有価証券報告書-第121期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
対処すべき課題
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは企業理念の実践を通じて、「なめらかな社会」の実現を目指します。ステークホルダーをはじめとした社会から信頼され必要とされる企業として、人権の尊重とコンプライアンスを重視し、事業活動に取り組んでまいります。
<企業理念>新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する。
1. 独創的技術の創造
2. 客先及び最終消費者に適合した付加価値技術及びサービスの提供
3. 着実な業績の伸長の下での社員の生活向上、株主への利益還元、社会への貢献
4. グローバリゼーションの推進と国際企業にふさわしい経営・企業形態の形成
<ステークホルダーへの姿勢>
「なめらかな社会」:人と自然が調和し、人々が安心して豊かに暮らせる社会
(2)経営戦略及び経営環境等
①全般
当社を取り巻く経営環境について、国内では、人口減少による中長期的な労働力不足への対応が必要となる一方、グローバルでは、新興国の台頭や、貿易摩擦の影響がある中で、競争力を上げていくことが重要になります。また、近年、急増する地震や巨大台風、豪雨などの自然災害や大災害、テロ攻撃などのリスクに対する事業継続の対応が求められます。
中長期的な取り組みでは、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の対応や、環境面における再生可能エネルギーの活用、あらゆる機械の省エネルギー化への対応が求められ、事業における省エネ・創エネの促進と、商品のさらなる高性能化が必要です。
技術面では、電気自動車(EV)をはじめとするCASEやMaaSの台頭、産業界におけるIoT、AIなどの普及によるパラダイムシフトが起き、新たなニーズに対応した商品・サービスの提供が求められます。
このほか、足元では、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、事業環境の不確実性が高まっていることに加え、社会生活や消費行動にも制約が生じており、今後の推移を注視する必要があります。
②事業を取り巻く環境
<自動車市場>自動車産業は、CASEまたはそれらを内包したMaaSなど、大きな変革の時を迎えており、変革に伴うリスクをいかに成長機会に変えていくかが企業の浮沈を左右すると考えています。
EVシフトにおいては、軸受を多く使用するトランスミッションが、簡素な構造の変減速機に置き換わることで需要が減少するリスクがあります。また、所有から共有への移行による市場における車両数の減少や、道具としてのコモディティ化が進み、価格競争が激化する可能性もあります。
一方で、EV特有の静粛性や低振動、高回転などのニーズ、自動運転車両に不可欠なセンサ技術や異常検知機能(CMSなど)に関連する市場の拡大が見込まれます。また、カーシェアにより車両の稼働率が上がることで、部品の耐久性アップの必要性や補修部品の需要は増加すると考えられます。
刻一刻と変化する自動車産業はいま、サプライヤーにとって躍進のチャンスと淘汰のリスクが併存する事業環境にあると認識しています。
<産業機械市場>産業機械のさまざまな業種のお客さまに商品を供給しており、使用されている技術、生産方法も多岐にわたります。その中でもマーケットリーダ的な地位にある基盤業種と、今後成長が期待できる業種では事業を取り巻く環境は同じではないと考えています。
一方で、省エネルギー化、長期間にわたる安定稼働、ライフタイムコストの低減などは各業種から求められる共通課題です。これらのニーズに応えるためにはIoTやセンシングの技術を応用し、予知保全に向けた状態監視サービスなどが必要であると考えています。また各国の政策や世界経済に影響を受ける需要変動に対し、機敏に対応することができる生産体制の構築と、サプライヤーを含めた生産性の向上も必要です。
<補修市場>当社のアフターマーケット事業における課題として、国内に比べて海外の一部地域でブランド認知度が低いことが挙げられます。また、ベアリングだけでなく、周辺部品の対応や、アフターサービスも含めたトータルで補修市場に攻め込む他社との競争において、当社の優位性が確保できていないのが実情です。
当社の商品のみを扱う日本の代理店とは異なり、複数ブランドを扱う海外の代理店の中で、いかに当社のシェアを拡大していくかが課題です。そのためには、サービス対応の強化や、商品の品質向上はもちろんのこと、包装箱の質の改善、模造品対策強化など、総合品質を高めNTNブランドの価値向上を図っていく必要があると認識しています。また、海外の代理店向けでシェアを高めるためには、売れ筋商品を中心とした即納体制の整備も重要な要素です。需要の見通しと生産手配のギャップを最小限にして補修向けの生産に振り向けるなど、供給体制の強化にも取り組んでいます。
また、新興国で生産された低価格品の流入拡大は脅威のひとつです。市場ごとのニーズを見極め、ブランドを使い分けるなど、優位性の確保に向けた戦略を推進しています。
