有価証券報告書-第119期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
対処すべき課題
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」を経営の基本理念とし、法令・規則の遵守、公正・誠実を基本に、独創的技術の創造、顧客満足度の向上、グローバリゼーションの推進を通じて、国際企業にふさわしい企業活動を行うとともに、環境への負荷低減及び資源循環型社会の構築を目指しております。
(2)目標とする経営指標
営業利益率、資産効率を表す総資本利益率(ROA)及び株主資本利益率(ROE)を重視し、これら指標の向上を目指し、経営体質の強化に取り組んでおります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は本年3月に創業100周年を迎えましたが、次の100年も成長するため、会社の進むべき方向として、以下の「あるべき姿」を定めております。
ⅰ)世界中の従業員に企業理念が浸透し、自ら考え、自ら行動する企業
ⅱ)独自の商品とサービスを有し、品質、機能で高く評価され、世界中で存在感のある企業
ⅲ)NTNに関わる全ての人が「NTN」ブランドに誇りを持てる企業
「あるべき姿」の実現に向けて当社グループは、新しい100年に向けた10年後の長期ビジョンとして、新たな領域に対して既存商品と新商品の双方で価値を提供できる事業構造に変革し、売上高1兆円、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指します。
この長期ビジョン達成のために、本年4月から3年間の新たな中期経営計画「DRIVE NTN100」において、次の3つの重要施策を推し進め、事業構造の変革を加速させてまいります。
1)新たな商品・事業の創出と事業化
2)既存の商品・事業の利益率と投資効率の追求
3)事業構造の変革を支える経営体制の構築
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 新中期経営計画「DRIVE NTN100」の取組み
当社は、本年3月に創業100周年を迎えましたが、次の100年においても当社の企業理念である「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」企業であり続けたいと考えています。
当社グループを取り巻く外部環境として、自動車における電動化や自動運転技術の進展、産業界全般におけるIoTや人工知能(AI)の実用化、ロボット化等、大きな変化が起きています。当社グループは、新しい100年に向けた10年後の長期ビジョンとして、新たな領域に対して既存商品と新商品の双方で価値を提供できる事業構造に変革し、売上高1兆円、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指します。
この長期ビジョン達成のため、本年4月から3年間の新たな中期経営計画「DRIVE NTN100」(DRIVE NTN Transformation for New 100:新しい100年に向けた変革を加速する)に取組みます。最新デジタル技術と当社グループが培ってきた経営資源を融合させ、「革新的な技術・商品・サービスの開発」、「調達改革」、「生産性と品質の追求」、「資産効率の向上」を図ります。これらの実現のため次の3つの重要施策を推し進め、事業構造の変革を加速させてまいります。
1)新たな商品・事業の創出と事業化
研究開発プロセスにAI等のデジタル技術を取り入れるとともに、自動車の電動化等、デジタル技術の進歩に伴う新たなニーズに対応した革新的な技術・商品・サービスの開発を推進します。長年開発を続けてきたインホイールモータシステムの事業化の一環として、本年4月に中国の電気自動車メーカと技術ライセンス契約を締結しました。また、大阪大学に設立したNTN次世代協働研究所等の産学連携による社内外の技術・アイデアの融合の促進等を図り、新技術・新商品の開発を加速します。
2)既存の商品・事業の利益率と投資効率の追求
新加工技術の開発と次世代の生産設備の開発によって、生産性と設備投資効率の向上を図ってまいります。来年6月からボールベアリングを量産開始予定の「和歌山製作所」(仮称)では、IoTやAIを活用した最適化・自動化、ロボット導入による省人化等、スマートファクトリ化を推進します。また、今後の国内の労働人口減少に伴う人手不足や人件費上昇等に対応するため、間接部門における業務自動化(RPA)や働き方改革を通じて、事業拡大を実現できる体制の構築を目指します。
3)事業構造の変革を支える経営体制の構築
グローバル調達や集中購買等を強化するため、本年4月に調達本部を設置しました。地域内における現地調達と地域間における最適地調達の推進、発注の集約化と価格管理の強化を図るとともに、品質やコスト、納期、コンプライアンス等でサプライヤーを総合的に評価する仕組みとルールを整備します。
また、資産効率の向上を目的に、新基幹ITシステムを活用したサプライチェーン管理体制の強化に取組み、グローバルで効率的な棚卸資産の保有と、受注から納品までのリードタイム短縮を図ってまいります。
