有価証券報告書-第84期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在における予想や一定の前提に基づくものであり、これらの記載は実際の結果と異なる可能性があるとともに、その達成を保証するものではありません。
(1)経営の基本方針
エプソンのあらゆる企業活動の中心にはパーパスがあります。エプソンのパーパス「『省・小・精』から生み出す価値で、人と地球を豊かに彩る」は、エプソンが社会に対してどのような価値を提供する存在であるかを定めるとともに、エプソンならではの存在意義と志を社内外に示したものです。そして、エプソンは、グループの価値観・行動様式を定めた「エプソンウェイ」の普遍的な考え方である経営理念を礎とし、ビジョンによりパーパスを実現することで社会へと新しい価値を提供します。これにより、将来にわたって持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図ってまいります。
⦅理念構造⦆
(2)前長期ビジョン「Epson 25 Renewed」(2021年度-2025年度)の振り返り
①主な成果
「Epson 25 Renewed」ではビジョンステートメントを「『省・小・精の技術』とデジタル技術で人・モノ・情報がつながる、持続可能でこころ豊かな社会を共創する」と定めました。このビジョンステートメントのもと取り組みを進め、さまざまな成果がありました。
●インクジェット技術による成長
・中国市場の攻略などインクジェットヘッド外販事業が大幅に成長
●新興市場でのビジネスが拡大
・大容量インクタンクモデルの売上収益が大きく伸長
・インドで製造拠点を開設
●構造改革の進展
・プロジェクター、ウエアラブルプロダクツの収益性が改善
●将来成長に向けた投資
・将来成長戦略に向けFieryを買収
・ドバイに販売会社を新設、中東・アフリカ地域をさらに強化
●先進的なサステナビリティ活動の推進
・グローバル全拠点の100%再生可能エネルギー化を達成
・サステナビリティに対する取り組みへの高い外部評価
②財務目標
「Epson 25 Renewed」では、2025年度の目標に対して、ROIC(※1)、ROE、ROSとも未達となりました。
※1 税引後事業利益/(親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債)
※2 2024年4月更新
③課題と対応
「Epson 25 Renewed」では、大きく二つの課題が残りました。
一つ目は、資本効率のさらなる改善です。コロナ禍を機に市場供給を優先したオペレーション体制としましたが、それ以降の市場変化に応じた対応が遅れ、資本効率が低下しました。さらに、物価上昇といったコスト上昇圧力等により収益が圧迫されました。
二つ目は、成長領域の立ち上げが遅れました。外部環境変化もありましたが、成長期待領域への資源配分が十分でなく、成長も未達となりました。
これらの課題も認識したうえで、新長期ビジョンを策定しました。
(3)新長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の考え方
エプソンは、2026年3月に、2035年に向けた新たな長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」を策定しました。エプソンは、「省・小・精」の技術・思想を基盤として、精密技術と現場で培った知見を掛け合わせ、最適解を産業と社会に実装していくことを通して、「産業の生産性と信頼性を高め、持続可能な成長を実現すること」「学び・働き・暮らしに新たな価値を創出し可能性を広げていくこと」「人と地球がともに前に進み続けられるよう、社会価値と企業価値を同時に高めていくこと」を、「ENGINEERED FUTURE 2035」で目指す姿と定めています。
また、「ENGINEERED FUTURE 2035」では、10年間を三つのPhaseに分けました。
2026年度から2028年度までの中期経営計画をPhase 1と定め、成長に向けた事業基盤の変革を進めます。2029年度から2031年度はPhase 2として、Phase 1で構築した基盤をもとに成長モデルへの転換を加速し完了します。 2032年度から2035年度はPhase 3として、成長を生み続ける事業構造を確立します。

