有価証券報告書-第84期(2025/04/01-2026/03/31)
②戦略
■ 求める人材像
経営戦略の実現および事業遂行に向け、エプソンは、事業の方向性や価値観の共有をベースとしながら、広い視野と専門性を備え、変化の激しい事業環境においても主体的・自律的に行動し、顧客および社会に対する価値創出に取り組むことのできる人材を重視しています。
加えて、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」に掲げる、「省・小・精」の技術と思想を基盤に、テクノロジーとエンジニアリングによって社会や産業の変革を支えるという方向性を踏まえ、技術を起点に現場主義に基づいて考え、磨き上げた技術を社会に役立つ形で実装するとともに、地域や事業、機能の枠を超えて連携し、全体最適の観点から、各ビジネスの成長や変革において構想から実行までを担い、現場でやり切ることのできる人材を必要としています。
エプソンは、前人事中期戦略において、スキルおよび行動特性を軸に人材要件を定義し、経営戦略と連動した人材の「見える化」を目的として、「人材ポートフォリオ」の構築を進めてきました。これを基盤に、量的・質的の両面から人材ギャップをより明確に把握し、グローバルに経営戦略に沿った採用、人材育成、リスキリング、最適配置、後継計画等の施策を展開し、グループ全体で中長期戦略の実現に資する最適人員構造を構築することを目指しています。
■ 人材戦略と機会・リスク
経営戦略の実現に向け、人材戦略の機会とリスクを以下のように評価し、5つの人材戦略の遂行に鋭意取り組んでいます。
■ 人材戦略
人材戦略① グループ横断的なアサインメントや地域・事業の枠を超えて人材の登用の推進によるグローバル組織・人材基盤の活用の高度化
エプソンでは、これまでもお客様に価値ある製品をお届けするため、グローバルに展開しているバリューチェーン全体を効果的・効率的に運営する観点から、世界中に分散しているさまざまな機能について幅広い知識と経験を持ち、全体最適の観点から各機能間の調整を行い、現場で的確・迅速な意思決定ができるグローバル人材の育成に取り組んできました。
長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」においては、グループ全体を俯瞰した戦略的な人材活用の重要性が一段と高まっています。これを受け、グローバル視点で人材を活用できる基盤の整備を進めていきます。具体的には、事業間・地域間をまたいだ連携やクロスソリューションの推進に向けて、テーマ単位で人材をアサインし、責任と役割を明確にするとともに処遇にも紐付ける仕組みの構築に取り組んでいきます。このグローバルアサインメント制度のトライアル導入を通じて、グループ横断での人材活用を段階的に拡大していくことで、グローバルで期待される役割に応じた人材配置と処遇の整合を図り、事業戦略の実行力向上につなげていく考えです。
人材戦略② 各ビジネスを牽引するリーダーシップの涵養
エプソンでは年1回、各組織において要員状況を俯瞰するとともに、管理職等の重要ポジションの後継計画を策定しています。また、将来の経営層・管理職層、グローバル人材の候補者をリストアップし、育成計画を策定しています。
一方で、これらは組織単位での人材管理が中心となっており、経営層による全社横断での俯瞰的な人材把握や戦略的な活用を一層進める余地があると認識しています。こうした認識を踏まえ、特にミドルマネジメント層以上を対象に、トップマネジメントを中心として、人材活用に関する主要論点を全社的かつ継続的に議論する体制を構築しています。これにより、組織課題や事業戦略と連動したローテーション、登用、配置、組織見直しといった施策を、より一貫性のある形で検討・実行していくことを目指しています。あわせて、事業部長や本部長等の重要ポジションについては、サクセッションの観点から計画的な人材育成と配置につなげていきます。そのために、候補者へのチャレンジングなアサインメントや経営視点での経験機会を通じた育成を進めるとともに、既存のリーダー育成プログラムについても見直しを行い、より実践的な内容へと高度化していく方針です。
人材戦略③ コア技術を理解し横断活用できる内部コア人材育成の仕組み・場づくり