更に、グローバル経営体制の構築として、企業理念の浸透やガバナンス体制の見直し、ダイバーシティの推進等に取組みます。創業100周年を契機に、企業理念に基づく新たな行動指針「NTNスピリット」を制定しました。「NTNスピリット」に基づいた行動によって企業理念を実践し、社会・ステークホルダーの皆様から必要とされる企業を目指してまいります。
② 法令・規則遵守のための体制強化
当社グループは、コンプライアンスの徹底を最重要課題の一つとして捉えており、法令・規則遵守のための体制強化に取組んでおります。
<各当局の調査等の経過>当社は、昨年12月、ベアリング(軸受)の国内取引に関する独占禁止法(以下、「独禁法」といいます。)違反に係る刑事裁判において当社の上告を棄却する旨の最高裁決定を受けました。同決定を受け、当社は、同月中に公正取引委員会の排除措置命令に対する審判請求を取り下げ、課徴金納付命令(7,231百万円)に対する審判請求の内、独禁法違反の有無に関する主張を撤回しました。尚、課徴金の算定根拠については引き続き審判請求を継続しています。
海外におきましては、昨年6月、韓国の連結子会社は、韓国市場における自動車用ベアリング(軸受)の一部取引に関して、韓国公正取引委員会より、無罪として審査手続を完了した旨の通知を受領しました。一方、ブラジル等の連結子会社において、当局の調査等を受けております。
当社並びに当社の米国及びカナダ等の連結子会社は、他の事業者と共同してベアリング(軸受)の販売価格の引上げを決定したとして、米国及びカナダにおいて複数の民事訴訟(クラスアクション)の提起を受けております。
平成26年3月の欧州委員会決定の対象となった欧州競争法違反行為に関連して、平成28年2月に当社を含む軸受メーカ8社は、英国競争審判所においてPeugeot S.A.及び同社のグループ会社 計19社(以下、「原告等」といいます。)より損害賠償額5億780万ユーロ(暫定額)を連帯して支払うよう求める訴訟の提起を受けましたが、本年4月、原告等は当社に対する本訴訟を取り下げました。
当社又は当社の関係会社は、上記と同様の訴訟等を今後提起される可能性があります。
当社グループは、今後とも法令、社会規範、倫理、社内規程等の遵守をグローバルに徹底するための体制を強化し、更に、公正・誠実な競争による事業活動を推進してまいります。
<体制強化>独禁法及び下請代金支払遅延等防止法遵守の徹底のため、「公正取引監察委員会」の指示の下、「公正取引推進部」を中心に活動を推進しています。
公正取引推進部を傘下に置く「CSR(社会的責任)推進本部」は、企業の社会的責任に関連する部門を統括し、法規範の遵守と社会的責任を当社グループ全体で推進しています。同時に、各海外地区総支配人室「内部統制課」との連携を強化し、海外におけるコンプライアンス体制を構築・強化しています。
公正取引推進部は、社内研修等啓発活動に加え、独禁法遵守に関する自己監査、競合他社との接触を予防・監視するための事前申請等を義務付け、競合他社との接触状況の全体像を確認できる体制にしています。7月26日を「コンプライアンスを考える日」とし、独禁法遵守に係る小冊子を国内従業員へ配布し独禁法遵守意識の強化に努めています。
海外におきましても、各海外地域における内部統制課との連携により、地域主体の研修、事前申請及び自己監査を行う体制を構築し、各地域の競争法に対応した遵法体制を整備しています。この体制で、継続的な教育・啓発等の活動と、総括的な統制の強化を実施しております。
当社グループは、新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献するため、法令・規則の遵守、公正・誠実を基本に、以上の諸施策を実施することにより経営基盤の一層の強化と業務の効率化に努め、収益向上に邁進してまいります。
なお、会社の支配に関する基本方針は次のとおりです。
(1) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社グループは「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する(For New Technology Network:新しい技術で世界を結ぶ)」を企業理念とし、法令・規則の遵守、公正・誠実を基本に、独創的技術の創造、顧客満足度の向上、グローバリゼーションの推進を通じて、国際企業にふさわしい企業活動を行うとともに、環境への負荷低減及び資源循環型社会の構築を目指しております。この理念のもとに企業活動を健全に継続し、株主の皆様を始め、お客様、従業員、地域社会の皆様等、あらゆるステークホルダーとの信頼関係の維持に十分に配慮し、長期的な視点に立った企業活動を行うことが当社の企業価値向上及び株主共同の利益の確保に資すると考えます。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方につきましては、当社が上場会社である以上、基本的には当社株式の大規模な買付も自由であり、最終的には上記のような観点から株主の皆様ご自身が判断されるべきものと考えております。しかしながら、当社株式に対する大規模買付行為については、株主の皆様に判断の前提となる十分な情報提供が行われるよう適切なルールが定められるべきでありますし、また、当該大規模買付行為が当社の企業価値又は株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合には、当社は、当社の企業価値又は株主共同の利益を守るために、しかるべき対抗措置を取ることができるようにすべきであると考えます。