(4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
①中期経営計画骨子
エプソンは、「Epson 25 Renewed」で顕在化した、資本効率の低下と成長領域への資源配分不足を優先的に対処すべき課題と認識しています。
これらの課題に対して、Phase 1においては「収益基盤の変革」と「成長領域への資源集中投下」を実行します。それにより、2028年度までにROIC 8.0%の達成を目指します。
(収益基盤の変革)
グローバルオペレーション改革による効率化と、地域戦略・収益モデルの変革を一体で推進します。
効率化においては、本社・事業部における投資規律の強化、グローバルでのIT基盤共通化、主要海外製造拠点の間接費削減を進めるとともに、販売体制における人員最適化やバックオフィス機能の集約を推進します。さらに、需要予測・供給計画機能の強化および生産オペレーションの効率化を図り、在庫水準の適正化を進めます。
これらの取り組みにより、固定費の圧縮を中心に3年間累計で260億円の収益改善効果を見込むとともに、棚卸資産回転率の約0.5回転の改善を目指すことを通じて、投下資本の圧縮につなげていきます。
販売面においては、今後も伸長が見込まれる新興市場や成長余地が大きい国や地域へ積極的に投資を行うとともに、現地パートナーとの連携強化や拠点機能の拡充を図ります。加えて、業界ごとのニーズに最適なソリューション提供を強化していくとともに、継続的な収益が見込めるビジネスモデルを拡大し、収益モデルを変革します。
(成長領域への資源集中投下)
成長領域を再定義し、事業セグメントの再編を行うことで、各事業の役割を明確化し、資本効率を重視した経営資源配分を推進します。
具体的には、インクジェットソリューションズ事業、マイクロデバイス事業、エプソンアトミックス(微細合金粉末)事業を中核とする「プレシジョンイノベーションセグメント」を成長エンジンと位置付け、積極的な投資により競争優位性の強化と事業拡大を図ります。また、「インダストリアル&ロボティクスセグメント」はPhase 2での本格成長を見据えた戦略領域として位置付け、商業・産業プリンティング事業およびロボティクス事業において事業基盤の強化を進めます。
一方、「オフィス・ホームプリンティングセグメント」および「ビジュアル&ライフスタイルセグメント」は、安定的な収益基盤として位置付け、効率化と収益性向上を通じて、成長領域への投資を支える役割を担います。

②事業戦略
<プレシジョンイノベーションセグメント>当セグメントは、Phase 1で特に売上・利益成長を期待している領域です。
付加価値の高い産業用途の成長市場における事業群であり、プリントヘッドを中心としたインクジェットソリューションズ事業、タイミングデバイスを中心としたマイクロデバイス事業、微細合金粉末による高機能金属材料の開発、製造、販売を行うエプソンアトミックス事業から構成されます。
インクジェットソリューションズ事業は、熱を使わず、材料を必要な場所に必要な量だけ正確に吐出できるエプソンのインクジェット技術であるマイクロピエゾによって、電子部品、太陽光発電装置、バイオなどの幅広い産業プロセスを変革できるポテンシャルがあると認識しています。さらに、ハードウェアとしてのプリントヘッドの提供のみならず、長年の商品開発のなかで培った駆動制御、インク、画像処理といった周辺技術もソリューションとして提供することができます。また、応用領域を拡大するため、自社の取り組みに加えて、出資や共同開発なども積極的に活用することでさらなる成長を目指します。
マイクロデバイス事業は、AIや自動運転などのモビリティを中心として大容量・高速演算、高速通信の需要の急速な進展に伴い、大きな機会が生まれています。エプソンは、水晶の製造技術と半導体のロジック設計を組み合わせた高精度なタイミングデバイスを作り出せる強みを持っています。そのため、高精度・低消費電力・小型化をすべて統合設計して実現し、技術進化をさせることが可能です。こうした特徴を生かして市場開拓を進めていきます。
<インダストリアル&ロボティクスセグメント>当セグメントは、競争優位にある商業・産業印刷やロボティクス応用をさらに強化し、需要創出も自らしながら、Phase 2に向かってさらなる成長を期待する領域です。