エプソンでは、OJTを中心とした業務を通じた育成に加え、階層別教育や専門教育といった体系的なOFF-JTを組み合わせた人材育成を行っています。こうした取り組みを継続しつつ、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」達成に向けて、人材戦力化の在り方についても検討を進め、必要な人材を継続的に育成・戦力化できる基盤の整備を図っていきます。
これまでもエプソンは、多様な人材の確保と、内部人材のキャリア形成・人材育成を進めてきましたが、今後は、必要な教育を必要な人材に恒常的に提供する仕組みの拡充を進めていきます。あわせて、エンジニアリング人材の専門性強化と活躍領域の拡大を図り、部門や地域を超えて機動的に価値を発揮できる人材配置につなげていきます。これにより、エンジニアを中心とした専門人材が、グローバルで知を共有しながら、価値創出につなげる力を高めることを目指しています。これらの取り組みを通じて、専門性とエンジニアリングマインドを基盤とした変化対応力の高い内部人材基盤を強化していきます。
人材戦略④ 新規組織能力の鍵となる外部人材の確保と定着
エプソンでは、事業の高度化・専門化が進むなかで、マネジメント人材に加え、高度な専門性を有するプロフェッショナル人材を外部から適切に確保し、定着させていくことが重要な経営課題となっています。特に、新規事業や成長領域の拡大においては、既存の組織や人材だけでは補いきれない知見や経験を、外部人材の活用によって機動的に取り込むことが競争力強化につながると認識しています。
このため、エプソンでは、従来の新卒一括採用を中心とした枠組みに加え、事業ニーズに応じて高度な専門性を有する外部人材をタイムリーに獲得できる採用の在り方についても戦略的な観点から検討を進めています。あわせて、採用後に速やかに価値を発揮できるよう、オンボーディングの充実を図り、専門人材が組織や事業に円滑に適応できる環境整備に取り組んでいます。
人材戦略⑤ 各種人事制度の改定およびデータプラットフォーム整備
エプソンは、専門人材の獲得・定着に加え、社員一人ひとりの専門性発揮を促すためには、市場環境や個々の貢献度を適切に反映できる評価・処遇の仕組みが不可欠であると考えています。これらを踏まえ、専門性や担う役割の価値を明確化し、成果へのコミットを促す評価・処遇体系への転換を進めています。これにより、エンジニアリング人材としての価値発揮を処遇に反映しやすくするとともに、専門人材の獲得・定着力の強化につなげていきます。
また、中長期的な成長実現と経営戦略の実行力強化に向け、人的資本データの活用を重要な基盤と位置付けています。グループ内には、構造化・非構造化を含む多様な人材関連データが存在しており、これらを統合的に活用するために、人材情報を統合データベース化し、社内基盤として活用する取り組みを進めています。
これらの人材データ基盤の高度化と人材ポートフォリオ構築を通じて、人的資本マネジメントの再現性と実効性を高め、変化する事業環境においても持続的な企業価値創出を図っていく考えです。
■ 社内環境整備
エプソンは、社員一人ひとりの内外環境変化への対応力強化、多様性確保、社員が働きやすい環境と組織カルチャーづくり、健康経営、労働安全衛生等の取り組みを通じて、社員のエンゲージメントを高め、組織の総合力を最大化することを目指しています。
<ダイバーシティ>エプソンは、変化の激しい時代のなかで、多様なお客様を理解し、その人々に驚きや感動を与える新たな価値を創出していきます。そのために、多様な個性や能力・スキルを持った人材が世界中のエプソンに集まり、社会の一員として責任を持ち、会社とともに成長し、そして挑戦することによって、イノベーションを起こし、価値を生み出し続けることを目指しています。
エプソンは、まず日本国内におけるジェンダー平等を喫緊の課題と認識し、管理職層や経営層の女性比率が全社員の女性比率と同じになる状態を早期に実現することを目指し、将来の女性管理職候補層を増やすためのキャリアアップ応援強化施策や女性若年層向け施策等に取り組んでいます。また、インクルーシブな障がい者活躍、すなわち「障がいの有無に関わらず、個々の役割に応じたステップで挑戦し成長し続けることで、成果創出に貢献している状態」を目指します。そのために、グループ全体で障がい者採用に積極的に取り組むとともに、特例子会社の新規事業開拓等を進めています。また、障がい者との接点づくりや障がい者活躍に関するワークショップ、イベント等を通じて障がい者活躍の風土醸成に取り組んでいます。