(2) 上記基本方針にかかる取組みの具体的内容
当社では、多数の株主・投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みを実施しています。
①当社は、本年3月に創業100周年を迎えましたが、次の100年においても当社の企業理念である「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」企業であり続けたいと考えています。
当社グループを取り巻く外部環境として、自動車における電動化や自動運転技術の進展、産業界全般におけるIoTや人工知能(AI)の実用化、ロボット化等、大きな変化が起きています。当社グループは、新しい100年に向けた10年後の長期ビジョンとして、新たな領域に対して既存商品と新商品の双方で価値を提供できる事業構造に変革し、売上高1兆円、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指します。
この長期ビジョン達成のため、本年4月から3年間の新たな中期経営計画「DRIVE NTN100」(DRIVE NTN Transformation for New 100:新しい100年に向けた変革を加速する)に取組みます。最新デジタル技術と当社グループが培ってきた経営資源を融合させ、「革新的な技術・商品・サービスの開発」、「調達改革」、「生産性と品質の追求」、「資産効率の向上」を図ります。これらの実現のため次の3つの重要施策を推し進め、事業構造の変革を加速させてまいります。
1)新たな商品・事業の創出と事業化
2)既存の商品・事業の利益率と投資効率の追求
3)事業構造の変革を支える経営体制の構築
②当社は、平成20年2月5日開催の当社取締役会において、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の導入を決議し、平成20年6月27日開催の当社第109期定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただきました。その後、直近では平成29年6月23日開催の当社第118期定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただき、これを継続しております(以下、継続後の対応方針を「本対応方針」といいます。)。本対応方針は、再来年6月開催予定の当社定時株主総会終結の時まで効力を有するものとします。ただし、上記期間の満了前であっても、当社株主総会において本対応方針を廃止する旨の決議が行われた場合には、本対応方針はその時点で効力を失うものとします。
本対応方針の内容は、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株券等の買付行為を「大規模買付行為」とし、また当該買付を行う者を「大規模買付者」として、当社取締役会に対して当該大規模買付行為に関する情報提供を要求するものです。
大規模買付者が当社取締役会のあらかじめ定める手続に従わない場合、又は当該大規模買付行為が当社の企業価値又は株主共同の利益を著しく毀損するものであると判断される場合には、当社取締役会は、当該大規模買付者は行使することができないという行使条件を付した新株予約権の無償割当てを実施し当該大規模買付行為による損害を防止することができるものといたします。また、かかる判断にあたっては、当社取締役会は独立した第三者機関である特別委員会の勧告に原則として従うものとします。
なお、本対応方針の詳細につきましては、当社ホームページ(http://www.ntn.co.jp/)に掲載の平成29年4月28日付「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の継続について」をご参照ください。
(3) 前記(2)の取組みについての当社取締役会の判断及びその判断にかかる理由
中期経営計画「DRIVE NTN100」を着実に実行し、中長期にわたる企業価値向上のための活動を継続することにより、当社の企業価値の向上が実現し、株主共同の利益が高まるものと考えます。
また、本対応方針は、大規模買付行為の適否を株主の皆様が判断されるにあたり、十分な情報提供を確保するために定めるものであり、特定の株主又は投資家を優遇し若しくは拒絶するものではありません。また、対抗措置として新株予約権を発行するのは、当該大規模買付行為が当社の企業価値に回復しがたい損害をもたらすものであると判断される場合等、厳重な客観的要件を充足する場合に限定されるとともに、その発行の可否の判断にあたっても、当社取締役会から独立した特別委員会の中立公正な判断に原則として従うこととしており、当社取締役会の恣意的判断を排除しております。対抗措置として発行する新株予約権及びその行使条件についても、あらかじめその内容について開示を行う等、企業価値向上及び株主共同の利益確保に必要かつ相当な範囲内の対抗措置であると考えます。
したがいまして、当社取締役会は、前記(2)の取組みは基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものでないとともに、役員の地位の維持を目的とするものではないと判断いたしております。
