有価証券報告書-第66期(2024/04/01-2025/03/31)
[戦略]
当社グループは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱する評価手法であるLEAPアプローチに基づき、直接操業及び主要なバリューチェーン上流のアルミニウム、鉄鋼、銅の鉱山における自然への依存と影響及び優先地域を把握するとともに、自然に関するリスクと機会を評価し、対応策の検討を行いました。
① 分析対象範囲の設定(Scopingフェーズ)
直接操業に当たる当社グループの自動制御機器事業を分析対象とするとともに、主要なバリューチェーンの段階については、UNEP(国連環境計画)が開発したスクリーニングツールであるENCOREを用いて検討を行った結果、自然資本への影響度及び依存度が最も高いと想定される活動として、バリューチェーン上流の鉱物採掘を特定しました。SBTN(Science Based Targets Network)のHigh Impact Commodity List(自然への影響が大きいとされる原材料リスト)に基づき、当社グループが調達している鉱物のうち、アルミニウム、鉄鋼、銅を分析対象に設定しました。
② 自然との接点の特定(Locateフェーズ)
当社グループの事業活動と自然との接点を把握するため、直接操業の工場・物流拠点及びバリューチェーン上流のアルミニウム、鉄鋼、銅の鉱山を対象に、優先地域を特定しました。優先地域は、要注意地域とマテリアルな地域から構成されており、各地域の判断基準を設けて特定を実施しています。
また、優先地域として特定された拠点については、Global Ecosystem TypologyやEcoregions of the Worldのデータベースによってバイオーム(生物群系)及びエコリージョン情報を調査し、自然資本への依存と影響の把握に活用しました。なお、アルミニウム、鉄鋼、銅に関する鉱山の場所は、統計情報等の二次データに基づいています。
(a) 優先地域のイメージ

(b) 要注意地域の区分及び参照データベース
(c) マテリアルな地域の判断に用いた指標
③ 依存と影響の把握(Evaluateフェーズ)
事業活動における自然関連のリスク及び機会を識別するためには、自然への依存と影響を明らかにする必要があります。
当社グループは、直接操業である機械製造及びバリューチェーン上流の鉱物採掘に関するレポートや論文等に基づき、インパクト要因、環境資産及び生態系サービスを特定し、依存と影響の関連図を次のように整理しました。
⦅自然資本への依存と影響の関連図⦆

④ リスクと機会の評価(Assessフェーズ)及び対応策の検討(Prepareフェーズ)
自然資本への依存と影響の関連図や自然資本シナリオ分析をもとに、自然に関するリスクと機会の評価を行いました。自然資本シナリオ分析では、気候変動シナリオ分析における1.5℃シナリオに整合する自然保全シナリオ及び4℃シナリオに整合する自然劣化シナリオを設定しました。また、重要な自然関連のリスク及び機会に対する対応策の検討に当たっては、気候変動のリスク及び機会に対する対応策と関連付けて検討を行っています。
⦅自然資本シナリオの概要⦆
⦅定義⦆
時間軸 短期:0~3年 中期:4~10年 長期:11~30年
⦅自然保全シナリオ⦆
⦅自然劣化シナリオ⦆
当社グループは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱する評価手法であるLEAPアプローチに基づき、直接操業及び主要なバリューチェーン上流のアルミニウム、鉄鋼、銅の鉱山における自然への依存と影響及び優先地域を把握するとともに、自然に関するリスクと機会を評価し、対応策の検討を行いました。
① 分析対象範囲の設定(Scopingフェーズ)
直接操業に当たる当社グループの自動制御機器事業を分析対象とするとともに、主要なバリューチェーンの段階については、UNEP(国連環境計画)が開発したスクリーニングツールであるENCOREを用いて検討を行った結果、自然資本への影響度及び依存度が最も高いと想定される活動として、バリューチェーン上流の鉱物採掘を特定しました。SBTN(Science Based Targets Network)のHigh Impact Commodity List(自然への影響が大きいとされる原材料リスト)に基づき、当社グループが調達している鉱物のうち、アルミニウム、鉄鋼、銅を分析対象に設定しました。
