を受ける可能性があります。
減速機や歯車などの工業用部品は、製造業全般での生産活動や設備投資減速の影響により、需要の低迷が続いています。
◆ネットワーク&コンテンツ事業
国内におけるカラオケ市場は、働き方の多様化やライフスタイルの変化の影響により、緩やかな減少傾向が続いています。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大の抑制策の影響を受け、2020年2月以降の経営環境は予断を許さない厳しい状況になっています。
このような厳しい経営環境ではありますが、カラオケは東日本大震災の後に「安、近、短」の身近なレジャーとして見直されたように、新型コロナウイルスの感染拡大の終息後の業績回復を目指し、より安全で安心して楽しめる店舗環境づくり、映像視聴やライブ・ビューイング、会議室利用等カラオケルームの多目的利用の促進、音楽をはじめとするエンタテインメント業界とのさらなる連携による魅力的なコンテンツ開発などに注力してまいります。
◆ドミノ事業
ドミノ事業は、コーディング&マーキング事業(C&M事業)とデジタルラベル印刷事業(DP事業)を軸として事業展開しています。C&M事業は、アジア地域を中心とした新興国での所得拡大による、食品や飲料、医薬品などの消費材の生産拡大を受け、商品パッケージ(紙やビニールなどの軟包装や、瓶や缶などの包装容器)への日付やバーコードなどの印刷機械の需要は安定的な拡大が続いています。DP事業は、ラベルや包装などの商品パッケージ印刷は、地域や季節などに合わせたカスタマイズニーズの高まりもあり小ロット化、短納期化が進んでおり、アナログ印刷機からデジタル印刷機へと、設備投資のトレンドが緩やかにシフトしています。ドミノ事業が手掛ける産業用印刷分野は、「増え続ける印刷領域」として、長期的な事業成長が期待されます。
(3)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
中期戦略「CS B2021」
2021年度を最終年度とする中期戦略「CS B2021」では、“Towards the Next Level ~次なる成長に向けて~”をテーマに掲げ、「事業・業務・人財」の3つの変革をさらに加速させていくことを目指し、グループ全体で以下の4つの経営の優先事項にフォーカスした改革を実行し、成長基盤の構築を進めております。
①プリンティング領域での勝ち残り
・高PV*2ユーザーの獲得強化と本体収益力向上による事業規模の維持、収益力の強化
・新たなビジネスモデルへの転換加速により、安定収益確保と顧客との繋がりを強化
②マシナリー・FA*3領域の成長加速
・自動車/一般機械市場強化による産業機器分野の大幅な成長
・省人化、自動化ニーズを捉えたFA領域の拡大
③産業用印刷領域の成長基盤構築
・シナジー顕在化によるドミノ事業の成長再加速
・インクジェットを核としたプリンティング技術活用による産業用印刷領域の拡大
④スピード・コスト競争力のある事業運営基盤の構築
・IT活用によるグループ全体の業務プロセス変革・効率化の実現
・人財の底上げ、最適人員体制の確立による組織パフォーマンスの最大化
・不採算・低収益事業の梃入れ

これらの改革を成し遂げることにより、中期戦略「CS B2021」の最終年度となる2021年度の業績目標として、売上収益7,500億円、営業利益750億円、営業利益率10%の達成を目指してまいります。
同時に、グローバル社会の一員として企業活動のあらゆる面で環境・社会・ガバナンス(ESG)を中心としたCSR経営を推進し、地球環境の保全、従業員の健康維持、人財多様性の確保、コーポレート・ガバナンスの強化などの取り組みを通じて、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。
(4)中期戦略「CS B2021」の進捗状況
◆プリンティング領域での勝ち残り
モノクロレーザープリンター・複合機、カラーレーザープリンター・複合機とも、上位機種の拡販をKPI*4として設定し、各国の状況に合わせた販売活動を推進しました。主力製品であるモノクロレーザー複合機は、先進国・新興国とも概ね初年度の目標を達成しました。カラーレーザー複合機は、年度前半でのシェア低下を受けて目標は未達となったものの、年度後半は積極的な拡販施策の効果により販売が持ち直しています。
インクジェット複合機は、先進国ではコストパフォーマンスに優れたビジネス向けモデルの拡販が順調に進んだほか、新興国では大容量インクタンクを搭載したモデルの販売数量も計画を達成しました。
