有価証券報告書-第121期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/07/31 13:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
157項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年7月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外部事業環境に関するリスク
1)経済状況
当社グループ商品の製造拠点、販売拠点はグローバルな国と地域に及び、取引先も多岐の産業分野に亘っておりますため、特定の国や地域の経済状況の変動や取引先が属する産業の景気変動などにより、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
2)為替レートの変動
当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は50%を超えており、今後もグローバルな事業展開を加速させることにより、海外売上高の割合は増加の見込みであります。
海外子会社の現地通貨建ての経営成績及び財政状態は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。また当社が海外の顧客等に輸出する場合、その取引の多くは外貨建てで行われております。当社グループでは為替予約や現地調達の拡大によってリスクヘッジを実施しておりますが、現地通貨と円貨の為替レート変動による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへの影響を完全に回避できるものではありません。
3)市場価格の低下
当社グループの製造活動や販売活動における競争環境はグローバル規模で厳しさを増しております。中国をはじめとする新興国製品の台頭により軸受の一部では市場価格が下落してきております。また当社グループの売上の半分以上を占める自動車業界ではグローバルな価格競争を背景に価格引き下げ要請が厳しさを増しております。当社グループでは原価低減の継続的推進と同時に高品質、高付加価値の新商品開発を実施しておりますが、市場価格の低下圧力が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
4)原材料価格の上昇
当社グループでは、外部より様々な原材料の調達を行っております。特に材料費のなかで大きなウエイトを占める鋼材の価格上昇に対しては一部製品価格への反映や歩留り向上、VA・VE活動による材料コスト低減を図っておりますが、想定を超える上昇により財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
5)災害の発生や感染症の蔓延のリスク
当社グループ及び当社グループ取引先の事業拠点が、地震、洪水などの天災、火災や感染症の蔓延等による被害を受ける可能性があります。当社グループでは、大規模災害の発生に備え、安否確認システムの導入や防災訓練を実施し、感染症の蔓延対策においてはマスクなどの備蓄等の各種対策を講じております。危機発生時において即座に初動措置を行うことによって被害を最小限に止めるよう備えておりますが、完全なリスク回避は困難であり、結果として当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に伴う、各国政府からの要請又は指図や客先需要の停滞を受け、2020年4月以降も国内および海外の一部の工場で生産を一時的に停止しています。なお、これらによる会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへの影響について、現時点で合理的に算出する事は困難であります。
新型コロナウイルス感染症に対して当社グループは、テレワークや時差出勤の活用、出張や訪問の原則禁止などにより感染防止に努めています。海外においても在宅勤務等を推進し、各国の状況に合わせた対応を行っています。
かかる状況下、2020年度につきましは、「危機対応期間」と位置づけ、感染防止策を徹底し「従業員の健康と安全の確保」を図るとともに、緊急事態下における「事業資金の確保及び事業継続」に注力します。
(2)事業運営に関するリスク
1)特定業界への依存
当社グループの販売は、軸受部門の約半分が自動車業界向けであり、等速ジョイント部門は、自動車の駆動輪へ動力を伝達するための部品で、その大半を自動車業界向けに販売しており、自動車業界への依存度が高くなっております。軸受や精密機器商品につきましては産業機械分野への販売拡大も進め、販売構成のバランスを常に考えた施策を推進しておりますが、自動車分野における急激な需要変動があった場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
2)製品の不具合
当社グループは、品質の確保を図るため、顧客の要求機能・仕様を満足し、かつ安全性に配慮した適正品質の追求に努めており、グローバルベースで品質管理の徹底を図っております。しかし製品に重大な不具合が存在し、重大な事故やクレーム、リコール等の起因となった場合、多額の製品補償費用等の発生により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。当社グループはグローバルな製造物責任保険に加入しておりますが、損害賠償等の損失についてその全てを担保するものではありません。
3)知的財産権
当社グループは、新商品開発を通じて多くの新技術やノウハウを生み出しており、経営資源として活用しております。しかし第三者から当社グループの知的財産権侵害、または予期せず、第三者の知的財産権の侵害等が発生する可能性があります。特許出願による権利保護等の知的財産権マネジメントの徹底を図っておりますが、上記のような知的財産権の侵害が発生した場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
4)グローバル事業展開
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結売上高に占める海外売上高は50%を超えております。海外での事業展開に伴い次のようなリスクがあります。
①各国間もしくは各国税制の予期せぬ変化に伴うリスク
②各国法規制の予期せぬ変化に伴うリスク
③人材確保の困難性
④新興諸国における未成熟な技術水準や不安定な労使関係
⑤新興諸国での政情不安
これらのリスクに対しては、グループ内での情報収集等を行い、その予防及び回避に努めていますが、これらの事象が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
5)情報セキュリティ
当社グループは、社内規程整備に加え、従業員教育を通じて、適切な情報管理方法の周知・徹底に努めています。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルス侵入等により、万一これら情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や生産及び販売活動などに支障をきたし、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
6)法的規制等
当社グループは、事業活動を行っている国及び地域で各種の法令・規則(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・アンチダンピング法・贈収賄関連法規等の経済法規、貿易・為替法規、証券取引所の上場規程等)の適用を受けています。
当社グループは、これらの法令・規則を遵守し公正な企業活動に努めておりますが、万一法令・規則違反を理由とする訴訟や法的手続において、当社グループにとって不利益な結果が生じた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令・規則が変更された場合や、予想できない新たな法令・規則が設けられた場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは以下の訴訟等を受けております。
① 海外におけるベアリング(軸受)の取引等に関し、ブラジル等の当社連結子会社が、競争法違反の疑いで当局の調査等を受けております。
② 当社及び当社の米国等の連結子会社は、他の事業者と共同してベアリング(軸受)の販売価格の引上げを決定したとして、米国において複数の民事訴訟の提起を受けております。
③ 当社及び欧州の連結子会社2社は、仏国リヨン商業裁判所(Tribunal de Commerce de Lyon)においてRenault S.A. 及び同社のグループ会社計15社(以下、「ルノー」)より損害賠償額6,670万ユーロ(暫定額)を支払うよう求める訴訟の提起を受けております。また、当社及び欧州の連結子会社2社は、英国商業裁判所(Commercial Court)においてFiat Chrysler Automobiles N.V. 及び同社のグループ会社計7社(以下、「FCA」)より損害賠償を求める訴訟の提起を受けております。
これらの訴訟は、2014年3月19日付の欧州委員会決定の対象となった欧州競争法違反行為に関連して、ルノー及びFCAが損害を被ったとして提起されたものです。
④ 当社グループは、独占禁止法違反行為に関連して、今後、損害賠償請求を受ける可能性があり、これらの請求に対して適切に対処してまいります。なお、その結果によっては当社グループの業績に影響を与える可能性がありますが、現時点ではその影響を合理的に見積ることは困難であり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに与える影響は明らかではありません。