有価証券報告書-第72期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の概要
①財政状態及び経営成績の状況
a. 財政状態
当連結会計年度末の総資産については、受取手形及び売掛金や現金及び預金は減少しましたが、無形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ5,724百万円増加し、287,510百万円となりました。受取手形及び売掛金は、5,962百万円減少し、60,094百万円となりました。また、現金及び預金は、2,763百万円減少し、35,642百万円となりました。一方、無形固定資産は、ソフトウェアやソフトウェア仮勘定が増加したことなどにより17,704百万円増加し、74,497百万円となりました。
負債については、借入金が10,786百万円増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ7,579百万円増加し、202,576百万円となりました。
純資産については、退職給付に係る調整累計額が3,316百万円増加したことや、当連結会計年度に第三者割当増資に伴う払込金2,299百万円はありましたが、当連結会計年度に親会社株主に帰属する当期純損失7,123百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,855百万円減少し、84,934百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、地政学的リスクが上昇するなか、米国においては堅調に推移し、欧州でも緩やかに回復するなど、当初の予想を上回る底堅い動きとなりました。わが国においても、好調な企業業績を背景に雇用・家計所得が改善し、個人消費も緩やかながら上向くなど、概ね順調な成長軌道を辿りました。
このような状況の中、当連結会計年度の売上は、円安の効果はありましたが、カーエレクトロニクスがOEM事業で減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ、5.5%減収の365,417百万円となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費の減少や原価率の良化はありましたが、売上の減少により、前連結会計年度に比べ71.3%減益の1,194百万円となりました。経常損益は、営業利益の減少に加え、前連結会計年度に計上した為替差益が、当連結会計年度には1,194百万円の為替差損に転じたことや、持分法による投資損失1,265百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度の2,966百万円の利益から、当連結会計年度は3,121百万円の損失となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損益は、経常損益が悪化したことなどにより、前連結会計年度の5,054百万円の損失から7,123百万円の損失となりました。
当連結会計年度の平均為替レートは、前連結会計年度に比べ、対米ドルは2.2%円安の1米ドル=110円85銭、対ユーロは8.4%円安の1ユーロ=129円70銭となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりです。
<カーエレクトロニクス事業>カーエレクトロニクスの売上は、円安の効果はありましたが、OEM事業が減少したことにより、前連結会計年度に比べ4.2%減収の299,324百万円となりました。
市販事業は前連結会計年度並みとなりました。これは、カーナビゲーションシステムは主に北米や国内で減少し減収となりましたが、自動車保険向けのテレマティクスサービスが好調に推移したことや、円安の効果もありカーオーディオが主に欧州や中南米で増加し増収となったことによるものです。
OEM事業は減収となりました。カーオーディオは、北米で減少しましたが、主に国内や中国で増加したことから増収となりました。カーナビゲーションシステムは、主に国内で減少したことにより減収となりました。
なお、カーエレクトロニクス全体の売上に占めるOEMの売上構成比は、前連結会計年度の60%から58%となりました。
国内外別の売上については、国内は7.7%減収の114,089百万円、海外は前連結会計年度並みの185,235百万円となりました。
営業利益は、売上の減少に加え、為替の影響による原価率の悪化や販売費及び一般管理費の増加があったことから、前連結会計年度に比べ82.4%減益の1,067百万円となりました。
(注) 上記セグメントごとの業績の記載数値につきましては、従来、カーエレクトロニクスにおいて「市販事業」に含まれていた海外のカーナビゲーションシステムの一部を、当連結会計年度から「OEM事業」に変更しています。これに伴い、前連結会計年度の数値についても、変更後の区分方法に基づいて組替表示しています。
<その他事業>その他の売上は、ホームAVの減少や、CATV関連機器事業の譲渡の影響があったことなどにより、前連結会計年度に比べ10.9%減収の66,093百万円となりました。
国内外別の売上については、国内は3.5%減収の37,721百万円、海外は19.2%減収の28,372百万円となりました。