当社グループは「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」を経営の基本理念とし、法令・規則の遵守、公正・誠実を基本に、独創的技術の創造、顧客満足度の向上、グローバリゼーションの推進を通じて、国際企業にふさわしい企業活動を行うとともに、環境への負荷低減及び資源循環型社会の構築を目指しております。
(2)目標とする経営指標
営業利益率、資産効率を表す総資本利益率(ROA)及び株主資本利益率(ROE)を重視し、これら指標の向上を目指し、経営体質の強化に取り組んでおります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は本年3月に創業100周年を迎えましたが、次の100年も成長するため、会社の進むべき方向として、以下の「あるべき姿」を定めております。
ⅰ)世界中の従業員に企業理念が浸透し、自ら考え、自ら行動する企業
ⅱ)独自の商品とサービスを有し、品質、機能で高く評価され、世界中で存在感のある企業
ⅲ)NTNに関わる全ての人が「NTN」ブランドに誇りを持てる企業
「あるべき姿」の実現に向けて当社グループは、新しい100年に向けた10年後の長期ビジョンとして、新たな領域に対して既存商品と新商品の双方で価値を提供できる事業構造に変革し、売上高1兆円、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指します。
この長期ビジョン達成のために、本年4月から3年間の新たな中期経営計画「DRIVE NTN100」において、次の3つの重要施策を推し進め、事業構造の変革を加速させてまいります。
1)新たな商品・事業の創出と事業化
2)既存の商品・事業の利益率と投資効率の追求
3)事業構造の変革を支える経営体制の構築
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 新中期経営計画「DRIVE NTN100」の取組み
当社は、本年3月に創業100周年を迎えましたが、次の100年においても当社の企業理念である「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」企業であり続けたいと考えています。
当社グループを取り巻く外部環境として、自動車における電動化や自動運転技術の進展、産業界全般におけるIoTや人工知能(AI)の実用化、ロボット化等、大きな変化が起きています。当社グループは、新しい100年に向けた10年後の長期ビジョンとして、新たな領域に対して既存商品と新商品の双方で価値を提供できる事業構造に変革し、売上高1兆円、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指します。
この長期ビジョン達成のため、本年4月から3年間の新たな中期経営計画「DRIVE NTN100」(DRIVE NTN Transformation for New 100:新しい100年に向けた変革を加速する)に取組みます。最新デジタル技術と当社グループが培ってきた経営資源を融合させ、「革新的な技術・商品・サービスの開発」、「調達改革」、「生産性と品質の追求」、「資産効率の向上」を図ります。これらの実現のため次の3つの重要施策を推し進め、事業構造の変革を加速させてまいります。
1)新たな商品・事業の創出と事業化
研究開発プロセスにAI等のデジタル技術を取り入れるとともに、自動車の電動化等、デジタル技術の進歩に伴う新たなニーズに対応した革新的な技術・商品・サービスの開発を推進します。長年開発を続けてきたインホイールモータシステムの事業化の一環として、本年4月に中国の電気自動車メーカと技術ライセンス契約を締結しました。また、大阪大学に設立したNTN次世代協働研究所等の産学連携による社内外の技術・アイデアの融合の促進等を図り、新技術・新商品の開発を加速します。
2)既存の商品・事業の利益率と投資効率の追求
新加工技術の開発と次世代の生産設備の開発によって、生産性と設備投資効率の向上を図ってまいります。来年6月からボールベアリングを量産開始予定の「和歌山製作所」(仮称)では、IoTやAIを活用した最適化・自動化、ロボット導入による省人化等、スマートファクトリ化を推進します。また、今後の国内の労働人口減少に伴う人手不足や人件費上昇等に対応するため、間接部門における業務自動化(RPA)や働き方改革を通じて、事業拡大を実現できる体制の構築を目指します。
3)事業構造の変革を支える経営体制の構築
グローバル調達や集中購買等を強化するため、本年4月に調達本部を設置しました。地域内における現地調達と地域間における最適地調達の推進、発注の集約化と価格管理の強化を図るとともに、品質やコスト、納期、コンプライアンス等でサプライヤーを総合的に評価する仕組みとルールを整備します。
また、資産効率の向上を目的に、新基幹ITシステムを活用したサプライチェーン管理体制の強化に取組み、グローバルで効率的な棚卸資産の保有と、受注から納品までのリードタイム短縮を図ってまいります。
