有価証券報告書-第127期(2025/04/01-2026/03/31)
[戦略]
人材戦略の5つの柱のもと、中期経営計画達成に向けて重点とする取組みは次のとおりです。
「経営戦略実現のために求められる専門能力の向上」
事業構造を変革(事業ポートフォリオの変革)するには、ビジネスの構造を変えるような抜本的かつ主体的な行動や新領域へのチャレンジが必須であり、戦略実現に求められる組織能力や人材も変化しています。中期経営計画の基本方針である事業構造の変革や、それを支える戦略を達成するためには、それぞれに必要となる組織能力を獲得することが重要です。人材育成や適所への人材配置、採用の仕組みの強化、多角化による外部人材の獲得を組み合わせることで、組織能力の獲得を推進しています。
具体的な取組みとして、年齢・性別を問わず多様な人材、また、専門性・独自性を活かして事業に貢献する人材の活躍を推進するために、2024年4月より、管理職層の人事制度を人の能力を基準とした制度から仕事を基準とした制度へ変更するとともに、多様な人材の活躍推進と高い専門性を持つ人材の確保、育成を図ることを目的に、組織運営を担うマネジメント人材(組織の長)と特定分野・領域の専門性を磨く人材がそれぞれ活躍できるよう、各々のコースを設定しました。導入以降、エキスパートコースの人数は、2023年度の6名から2025年度には12名へと増加しており、専門性を軸としたキャリア形成に対する理解や関心が社内において徐々に広がりつつあります。また、若年層の段階から専門性を意識したキャリア形成を支援する取組みとして、初期配属職種確約型採用を推進しています。2025年度には20名を新たに採用しており、入社時点から自身の専門領域を見据えてキャリアをスタートできる環境を整えています。
今後は、若年層から専門性を意識したキャリア形成が可能な人事制度や仕組みの確立等に取組むことで、従業員の高度な専門性獲得に向けた主体的な行動や新領域へのチャレンジを引き出し、組織能力の獲得を推進します。
[具体的な取組み(実績)]
・専門系コース(エキスパート)の手挙げによる主体的行動の引き出し
・新卒採用における初期配属職種確約型採用 2025年度20人採用(IT企画職、研究開発職など7職種、累計39人採用)
・技術系スペシャリスト人材育成制度を通じた基盤技術の強化(3領域、11人実施)
「グループ経営をリードする経営人材の育成」
不確実な時代に経営戦略を実現するためには、当社グループをリードできる経営者を計画的に育成していくことが重要と考えています。成果を上げている人材を経営人材候補として人材プールを形成し、経営トップ層と人事部門が一体となった育成を行うほか、若手層を含む管理職を対象に経営者育成プログラムを実施し、中長期的な観点から経営者の育成を図っています。
具体的な取組みとして、若手管理職を選抜し、経営に必要な思考・知識を体系的に学習するカリキュラム「NTN Next Leader Program」を実施するなど、経営人材を安定的に輩出できるようサクセッションプランに基づく候補者の選抜と育成に取組んでいます。サクセッションプラン候補者数については、2026年度の目標人数30名に対し、2025年度時点で29名を確保しており、計画に沿った育成が進捗しています。また、候補者の年齢構成についても、継続的な選抜と育成を通じて若返りが進んできており、中長期的な視点で経営人材を育成していくための基盤が整いつつあります。
今後は、最適な候補者プール構築に向け、経営層に必要なスキルの定義や、早期の選抜や継続的な育成に計画的に取組んでまいります。
[具体的な取組み(実績)]
・執行役候補者の選抜によるサクセッションプランの定着
・早期育成を目的とした選抜型研修(NTN Next Leader Program)を通じた経営層候補者の拡大
2025年度28人修了(累計166人修了)
・担うべき役割と職務の価値・報酬をリンクさせた管理職人事制度の浸透
「自律的成長とキャリア自律の実現」
自律的なキャリア展望やキャリア開発に基づく成長と、キャリア展望を実現できるように支援することで、従業員と組織の持続的成長を実現します。