これらの活動の基盤として、社員の意識変革を促すため、経営トップからのメッセージ発信や、社内向けダイバーシティフェアを開催しています。また、属性に制限されない活躍を支援するため、相談窓口によるサポート、男性の育休取得推進等にも取り組んでいます。さらに、多様な人材それぞれのキャリア形成をサポートし、活躍を促進するため、各種キャリア支援プログラムや、自発的な学びなおしの機会を提供する教育体系の整備を進めています。
<組織カルチャー>2022年度より外部ツールを活用して実施してきたエンゲージメントサーベイを通じ、組織の状態や課題の可視化を継続的に行い、改善に向けた取り組みを推進してきました。2025年度のサーベイ結果は、全社総合レーティングスコアが前年度のBBランクからBランクへと1段階低下、総合レーティングスコアについても52.2から50.0へと低下しました。この背景には、経営体制の変更に伴い、会社や事業の方向性に対する社員の期待は高まった一方で、具体的な事業内容や施策に関する理解や実感が十分に浸透しきらず、期待度と満足度のギャップが拡大したことが影響していると考えています。また、サーベイ結果から、職場における信頼関係のベースは一定程度維持されているものの、一人ひとりが主体的に動き、自分たちで組織の弱みを改善していく自立(自律)自走型組織の実現に向けては課題が多いことが明らかになりました。これまでのサーベイは組織課題の大枠の把握には寄与してきた一方、課題の具体化や施策への接続には改善の余地がありました。今後はサーベイの見直しを進めながら、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の実現に向け、持続的成長を支える人的資本強化の重要な項目について、現状把握から施策展開まで一貫した取り組みを行ってまいります。
自ら考え、自ら行動する自律した多様な人材が組織として挑戦を続けることで、環境変化へ高いレベルで対応し、より大きな成果創出につなげることができると考えています。そのために、価値を生み出す人材の活躍推進や、失敗をおそれず前向きに挑戦し続ける組織カルチャーの浸透と定着を図る取り組みを、今まで以上に強化してまいります。
<働きやすい環境づくり>エプソンでは、社員がやりがいを持ち、さまざまなライフステージ等の変化に適応しながら、いきいきと、心身ともに健康で安全に働けることを土台に、成果創出に向け挑戦し続けることができる環境づくりを目指しています。特に、フレックスタイム制度や在宅勤務等、働く時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を進め、育児・介護・療養・不妊治療等と仕事を両立しながら能力を最大限発揮できる環境を整えています。
長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の実現に向けては、多様な人材がそれぞれの能力を発揮し、継続的に活躍できる環境づくりが重要であると考えています。そのため、ライフステージや価値観の違いに応じた柔軟な働き方の推進や、個々のキャリア形成を支援する取り組みを通じて、引き続き多様な人材の活躍を支える基盤の整備を進めていきます。
<健康経営>会社にとってグループすべての働く人の健康が最重要と考え、パーパス、エプソンウェイ、エプソングループ労働安全衛生基本方針およびエプソングループ健康経営宣言に基づき、働く人の健康状態の向上を基盤に、グローバルベースで仕事にやりがいを感じ、いきいきと働いている状態の実現を目指しています。エプソンは2026年4月に、新たな中期健康管理計画「健康Action 2030」を制定しました。こころとからだが健康でいきいきと働き続けられるために、自律的健康管理ができるよう「ヘルスリテラシーの向上」「健康的な生活習慣行動の増加」「ストレス対応力の向上」の三つを重点分野として取り組みます。またこの活動を通して、一人ひとりの活力が、会社を動かす力になり、企業価値向上に貢献するものと考えます。