② 自然との接点の特定(Locateフェーズ)
当社グループの事業活動と自然との接点を把握するため、直接操業の工場・物流拠点及びバリューチェーン上流のアルミニウム、鉄鋼、銅の鉱山を対象に、優先地域を特定しました。優先地域は、要注意地域とマテリアルな地域から構成されており、各地域の判断基準を設けて特定を実施しています。
また、優先地域として特定された拠点については、Global Ecosystem TypologyやEcoregions of the Worldのデータベースによってバイオーム(生物群系)及びエコリージョン情報を調査し、自然資本への依存と影響の把握に活用しました。なお、アルミニウム、鉄鋼、銅に関する鉱山の場所は、統計情報等の二次データに基づいています。
(a) 優先地域のイメージ

(b) 要注意地域の区分及び参照データベース
| 区分 | 参照データベース |
| 生物多様性にとって重要な地域 | ・IBAT ・Global Forest Watch |
| 生態系の完全性が高い地域 | ・Global Forest Watch |
| 生態系の完全性が急速に低下している地域 | ・GLOBIO |
| 物理的な水リスクが高い地域 | ・Aqueduct Water Risk Atlas |
| 先住民族、地域コミュニティ等への便益を含む生態系サービスの提供にとって重要な地域 | ・Global Forest Watch ・Critical Natural Asset Layers |
(c) マテリアルな地域の判断に用いた指標
| 影響/依存 | サブカテゴリ1 | サブカテゴリ2 | 指標 |
| 影響 | 気候変動 | 温室効果ガス排出量 | Scope1,2排出量 |
| 資源使用/資源補充 | 水の使用 | 水リスク地域での取水 | |
| 汚染/汚染除去 | 温室効果ガス以外の大気汚染物質 | SOx排出量 | |
| NOx排出量 | |||
| ばいじん濃度 | |||
| 水質汚染 | BOD濃度 | ||
| 廃棄物 | 廃棄物焼却・埋立処分量 | ||
| 依存 | 供給 | 水の供給 | 取水量 |
③ 依存と影響の把握(Evaluateフェーズ)
事業活動における自然関連のリスク及び機会を識別するためには、自然への依存と影響を明らかにする必要があります。
当社グループは、直接操業である機械製造及びバリューチェーン上流の鉱物採掘に関するレポートや論文等に基づき、インパクト要因、環境資産及び生態系サービスを特定し、依存と影響の関連図を次のように整理しました。
⦅自然資本への依存と影響の関連図⦆

④ リスクと機会の評価(Assessフェーズ)及び対応策の検討(Prepareフェーズ)
自然資本への依存と影響の関連図や自然資本シナリオ分析をもとに、自然に関するリスクと機会の評価を行いました。自然資本シナリオ分析では、気候変動シナリオ分析における1.5℃シナリオに整合する自然保全シナリオ及び4℃シナリオに整合する自然劣化シナリオを設定しました。また、重要な自然関連のリスク及び機会に対する対応策の検討に当たっては、気候変動のリスク及び機会に対する対応策と関連付けて検討を行っています。
⦅自然資本シナリオの概要⦆
| 区分 | 概 要 | 参照した主な参考文献 |
| 自然保全シナリオ (1.5℃シナリオ と整合) | 自然保全に対して積極的な姿勢をとるという国際的な合意のもと自然関連政策が強化され、大気・水質汚染などの環境負荷は低減し、自然の保全が進みます。また、消費者の意識が自然の持続可能性を優先するように変化します。 | ・SSP1 ・TNFDシナリオ#1 Ahead of the game ・PRI FPS+Nature |
| 自然劣化シナリオ (4℃シナリオ と整合) | 自然保全に対する国際的な合意が得られず、自然関連政策が十分でないことから、自然の劣化が進みます。また、環境保護に対する消費者の意識は低く、資源の大量消費が継続します。 | ・SSP3 ・TNFDシナリオ#3 Sand in the gears |