③その他(新型コロナウイルス)
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大は、世界経済に与える影響が想定できない危機的な状況となっております。
<新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外部環境の変化>
当社への影響も必至であり、2020年度については危機対応期間と位置づけ、「従業員の健康と安全の確保」、「事業資金の確保及び事業継続」、「将来の成長に向けた準備」に専念してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは2018年4月にスタートした3年間の中期経営計画「DRIVE NTN100」において、最新のデジタル技術と当社グループがこれまで培ってきた経営資源を融合させ、「革新的な技術・商品・サービスの開発」、「調達改革」、「生産性と品質の追求」、「資産効率の向上」を進めております。
しかしながら、現在の当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの影響もあり業績が急激に悪化しており、今後の見通しも不透明である等、過去にない厳しい状況に直面しております。
かかる状況下、2020年度につきましては、「危機対応期間」と位置づけ、感染防止策を徹底し「従業員の健康と安全の確保」を図るとともに、緊急事態下における「事業資金の確保及び事業継続」に注力します。
一方で、危機的状況を乗り越え次の100年も成長し続けるため「将来の成長に向けた準備」も並行して進め、2021年4月から3年間の新たな中期経営計画につなげます。新中期経営計画では、市場環境の大きな変化に対応し、「DRIVE NTN100」で掲げている事業構造の変革(Transformation)を加速させてまいります。なお、新中期経営計画の詳細につきましては、2021年3月までに公表いたします。
<新中期経営計画(2021年度~2023年度)の基本方針(案)>1.既存の商品・事業の利益率と投資効率の追求
・既存商品・事業については、外部活用も加速させ、経営資源は当社技術の強みを発揮できる商品・工程に集中させます。
・新しいコンセプトで和歌山県に新設した生産拠点におけるスマートファクトリ化の推進、新基幹システムの活用や間接部門における業務自動化(RPA)等、最新デジタル技術により生産性向上や業務の効率化を推し進めます。
・従来の発想を転換させた生産改革等を通じて、生産リードタイム短縮による在庫削減を進め、財務体質を強化します。
2.新領域への展開の加速
・事業化に近い新事業に経営資源を重点配分し、短期間で利益ある事業に育成します。
・環境型社会に貢献する自然エネルギー商品事業等にも積極的に取組みます。
3.経営体制の強化等
・環境の変化を先取りした施策を実行していくため、戦略的な組織の構築を図ります。
・コーポレート・ガバナンスを一層強化していくとともに、ステークホルダーとの対話も積極的に進めます。
・仕事と個人のワークライフバランスを両立させ、より働きやすい職場環境の実現を目指しエンゲージメント向上に向けた人事制度改革を進めます。
・グローバル企業として持続可能な開発目標(SDGs)を認識し、社会課題の解決に貢献していきます。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは中期経営計画「DRIVE NTN100」において、新しい100年に向けた10年後(2027年度)の長期ビジョンでは、売上高1兆円、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回転以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指しております。
しかしながら(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題にも記載したとおり、現在の当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの影響もあり業績が急激に悪化しており、今後の見通しも不透明であるなど、過去にない厳しい状況に直面しております。
かかる状況下、2020年度につきましては、「危機対応期間」と位置づけ、感染防止策を徹底し「従業員の健康と安全の確保」を図るとともに、緊急事態下における「事業資金の確保及び事業継続」に注力します。
一方で、危機的状況を乗り越え次の100年も成長し続けるため「将来の成長に向けた準備」も並行して進め、2021年4月から3年間の新たな中期経営計画につなげます。
当社グループは企業理念の実践を通じて、「なめらかな社会」の実現を目指します。ステークホルダーをはじめとした社会から信頼され必要とされる企業として、人権の尊重とコンプライアンスを重視し、事業活動に取り組んでまいります。
<企業理念>新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する。
1. 独創的技術の創造