更に、グローバル経営体制の構築として、企業理念の浸透やガバナンス体制の見直し、ダイバーシティの推進等に取組みます。創業100周年を契機に、企業理念に基づく新たな行動指針「NTNスピリット」を制定しました。「NTNスピリット」に基づいた行動によって企業理念を実践し、社会・ステークホルダーの皆様から必要とされる企業を目指してまいります。
② 法令・規則遵守のための体制強化
当社グループは、コンプライアンスの徹底を最重要課題の一つとして捉えており、法令・規則遵守のための体制強化に取組んでおります。
<各当局の調査等の経過>当社は、昨年12月、ベアリング(軸受)の国内取引に関する独占禁止法(以下、「独禁法」といいます。)違反に係る刑事裁判において当社の上告を棄却する旨の最高裁決定を受けました。同決定を受け、当社は、同月中に公正取引委員会の排除措置命令に対する審判請求を取り下げ、課徴金納付命令(7,231百万円)に対する審判請求の内、独禁法違反の有無に関する主張を撤回しました。尚、課徴金の算定根拠については引き続き審判請求を継続しています。
海外におきましては、昨年6月、韓国の連結子会社は、韓国市場における自動車用ベアリング(軸受)の一部取引に関して、韓国公正取引委員会より、無罪として審査手続を完了した旨の通知を受領しました。一方、ブラジル等の連結子会社において、当局の調査等を受けております。
当社並びに当社の米国及びカナダ等の連結子会社は、他の事業者と共同してベアリング(軸受)の販売価格の引上げを決定したとして、米国及びカナダにおいて複数の民事訴訟(クラスアクション)の提起を受けております。
平成26年3月の欧州委員会決定の対象となった欧州競争法違反行為に関連して、平成28年2月に当社を含む軸受メーカ8社は、英国競争審判所においてPeugeot S.A.及び同社のグループ会社 計19社(以下、「原告等」といいます。)より損害賠償額5億780万ユーロ(暫定額)を連帯して支払うよう求める訴訟の提起を受けましたが、本年4月、原告等は当社に対する本訴訟を取り下げました。
当社又は当社の関係会社は、上記と同様の訴訟等を今後提起される可能性があります。
当社グループは、今後とも法令、社会規範、倫理、社内規程等の遵守をグローバルに徹底するための体制を強化し、更に、公正・誠実な競争による事業活動を推進してまいります。
<体制強化>独禁法及び下請代金支払遅延等防止法遵守の徹底のため、「公正取引監察委員会」の指示の下、「公正取引推進部」を中心に活動を推進しています。
公正取引推進部を傘下に置く「CSR(社会的責任)推進本部」は、企業の社会的責任に関連する部門を統括し、法規範の遵守と社会的責任を当社グループ全体で推進しています。同時に、各海外地区総支配人室「内部統制課」との連携を強化し、海外におけるコンプライアンス体制を構築・強化しています。
公正取引推進部は、社内研修等啓発活動に加え、独禁法遵守に関する自己監査、競合他社との接触を予防・監視するための事前申請等を義務付け、競合他社との接触状況の全体像を確認できる体制にしています。7月26日を「コンプライアンスを考える日」とし、独禁法遵守に係る小冊子を国内従業員へ配布し独禁法遵守意識の強化に努めています。
海外におきましても、各海外地域における内部統制課との連携により、地域主体の研修、事前申請及び自己監査を行う体制を構築し、各地域の競争法に対応した遵法体制を整備しています。この体制で、継続的な教育・啓発等の活動と、総括的な統制の強化を実施しております。
当社グループは、新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献するため、法令・規則の遵守、公正・誠実を基本に、以上の諸施策を実施することにより経営基盤の一層の強化と業務の効率化に努め、収益向上に邁進してまいります。
なお、会社の支配に関する基本方針は次のとおりです。
(1) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社グループは「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する(For New Technology Network:新しい技術で世界を結ぶ)」を企業理念とし、法令・規則の遵守、公正・誠実を基本に、独創的技術の創造、顧客満足度の向上、グローバリゼーションの推進を通じて、国際企業にふさわしい企業活動を行うとともに、環境への負荷低減及び資源循環型社会の構築を目指しております。この理念のもとに企業活動を健全に継続し、株主の皆様を始め、お客様、従業員、地域社会の皆様等、あらゆるステークホルダーとの信頼関係の維持に十分に配慮し、長期的な視点に立った企業活動を行うことが当社の企業価値向上及び株主共同の利益の確保に資すると考えます。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方につきましては、当社が上場会社である以上、基本的には当社株式の大規模な買付も自由であり、最終的には上記のような観点から株主の皆様ご自身が判断されるべきものと考えております。しかしながら、当社株式に対する大規模買付行為については、株主の皆様に判断の前提となる十分な情報提供が行われるよう適切なルールが定められるべきでありますし、また、当該大規模買付行為が当社の企業価値又は株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合には、当社は、当社の企業価値又は株主共同の利益を守るために、しかるべき対抗措置を取ることができるようにすべきであると考えます。