具体的な取組みとして、2024年4月より、課長や部長といったポストにチャレンジする従業員を募集する「ポストチャレンジ・プログラム」を実施しております。この制度は、従業員が希望するキャリアや働く場所を自ら選択できる機会を提供し、従業員のモチベーションを高め、組織の活性化を促すことを目的としています。当該制度を利用して異動した件数自体は決して多くありませんが、応募の有無にかかわらず、「次にどんな仕事に挑戦したいのか」「自分の強みはどこにあるのか」といった対話が、従業員の間で生まれ始めています。これまで表に出にくかったキャリアや志向について言語化される場面が増えてきたこと自体が、制度導入の一つの成果だと受け止めています。一方で、こうした手挙げの機会については、まだ限定的であるという課題認識を持っており、今後は、より多くの従業員が主体的に手を挙げやすくなるよう、機会創出や制度運用の工夫を進めていく必要があると考えています。また、若年層から中高年層まで幅広い年代層を対象に、自身のキャリアを考えるキャリア研修を実施しています。さらに、上司向けのキャリア支援教育も実施し、キャリアを考える機会と支援体制を充実させております。
今後は、これらの手挙げ式施策の拡充に加え、キャリアコンサルティング体制の確立など、従業員がキャリアを考える機会と自ら望むキャリアを実現するための制度を充実させ、従業員と組織の成長に繋げてまいります。
[具体的な取組み(実績)]
・ポストにチャレンジする従業員を募集する「ポストチャレンジ・プログラム」を通じたキャリア自律の促進
・社外への転進を支援する「ネクストライフ支援制度」の継続
・年代別キャリア研修(20歳台から50歳台)と上司向けキャリア支援教育の継続実施
・従業員が自ら学ぶことが出来る人材育成プログラム(AI等に関するWeb研修)の充実
・部下の職務能力の育成を目的とした考課者訓練の充実(毎年実施)
「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」
多様な専門性と経験を持つ人材で組織を構成し、その違いを力に変え、多様な視点や仮説を通じてイノベーションや日常的な価値創造を実現するために、個々人の能力を最大限発揮できる「従業員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」に取組んでいます。
具体的な取組みとして、多様な専門性と経験を持つ人材の獲得を目的に、中途採用の拡大に継続的に取組んでいます。あわせて、中途入社社員が早期に活躍し、定着できるようにするため、中途入社社員向けの研修を導入するなど、フォロー体制の強化を進めています。また、女性管理職比率を増やす施策として、育児期の従業員が管理職昇格を目指しやすい環境づくりに取組んでいます。具体的には、柔軟な勤務時間や短時間勤務、在宅勤務、勤務地の限定といった働き方の選択を継続したまま昇格できる人事制度を運用し、育児や介護等と両立しながら管理職として活躍できる環境づくりを進めてきました。こうした取組みを通じて、女性管理職比率についても、2025年度は4.9%(前期比0.7%増)と着実に上昇しています。
今後は、更なる中途採用の拡大や、多様な人材を国内外の拠点の責任あるポジションに積極的に登用できる環境や制度を整備し、個々の属性や価値観の違いを認め合い尊重し、一人ひとりが挑戦することができ、能力を十分に発揮できる環境づくりを推進します。
[具体的な取組み(実績)]
・中途採用の拡大による様々なキャリアバックグラウンドを持つ人材確保の強化(アルムナイ、リファラルなどの採用手法の充実化検討)
・LGBTQガイドブックの発行、LGBTQに関するeラーニング講座開催
・従業員のライフスタイルの変化や個々の価値観に応じた選択ができる人事制度の充実
・従業員の介護リテラシー向上に向けたセミナーの継続開催、個別相談会の実施
「挑戦し、やりきる職場風土への変革」
厳しい環境のもとで競合優位性を維持・向上させ、持続的に成長するには、これまで以上に独創的な価値の創出が必要となり、過去の成功や前例にとらわれることなく、常に新しい発想で挑戦する姿勢とそれを可能にする職場風土が重要と考えています。
具体的な取組みとして、管理職層の目標管理制度において、基本目標の設定に加え、チャレンジ目標を設定することで、より高い目標への挑戦を促しています。あわせて、目標設定時の面談や期中の適時フォロー、期末のフォロー面談など、上司と部下の対話の機会を制度として組み込むことで、目標や進捗に関する認識のすり合わせを行いながら、目標達成に向けてやり切ることを促す仕組みを取り入れています。また、2025年度には、新しい評価制度の定着において中核的な役割を担う部門長層を対象に、考課者研修を新たに実施し、対象者の約半数にあたる85人に対して研修を行い、制度理解と運用力の向上を図っています。なお、残る対象者についても、2026年度に同様の研修を実施する予定としています。
