有価証券報告書-第83期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/25 11:31
【資料】
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【項目】
170項目
②戦略
■ 求める人材像
経営戦略の実現・事業遂行のため、エプソンは、パーパス、エプソンウェイの浸透と、長期ビジョンに定めた事業の方向性の共有をベースとしながら、広い視野と高い専門性を持って変化に素早く対応し、お客様の立場に立って自立的・自律的にお客様価値を作り上げることのできる人材を必要としています。
今後さらに国内での少子高齢化や労働人口減少が進むことも見据え、グローバルベースでの人材ポートフォリオ策定に取り組んでいます。当期は、スキルと行動特性を軸に人材要件を定義し、現状(As-is)の人材ポートフォリオを可視化する取り組みを、事業部・本部の7割において完了しました。次のステップとして、2025年度は、早々に残りの事業部・本部のAs-isを完了させ、現在進められている次期長期ビジョンの経営戦略策定に並走して人材ポートフォリオのあるべき姿(To-be)を描き、量的・質的両面で現状とのギャップを把握します。これにより、経営戦略に沿って採用、リスキリング、最適配置等の施策を適切に展開し、全社最適人員構造を構築し、中長期戦略の実現に資する人材戦略の策定につなげていきます。
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■ 人材戦略と機会、リスク
エプソンは、求める人材像で描く人づくりと、多様な人材が存分に活躍できる組織カルチャー醸成を中心に据えた人材戦略を掲げています。リスク・機会を下記のとおり評価したうえで、「強化領域への人材重点配置」「人材育成強化」「組織活性化」の3つの人材戦略に取り組んでいます。
人材戦略機会(〇)リスク(●)
強化領域への
人材の重点配置
〇強化領域(成長領域や新領域等)への人材の重点投入、最適配置による事業成長の加速
〇意欲に応え、やりがいや成長機会を提供することによる社員のモチベーション、エンゲージメントの向上、生産性向上
●必要な人員の質・量を確保できないことによる、事業遂行上の障害の発生
●その結果として、成長機会の逸失と財務的損失
人材育成強化〇社員一人ひとりの価値向上による創出価値の拡大
〇やりがいや成長機会の提供に対し、社員が成長を実感することによるモチベーション、エンゲージメントの向上、生産性向上
●必要な能力・スキルを獲得し、変化に対応できる人材を育成できないことによる事業遂行への障害、財務的損失
●学びの意欲や成長への期待に応えられないことによる社員のモチベーションの低下、離職の増加
組織活性化〇多様な人材の多様な発想・創造力によるイノベーションが起きやすい環境の醸成
〇優秀な人材の確保、定着化による採用コストの削減、競争力の向上
〇多様な人材が存分に活躍できる環境を整備することによるモチベーション、エンゲージメントの向上、生産性向上
●社員のモラルやモチベーションの低下による業務効率の悪化、コンプライアンス違反の発生、倫理観の欠如等による信頼の失墜
●ハラスメントの発生、心身の健康への悪影響等によるモチベーションやチームで働く力の低下、その他働く場におけるさまざまな人権侵害のリスク
●労働事故発生等による追加コスト

■ 人材育成方針
人材戦略① 強化領域への重点配置
エプソンでは、事業運営の基盤として、将来の要員構造の推移の予測と、事業戦略を実現するための要員ニーズに基づいて要員計画を策定しています。中期的には、新卒・中途を合わせて、毎年350人以上の採用を計画的・安定的に行う方針です。
成長領域であるプリンティング(オフィス、商業・産業)、新領域である環境ビジネス・環境技術などの分野へは、採用した人員の重点配置に加え、内部人材へ専門教育・転換教育等を行って強化領域に投入するリソースシフトを強力に推進するとともに、人材要件を明確にしたうえで外部からマネジメント人材やDXを含むスペシャリストを獲得し、配置しています。