エプソンの中期健康管理施策は2001年度から始まり、これまでの長年の活動が評価され、2026年3月に「健康経営優良法人(ホワイト500)」に10年連続で認定されています。
<労働安全衛生>エプソンは2000年度に、国際労働機関(ILO)の指針に準拠した労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)をベースに方針・プログラムを策定し、労働安全衛生活動を推進してきました。
2022年度にはこれらの取り組みを、国際規格であるISO 45001に基づく活動へと発展させ、さらには労働災害の継続的な減少と安全衛生活動のさらなる深化・浸透を図るため、2026年度から2030年度を対象とする5ヵ年の中期総合施策を策定しました。
これにより、グループすべての働く人が安心・安全・健康でいきいきと働ける職場環境の実現を目指しています。
■ 求める人材像
経営戦略の実現および事業遂行に向け、エプソンは、事業の方向性や価値観の共有をベースとしながら、広い視野と専門性を備え、変化の激しい事業環境においても主体的・自律的に行動し、顧客および社会に対する価値創出に取り組むことのできる人材を重視しています。
加えて、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」に掲げる、「省・小・精」の技術と思想を基盤に、テクノロジーとエンジニアリングによって社会や産業の変革を支えるという方向性を踏まえ、技術を起点に現場主義に基づいて考え、磨き上げた技術を社会に役立つ形で実装するとともに、地域や事業、機能の枠を超えて連携し、全体最適の観点から、各ビジネスの成長や変革において構想から実行までを担い、現場でやり切ることのできる人材を必要としています。
エプソンは、前人事中期戦略において、スキルおよび行動特性を軸に人材要件を定義し、経営戦略と連動した人材の「見える化」を目的として、「人材ポートフォリオ」の構築を進めてきました。これを基盤に、量的・質的の両面から人材ギャップをより明確に把握し、グローバルに経営戦略に沿った採用、人材育成、リスキリング、最適配置、後継計画等の施策を展開し、グループ全体で中長期戦略の実現に資する最適人員構造を構築することを目指しています。
■ 人材戦略と機会・リスク
経営戦略の実現に向け、人材戦略の機会とリスクを以下のように評価し、5つの人材戦略の遂行に鋭意取り組んでいます。
| 人材戦略 | 機会(○) | リスク(●) | |
| ① | グループ横断的なアサインメントや地域・事業の枠を超えて人材の登用の推進によるグローバル組織・人材基盤の活用の高度化 | ○事業間/地域間連携、クロスソリューションの進展による事業成長、ROIC達成 ○グループ横断での人材活用・登用による社員のモチベーション、エンゲージメントの向上 | ●適当な人材が、量・質において確保できないこと、また配置の仕組みが整わず、適切に配置が行われないことによる事業遂行上の障害の発生 ●その結果として、成長機会の逸失と財務的損失 |
| ② | 各ビジネスを牽引する リーダーシップの涵養 | ○組織的な事業戦略遂行能力の強化による事業目標の達成 ○計画的なリーダー育成と配置による組織基盤の安定 | ●必要な経営層・管理層の人材を確保できないことによる事業遂行上の障害の発生 ●その結果として財務的損失 |
| ③ | コア技術を理解し横断活用できる内部コア人材育成の仕組み・場づくり | ○重要度の高い技術領域における価値創出 ○やりがいや成長機会の提供に対し、社員が成長を実感することによるモチベーション、エンゲージメントの向上 | ●必要な専門性やエンジニアリングマインドを持った人材が確保できないことや、育成できないことによる事業遂行上の障害の発生 ●その結果として、成長機会の逸失と財務的損失 |
| ④ | 新規組織能力の鍵となる 外部人材の確保と定着 | ○高度な専門性を持つ人材を獲得することによる新規事業の推進や成長領域における事業拡大 | ●高度な専門性を持つプロフェッショナル人材が獲得できないこと、定着しないことによる事業遂行上の障害の発生 |