今後は、挑戦をサポートする施策のより一層の充実や、新しい目標管理制度や評価制度及び会社業績と個人の業績評価を連動させる仕組みを定着させることで、挑戦意欲のある人材が働きがいを感じながら挑戦し続けられる組織へ変革してまいります。
[具体的な取組み(実績)]
・新人事制度における考課者研修の実施(2025年度85人)
・個人の業績と会社業績を連動させた報酬(賞与)制度の実施
「NTNスピリットに基づくマインド変革」
長期戦略の実現には、優秀な人材を惹きつけることが不可欠であり、そのためにはエンゲージメントの高い企業風土を醸成することが重要です。目指すべき意識・行動を明文化した「NTNスピリット」を従業員全員で共有し、自社がどのように在りたいか、何のために存在するか、一人ひとりが働く意義を見出すことで、自ら考え自ら行動する従業員を増やし、変革への本気の挑戦を生み出すことが、企業価値向上に繋がることはもちろん、従業員の成長や組織の一体感、そしてエンゲージメントの向上に繋がると考えています。
具体的な取組みとして、当社では、従業員エンゲージメントを人的資本経営における重要な指標の一つとして位置づけ、2021年度より隔年で従業員エンゲージメント調査を実施しています。
●従業員エンゲージメント調査の概要
本調査では、「従業員エンゲージメント」及び「社員を活かす環境」を軸とし、これらに影響を与える要因として、「戦略・方向性」「リーダーシップ」「成長の機会」「心理的安全性」など、複数の観点から組織の状態を把握しています。なお、2023年度の回答率は94%、2025年度は93%と、いずれも高い水準を維持しております。
調査結果は、経営層及び各部門へフィードバックしており、その内容をもとに、全社的な施策や人事制度への反映についても検討を行っています。また、エンゲージメント向上施策として、調査結果を基に各職場が主体的に取組む活動である「より良い職場づくり活動」を推進しています。本活動では、各職場において調査結果を踏まえた対話を行い、そこから抽出された課題や強みを具体的な職場改善につなげています。本活動を通じて、職場の状況について共通認識を形成するとともに、従業員一人ひとりが改善に向けた行動を自ら考え、実行することを重視しています。
●調査結果の考察
<当社の強み>調査結果からは、「個人の尊重」「教育・研修」「心理的安全性」などの項目において、肯定的回答率が高く、個々人が尊重され、学びやすい環境や、上司との信頼関係を基盤とした職場運営が行われている点は、当社の強みであると認識しています。
<当社の伸びしろ>一方で、「戦略・方向性」や「リーダーシップ」、「業務プロセス・組織体制」といった項目では、肯定的回答率が相対的に低い結果も確認されており、会社の方針や将来像が現場に十分に伝わっていないことや、部門を超えた連携、スピード感に課題が残っていると受け止めています。特に、経営層が描く方向性と、現場での実感との間に認識のギャップが存在している点は、今後重点的に改善に取組むべき課題であると考えています。
これらの課題を踏まえ、当社では、経営層と従業員との相互理解を深める取組みとして、タウンホールミーティングを継続的に実施しており、経営が何を考え、どこに向かおうとしているのかを直接伝える機会を設けています。2025年度は、国内(32拠点)、海外(27拠点)で合わせて4,000人を超える従業員が参加し、社長や執行役が会社の目指す姿や何に注力していくかを説明し、コミュニケーションを深めました。
さらに、組織課題を表層的な対応にとどめることなく、構造的に把握していくための取組みも進めており、調査結果を起点とした分析を通じて、制度や施策の改善につなげていくことを目指しています。今後も、エンゲージメント調査を組織の「健康診断」として活用し、継続的な改善と対話を通じて、エンゲージメントの向上と組織風土の変革を進めていきます。
[具体的な取組み(実績)]
・社長や執行役が各拠点を訪問し従業員との対話を深めるタウンホールミーティングの継続実施