営業損益は、売上は減少しましたが、原価率の良化や販売費及び一般管理費の減少により、前連結会計年度の780百万円の損失から383百万円の利益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,771百万円減少し、35,634百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べて収入が3,671百万円減少して15,943百万円の収入となりました。これは、売上債権の減少額が4,024百万円縮小したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ支出が851百万円減少して33,158百万円の支出となりました。これは、投資有価証券の取得による支出が2,674百万円増加しましたが、固定資産の取得による支出が4,201百万円減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
借入金の純増額が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ収入が12,818百万円増加し、14,264百万円の収入となりました。
また、外貨建の現金及び現金同等物の換算差額は、前連結会計年度の639百万円のマイナスから当連結会計年度は180百万円のプラスとなりました。
③生産、受注および販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| カーエレクトロニクス | 300,025 | △4.0 |
| その他 | 65,825 | △10.2 |
| 合計 | 365,850 | △5.2 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、販売価額によっています。
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当社グループは、原則として需要予測による製品の見込生産を行っています。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| カーエレクトロニクス | 299,324 | △4.2 |
| その他 | 66,093 | △10.9 |
| 合計 | 365,417 | △5.5 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |||
| 販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | ||
| トヨタ自動車株式会社 | 61,856 | 16.0 | 54,068 | 14.8 | |
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月27日)現在において当社グループが判断したものです。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。
重要な会計方針および見積りについては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における「4 会計方針に関する事項」において詳細を記載しています。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a. 売上高
当連結会計年度の売上は、円安の効果はありましたが、カーエレクトロニクスがOEM事業で減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ、5.5%減収の365,417百万円となりました。
カーエレクトロニクスの売上は、円安の効果はありましたが、OEM事業が減少したことにより、前連結会計年度に比べ4.2%減収の299,324百万円となりました。
市販事業は前連結会計年度並みとなりました。これは、カーナビゲーションシステムは主に北米や国内で減少し減収となりましたが、自動車保険向けのテレマティクスサービスが好調に推移したことや、円安の効果もありカーオーディオが主に欧州や中南米で増加し増収となったことによるものです。
OEM事業は減収となりました。カーオーディオは、北米で減少しましたが、主に国内や中国で増加したことから増収となりました。カーナビゲーションシステムは、主に国内で減少したことにより減収となりました。
なお、カーエレクトロニクス全体の売上に占めるOEM事業の売上構成比は、前連結会計年度の60%から58%となりました。国内外別の売上については、国内は7.7%減収の114,089百万円、海外は前連結会計年度並みの185,235百万円となりました。
その他の売上は、ホームAVの減少や、CATV関連機器事業の譲渡の影響があったことなどにより、前連結会計年度に比べ10.9%減収の66,093百万円となりました。
(注) 上記セグメントごとの業績の記載数値につきましては、従来、カーエレクトロニクスにおいて「市販事業」に含まれていた海外のカーナビゲーションシステムの一部を、当連結会計年度から「OEM事業」に変更しています。これに伴い、前連結会計年度の数値についても、変更後の区分方法に基づいて組替表示しています。
b. 営業利益