| ⑤ | 各種人事制度の改定およびデータプラットフォーム 整備 | ○専門人材等を適切に評価し、処遇することによるモチベ―ション、エンゲージメントの向上、定着 ○データプラットフォームを活用した人材の配置や計画的育成による組織基盤の強化 | ●必要な専門人材等のモチベーション低下や流出による事業遂行上の障害の発生 ●人材情報の欠落による人材育成の遅れや人材の最適配置が行われないことによる事業遂行の遅れ、非効率さ |
■ 人材戦略
人材戦略① グループ横断的なアサインメントや地域・事業の枠を超えて人材の登用の推進によるグローバル組織・人材基盤の活用の高度化
エプソンでは、これまでもお客様に価値ある製品をお届けするため、グローバルに展開しているバリューチェーン全体を効果的・効率的に運営する観点から、世界中に分散しているさまざまな機能について幅広い知識と経験を持ち、全体最適の観点から各機能間の調整を行い、現場で的確・迅速な意思決定ができるグローバル人材の育成に取り組んできました。
長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」においては、グループ全体を俯瞰した戦略的な人材活用の重要性が一段と高まっています。これを受け、グローバル視点で人材を活用できる基盤の整備を進めていきます。具体的には、事業間・地域間をまたいだ連携やクロスソリューションの推進に向けて、テーマ単位で人材をアサインし、責任と役割を明確にするとともに処遇にも紐付ける仕組みの構築に取り組んでいきます。このグローバルアサインメント制度のトライアル導入を通じて、グループ横断での人材活用を段階的に拡大していくことで、グローバルで期待される役割に応じた人材配置と処遇の整合を図り、事業戦略の実行力向上につなげていく考えです。
人材戦略② 各ビジネスを牽引するリーダーシップの涵養
エプソンでは年1回、各組織において要員状況を俯瞰するとともに、管理職等の重要ポジションの後継計画を策定しています。また、将来の経営層・管理職層、グローバル人材の候補者をリストアップし、育成計画を策定しています。
一方で、これらは組織単位での人材管理が中心となっており、経営層による全社横断での俯瞰的な人材把握や戦略的な活用を一層進める余地があると認識しています。こうした認識を踏まえ、特にミドルマネジメント層以上を対象に、トップマネジメントを中心として、人材活用に関する主要論点を全社的かつ継続的に議論する体制を構築しています。これにより、組織課題や事業戦略と連動したローテーション、登用、配置、組織見直しといった施策を、より一貫性のある形で検討・実行していくことを目指しています。あわせて、事業部長や本部長等の重要ポジションについては、サクセッションの観点から計画的な人材育成と配置につなげていきます。そのために、候補者へのチャレンジングなアサインメントや経営視点での経験機会を通じた育成を進めるとともに、既存のリーダー育成プログラムについても見直しを行い、より実践的な内容へと高度化していく方針です。
人材戦略③ コア技術を理解し横断活用できる内部コア人材育成の仕組み・場づくり
エプソンでは、OJTを中心とした業務を通じた育成に加え、階層別教育や専門教育といった体系的なOFF-JTを組み合わせた人材育成を行っています。こうした取り組みを継続しつつ、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」達成に向けて、人材戦力化の在り方についても検討を進め、必要な人材を継続的に育成・戦力化できる基盤の整備を図っていきます。
これまでもエプソンは、多様な人材の確保と、内部人材のキャリア形成・人材育成を進めてきましたが、今後は、必要な教育を必要な人材に恒常的に提供する仕組みの拡充を進めていきます。あわせて、エンジニアリング人材の専門性強化と活躍領域の拡大を図り、部門や地域を超えて機動的に価値を発揮できる人材配置につなげていきます。これにより、エンジニアを中心とした専門人材が、グローバルで知を共有しながら、価値創出につなげる力を高めることを目指しています。これらの取り組みを通じて、専門性とエンジニアリングマインドを基盤とした変化対応力の高い内部人材基盤を強化していきます。
