有価証券報告書-第95期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/28 9:19
【資料】
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【項目】
153項目

対処すべき課題

(1) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
中長期的な事業環境につきましては、各国の通商政策における保護主義の台頭や欧州における政治情勢の混乱など政治・経済両面での不透明感が高まっています。
自動車産業につきましては、大変革期を迎え、電気自動車等環境対応車の増加や自動運転等の技術開発が進展するなど、質的変化を伴いながらグローバル市場は拡大していくものと予想されます。
当社グループでは今後の持続的な成長を実現するため、2016年度より「新たな分野に挑戦する先進ものづくり企業」をメインテーマとした中期経営計画「PLAN2020」を推進しています。自動車・機械分野の進化を支えるキーコンポーネントのグローバルトップサプライヤーとなることを目指し、「事業のダイバーシティ」「ものづくり進化」「先進技術開発」を基本方針として、戦略事業単位ごとにグローバル事業戦略の実行に取組んでいます。
当社の剰余金の配当につきましては、業績及び配当性向等を総合的に勘案し、中間配当および期末配当の年2回、安定的な配当水準を維持することを基本方針と考えております。当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、配当の決定機関は、中間配当は機動的な剰余金の配当を可能とするため取締役会とし、期末配当は株主総会としております。
内部留保資金につきましては、グローバル事業戦略に沿った海外生産拠点の能力増強、新製品・新技術の開発、生産効率化の推進、既存事業の競争力強化など企業価値向上に効率的に活用してまいります。
(2) 株式会社の支配に関する基本方針について
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容、基本方針の実現に資する取組み及び「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」の内容は次のとおりであります。
<当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針>① 基本方針の内容
当社は、上場会社として、当社の株主の在り方について、株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えています。したがって、株式会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの最終的な判断も、株主の皆様の意思に基づき行われるべきものと考えます。
しかし、当社株式の大規模買付行為等の中には、その目的等からみて株主に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの、当社の取締役会や株主が買付内容について判断するための合理的に必要となる時間や情報を提供しないもの等、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのあるものもありえます。このような不適切な大規模買付行為等を行う者は、例外的に、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えます。
② 基本方針の実現に資する取組み
当社では、多数の投資家の皆様に長期的に当社に投資を継続して頂くために、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして、次の施策を実施しています。
これらの取組みは、上記①の基本方針の実現にも資するものと考えています。
<経営理念及び中期経営計画の推進による企業価値向上>当社の創業は、1927年、当時の「理化学研究所」で発明されたピストンリングの製造法の事業化に始まり、以後ピストンリングを軸に、カムシャフトをはじめとした内燃機関部品、自動車や産業機械向けの鋳鉄部品、配管用機材、更には熱エンジニアリング事業、EMC事業など多岐にわたる製品を供給し、グローバルに事業を展開してまいりました。当社では、以下のグループ経営理念及び「顧客第一・法令遵守・基本重視・オープン・アクティブ・スピード」を行動規範として定め、中期経営計画、年度計画を展開し、お客様のグローバルな競争力強化に対応し、品質・技術・価格面での高い要求水準に適った製品の開発、販売に努めています。
<経営理念>● 私たちは地球環境を守り、社会に貢献する一級企業市民であり続けます
● 私たちは株主の資本を効率的に活用し、グローバルに企業価値を創造します
● 私たちは知識の向上と技術の革新を心がけ、世界のお客様に感動を与える製品を提供します
● 私たちは高い志と広い視野を持って、常に変革を遂げていきます
<コーポレート・ガバナンス(企業統治)の充実による企業価値向上>当社は、経済、環境、社会等の幅広い分野における責任を果たすことにより、継続的に企業価値を高めていくことを目指し、コーポレート・ガバナンスの確立を経営上の重要課題と位置付けています。
取締役会の監査・監督機能を強化し、コーポレートガバナンスを一層充実させることを目的として、2016年5月より執行役員制度を導入して経営の意思決定および監督機能と業務執行機能を分離、2019年6月より監査役会設置会社から「監査等委員会設置会社」へ移行し、経営機関は取締役会と監査等委員会を基本にしております。
従来から経営機関の適切な運営に加え、具体的な取組みとしては内部統制システム整備に関する基本方針(取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備)に基づき、コンプライアンスの徹底やリスクマネージメントの充実をはじめとした企業の透明性、効率性、健全性の確保に取り組んでいます。
また、CSR委員会とコンプライアンス委員会を設置し、内部統制の強化とともに、環境活動や社会貢献活動、正確で適切な情報開示、CS(顧客満足創造)等の活動を当社グループ全体で統括し、更なるレベルアップを図っています。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要
当社は、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるための取組みとして、「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」(以下「本プラン」といいます。)を導入しています。
本プランの対象となる当社株式の大規模買付行為とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。
本プランにおける、大規模買付時における情報提供と検討時間の確保に関する一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)は、①事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、②必要情報の提供完了後、対価を現金のみとする公開買付による当社全株式の買付けの場合は最長60日間、又はその他の大規模買付行為の場合は最長90日間を当社取締役会による評価・検討等の取締役会評価期間として設定し、取締役会評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始する、というものです。
本プランにおいては、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。但し、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、遵守しても当該大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断する場合には、必要かつ相当な範囲で新株予約権の無償割当等の対抗措置をとることがあります。
このように対抗措置をとる場合、その判断の合理性及び公正性を担保するために、取締役会は独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は対抗措置の発動の是非について、取締役会評価期間内に勧告を行うものとします。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会の勧告に従います。
なお、独立委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役、または社外有職者から選任された委員で構成します。
本プランの有効期限は2022年6月に開催される当社第98回定時株主総会の終結の時までとします。本プランは、①当社株主総会において本プランを廃止する旨の株主の一定割合の意思表示が行われた場合、②当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議等が行われた場合には、その時点で廃止されるものとします。
当社は、2007年6月28日開催の第83回定時株主総会において、本プランを導入し、直近では2019年6月21日開催の第95回定時株主総会において、本プランの継続について承認を得ています。
本プランの詳細につきましては、当社ウェブサイト(http://www.riken.co.jp)をご参照ください。
④ 上記取組みが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
上記②の当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みは、まさに基本方針に沿うものであり、上記③のとおり本プランの設計に際しては以下の点を十分考慮しており、本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
1) 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
2) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
3) 株主意思を反映するものであること
4) 独立性の高い社外者の判断の重視
5)デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと