有価証券報告書-第143期(2024/12/01-2025/11/30)

【提出】
2026/02/24 15:03
【資料】
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【項目】
174項目
[気候変動およびTCFDへの対応]
当社にとって気候変動問題は、環境・社会および企業活動に重大な影響を及ぼす経営上の重要課題の一つとして捉えております。
(1) ガバナンス
気候変動問題に関し、サステナビリティ委員会で審議・検討したとり組み内容やその進捗は、定期的に取締役会へ報告し、その対応方針の最終的な意思決定が行われます。承認された方針・とり組みの実行にあたっては、サステナビリティ委員会が各部門およびグループ会社の進捗状況を把握したうえで、監督する体制となっております。
(2) 戦略
気候変動対策の立案においては、事業活動全体における気候変動関連のリスク・機会の把握が重要であると認識しております。そのため当社では、異常気象などによって生じる物理リスクと脱炭素社会への移行リスクの2つの側面に沿って、当社のバリューチェーン全体におけるリスク・機会の特定および財務的影響の評価を行いました。具体的なプロセスでは、産業革命時から比較し、2100年時点に気温上昇が1.5℃以下に抑えられる「1.5℃シナリオ」と成り行きで平均気温が4℃上昇する「4℃シナリオ」の複数のシナリオを用いて、当社グループ会社(全事業)を対象に想定されるリスク・機会の分析を行っています。また、リスク・機会が生じる範囲によっては、製造段階、資材調達や製品輸送段階に注目しています。リスク・機会の分析にあたっては、国内外の全事業を対象とし、短期~長期の時間軸を考慮して、定性的に各項目におけるリスク・機会の影響を評価しております。
■シナリオ群の定義
項目1.5℃(2℃以下)シナリオ4℃シナリオ
参照シナリオ(1.5℃シナリオ)
IEA Net Zero Emissions by 2050 Scenario
(2℃シナリオ)
IEA Sustainable Development Scenario、IPCC RCP2.6
(4℃シナリオ)
IEA Stated Policies Scenario、IPCC RCP8.5
想定される
世界観
2100年時において、産業革命時期と比較して1.5℃未満の平均気温上昇が想定されるシナリオ。これに対応するため、カーボンニュートラルの実現を目指し、現行以上に厳格な政策や法規制等が導入される。2100年時において、産業革命時期と比較して、3.2℃~5.4℃(約4℃)の平均気温上昇が想定されるシナリオ。気候変動を緩和する政策や法規制の整備が進まない成り行きの世界観。平均気温の上昇に伴い、異常気象が激甚化する。

■想定されたリスク・機会一覧
分類項目内容詳細時間軸影響度
4℃1.5℃







平均気温の
上昇
リスク▪ オフィスや工場での冷房コストが上昇する。
▪ 労働環境が悪化し、熱中症となる従業員が増え、作業に障害が発生する。
短期
~長期
機会▪ 製造現場における自動化のニーズが高まり、人力の代替である産業用ロボットの需要が増加する。
異常気象の
激甚化
(台風、豪雨、
土砂、高潮等)
リスク▪ 気象災害の激甚化による拠点の被災や、サプライチェーンの寸断による損害や営業停止による損失が発生する。また、災害対策・復旧費用が発生する。短期
~長期







原材料コストの
変化
リスク▪ 製造方法の転換により、製造の原材料となる鉄鋼・鋳物の原価が高まり、製造コストが増加する。中期
~長期
-
重要商品の
需要変化
リスク▪ エンジン車からEVへの変換や省エネ・再エネの製造機器への切り替えなどの市場傾向に対応するためには、従来の化石燃料に依存する製品の需要が減少し、適応できる材料や部品、設備の開発が必要となる。これらへの対応不足や遅れが生じると、既存事業の縮小により売上が減少する。短期
~長期
-
機会▪ 低炭素技術に適応するため、電力や燃料使用量を削減できる材料、部品および加工設備の開発に注力している。またEV製造向けやAI・自動化に伴う電気・電子部品の組付け増加に伴うロボットや油圧ユニットをはじめとした環境配慮型商品へのニーズが一層高まり、売上が増加する。-
エネルギー
コストの変化
リスク▪ 再生可能エネルギー発電のための設備投資等のコストが電力価格に転嫁され、操業コストが増加する。短期
~長期
-
機会▪ 太陽光発電をはじめとした再生エネルギーの導入を拡大し、エネルギーコストの増加を抑制する。-
顧客行動変化リスク▪ 顧客の環境に配慮した商品へのニーズに応えられなかった場合、売上が減少する。中期
~長期
-
機会▪ 顧客のニーズに合わせた、環境に配慮した製品の開発によって売上が増加する。-
投資家の
評判変化
リスク▪ 環境配慮・情報開示が不十分な場合、調達資金の減少および資金調達コストが増加する。中期
~長期
-
機会▪ 環境に配慮したとり組みや環境レポート等環境情報開示を積極的に行うことで投資家からの評価がさらに向上し、資金調達等が円滑に進む。-
炭素税の導入リスク▪ 事業活動に伴うGHG排出量に対して炭素税が課され、操業コストが増加する。中期
~長期
-

(注)時間軸 短期:0~3年、中期:4~10年、長期:11年~
■リスク・機会の定性分析結果
物理リスクについては、4℃シナリオおよび1.5℃シナリオのどちらにおいても、異常気象の激甚化による営業停止とサプライチェーンの寸断が重大な財務損失となる可能性があると分析しました。一方で、平均気温の上昇による労働環境の悪化から、製造現場における省人化・自動化ニーズが高まり、当社の産業用ロボットの需要が増加すると判断しております。さらに、1.5℃シナリオでは、省エネ政策に対応するために省エネ油圧ユニットをはじめとした当社の省エネ商品の需要拡大が見込まれます。
炭素税の導入が想定される1.5℃シナリオにおいて、当社のGHG排出量(Scope1+2)の排出量によっては重大な操業コストが発生する可能性があります。また、当社の事業は鉄鋼や鋳物に大きく依存しているため、脱炭素社会への移行に伴う、再生可能エネルギー電力への切り替えや金属の精錬方法の転換などにより、鉄鋼価格が大きく変わると判断しております。
また、脱炭素社会を目指した日進月歩の技術革新が進む中、EVやAIをはじめとする次世代技術の進展が特に注目を浴びております。現状と将来の傾向を考慮したうえで、当社の大きな顧客群である自動車企業に対し、適応できる材料・部品・設備の開発は喫緊の課題であると認識しております。
当社では、気候変動課題への対策として、自動化や省エネに対応する商品開発や再生可能エネルギー電力の利用などに、積極的にとり組んでおります。また、サステナビリティ課題についてステークホルダーと誠実に対話できるように、環境レポートと合わせ、TCFDの情報開示を通じて、とり組みの実施状況および排出量の実績をさらに透明化していきます。

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