新たなビジネスモデルへの転換による安定収益確保と顧客との繋がり強化への取り組みとしては、欧米地域におけるサブスクリプションモデルのテスト導入の検討や、アジア地域における低CPP*5のモノクロレーザー機の投入など、様々な取り組みを進めています。
◆マシナリー・FA領域の成長加速
工業用ミシン分野では、中国やアジアにおける需要低迷の影響で販売目標は未達となったものの、景気回復局面での事業成長を見据え、アパレル業界向けには、世界初となる電子布送り機構「DigiFlex Feed」を搭載し生産性向上に貢献する本縫いミシンや、特定工程向けの特殊ミシンの拡販活動を進めました。また、シートベルトやエアバッグなどの自動車内装部品向けの販売拡大を目指し、ブリッジ型プログラム式電子ミシン「BAS-360H/365H」などの高付加価値製品の販売強化に取り組んでいます。
産業機器分野においては、自動車/一般機械市場向け強化を目指し、加工部品の自動搬送・供給により省人化に貢献する「ローディングシステム BV7-870」を投入したことに加え、高速パレットチェンジャーを搭載した「スピーディオ R450X2/R650X2」や、旋削加工とマシニング加工の工程を1つに集約することで生産の効率化に貢献する小型複合加工機の新モデル「スピーディオ M200X3/M300X3」を発売するなど、製品ラインアップの強化を計画どおり推進しました。
◆産業用印刷領域の成長基盤構築
産業用印刷領域においては、ブラザーの持つノウハウ(事業基盤・強み・技術)とドミノプリンティングサイエンス(DPS)とのシナジー強化を重点施策と位置づけ、開発体制・開発力の強化に取り組んでいます。具体的な成果として、サーマルインクジェット「Gxシリーズ」、CO2レーザーマーカー「D310シリーズ」の投入に加え、日本の大手包装機メーカー向けに産業用サーマルプリンター「Vx3-A」の提供を開始するなど、コーディング&マーキング製品で複数の新製品を市場投入いたしました。
販売面では、日本におけるドミノブランド製品の販売拡大を狙い、DPSの日本総代理店であったコーンズテクノロジー株式会社から各種マーキング機器の輸入・販売・アフターサービスの提供を行う事業を譲り受け、ブラザーインダストリアルプリンティング株式会社として販売体制を整えました。
◆スピード・コスト競争力のある事業運営基盤の構築
限られたリソースを有効活用し、顧客への価値提案力を継続的に高めていくために、グループ全体で業務プロセスの抜本的な見直しを行うとともに、RPAやAI等のITを活用した業務の自動化を推進しています。中期戦略の期間中に70万時間に相当する時間を創出することも目標に、初年度は41万時間の創出を達成しました。
また、中期戦略の期間中に80億円超の損益を改善することを目標に、サブ事業単位での損益管理を強化しています。活動の中で、将来的な改善が見込めないと判断したヘッドマウントディスプレーとウェブ会議システムサービスについては事業を撤退することで経営資源の再配分を実行し、持続的成長に向けた基盤強化を進めています。
(5)ESGの取り組み
環境・社会・経済のシステムが統合的に変化し社会環境も大きく変化する中、気候変動対応などの社会課題の解決に貢献し、持続的発展が可能な社会を構築するため、2018年3月に「ブラザーグループ 環境ビジョン2050」を策定しました。この環境ビジョンに基づき、グループ全体で「CO2排出削減」「資源循環」「生物多様性保全」に関する活動を⼀層強化しています。また、ブラザーグループは、2020年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しました。今後、TCFDの提言に基づき、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会を分析し、経営戦略に反映するとともに、関連する情報の開示に努めてまいります。また同月、国連が提唱する国連グローバル・コンパクトにも賛同、署名しました。ブラザーグループは、「持続的な開発目標(SDGs)」に掲げられている17のゴールの達成に貢献するために、モノ創り企業として事業を通じた社会価値をグローバルに創出するとともに、ESGを中心としたCSR経営を推進してまいります。
*1:Small Medium Business(小規模な事業所や中小企業、複数拠点に分散する企業のオフィスなど)の略
*2:Print Volume(印刷量)の略
*3:Factory Automationの略。工場の様々な作業や工程を機械や情報システムを用いて自動化すること
*4:Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の略
*5:Cost Per Page(1枚あたりの印刷コスト)の略