人材戦略④ 新規組織能力の鍵となる外部人材の確保と定着
エプソンでは、事業の高度化・専門化が進むなかで、マネジメント人材に加え、高度な専門性を有するプロフェッショナル人材を外部から適切に確保し、定着させていくことが重要な経営課題となっています。特に、新規事業や成長領域の拡大においては、既存の組織や人材だけでは補いきれない知見や経験を、外部人材の活用によって機動的に取り込むことが競争力強化につながると認識しています。
このため、エプソンでは、従来の新卒一括採用を中心とした枠組みに加え、事業ニーズに応じて高度な専門性を有する外部人材をタイムリーに獲得できる採用の在り方についても戦略的な観点から検討を進めています。あわせて、採用後に速やかに価値を発揮できるよう、オンボーディングの充実を図り、専門人材が組織や事業に円滑に適応できる環境整備に取り組んでいます。
人材戦略⑤ 各種人事制度の改定およびデータプラットフォーム整備
エプソンは、専門人材の獲得・定着に加え、社員一人ひとりの専門性発揮を促すためには、市場環境や個々の貢献度を適切に反映できる評価・処遇の仕組みが不可欠であると考えています。これらを踏まえ、専門性や担う役割の価値を明確化し、成果へのコミットを促す評価・処遇体系への転換を進めています。これにより、エンジニアリング人材としての価値発揮を処遇に反映しやすくするとともに、専門人材の獲得・定着力の強化につなげていきます。
また、中長期的な成長実現と経営戦略の実行力強化に向け、人的資本データの活用を重要な基盤と位置付けています。グループ内には、構造化・非構造化を含む多様な人材関連データが存在しており、これらを統合的に活用するために、人材情報を統合データベース化し、社内基盤として活用する取り組みを進めています。
これらの人材データ基盤の高度化と人材ポートフォリオ構築を通じて、人的資本マネジメントの再現性と実効性を高め、変化する事業環境においても持続的な企業価値創出を図っていく考えです。
■ 社内環境整備
エプソンは、社員一人ひとりの内外環境変化への対応力強化、多様性確保、社員が働きやすい環境と組織カルチャーづくり、健康経営、労働安全衛生等の取り組みを通じて、社員のエンゲージメントを高め、組織の総合力を最大化することを目指しています。
<ダイバーシティ>エプソンは、変化の激しい時代のなかで、多様なお客様を理解し、その人々に驚きや感動を与える新たな価値を創出していきます。そのために、多様な個性や能力・スキルを持った人材が世界中のエプソンに集まり、社会の一員として責任を持ち、会社とともに成長し、そして挑戦することによって、イノベーションを起こし、価値を生み出し続けることを目指しています。
エプソンは、まず日本国内におけるジェンダー平等を喫緊の課題と認識し、管理職層や経営層の女性比率が全社員の女性比率と同じになる状態を早期に実現することを目指し、将来の女性管理職候補層を増やすためのキャリアアップ応援強化施策や女性若年層向け施策等に取り組んでいます。また、インクルーシブな障がい者活躍、すなわち「障がいの有無に関わらず、個々の役割に応じたステップで挑戦し成長し続けることで、成果創出に貢献している状態」を目指します。そのために、グループ全体で障がい者採用に積極的に取り組むとともに、特例子会社の新規事業開拓等を進めています。また、障がい者との接点づくりや障がい者活躍に関するワークショップ、イベント等を通じて障がい者活躍の風土醸成に取り組んでいます。
これらの活動の基盤として、社員の意識変革を促すため、経営トップからのメッセージ発信や、社内向けダイバーシティフェアを開催しています。また、属性に制限されない活躍を支援するため、相談窓口によるサポート、男性の育休取得推進等にも取り組んでいます。さらに、多様な人材それぞれのキャリア形成をサポートし、活躍を促進するため、各種キャリア支援プログラムや、自発的な学びなおしの機会を提供する教育体系の整備を進めています。