2024年度、新卒・中途採用および社内公募による全要員配置人数549人のうち、380人が強化領域への配置となっています。
人材戦略② 人材育成強化
<人材育成>エプソンでは年1回、各組織において要員状況を俯瞰し、また管理職等の重要ポジションの役割や要件を定義し、それに基づき後継計画を策定しています。また将来の経営層・管理職層、グローバル人材の候補者をリストアップし、育成計画を策定しています。
人材育成は、業務を通じた育成(OJT)を基礎に、教育体系を整備して階層別の教育や各種の専門教育をOFF-JTとして行っているほか、個々の変化対応力を強化し、またバリューチェーンの効果的・効率的な運営に資するため、本人の能力や経験・知識の幅を広げるローテーションに積極的に取り組んでいます。
リーダー人材の育成には、選抜型の階層別教育プログラムを整備しています。
さらに今後は、人材ポートフォリオを活用して、新たな職場・職種で働くために必要なスキルや行動特性などの要件を明らかにし、それに基づき早期に活躍するために必要な専門教育・転換教育を受けられるリスキリングの仕組みを整備し、強化領域への重点配置を進めると同時に、社員の自律的・積極的な学びの意欲を高め、キャリア形成を支援するプログラムを拡充していきます。
<グローバル人材の育成>お客様に価値ある製品をお届けするためには、グローバルに展開しているバリューチェーン全体が効果的・効率的に運営されることが欠かせません。そのためには、世界中に分散している様々な機能について幅広い知識と経験を持ち、全体最適の観点から各機能間の調整を行い、現場で的確・迅速な意思決定ができるグローバル人材が必要です。世界各地で、共通の価値観を持って活躍するリーダー人材を育成するため、海外現地法人の経営リーダー層の養成を目的としたセミナーを毎年開催しているほか、日本から海外の現地法人へ赴任するだけでなく、海外現地法人から出向者や研修生を受け入れて、現地で中心となって活躍する人材の育成を進めています。また、海外人材についても国内と同様に、現地のトップマネジメント・人事部門と連携して役割や要件定義を行い、重要ポジション・重要人材についての後継計画・育成計画を策定しています。このような活動を基盤として、最適機能配置に関する社内議論を継続して行い、グローバル視点での最適なフォーメーションの構築に取り組んでいます。
■ 社内環境整備方針
人材戦略③ 組織活性化
エプソンは、社員一人ひとりの内外環境変化への対応力強化、多様性確保、社員が働きやすい環境と組織カルチャーづくり、健康経営、労働安全衛生等の取り組みを通じて、社員のエンゲージメントを高め、組織の総合力を最大化することを目指しています。
<ダイバーシティ>エプソンは、変化の激しい時代のなかで、多様なお客様を理解し、その人々に驚きや感動を与える新たな価値を創出していきます。そのために、多様な個性や能力・スキルを持った人材が世界中のエプソンに集まり、社会の一員として責任を持ち、会社とともに成長し、そして挑戦することによって、イノベーションを起こし、価値を生み出し続けることを目指しています。
エプソンは、まず日本国内におけるジェンダー平等を喫緊の課題と認識し、管理職層や経営層の女性比率が全社員の女性比率と同じになる状態を早期に実現することを目指し、将来の女性管理職候補層を増やすためのキャリアアップ応援強化施策や女性若年層向け施策等に取り組んでいます。また、インクルーシブな障がい者活躍、すなわち「障がいの有無に関わらず、個々の役割に応じたステップで挑戦し成長し続けることで、成果創出に貢献している状態」を目指します。そのために、グループ全体で障がい者採用に積極的に取り組むとともに、特例子会社の新規事業開拓等を進めています。また、障がい者との接点づくりや障がい者活躍に関するワークショップ、イベントなどを通じて風土醸成に取り組んでいます。
これらの活動の基盤として、社員の意識変革を促すため、経営トップからのメッセージ発信や、管理職向けダイバーシティマネジメント研修、社内向けDE&Iフェアを開催しています。また、属性に制限されない活躍を支援するため、公平で働きやすい職場づくり、相談窓口によるサポート、男性の育休取得推進等にも取り組んでいます。さらに、多様な人材それぞれのキャリア形成をサポートし、活躍を促進するため、各種キャリア支援プログラムや、自発的な学びなおしの機会を提供する教育体系の整備を進めています。