商業・産業プリンティング事業は、完成品として高生産機を中心にラインアップを充実させるとともに、ソリューション提供の強化により、お客様のアナログ印刷からデジタル印刷への転換を後押ししていきます。
ロボティクス事業は、エプソンの強みであるセンシングと制御技術に加え新たにAI技術なども統合することで、製造業種にとどまらずさまざまなサービス領域や省人化需要に対して、長くお使いいただけるビジネスモデルを提供します。こうした活動のなかでお客様との緊密な関係を作り上げ、将来の成長につながる事業基盤を形成していきます。
<オフィス・ホームプリンティングセグメント>当セグメントは、効率的な事業オペレーションを追求しながら、安定収益基盤としてエプソンの成長セグメントへの投資を支える領域です。また、当セグメントは、エプソンに大きな三つの強み・資産をもたらしています。
・全世界の市場稼働台数をベースにしたB2C、B2Bのお客様基盤
・新興市場での成長とエプソンブランドへの信頼
・高い生産能力を背景にしたグローバルサプライチェーンの競争力
オフィス・ホームIJP事業は、大容量インクタンクモデルを中心としてインクジェットの応用により新たな市場を作り上げた実績をベースに、オフィスや特定用途向けにおいてもインクジェットへの転換を着実に進めています。また、成長余地が大きい国や地域への展開を継続して、新興市場では市場伸長率以上の成長を目指し、シェアを高めていきます。さらに、こうした販売力に加え、現地での企画設計力、ソリューション提案力を磨き、継続的な需要充足のためのビジネスモデルを提供していきます。
<ビジュアル&ライフスタイルセグメント>当セグメントは、独自性の高い技術を生かした収益基盤としての領域です。
ビジュアルプロダクツ事業は、市場そのものの成長課題はありますが、教育やプロジェクションマッピングや没入感のある体験などプロジェクション技術が必要とされる領域にさらに特化して需要を開拓することで、高い市場シェアを維持することを目指します。さらに、構造改革を完遂させることで、これまで以上に安定的に利益を創出していきます。
ウエアラブルプロダクツ事業はエプソンにとって大切な祖業としての位置付けです。独自性の高い技術力を生かした商品力・ものづくりを磨き上げるとともに、オペレーションを効率化し収益性を向上させていきます。
③財務目標
エプソンは、Phase 1で掲げた事業基盤の変革という目的を踏まえ、2028年度の目標を次のとおりといたします。
※3 4事業セグメント利益合算値に占める同領域の構成比
④キャッシュ・アロケーション
エプソンは、財務健全性を維持しながら成長投資と株主還元を両立させていきます。
2026年度から2028年度までの3年間で営業活動によるキャッシュ・フローは約5,600億円(※4)を見込みます。その原資を、戦略投資も含め、プレシジョンイノベーションセグメントやインダストリアル&ロボティクスセグメントといった成長領域へ積極的に投下します。株主還元については、DOE(株主資本配当率)3%を配当の下限とします。また、今後3年間で合計800億円の自己株式の取得を予定しており、積極的な還元を図ります。
■中期経営計画Phase 1キャッシュ・アロケーション
※4 研究開発費控除前
(5)「環境ビジョン2050」の考え方
エプソンは、以下のとおり持続可能な社会の前提である環境への取り組みに関するビジョン「環境ビジョン2050」を策定し、2050年に達成する目標と、その実現に向けた取り組みを定めています。
※5 原油、金属などの枯渇性資源
※6 SBTイニシアチブ(Science Based Targets initiative)のクライテリアに基づく科学的な知見と整合した温室
効果ガスの削減目標
(1)経営の基本方針
エプソンのあらゆる企業活動の中心にはパーパスがあります。エプソンのパーパス「『省・小・精』から生み出す価値で、人と地球を豊かに彩る」は、エプソンが社会に対してどのような価値を提供する存在であるかを定めるとともに、エプソンならではの存在意義と志を社内外に示したものです。そして、エプソンは、グループの価値観・行動様式を定めた「エプソンウェイ」の普遍的な考え方である経営理念を礎とし、ビジョンによりパーパスを実現することで社会へと新しい価値を提供します。これにより、将来にわたって持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図ってまいります。