(2) 上記基本方針にかかる取組みの具体的内容
当社では、多数の株主・投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みを実施しています。
①当社は、本年3月に創業100周年を迎えましたが、次の100年においても当社の企業理念である「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」企業であり続けたいと考えています。
当社グループを取り巻く外部環境として、自動車における電動化や自動運転技術の進展、産業界全般におけるIoTや人工知能(AI)の実用化、ロボット化等、大きな変化が起きています。当社グループは、新しい100年に向けた10年後の長期ビジョンとして、新たな領域に対して既存商品と新商品の双方で価値を提供できる事業構造に変革し、売上高1兆円、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指します。
この長期ビジョン達成のため、本年4月から3年間の新たな中期経営計画「DRIVE NTN100」(DRIVE NTN Transformation for New 100:新しい100年に向けた変革を加速する)に取組みます。最新デジタル技術と当社グループが培ってきた経営資源を融合させ、「革新的な技術・商品・サービスの開発」、「調達改革」、「生産性と品質の追求」、「資産効率の向上」を図ります。これらの実現のため次の3つの重要施策を推し進め、事業構造の変革を加速させてまいります。
1)新たな商品・事業の創出と事業化
2)既存の商品・事業の利益率と投資効率の追求
3)事業構造の変革を支える経営体制の構築
②当社は、平成20年2月5日開催の当社取締役会において、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の導入を決議し、平成20年6月27日開催の当社第109期定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただきました。その後、直近では平成29年6月23日開催の当社第118期定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただき、これを継続しております(以下、継続後の対応方針を「本対応方針」といいます。)。本対応方針は、再来年6月開催予定の当社定時株主総会終結の時まで効力を有するものとします。ただし、上記期間の満了前であっても、当社株主総会において本対応方針を廃止する旨の決議が行われた場合には、本対応方針はその時点で効力を失うものとします。
本対応方針の内容は、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株券等の買付行為を「大規模買付行為」とし、また当該買付を行う者を「大規模買付者」として、当社取締役会に対して当該大規模買付行為に関する情報提供を要求するものです。
大規模買付者が当社取締役会のあらかじめ定める手続に従わない場合、又は当該大規模買付行為が当社の企業価値又は株主共同の利益を著しく毀損するものであると判断される場合には、当社取締役会は、当該大規模買付者は行使することができないという行使条件を付した新株予約権の無償割当てを実施し当該大規模買付行為による損害を防止することができるものといたします。また、かかる判断にあたっては、当社取締役会は独立した第三者機関である特別委員会の勧告に原則として従うものとします。
なお、本対応方針の詳細につきましては、当社ホームページ(http://www.ntn.co.jp/)に掲載の平成29年4月28日付「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の継続について」をご参照ください。
(3) 前記(2)の取組みについての当社取締役会の判断及びその判断にかかる理由
中期経営計画「DRIVE NTN100」を着実に実行し、中長期にわたる企業価値向上のための活動を継続することにより、当社の企業価値の向上が実現し、株主共同の利益が高まるものと考えます。
また、本対応方針は、大規模買付行為の適否を株主の皆様が判断されるにあたり、十分な情報提供を確保するために定めるものであり、特定の株主又は投資家を優遇し若しくは拒絶するものではありません。また、対抗措置として新株予約権を発行するのは、当該大規模買付行為が当社の企業価値に回復しがたい損害をもたらすものであると判断される場合等、厳重な客観的要件を充足する場合に限定されるとともに、その発行の可否の判断にあたっても、当社取締役会から独立した特別委員会の中立公正な判断に原則として従うこととしており、当社取締役会の恣意的判断を排除しております。対抗措置として発行する新株予約権及びその行使条件についても、あらかじめその内容について開示を行う等、企業価値向上及び株主共同の利益確保に必要かつ相当な範囲内の対抗措置であると考えます。
したがいまして、当社取締役会は、前記(2)の取組みは基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものでないとともに、役員の地位の維持を目的とするものではないと判断いたしております。