2. 客先及び最終消費者に適合した付加価値技術及びサービスの提供
3. 着実な業績の伸長の下での社員の生活向上、株主への利益還元、社会への貢献
4. グローバリゼーションの推進と国際企業にふさわしい経営・企業形態の形成
<ステークホルダーへの姿勢>
従業員 | 顧客 | 取引先 | 地域社会 | 株主 | 環境 |
NTNグループは、多様性と個性を尊重し、従業員が安全で健康的に働き、活躍できる職場環境づくりに努めます。 | NTNグループは、お客様と誠実に向き合い、安全・安心で信頼性の高い商品・サービスを提供することにより、お客様の満足を追求します。 | NTNグループは、公正で自由な環境のもと、取引先との相互信頼に基づく良好なパートナーシップを構築し、共に成長・発展をはかります。 | NTNグループは、事業を行う地域の文化や慣習を尊重し、事業活動を通じて、地域社会の期待に応え、長期的な信頼関係を構築します。 | NTNグループは、持続的な利益の創出による株主への利益還元に努め、積極的なコミュニケーションを通じて、長期的な信頼関係を構築します。 | NTNグループは、事業活動において自然との調和をはかり、環境負荷低減に寄与する技術と商品・サービスの提供を通じて、地球環境に貢献します。 |
「なめらかな社会」:人と自然が調和し、人々が安心して豊かに暮らせる社会
(2)経営戦略及び経営環境等
①全般
当社を取り巻く経営環境について、国内では、人口減少による中長期的な労働力不足への対応が必要となる一方、グローバルでは、新興国の台頭や、貿易摩擦の影響がある中で、競争力を上げていくことが重要になります。また、近年、急増する地震や巨大台風、豪雨などの自然災害や大災害、テロ攻撃などのリスクに対する事業継続の対応が求められます。
中長期的な取り組みでは、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の対応や、環境面における再生可能エネルギーの活用、あらゆる機械の省エネルギー化への対応が求められ、事業における省エネ・創エネの促進と、商品のさらなる高性能化が必要です。
技術面では、電気自動車(EV)をはじめとするCASEやMaaSの台頭、産業界におけるIoT、AIなどの普及によるパラダイムシフトが起き、新たなニーズに対応した商品・サービスの提供が求められます。
このほか、足元では、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、事業環境の不確実性が高まっていることに加え、社会生活や消費行動にも制約が生じており、今後の推移を注視する必要があります。
②事業を取り巻く環境
<自動車市場>自動車産業は、CASEまたはそれらを内包したMaaSなど、大きな変革の時を迎えており、変革に伴うリスクをいかに成長機会に変えていくかが企業の浮沈を左右すると考えています。
EVシフトにおいては、軸受を多く使用するトランスミッションが、簡素な構造の変減速機に置き換わることで需要が減少するリスクがあります。また、所有から共有への移行による市場における車両数の減少や、道具としてのコモディティ化が進み、価格競争が激化する可能性もあります。
一方で、EV特有の静粛性や低振動、高回転などのニーズ、自動運転車両に不可欠なセンサ技術や異常検知機能(CMSなど)に関連する市場の拡大が見込まれます。また、カーシェアにより車両の稼働率が上がることで、部品の耐久性アップの必要性や補修部品の需要は増加すると考えられます。
刻一刻と変化する自動車産業はいま、サプライヤーにとって躍進のチャンスと淘汰のリスクが併存する事業環境にあると認識しています。
<産業機械市場>産業機械のさまざまな業種のお客さまに商品を供給しており、使用されている技術、生産方法も多岐にわたります。その中でもマーケットリーダ的な地位にある基盤業種と、今後成長が期待できる業種では事業を取り巻く環境は同じではないと考えています。
一方で、省エネルギー化、長期間にわたる安定稼働、ライフタイムコストの低減などは各業種から求められる共通課題です。これらのニーズに応えるためにはIoTやセンシングの技術を応用し、予知保全に向けた状態監視サービスなどが必要であると考えています。また各国の政策や世界経済に影響を受ける需要変動に対し、機敏に対応することができる生産体制の構築と、サプライヤーを含めた生産性の向上も必要です。
<補修市場>当社のアフターマーケット事業における課題として、国内に比べて海外の一部地域でブランド認知度が低いことが挙げられます。また、ベアリングだけでなく、周辺部品の対応や、アフターサービスも含めたトータルで補修市場に攻め込む他社との競争において、当社の優位性が確保できていないのが実情です。
当社の商品のみを扱う日本の代理店とは異なり、複数ブランドを扱う海外の代理店の中で、いかに当社のシェアを拡大していくかが課題です。そのためには、サービス対応の強化や、商品の品質向上はもちろんのこと、包装箱の質の改善、模造品対策強化など、総合品質を高めNTNブランドの価値向上を図っていく必要があると認識しています。また、海外の代理店向けでシェアを高めるためには、売れ筋商品を中心とした即納体制の整備も重要な要素です。需要の見通しと生産手配のギャップを最小限にして補修向けの生産に振り向けるなど、供給体制の強化にも取り組んでいます。