⦅理念構造⦆
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(2)前長期ビジョン「Epson 25 Renewed」(2021年度-2025年度)の振り返り
①主な成果
「Epson 25 Renewed」ではビジョンステートメントを「『省・小・精の技術』とデジタル技術で人・モノ・情報がつながる、持続可能でこころ豊かな社会を共創する」と定めました。このビジョンステートメントのもと取り組みを進め、さまざまな成果がありました。
●インクジェット技術による成長
・中国市場の攻略などインクジェットヘッド外販事業が大幅に成長
●新興市場でのビジネスが拡大
・大容量インクタンクモデルの売上収益が大きく伸長
・インドで製造拠点を開設
●構造改革の進展
・プロジェクター、ウエアラブルプロダクツの収益性が改善
●将来成長に向けた投資
・将来成長戦略に向けFieryを買収
・ドバイに販売会社を新設、中東・アフリカ地域をさらに強化
●先進的なサステナビリティ活動の推進
・グローバル全拠点の100%再生可能エネルギー化を達成
・サステナビリティに対する取り組みへの高い外部評価
②財務目標
「Epson 25 Renewed」では、2025年度の目標に対して、ROIC(※1)、ROE、ROSとも未達となりました。
| 目標 | 2025年度 目標(※2) | 2025年度 実績 |
| ROIC | 7.0%以上 | 5.5% |
| ROE | 8.0%以上 | 2.2% |
| ROS | 7.0%以上 | 5.9% |
※1 税引後事業利益/(親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債)
※2 2024年4月更新
③課題と対応
「Epson 25 Renewed」では、大きく二つの課題が残りました。
一つ目は、資本効率のさらなる改善です。コロナ禍を機に市場供給を優先したオペレーション体制としましたが、それ以降の市場変化に応じた対応が遅れ、資本効率が低下しました。さらに、物価上昇といったコスト上昇圧力等により収益が圧迫されました。
二つ目は、成長領域の立ち上げが遅れました。外部環境変化もありましたが、成長期待領域への資源配分が十分でなく、成長も未達となりました。
これらの課題も認識したうえで、新長期ビジョンを策定しました。
(3)新長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の考え方
エプソンは、2026年3月に、2035年に向けた新たな長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」を策定しました。エプソンは、「省・小・精」の技術・思想を基盤として、精密技術と現場で培った知見を掛け合わせ、最適解を産業と社会に実装していくことを通して、「産業の生産性と信頼性を高め、持続可能な成長を実現すること」「学び・働き・暮らしに新たな価値を創出し可能性を広げていくこと」「人と地球がともに前に進み続けられるよう、社会価値と企業価値を同時に高めていくこと」を、「ENGINEERED FUTURE 2035」で目指す姿と定めています。
また、「ENGINEERED FUTURE 2035」では、10年間を三つのPhaseに分けました。
2026年度から2028年度までの中期経営計画をPhase 1と定め、成長に向けた事業基盤の変革を進めます。2029年度から2031年度はPhase 2として、Phase 1で構築した基盤をもとに成長モデルへの転換を加速し完了します。 2032年度から2035年度はPhase 3として、成長を生み続ける事業構造を確立します。

(4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
①中期経営計画骨子
エプソンは、「Epson 25 Renewed」で顕在化した、資本効率の低下と成長領域への資源配分不足を優先的に対処すべき課題と認識しています。