・従業員エンゲージメント調査を活用した「より良い職場づくり活動」の推進
また、これらの中期経営計画実現に向けて重点とする取組みを推進していくためには、従業員の心身の安全と健康が確保されていることが不可欠です。当社グループで働くすべての人の安全と健康の確保は、経営の基盤としてあらゆる事業活動に優先する最も大切な価値であり、この基本姿勢のもと、「安全・健康に働きイノベーティブな発想ができる職場環境の実現」を目指しています。
一方で、当年度においては、当社で7件の休業災害が発生しており、当社として重く受け止めています。この事実を踏まえ、従来から取組んできた再発防止を中心とした安全活動にとどまらず、重傷災害の未然防止をより明確な重点課題として位置付け、一層力を入れた取組みを進めています。
具体的には、職場の生産設備や作業に内在するリスクに着目し、作業手順の作成・見直しを通じて危険源を事前に特定・低減するとともに、その内容を教育・周知することで、現場における安全行動の確実な定着に取組んでいます。加えて、これらの取組みを各事業場に横展開することで、重傷災害を未然に防止する仕組みづくりを推進しています。
安全の確保は一過性の対応ではなく、日々の取組みの積み重ねが何よりも重要であるとの認識のもと、各職場において対策を着実に実行し定着させるとともに、その実践と見直しを継続的に繰り返していくことで実効性のある安全管理の強化と持続的な改善につなげていきます。
[具体的な取組み(実績)]
・安全を支える仕組みづくりとしての労働安全衛生マネジメントシステムの有効な運用による安全性の強化
・リスクアセスメント研修、危険予知研修による安全に強い人づくりの継続実施
・労働災害防止のため、現場の安全管理状態を確認指導する安全監査の継続実施
・従業員の健康増進と疾病予防や活力ある職場環境の実現に向けた、若年層メタボ対策、禁煙施策、ストレスチェック等の継続実施
・職場の健康レポートを活用した部下の健康管理と意識改革の推進
・健康経営の普及に向けた取引先との健康経営セミナー及び意見交換会の共同実施
これらの取組みの結果、「健康経営優良法人大規模法人部門」の上位500法人に与えられる「ホワイト500」に2021年度から6年連続で認定されております。

人材戦略の5つの柱のもと、中期経営計画達成に向けて重点とする取組みは次のとおりです。
「経営戦略実現のために求められる専門能力の向上」
事業構造を変革(事業ポートフォリオの変革)するには、ビジネスの構造を変えるような抜本的かつ主体的な行動や新領域へのチャレンジが必須であり、戦略実現に求められる組織能力や人材も変化しています。中期経営計画の基本方針である事業構造の変革や、それを支える戦略を達成するためには、それぞれに必要となる組織能力を獲得することが重要です。人材育成や適所への人材配置、採用の仕組みの強化、多角化による外部人材の獲得を組み合わせることで、組織能力の獲得を推進しています。
具体的な取組みとして、年齢・性別を問わず多様な人材、また、専門性・独自性を活かして事業に貢献する人材の活躍を推進するために、2024年4月より、管理職層の人事制度を人の能力を基準とした制度から仕事を基準とした制度へ変更するとともに、多様な人材の活躍推進と高い専門性を持つ人材の確保、育成を図ることを目的に、組織運営を担うマネジメント人材(組織の長)と特定分野・領域の専門性を磨く人材がそれぞれ活躍できるよう、各々のコースを設定しました。導入以降、エキスパートコースの人数は、2023年度の6名から2025年度には12名へと増加しており、専門性を軸としたキャリア形成に対する理解や関心が社内において徐々に広がりつつあります。また、若年層の段階から専門性を意識したキャリア形成を支援する取組みとして、初期配属職種確約型採用を推進しています。2025年度には20名を新たに採用しており、入社時点から自身の専門領域を見据えてキャリアをスタートできる環境を整えています。
今後は、若年層から専門性を意識したキャリア形成が可能な人事制度や仕組みの確立等に取組むことで、従業員の高度な専門性獲得に向けた主体的な行動や新領域へのチャレンジを引き出し、組織能力の獲得を推進します。
[具体的な取組み(実績)]
・専門系コース(エキスパート)の手挙げによる主体的行動の引き出し
・新卒採用における初期配属職種確約型採用 2025年度20人採用(IT企画職、研究開発職など7職種、累計39人採用)