売上原価は、前連結会計年度の317,497百万円から減少して299,896百万円となりました。売上に対する売上原価の比率は、前連結会計年度並みの82.1%となりました。また、販売費及び一般管理費については、主に特許料などが減少したことにより、前連結会計年度の65,018百万円から減少して64,327百万円となりました。以上のように、販売費及び一般管理費の減少はありましたが、売上の減少により、営業利益は、前連結会計年度の4,167百万円から減少して1,194百万円となりました。なお、売上原価および販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は8.3%上昇して25,852百万円となり、売上高に対する比率は7.1%となりました。
c. 営業外損益
主に為替差損益が前連結会計年度の利益から当連結会計年度に損失となったことにより、営業外収益は前連結会計年度の1,338百万円から509百万円となりました。一方、営業外費用は、前連結会計年度の2,539百万円から増加して4,824百万円となりました。経常損益は、前連結会計年度の2,966百万円の利益から減少して、3,121百万円の損失となりました。
d. 特別損益
特別利益は、主に前連結会計年度に固定資産売却益831百万円を計上したことにより、前連結会計年度の831百万円から減少して240百万円となりました。特別損失は、主に前連結会計年度にCATV関連機器事業の譲渡に伴う事業譲渡損失を1,191百万円、事業構造改善費用を3,014百万円計上したことにより、前連結会計年度の6,110百万円から減少して1,780百万円となりました。
e. 税金等調整前当期純損益
これらの結果、税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度の2,313百万円の損失から、当連結会計年度は4,661百万円の損失となりました。
f. 法人税等合計
法人税等合計は、主に税金等調整前当期純損益が悪化したことにより、前連結会計年度の2,949百万円から減少して2,631百万円となりました。
g. 親会社株主に帰属する当期純損益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度の5,054百万円の損失から7,123百万円の損失となりました。
h. 資本の財源および資金の流動性についての分析
・資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、市場販売目的ソフトウェアや重要な設備の新設、拡充、改修等に要する設備資金や各事業に係る運転資金の他、持続的な成長のための投資です。
なお、当連結会計年度後1年間における重要な設備の新設、拡充、改修等に係る設備投資計画(無形固定資産を含む)については、現在、カーエレクトロニクスOEM事業の抜本的な見直し施策の検討および協議を進めており、未定です。
・財務政策
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。運転資金および設備資金等については、自己資金または借入金および社債により調達しています。
翌連結会計年度予想の連結営業利益は5,000百万円の損失を見込んでいますが、在庫圧縮や投資削減、売却できる資産の売却などの自助努力を前提にしつつも、カーエレクトロニクスOEM事業の抜本的な見直し施策を詰めていく上で、様々な資金調達プランの検討を進めてまいります。
i. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高および営業利益を重要な経営指標として位置付けています。当連結会計年度における連結売上高は、平成29年5月12日に公表した連結業績予想(以下「当初予想」という。)の390,000百万円に比べ、24,583百万円減収の365,417百万円となり、連結営業利益は、当初予想の10,000百万円に比べ8,806百万円減益の1,194百万円となりました。
また、当連結会計年度では連結業績予想の下方修正を行いました。連結売上高の下方修正は、新興国の市況悪化や他社競合によるカーエレクトロニクス市販事業の売上減少および受注状況反映によるOEM事業の売上減少が主な要因です。その結果、連結営業利益は、経費削減はあったものの、売上総利益の減少に加え為替影響や部材コストの上昇等で原価率が悪化したことにより当初予想を下回りました。
厳しい収益状況が続いているOEM事業においては、ビジネスパートナーとの合弁会社化なども含め、現在、抜本的な見直し施策の検討および協議を進めており、早期の黒字化に全力で取り組んでまいります。
収益の柱である市販事業においては、再び利益拡大に向けて、スマートフォン連携機能を強化した新製品のタイムリーな市場導入や、音を中心としたエンタテインメント性の追求により、パイオニアならではのコネクテッドカーライフを推進してまいります。また、自動車保険向けのテレマティクスサービスや、法人車両向け運行管理サービス「ビークルアシスト」など、ハードとソフトを組み合わせた新規事業を積極的に強化してまいります。
将来の成長ドライバーである地図事業・自動運転関連では、自動運転に必須となる走行空間センサー「3D-LiDAR(ライダー)」の製品化に向け、サンプル出荷を通じた評価、検証を進めております。また、オランダの地図および位置情報サービスのグローバルプロバイダーであるHERE Technologiesとの連携強化や、高精度地図の開発など、自動運転の時代に『なくてはならない会社』の実現に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
翌連結会計年度は、将来の成長に向けた自動運転関連事業を着実に立ち上げるためにも、OEM事業の抜本的な見直し施策の実施により、収益性回復の道筋をつける一年とすべく、全力で取り組んでまいります。