また、新興国で生産された低価格品の流入拡大は脅威のひとつです。市場ごとのニーズを見極め、ブランドを使い分けるなど、優位性の確保に向けた戦略を推進しています。
③その他(新型コロナウイルス)
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大は、世界経済に与える影響が想定できない危機的な状況となっております。
<新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外部環境の変化>
Politics 移動の制限・規制の長期化 | Economy 世界経済のマイナス成長 |
Society 感染症対策への取り組み強化 | Technology デジタル技術の進展加速 |
当社への影響も必至であり、2020年度については危機対応期間と位置づけ、「従業員の健康と安全の確保」、「事業資金の確保及び事業継続」、「将来の成長に向けた準備」に専念してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは2018年4月にスタートした3年間の中期経営計画「DRIVE NTN100」において、最新のデジタル技術と当社グループがこれまで培ってきた経営資源を融合させ、「革新的な技術・商品・サービスの開発」、「調達改革」、「生産性と品質の追求」、「資産効率の向上」を進めております。
しかしながら、現在の当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの影響もあり業績が急激に悪化しており、今後の見通しも不透明である等、過去にない厳しい状況に直面しております。
かかる状況下、2020年度につきましては、「危機対応期間」と位置づけ、感染防止策を徹底し「従業員の健康と安全の確保」を図るとともに、緊急事態下における「事業資金の確保及び事業継続」に注力します。
一方で、危機的状況を乗り越え次の100年も成長し続けるため「将来の成長に向けた準備」も並行して進め、2021年4月から3年間の新たな中期経営計画につなげます。新中期経営計画では、市場環境の大きな変化に対応し、「DRIVE NTN100」で掲げている事業構造の変革(Transformation)を加速させてまいります。なお、新中期経営計画の詳細につきましては、2021年3月までに公表いたします。
<新中期経営計画(2021年度~2023年度)の基本方針(案)>1.既存の商品・事業の利益率と投資効率の追求
・既存商品・事業については、外部活用も加速させ、経営資源は当社技術の強みを発揮できる商品・工程に集中させます。
・新しいコンセプトで和歌山県に新設した生産拠点におけるスマートファクトリ化の推進、新基幹システムの活用や間接部門における業務自動化(RPA)等、最新デジタル技術により生産性向上や業務の効率化を推し進めます。
・従来の発想を転換させた生産改革等を通じて、生産リードタイム短縮による在庫削減を進め、財務体質を強化します。
2.新領域への展開の加速
・事業化に近い新事業に経営資源を重点配分し、短期間で利益ある事業に育成します。
・環境型社会に貢献する自然エネルギー商品事業等にも積極的に取組みます。
3.経営体制の強化等
・環境の変化を先取りした施策を実行していくため、戦略的な組織の構築を図ります。
・コーポレート・ガバナンスを一層強化していくとともに、ステークホルダーとの対話も積極的に進めます。
・仕事と個人のワークライフバランスを両立させ、より働きやすい職場環境の実現を目指しエンゲージメント向上に向けた人事制度改革を進めます。
・グローバル企業として持続可能な開発目標(SDGs)を認識し、社会課題の解決に貢献していきます。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは中期経営計画「DRIVE NTN100」において、新しい100年に向けた10年後(2027年度)の長期ビジョンでは、売上高1兆円、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回転以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指しております。
しかしながら(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題にも記載したとおり、現在の当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの影響もあり業績が急激に悪化しており、今後の見通しも不透明であるなど、過去にない厳しい状況に直面しております。
かかる状況下、2020年度につきましては、「危機対応期間」と位置づけ、感染防止策を徹底し「従業員の健康と安全の確保」を図るとともに、緊急事態下における「事業資金の確保及び事業継続」に注力します。
一方で、危機的状況を乗り越え次の100年も成長し続けるため「将来の成長に向けた準備」も並行して進め、2021年4月から3年間の新たな中期経営計画につなげます。