・技術系スペシャリスト人材育成制度を通じた基盤技術の強化(3領域、11人実施)
「グループ経営をリードする経営人材の育成」
不確実な時代に経営戦略を実現するためには、当社グループをリードできる経営者を計画的に育成していくことが重要と考えています。成果を上げている人材を経営人材候補として人材プールを形成し、経営トップ層と人事部門が一体となった育成を行うほか、若手層を含む管理職を対象に経営者育成プログラムを実施し、中長期的な観点から経営者の育成を図っています。
具体的な取組みとして、若手管理職を選抜し、経営に必要な思考・知識を体系的に学習するカリキュラム「NTN Next Leader Program」を実施するなど、経営人材を安定的に輩出できるようサクセッションプランに基づく候補者の選抜と育成に取組んでいます。サクセッションプラン候補者数については、2026年度の目標人数30名に対し、2025年度時点で29名を確保しており、計画に沿った育成が進捗しています。また、候補者の年齢構成についても、継続的な選抜と育成を通じて若返りが進んできており、中長期的な視点で経営人材を育成していくための基盤が整いつつあります。
今後は、最適な候補者プール構築に向け、経営層に必要なスキルの定義や、早期の選抜や継続的な育成に計画的に取組んでまいります。
[具体的な取組み(実績)]
・執行役候補者の選抜によるサクセッションプランの定着
・早期育成を目的とした選抜型研修(NTN Next Leader Program)を通じた経営層候補者の拡大
2025年度28人修了(累計166人修了)
・担うべき役割と職務の価値・報酬をリンクさせた管理職人事制度の浸透
「自律的成長とキャリア自律の実現」
自律的なキャリア展望やキャリア開発に基づく成長と、キャリア展望を実現できるように支援することで、従業員と組織の持続的成長を実現します。
具体的な取組みとして、2024年4月より、課長や部長といったポストにチャレンジする従業員を募集する「ポストチャレンジ・プログラム」を実施しております。この制度は、従業員が希望するキャリアや働く場所を自ら選択できる機会を提供し、従業員のモチベーションを高め、組織の活性化を促すことを目的としています。当該制度を利用して異動した件数自体は決して多くありませんが、応募の有無にかかわらず、「次にどんな仕事に挑戦したいのか」「自分の強みはどこにあるのか」といった対話が、従業員の間で生まれ始めています。これまで表に出にくかったキャリアや志向について言語化される場面が増えてきたこと自体が、制度導入の一つの成果だと受け止めています。一方で、こうした手挙げの機会については、まだ限定的であるという課題認識を持っており、今後は、より多くの従業員が主体的に手を挙げやすくなるよう、機会創出や制度運用の工夫を進めていく必要があると考えています。また、若年層から中高年層まで幅広い年代層を対象に、自身のキャリアを考えるキャリア研修を実施しています。さらに、上司向けのキャリア支援教育も実施し、キャリアを考える機会と支援体制を充実させております。
今後は、これらの手挙げ式施策の拡充に加え、キャリアコンサルティング体制の確立など、従業員がキャリアを考える機会と自ら望むキャリアを実現するための制度を充実させ、従業員と組織の成長に繋げてまいります。
[具体的な取組み(実績)]
・ポストにチャレンジする従業員を募集する「ポストチャレンジ・プログラム」を通じたキャリア自律の促進
・社外への転進を支援する「ネクストライフ支援制度」の継続
・年代別キャリア研修(20歳台から50歳台)と上司向けキャリア支援教育の継続実施
・従業員が自ら学ぶことが出来る人材育成プログラム(AI等に関するWeb研修)の充実
・部下の職務能力の育成を目的とした考課者訓練の充実(毎年実施)
「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」
多様な専門性と経験を持つ人材で組織を構成し、その違いを力に変え、多様な視点や仮説を通じてイノベーションや日常的な価値創造を実現するために、個々人の能力を最大限発揮できる「従業員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」に取組んでいます。