これらの課題に対して、Phase 1においては「収益基盤の変革」と「成長領域への資源集中投下」を実行します。それにより、2028年度までにROIC 8.0%の達成を目指します。
(収益基盤の変革)
グローバルオペレーション改革による効率化と、地域戦略・収益モデルの変革を一体で推進します。
効率化においては、本社・事業部における投資規律の強化、グローバルでのIT基盤共通化、主要海外製造拠点の間接費削減を進めるとともに、販売体制における人員最適化やバックオフィス機能の集約を推進します。さらに、需要予測・供給計画機能の強化および生産オペレーションの効率化を図り、在庫水準の適正化を進めます。
これらの取り組みにより、固定費の圧縮を中心に3年間累計で260億円の収益改善効果を見込むとともに、棚卸資産回転率の約0.5回転の改善を目指すことを通じて、投下資本の圧縮につなげていきます。
販売面においては、今後も伸長が見込まれる新興市場や成長余地が大きい国や地域へ積極的に投資を行うとともに、現地パートナーとの連携強化や拠点機能の拡充を図ります。加えて、業界ごとのニーズに最適なソリューション提供を強化していくとともに、継続的な収益が見込めるビジネスモデルを拡大し、収益モデルを変革します。
(成長領域への資源集中投下)
成長領域を再定義し、事業セグメントの再編を行うことで、各事業の役割を明確化し、資本効率を重視した経営資源配分を推進します。
具体的には、インクジェットソリューションズ事業、マイクロデバイス事業、エプソンアトミックス(微細合金粉末)事業を中核とする「プレシジョンイノベーションセグメント」を成長エンジンと位置付け、積極的な投資により競争優位性の強化と事業拡大を図ります。また、「インダストリアル&ロボティクスセグメント」はPhase 2での本格成長を見据えた戦略領域として位置付け、商業・産業プリンティング事業およびロボティクス事業において事業基盤の強化を進めます。
一方、「オフィス・ホームプリンティングセグメント」および「ビジュアル&ライフスタイルセグメント」は、安定的な収益基盤として位置付け、効率化と収益性向上を通じて、成長領域への投資を支える役割を担います。

②事業戦略
<プレシジョンイノベーションセグメント>当セグメントは、Phase 1で特に売上・利益成長を期待している領域です。
付加価値の高い産業用途の成長市場における事業群であり、プリントヘッドを中心としたインクジェットソリューションズ事業、タイミングデバイスを中心としたマイクロデバイス事業、微細合金粉末による高機能金属材料の開発、製造、販売を行うエプソンアトミックス事業から構成されます。
インクジェットソリューションズ事業は、熱を使わず、材料を必要な場所に必要な量だけ正確に吐出できるエプソンのインクジェット技術であるマイクロピエゾによって、電子部品、太陽光発電装置、バイオなどの幅広い産業プロセスを変革できるポテンシャルがあると認識しています。さらに、ハードウェアとしてのプリントヘッドの提供のみならず、長年の商品開発のなかで培った駆動制御、インク、画像処理といった周辺技術もソリューションとして提供することができます。また、応用領域を拡大するため、自社の取り組みに加えて、出資や共同開発なども積極的に活用することでさらなる成長を目指します。
マイクロデバイス事業は、AIや自動運転などのモビリティを中心として大容量・高速演算、高速通信の需要の急速な進展に伴い、大きな機会が生まれています。エプソンは、水晶の製造技術と半導体のロジック設計を組み合わせた高精度なタイミングデバイスを作り出せる強みを持っています。そのため、高精度・低消費電力・小型化をすべて統合設計して実現し、技術進化をさせることが可能です。こうした特徴を生かして市場開拓を進めていきます。
<インダストリアル&ロボティクスセグメント>当セグメントは、競争優位にある商業・産業印刷やロボティクス応用をさらに強化し、需要創出も自らしながら、Phase 2に向かってさらなる成長を期待する領域です。
商業・産業プリンティング事業は、完成品として高生産機を中心にラインアップを充実させるとともに、ソリューション提供の強化により、お客様のアナログ印刷からデジタル印刷への転換を後押ししていきます。