<組織カルチャー>2022年度より外部ツールを活用して実施してきたエンゲージメントサーベイを通じ、組織の状態や課題の可視化を継続的に行い、改善に向けた取り組みを推進してきました。2025年度のサーベイ結果は、全社総合レーティングスコアが前年度のBBランクからBランクへと1段階低下、総合レーティングスコアについても52.2から50.0へと低下しました。この背景には、経営体制の変更に伴い、会社や事業の方向性に対する社員の期待は高まった一方で、具体的な事業内容や施策に関する理解や実感が十分に浸透しきらず、期待度と満足度のギャップが拡大したことが影響していると考えています。また、サーベイ結果から、職場における信頼関係のベースは一定程度維持されているものの、一人ひとりが主体的に動き、自分たちで組織の弱みを改善していく自立(自律)自走型組織の実現に向けては課題が多いことが明らかになりました。これまでのサーベイは組織課題の大枠の把握には寄与してきた一方、課題の具体化や施策への接続には改善の余地がありました。今後はサーベイの見直しを進めながら、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の実現に向け、持続的成長を支える人的資本強化の重要な項目について、現状把握から施策展開まで一貫した取り組みを行ってまいります。
自ら考え、自ら行動する自律した多様な人材が組織として挑戦を続けることで、環境変化へ高いレベルで対応し、より大きな成果創出につなげることができると考えています。そのために、価値を生み出す人材の活躍推進や、失敗をおそれず前向きに挑戦し続ける組織カルチャーの浸透と定着を図る取り組みを、今まで以上に強化してまいります。
<働きやすい環境づくり>エプソンでは、社員がやりがいを持ち、さまざまなライフステージ等の変化に適応しながら、いきいきと、心身ともに健康で安全に働けることを土台に、成果創出に向け挑戦し続けることができる環境づくりを目指しています。特に、フレックスタイム制度や在宅勤務等、働く時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を進め、育児・介護・療養・不妊治療等と仕事を両立しながら能力を最大限発揮できる環境を整えています。
長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の実現に向けては、多様な人材がそれぞれの能力を発揮し、継続的に活躍できる環境づくりが重要であると考えています。そのため、ライフステージや価値観の違いに応じた柔軟な働き方の推進や、個々のキャリア形成を支援する取り組みを通じて、引き続き多様な人材の活躍を支える基盤の整備を進めていきます。
<健康経営>会社にとってグループすべての働く人の健康が最重要と考え、パーパス、エプソンウェイ、エプソングループ労働安全衛生基本方針およびエプソングループ健康経営宣言に基づき、働く人の健康状態の向上を基盤に、グローバルベースで仕事にやりがいを感じ、いきいきと働いている状態の実現を目指しています。エプソンは2026年4月に、新たな中期健康管理計画「健康Action 2030」を制定しました。こころとからだが健康でいきいきと働き続けられるために、自律的健康管理ができるよう「ヘルスリテラシーの向上」「健康的な生活習慣行動の増加」「ストレス対応力の向上」の三つを重点分野として取り組みます。またこの活動を通して、一人ひとりの活力が、会社を動かす力になり、企業価値向上に貢献するものと考えます。
エプソンの中期健康管理施策は2001年度から始まり、これまでの長年の活動が評価され、2026年3月に「健康経営優良法人(ホワイト500)」に10年連続で認定されています。
<労働安全衛生>エプソンは2000年度に、国際労働機関(ILO)の指針に準拠した労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)をベースに方針・プログラムを策定し、労働安全衛生活動を推進してきました。
2022年度にはこれらの取り組みを、国際規格であるISO 45001に基づく活動へと発展させ、さらには労働災害の継続的な減少と安全衛生活動のさらなる深化・浸透を図るため、2026年度から2030年度を対象とする5ヵ年の中期総合施策を策定しました。
これにより、グループすべての働く人が安心・安全・健康でいきいきと働ける職場環境の実現を目指しています。