具体的な取組みとして、多様な専門性と経験を持つ人材の獲得を目的に、中途採用の拡大に継続的に取組んでいます。あわせて、中途入社社員が早期に活躍し、定着できるようにするため、中途入社社員向けの研修を導入するなど、フォロー体制の強化を進めています。また、女性管理職比率を増やす施策として、育児期の従業員が管理職昇格を目指しやすい環境づくりに取組んでいます。具体的には、柔軟な勤務時間や短時間勤務、在宅勤務、勤務地の限定といった働き方の選択を継続したまま昇格できる人事制度を運用し、育児や介護等と両立しながら管理職として活躍できる環境づくりを進めてきました。こうした取組みを通じて、女性管理職比率についても、2025年度は4.9%(前期比0.7%増)と着実に上昇しています。
今後は、更なる中途採用の拡大や、多様な人材を国内外の拠点の責任あるポジションに積極的に登用できる環境や制度を整備し、個々の属性や価値観の違いを認め合い尊重し、一人ひとりが挑戦することができ、能力を十分に発揮できる環境づくりを推進します。
[具体的な取組み(実績)]
・中途採用の拡大による様々なキャリアバックグラウンドを持つ人材確保の強化(アルムナイ、リファラルなどの採用手法の充実化検討)
・LGBTQガイドブックの発行、LGBTQに関するeラーニング講座開催
・従業員のライフスタイルの変化や個々の価値観に応じた選択ができる人事制度の充実
・従業員の介護リテラシー向上に向けたセミナーの継続開催、個別相談会の実施
「挑戦し、やりきる職場風土への変革」
厳しい環境のもとで競合優位性を維持・向上させ、持続的に成長するには、これまで以上に独創的な価値の創出が必要となり、過去の成功や前例にとらわれることなく、常に新しい発想で挑戦する姿勢とそれを可能にする職場風土が重要と考えています。
具体的な取組みとして、管理職層の目標管理制度において、基本目標の設定に加え、チャレンジ目標を設定することで、より高い目標への挑戦を促しています。あわせて、目標設定時の面談や期中の適時フォロー、期末のフォロー面談など、上司と部下の対話の機会を制度として組み込むことで、目標や進捗に関する認識のすり合わせを行いながら、目標達成に向けてやり切ることを促す仕組みを取り入れています。また、2025年度には、新しい評価制度の定着において中核的な役割を担う部門長層を対象に、考課者研修を新たに実施し、対象者の約半数にあたる85人に対して研修を行い、制度理解と運用力の向上を図っています。なお、残る対象者についても、2026年度に同様の研修を実施する予定としています。
今後は、挑戦をサポートする施策のより一層の充実や、新しい目標管理制度や評価制度及び会社業績と個人の業績評価を連動させる仕組みを定着させることで、挑戦意欲のある人材が働きがいを感じながら挑戦し続けられる組織へ変革してまいります。
[具体的な取組み(実績)]
・新人事制度における考課者研修の実施(2025年度85人)
・個人の業績と会社業績を連動させた報酬(賞与)制度の実施
「NTNスピリットに基づくマインド変革」
長期戦略の実現には、優秀な人材を惹きつけることが不可欠であり、そのためにはエンゲージメントの高い企業風土を醸成することが重要です。目指すべき意識・行動を明文化した「NTNスピリット」を従業員全員で共有し、自社がどのように在りたいか、何のために存在するか、一人ひとりが働く意義を見出すことで、自ら考え自ら行動する従業員を増やし、変革への本気の挑戦を生み出すことが、企業価値向上に繋がることはもちろん、従業員の成長や組織の一体感、そしてエンゲージメントの向上に繋がると考えています。
具体的な取組みとして、当社では、従業員エンゲージメントを人的資本経営における重要な指標の一つとして位置づけ、2021年度より隔年で従業員エンゲージメント調査を実施しています。
●従業員エンゲージメント調査の概要
本調査では、「従業員エンゲージメント」及び「社員を活かす環境」を軸とし、これらに影響を与える要因として、「戦略・方向性」「リーダーシップ」「成長の機会」「心理的安全性」など、複数の観点から組織の状態を把握しています。なお、2023年度の回答率は94%、2025年度は93%と、いずれも高い水準を維持しております。