ロボティクス事業は、エプソンの強みであるセンシングと制御技術に加え新たにAI技術なども統合することで、製造業種にとどまらずさまざまなサービス領域や省人化需要に対して、長くお使いいただけるビジネスモデルを提供します。こうした活動のなかでお客様との緊密な関係を作り上げ、将来の成長につながる事業基盤を形成していきます。
<オフィス・ホームプリンティングセグメント>当セグメントは、効率的な事業オペレーションを追求しながら、安定収益基盤としてエプソンの成長セグメントへの投資を支える領域です。また、当セグメントは、エプソンに大きな三つの強み・資産をもたらしています。
・全世界の市場稼働台数をベースにしたB2C、B2Bのお客様基盤
・新興市場での成長とエプソンブランドへの信頼
・高い生産能力を背景にしたグローバルサプライチェーンの競争力
オフィス・ホームIJP事業は、大容量インクタンクモデルを中心としてインクジェットの応用により新たな市場を作り上げた実績をベースに、オフィスや特定用途向けにおいてもインクジェットへの転換を着実に進めています。また、成長余地が大きい国や地域への展開を継続して、新興市場では市場伸長率以上の成長を目指し、シェアを高めていきます。さらに、こうした販売力に加え、現地での企画設計力、ソリューション提案力を磨き、継続的な需要充足のためのビジネスモデルを提供していきます。
<ビジュアル&ライフスタイルセグメント>当セグメントは、独自性の高い技術を生かした収益基盤としての領域です。
ビジュアルプロダクツ事業は、市場そのものの成長課題はありますが、教育やプロジェクションマッピングや没入感のある体験などプロジェクション技術が必要とされる領域にさらに特化して需要を開拓することで、高い市場シェアを維持することを目指します。さらに、構造改革を完遂させることで、これまで以上に安定的に利益を創出していきます。
ウエアラブルプロダクツ事業はエプソンにとって大切な祖業としての位置付けです。独自性の高い技術力を生かした商品力・ものづくりを磨き上げるとともに、オペレーションを効率化し収益性を向上させていきます。
③財務目標
エプソンは、Phase 1で掲げた事業基盤の変革という目的を踏まえ、2028年度の目標を次のとおりといたします。
| 目標 | 2025年度 実績 | 2028年度 目標 |
| 売上収益 | 14,133億円 | 15,000億円 |
| ROIC | 5.5% | 8.0% |
| ROE | 2.2% | 10.0% |
| ROS | 5.9% | 8.0% |
| 産業領域 事業利益構成比(※3) | 45% | 60% |
※3 4事業セグメント利益合算値に占める同領域の構成比
④キャッシュ・アロケーション
エプソンは、財務健全性を維持しながら成長投資と株主還元を両立させていきます。
2026年度から2028年度までの3年間で営業活動によるキャッシュ・フローは約5,600億円(※4)を見込みます。その原資を、戦略投資も含め、プレシジョンイノベーションセグメントやインダストリアル&ロボティクスセグメントといった成長領域へ積極的に投下します。株主還元については、DOE(株主資本配当率)3%を配当の下限とします。また、今後3年間で合計800億円の自己株式の取得を予定しており、積極的な還元を図ります。
■中期経営計画Phase 1キャッシュ・アロケーション
※4 研究開発費控除前(5)「環境ビジョン2050」の考え方
エプソンは、以下のとおり持続可能な社会の前提である環境への取り組みに関するビジョン「環境ビジョン2050」を策定し、2050年に達成する目標と、その実現に向けた取り組みを定めています。
| 項目 | 内容 |
| ビジョン ステートメント | 2050年に「カーボンマイナス」と「地下資源(※5)消費ゼロ」を達成し、持続可能でこころ豊かな社会を実現する |
| 達成目標 | 2030年:1.5℃シナリオ(※6)に沿った総排出量削減 2050年:「カーボンマイナス」、「地下資源(※5)消費ゼロ」 |
| アクション | ●商品・サービスやサプライチェーンにおける環境負荷の低減 ●オープンで独創的なイノベーションによる循環型経済の牽引と産業構造の革新 ●国際的な環境保全活動への貢献 |
※5 原油、金属などの枯渇性資源
※6 SBTイニシアチブ(Science Based Targets initiative)のクライテリアに基づく科学的な知見と整合した温室
効果ガスの削減目標