<組織カルチャー>2022年度から行っている外部ツールを利用した「エンゲージメントサーベイ」の結果、全社的には、「信頼関係のベースはあり、上司からの指示があれば動く組織の状態」にはなっているものの、一人ひとりが主体的に動き、自分たちで組織の弱みを改善していく自立(自律)自走型組織の実現に向けては課題が多いことが明らかになりました。この結果に基づき、組織カルチャーの課題として、理念の浸透と自分事化、変革意識と外向き視点の向上、仕事を通じた成長と貢献感獲得の3つを設定しました。その改善のためには、特に職場のマネジメント力強化が重要と考えており、経営情報の共有・理念の浸透活動、1 on 1研修の開始、管理職前後層教育研修体系の見直し、サブスクリプション形式の教育コンテンツの導入、イントラネットでの事例紹介、管理職向け相談窓口設置、個別の職場支援などを行っています。これらの取り組みにより、全社総合レーティングは、22年度B(11段階の上から6段目)から、23年度、24年度はBB(同5段目)へと1段階改善しています。「自ら考え自ら行動する人材」の育成と、「職場での強固な信頼関係の構築」による組織力強化を通じた生産性向上へ向けて歩みを進めています。
自ら考え、自ら行動する自律した多様な人材が組織として挑戦を続けることで、環境変化へ高いレベルで対応し、より大きな成果創出に繋げることができると考えています。そのために、価値を生み出す人材の活躍推進や、失敗を恐れず前向きに挑戦し続ける組織カルチャーの浸透と定着を図る取り組みを、今まで以上に強化してまいります。
<働きやすい環境づくり>エプソンでは、社員がやりがいを持ち、さまざまなライフステージ等の変化に適応しながら、いきいきと、心身ともに健康で安全に働ける環境を目指しています。特に、フレックスタイム制度や在宅勤務等、働く時間や場所を選ばない柔軟な働きかたを進め、育児・介護・療養・不妊治療と仕事の両立ができる環境づくりを行っています。2024年度は、在宅勤務制度の運用改善や、育児・介護休業法の改正への対応を行いました。また職場におけるハラスメント防止や労働時間の適正化等の施策を推進しています。
信州に主要な拠点が集中するエプソンにおいては、マネジメント人材やスペシャリストをはじめとする多様な人材の採用・定着をベースとしてダイバーシティを進めるためにも、労働時間と勤務場所の柔軟化をさらに推進し、多様な人材がそれぞれのキャリア形成を実現できる環境づくりが重要であると考えています。
<健康経営>会社にとってグループすべての働く人の健康が最重要と考え、パーパス、エプソンウェイ、エプソングループ労働安全衛生基本方針およびエプソングループ健康経営宣言に基づき、働く人の健康状態の向上とともに、仕事にやりがいを感じ、いきいきと働いている状態の実現を目指しています。2022年4月には、中期健康管理計画「健康Action 2025」を制定し、自律性の醸成・働くことと健康の調和を目指す「こころとからだの健康」と、安全配慮の徹底とチームでいきいきと働く組織風土の醸成を目指す「職場の健康」の2つを重点分野として取り組んでいます。
これまでの活動が評価され、2025年3月に「健康経営銘柄」に4年連続で選定されています。
<労働安全衛生>エプソンは、2000年度に、国際労働機関(ILO)の指針に準拠した労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)をベースに方針・プログラムを策定し、労働安全衛生活動を展開してきました。これをさらに国際規格であるISO45001に基づく活動に進化させ、グループすべての働く人が安心・安全・健康でいきいきと働けるよう、職場の安全衛生環境のさらなる向上を目指した取り組みを行っています。

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