調査結果は、経営層及び各部門へフィードバックしており、その内容をもとに、全社的な施策や人事制度への反映についても検討を行っています。また、エンゲージメント向上施策として、調査結果を基に各職場が主体的に取組む活動である「より良い職場づくり活動」を推進しています。本活動では、各職場において調査結果を踏まえた対話を行い、そこから抽出された課題や強みを具体的な職場改善につなげています。本活動を通じて、職場の状況について共通認識を形成するとともに、従業員一人ひとりが改善に向けた行動を自ら考え、実行することを重視しています。
●調査結果の考察
<当社の強み>調査結果からは、「個人の尊重」「教育・研修」「心理的安全性」などの項目において、肯定的回答率が高く、個々人が尊重され、学びやすい環境や、上司との信頼関係を基盤とした職場運営が行われている点は、当社の強みであると認識しています。
<当社の伸びしろ>一方で、「戦略・方向性」や「リーダーシップ」、「業務プロセス・組織体制」といった項目では、肯定的回答率が相対的に低い結果も確認されており、会社の方針や将来像が現場に十分に伝わっていないことや、部門を超えた連携、スピード感に課題が残っていると受け止めています。特に、経営層が描く方向性と、現場での実感との間に認識のギャップが存在している点は、今後重点的に改善に取組むべき課題であると考えています。
これらの課題を踏まえ、当社では、経営層と従業員との相互理解を深める取組みとして、タウンホールミーティングを継続的に実施しており、経営が何を考え、どこに向かおうとしているのかを直接伝える機会を設けています。2025年度は、国内(32拠点)、海外(27拠点)で合わせて4,000人を超える従業員が参加し、社長や執行役が会社の目指す姿や何に注力していくかを説明し、コミュニケーションを深めました。
さらに、組織課題を表層的な対応にとどめることなく、構造的に把握していくための取組みも進めており、調査結果を起点とした分析を通じて、制度や施策の改善につなげていくことを目指しています。今後も、エンゲージメント調査を組織の「健康診断」として活用し、継続的な改善と対話を通じて、エンゲージメントの向上と組織風土の変革を進めていきます。
[具体的な取組み(実績)]
・社長や執行役が各拠点を訪問し従業員との対話を深めるタウンホールミーティングの継続実施
・従業員エンゲージメント調査を活用した「より良い職場づくり活動」の推進
また、これらの中期経営計画実現に向けて重点とする取組みを推進していくためには、従業員の心身の安全と健康が確保されていることが不可欠です。当社グループで働くすべての人の安全と健康の確保は、経営の基盤としてあらゆる事業活動に優先する最も大切な価値であり、この基本姿勢のもと、「安全・健康に働きイノベーティブな発想ができる職場環境の実現」を目指しています。
一方で、当年度においては、当社で7件の休業災害が発生しており、当社として重く受け止めています。この事実を踏まえ、従来から取組んできた再発防止を中心とした安全活動にとどまらず、重傷災害の未然防止をより明確な重点課題として位置付け、一層力を入れた取組みを進めています。
具体的には、職場の生産設備や作業に内在するリスクに着目し、作業手順の作成・見直しを通じて危険源を事前に特定・低減するとともに、その内容を教育・周知することで、現場における安全行動の確実な定着に取組んでいます。加えて、これらの取組みを各事業場に横展開することで、重傷災害を未然に防止する仕組みづくりを推進しています。
安全の確保は一過性の対応ではなく、日々の取組みの積み重ねが何よりも重要であるとの認識のもと、各職場において対策を着実に実行し定着させるとともに、その実践と見直しを継続的に繰り返していくことで実効性のある安全管理の強化と持続的な改善につなげていきます。
[具体的な取組み(実績)]
・安全を支える仕組みづくりとしての労働安全衛生マネジメントシステムの有効な運用による安全性の強化
・リスクアセスメント研修、危険予知研修による安全に強い人づくりの継続実施
・労働災害防止のため、現場の安全管理状態を確認指導する安全監査の継続実施
・従業員の健康増進と疾病予防や活力ある職場環境の実現に向けた、若年層メタボ対策、禁煙施策、ストレスチェック等の継続実施
・職場の健康レポートを活用した部下の健康管理と意識改革の推進
・健康経営の普及に向けた取引先との健康経営セミナー及び意見交換会の共同実施
これらの取組みの結果、「健康経営優良法人大規模法人部門」の上位500法人に与えられる「ホワイト500」に2021年度から6年連続で認定されております。