⦅定義⦆
時間軸 短期:0~3年 中期:4~10年 長期:11~30年
⦅自然保全シナリオ⦆
| 分類 | 自然資本 ドライバー | 想定 | 発生段階 | リスク /機会 | 事業への影響 | 顕在 時期 | 対応策 |
| 政策・ 法規制 | 取水、環境負荷を含む自然保全政策の導入・厳格化 | バリューチェーンの上流にある鉱山において、自然保全政策が厳格化される | バリューチェーンの上流 | リスク | サプライヤーからの新地金の供給が不安定となり、新地金価格が高騰することによる調達費用の増加 | 中~ 長期 | ・小型・軽量製品の開発によるアルミ・銅合金・鋼材使用量の削減 ・樹脂材料への材質転化 ・リサイクルチェーンの構築 (リサイクルアルミ・銅合金・鋼材使用割合の拡大を含む) ・グローバル調達の最適化 ・調達ガイドラインの遵守 (自然関連の対応策) |
| 当社の生産工場における取水が制限される | 直接操業 | リスク | 取水制限に伴う操業停止による損失 | 中~ 長期 | ・生産/物流拠点の分散化 ・事前の対策及び被災時のBCPの策定 ・BCP対応予算の拡充 ・特に水不足のリスクが高い拠点における対策の実施や水不足発生時の備えの検討 ・水使用量の削減 ・水の再利用・循環の検討 例:雨水利用、循環システム | ||
| 市場 | 顧客の自然保全意識の高まり | 顧客の意識が自然保全を優先するように変化する | バリューチェーンの上流 | リスク | 新地金利用製品の需要減少による売上高の減少 | 中~ 長期 | ・リサイクルチェーンの構築 ・切粉・端材のリサイクル ・グローバル調達の最適化 |
| 機会 | リサイクル材利用製品の需要増加による売上高の増加 | 中~ 長期 | |||||
| 直接操業 | 機会 | 資源の使用量が少ない小型・軽量機器の需要増加による売上高の増加 | 中~ 長期 | ・製品バリエーションの充実 ・小型・軽量製品の拡充 ・リサイクルアルミ・銅合金・鋼材使用割合の拡大 ・生産/販売体制の強化 ・バイオマスなど新材料の使用 | |||
| 技術 | 天然資源をあまり使用しない製品に関する開発の進展 | 鉱物の使用量が少ない製品の開発が促進される | バリューチェーンの上流/直接操業 | リスク | 鉱物の資源効率化や代替材の開発を目的とした鉱物の省資源技術に関する研究開発費の増加 | 中~ 長期 | ・小型・軽量製品の開発(材料使用量削減) ・リサイクルアルミ・銅合金・鋼材使用割合の拡大 ・切粉・端材のリサイクル ・樹脂材料への材質転化 ・バイオマスなど新材料の使用 |
| 機会 | 鉱物の省資源化による調達費用の減少 | 中~ 長期 |
⦅自然劣化シナリオ⦆
| 分類 | 自然資本 ドライバー | 想定 | 発生段階 | リスク /機会 | 事業への影響 | 顕在 時期 | 対応策 |
| 物理 (急性) | 自然劣化による気象災害(洪水・大雨・台風等)の激甚化 | 気象災害に被災する | バリューチェーンの上流 | リスク | サプライヤーの気象災害被災に伴う納入遅延による損失 | 短~ 長期 | ・複数購買の推進 ・定期的な在庫保有日数の確認 ・定期的な洪水・高潮リスクの把握 ・新規サプライヤー選定時の洪水リスクの把握 |
| 直接操業 | リスク | 自社の気象災害被災による棚卸資産・固定資産の災害損失 | 短~ 長期 | ・生産/物流拠点の分散化 ・事前の対策及び被災時のBCPの策定 ・BCP対応予算の拡充 ・損害保険契約 ・在庫保管場所の見直し ・生産拠点の新設・移転時の気象災害リスクの評価 ・洪水の影響を受けやすい拠点における洪水発生時の備えの検討 | |||
| リスク | 自社の気象災害被災に伴う操業停止による損失 | 短~ 長期 | |||||
| 物理 (慢性) | 自然劣化による降雨パターンの変化 | 降雨の季節的な変動により、水不足が生じる | 直接操業 | リスク | 渇水による水不足に伴う操業停止による損失 | 短~ 長期 | ・生産/物流拠点の分散化 ・事前の対策及び被災時のBCPの策定 ・BCP対応予算の拡充 ・特に水不足のリスクが高い拠点における対策の実施や水不足発生時の備えの検討 ・水使用量の削減 ・水の再利用・循環の検討 例:雨水利用、循環システム |